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第52号
平成28年1月26日 発行
通所リハビリ利用者の皆さんによる
干支貼り絵「申年」の作品です。
ごあいさつ
新春を迎えるにあたり謹んでご挨拶を申し上げます。良
き年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
さて、国の「医療介護総合確保推進法」に基づいて、地域
の医療・介護・福祉の提供体制は大きな変革を求められて
います。北海道においても二次医療圏ごとの「地域医療構
想」の策定、住民生活レベルのコミュニティーを中心とした
「地域包括ケアシステム」構築のための協議が各地で進め
られております。「地域医療構想」とは各病院が保有してい
る病床をその機能に応じて、高度急性期、急性期、回復期、
慢性期の4群に分類し、団塊の世代が後期高齢者となる
2025 年に向けて各群の必要病床数に二次医療圏内で調
整していくものです。
西胆振二次医療圏では「地域医療構想」を策定するため
の調整会議を昨年中に2回開催しておりますが、将来推計
人口に合わせて拙速に病床を削減することや、これまで果
たしてきた自院の病床機能を変更することは、スタッフの
確保の問題や経営面の見通しが立たないことから容易で
ないことが指摘されています。一方、当圏域内では患者数
の減少から病棟単位での休床や閉鎖が既に生じており、今
後の地域人口の大幅な減少に伴い、既存病床数は「地域医
療構想」の策定に先んじて減少する可能性もあります。
また、一昨年より始まった「病床機能報告制度」の結果、
全国的に急性期病床は過剰、回復期病床は不足、慢性期病
床は過剰とされ、西胆振医療圏でも同様な傾向にあります。
そのため診療報酬による病床機能変更の誘導も試みられ
ており、本年4月の診療報酬改定では医療費が高額となる
急性期病床を減らすことを目的に、重症度、医療・看護必要
度の引き上げにより急性期病棟のハードルを高くし、回復
期や慢性期の病床への移行を促しています。さらには慢性
期病床には医療の必要性が低い高齢者が多く入院してい
るとされ、いわゆる社会的入院の解消が必要とされており
ます。具体的には看護職員配置の少ない医療療養病床およ
び介護保険病床の合計 14 万床をターゲットとし、「医療内
包型」と「医療外付型」と呼ばれる新
たな類型の施設への転換が検討され
ております。
院 長 中谷玲二
今後の医療制度や診療報酬の改
定および地域の医療機関や介護施設
の再編や在宅支援体制の整備は、当院における医療の提
供や病棟編成にも多いに関係してきます。今後を見据えて、
しっかりと情報の収集に努め、当院の進むべき方向を見極
めて参りたいと存じます。
ところで、当院では数年前より地域の特別養護老人ホー
ムや在宅などからの救急入院患者の割合が増加しており
ます。肺炎や心不全などに対する急性期医療が必要な方々
や、様々な原因による摂食障害に対して栄養療法が必要な
方々を受け入れ、初期治療後に必要に応じてリハビリテー
ションを行った後に施設や在宅への復帰を目指します。現
在の病棟は診療報酬上では慢性期病床に区分されますが、
新たな病床区分では機能上は回復期病棟に該当しており
ます。病床区分にこだわる必要性は少ないと考えておりま
すが、これからも柔軟に幅広く地域の医療ニーズに応えて
いくために、急性期機能を高めていくことにもこだわりをも
って対応して参りたいと考えております。一方、昨年からは
がん・非がんなどの疾患を問わずに、在宅療養を希望され
る方を支援するために訪問診療を本格的に開始しました。
また、近郊の高齢者施設にも新たに訪問診療を開始するこ
とも決定しており、これらの診療を拡充するために今春に
循環器内科と呼吸器内科の医師を新たに迎える予定であ
り、西胆振圏域だけではなく後志圏域も含め全方位的に在
宅医療を広げて参る所存です。
これからも当院は地域に根差した病院として必要とされ
る医療のニーズにしっかりと応えて参りたいと思います。昨
年と同様に今年も皆さまのご支援・ご指導を賜りますよう
宜しく お願い申し上げます。
平成 28 年 1 月 10 日
院長 中谷 玲二
診 療 部 長
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
今年は地球温暖化の影響なのか、雪も例年より少なく、穏やかな年始を迎える事が出来ま
した。幸い当院内でも今の所、インフルエンザの発症や、ノロウイルスの集団発生もなく患
者さんも穏やかに療養・リハビリを行うことができています。これは院内での予防が強化さ
れた事、並びに御家族の御協力のおかげと大変感謝しております。今後もこうした感染を
起こさないこと、広げないことに細心の注意を払っていきたいと考えています。
ただし、まだ寒い日が続いていますので、風邪などをひかないようにご自愛ください。
今年一年健康に暮らせますようお祈りし、年頭のご挨拶といたします。
副院長:三上 淳一
消化器内科
消化器科は胃腸などの消化管と肝臓・膵臓などの腹部臓器を診療する科です。腹痛など
の一般的な診療から、難病・悪性疾患の心配まで何でもご相談ください。近隣の医療機関
とも連携し、診療を行っています。最近では癌の芽を摘む治療が積極的に行われており、大
腸ポリープの内視鏡治療・ピロリ菌の除菌治療などにも積極的に取り組んでいます。昨年
の町民対象の講演会でもお話しさせていただいたのですが、ウィルス性肝炎に対する治療
には目覚ましいものがあります。
副作用が減り治療対象も広がりましたので、以前指摘されるも治療適応なしと言われた
方でも是非ご相談ください。
副院長:岸 明彦
糖尿病内科
食事の欧米化、肥満の増加により患者数が増加の一途をたどっているのが糖尿病です。
職場の検診や住民健診で糖尿病やその予備軍といわれたけど、何にも症状がないから放
置している方いませんか?現在通院中で医師からも血糖を下げるように言われているけれ
ど、自分は頑張っているのに~と思っている方いませんか?一緒に考えて、少しでも良い方
法を考えてみませんか?
糖尿病治療は日常生活をしながら、患者さんのライフスタイルに沿った治療を行ってい
くことが大切だと考えています。食事療法、運動療法に加えて、近年には糖尿病の治療薬
も多種多様なものが使えるようになってきました。多くの治療法の中から患者さんが受け
入れられる治療を導入して血糖コントロールを図っていきましょう。 糖尿病内科では、糖
尿病と合併しやすい肥満、高血圧、脂質異常症、痛風などの診療も行っていますので、ご相
談ください。
医 師:上田 修
呼吸器内科
日本は高齢化社会を迎え、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺癌、肺炎などの呼吸器感染症、
気管支喘息のようなアレルギー疾患等、当院の周辺の地域でも呼吸器の病気が増加しつ
つあります。
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、呼吸器感染症、間質性肺炎などの肺の病気を
お持ちの方。
・息切れ、呼吸困難感、咳、痰などの症状をお持ちの方。
・健康診断や人間ドックのレントゲンなどで胸部異常陰影を指摘された方。
このような問題をお持ちの方はぜひ当科を受診されて下さい。周辺地域の病院との連携
も行いながら、御心配を解消し、適切な医療を提供すべく努力していきたいと思います。
-2-
医 師:江島 正顕
2015 年 11 月 19 日(木)18:30~20:00 緩和ケアの第一人者である
石垣靖子先生(北海道医療大学 看護福祉学部 客員教授)をお招きして、
特別講演 「物語られるいのち」に寄り添う―緩和ケアの実践をとおして―
を開催しました。西胆振近隣の病院・施設から医療従事者約 100 名の皆
さまに参加頂きました。医療において主役は患者さんであり、「生活者とし
ての患者さん」を尊重していくことの大切さを学びました。
実践でのお話は全ての患者さんを“わかろうとする姿勢”で満ちていて、
「言葉を大切に、情報を伝え、その情報を分かち合うこと。いつも耳を傾け、
同伴者になること。」を信条としてきたことが聴く側にも伝わって来ました。
ケアに携わる者は、コミュニケーションを重ねながら患者さんとの絆を深
めて、寄り添えることがベストであると感じました。
アンケートからも、「看護の原点」を振り返ることができた、職種として
の誇りを改めて痛感した等、役割意識が高められたとても意義のある研修
となりました。
~ どうすれば認知症になりにくい?その① ~
(連載 43 回目)
皆さんこんにちは!
おり、生活習慣病にならないよう
最近、テレビのニュースや特集、新聞で毎日のよう
な生活を心がけると認知症にも
に「認知症」という言葉を目にします。厚生労働省の調
なりにくいと言えそうですね。また
査(2012 年)では 65 歳以上の 4 人に 1 人が認知症
それだけでなくおしゃれや人との
とその予備軍であり今後さらに増えることが予想さ
お付き合い、好奇心を忘れず活動
れるとのこと、家族や周囲に認知症の方がいたり自分
するなど生活を楽しむことが大切
がなったらどうしようなど、他人事ではないと考える人
だとも言われています。その②の認知症で落ちやすい
が大変増えているように感じます。「こうすれば認知症
能力についてですが、例えば料理をする時、前の日に
にならない!」という方法があればいいのですが、残念
何を食べたか、冷蔵庫にどんな食材が残っているか思
ながらありません。しかし最近は、「どうすれば認知症
い出してメニューを考えたり買い物に行く、食べる時
になりにくいか」ということが少しずつ分かってきてい
間から逆算して他の用事との兼ね合いも含め段取り
るそうですので、今回はそのことについてご紹介した
を考える、実際の調理では材料を切りながら鍋に火を
いと思います。
かけたり…。このように私たちが通常あまり苦労なく
担当:リハビリテーション課
植田課長
どうすれば認知症になりにくいか、その①「生活習
行っている、物事の段取りを考えたり思い出したり同
慣の改善」、その②「認知症で落ちやすい能力をトレー
時に複数のことを行うなどといったことは、認知症の
ニングで鍛える」、大きくはこの二点だそうです。なん
方にとっては大変難しいことのようです。次回はその
だと思われるかもしれませんが、バランスの良い食事、
②のどのようなトレーニングがよいかについてお話し
適度な運動の習慣づけ、煙草、深酒は止めて規則正し
したいと思います。本年も「生活リハビリしませんか?」
い生活…生活習慣病は認知症に関係があるとされて
をどうぞよろしくお願いいたします。
-3-
昨年 11 月 30 日(月)に、ヴァイオリニストの
杉田知子さん、指揮者の中田昌樹さん、ピアニスト
の金子愛さんによる演奏会を開催しました。
ヴァイオリンの音色に心を癒され、中田さんの軽
妙な語りで和やかなひとときを過ごすことができ
ました。
<演者紹介>
ヴァイオリン 杉田知子さん
美唄市出身。フェリス女学院短期大学音楽科卒業。
指 揮 中田昌樹さん
札幌市出身。札幌西高卒業。国立音楽大学器楽学科卒業。フランスに留学。
ピアノ 金子愛さん
伊達市出身。札幌大谷短期大学音楽教育コース卒業。
医療相談室
主任:中山夏生
12 月 7 日に洞爺総合センターにて岸副院長による洞爺
湖町町民講演会が開かれました。テーマは「C 型肝炎の新
しい治療と医療費助成制度」ということで、私は医療費助
成制度の部分で少しだけお話をしてまいりました。
当日は 20 名以上の方々がお話を聞きに来られ、改めて
岸副院長が地元の方々に信頼されていること、また町民
の方々の医療についての意識の高さを感じました。
今回の講演では C 型肝炎に対する新しい治療薬のお話
が中心で、肝炎は早期発見・早期治療をすることで「ウイ
ルス・ゼロ」を目指すことが出来るとのことでした。肝炎の
検査は町内の健康診断や保健所で無料・低額で受けるこ
とが出来ます。一度も検査をしたことが無い方は受けて
みてはいかがでしょうか?
また、治療の継続が必要になった際にも医療費助成制
度がありますので経済的な負担の軽減が可能です。興味
のある方や詳しい内容をお聞ききになりたい方は当院受
付窓口または医療相談室相談員へお気軽にお申し出くだ
さい。
当院ではお正月のお節料理とは別に、患者様の『年忘れ会』として生寿司を提供しています。生寿司を提供するのは年
に一度のため、皆様この日を楽しみにしていらっしゃいます。
また、大晦日や元旦には、年越しそばやお節料理などお正月の雰囲気を感じて頂けるような献立を提供しております。
【年越しそば】
【赤 飯】
洞爺温泉病院の理念
○ 個別性を尊重した医療の提 供
○ 信頼されるチーム医療の実 践
【年忘れ会生寿司】
【ちらし寿司】
企画・編集
医療法人社団洞仁会洞爺温泉病院 広報図書委員会
〒049-5892
虻田郡洞爺湖町洞爺町54-41
TEL 0142-87-2311
編 集 後 記 最近、テレビを買い換えました。平日の日中に配送
FAX 0142-87-2260
され、妻が設置に手間取っている時に小学一年生の息子が自分で
考え助けてくれたと聞いて褒めちぎりました。結果私が帰宅するま
ホームページ
で映っていなかったのはご愛嬌です。本年もよろしくお願いいたし
http://www.toya-onsen-hospital.or.jp
ます。 (H.T)
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