医療介護総合確保推進法により 病床機能分化や医療事故調査制度等を

医療介護総合確保推進法により
病床機能分化や医療事故調査制度等を創設
欄では、医療政策を(1)医療提供体制、
(2)
理」
、
「地域医療計画」
、
「医療法人」
、
「医療安全確保」
、
「医
医療保険、
(3)医療の内容の3点に分けて考え
療に関する選択の支援」などが規定されています。
ています。今回は、
(1)の医療提供体制について解説
医療法改正の中で注目すべき事項として、
「臨床研究
しましょう。
中核病院を医療法に位置づけた」
、
「病床機能分化の推進
医療提供体制に関係する法律としては、医療法や医
や、地域医療構想(ビジョン)の策定、推進に向けた
師法、保健師助産師看護師法(通称・保助看法)など
都道府県知事の権限強化などを規定した」ことなどが
があり、2014年6月に成立した「医療介護総合確保推
挙げられます。
進法」の関連法律として見直しが行われています。
いずれも重要事項であり、詳細な内容等は、現在、
ちなみに、医療介護総合確保推進法では、医療提供
厚生労働省の検討会で議論されているところです。特
体制を規定する医療法等の見直しだけではなく、介護
に後者の「病床機能分化」や「地域医療構想(ビジョ
保険法の見直しなども行われており、
「
『地域包括ケアシ
ン)策定」については、近く、厚生労働省当局から「高
ステム』を法律上の用語として規定し、具体的な定義
度急性期、急性期、回復期、慢性期という各病棟区分
を行った」点が関係者の間で高く評価されています。
の必要病床数算定に向けた考え方」が示される模様で
医療法には、
「病院や診療所等の医療機関の開設や管
注目を集めています。
医 療 マ ネ ジ メント の ヒント
地域連携において院内ですべきこと ── その1
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回は、地域連携において院内で注意すべき点、取
別の医師の判断で断るのではなく、組織的に応じるケ
り組むべき点について考えていきます。
ースもあります。たとえば、紹介された患者の窓口を
前回、前々回で連載した「医療機関の地域連携を考
地域連携室に一本化し、各診療科責任者がその紹介患
える」でも触れましたが、自院の診療機能を正しく把
者の治療ニーズを確認します。受け入れる場合は、ニ
握している病院、職員は意外に少ないものです。では
ーズに合った診療科責任者が各担当医に割り振ってい
各病院は、どのように自院の診療機能を把握している
きます。診療科責任者に一本化するのが難しく、各医
のでしょうか。
師が対応する場合でも、紹介患者を断ったときには、
ある病院では、院長、地域連携職員が入職した医師
各診療科責任者がその理由を医局会等で院長に報告す
に対し、
「診たい疾患、治療内容」をヒアリング、確認
るかたちにしている病院もあります。このようにして、
する手法をとっています。この取り組みは、医師のニ
各医師の都合ではなく、組織全体で紹介患者に対応し
ーズ、要望を汲み取れると同時に、患者が来院、紹介
ている病院の姿勢を内外に表しているのです。
された際、医師が断ってしまうことの歯止めにもなり
もう1点注意すべきは、せっかく紹介いただいたそ
ます。
れぞれの患者について、断らないだけでなく、病院全
せっかく地域の医療機関から紹介いただいても、各
体として状況を把握し、対応していく仕組みができて
医師の都合で受け入れないケースが増えてしまえば病
いなければ、紹介元との連携、信頼が深まらないこと
院の信頼は失われます。そのため、病院によっては個
です。次号で、ある病院の事例をご紹介します。