介護相談員派遣事業の概要(PDF形式 458キロバイト)

福井市介護相談員派遣事業の概要
◎介護相談員制度について
介護相談員制度は、国の「介護相談員派遣等事業」により平成15年度から実施しています。
福井市では、平成15年10月から第1期目の介護相談員を委嘱、同年10月から活動を開始し、
現在5期目として、10名を介護相談員に委嘱し、市内68か所124事業所で活動を行っており
ます。
(1) 介護相談員とは
介護相談員は、介護サービス事業所を定期的に訪問し、気軽な雰囲気の中で介護サービスの利用
者やその家族等から介護サービスに関する不安や不満、疑問等を聞き、介護サービス事業所の管理
者や担当者、又は行政に対して橋渡しをし、問題解決に向けた手助けをします。また、利用者の相
談だけでなく、「一市民としての目から見た、介護サービス提供に関して介護相談員が気づいたこ
と」を事業者に伝えることも重要です。
そして、市民の目を通して、サービスの実態等を把握し、市に提言を行うことなどにより、介護
サービスの質の向上や市の介護行政の円滑な運営に反映させる役割も担っています。
(2) 介護相談員の要件
介護相談員はサービス利用者の立場に立つことを原則としており、介護サービス事業者としての
関わりを持たない、利害関係のない方にお願いしています。特別な専門性や資格は特に必要ではあ
りませんが、相談業務に携わるのに熱意とボランティア精神のある人を前提とします。
※
介護相談員は、介護サービス事業者に対して、指導・監督又はオンブズマン等のように施設を
評価、あるいは摘発することを目的として設けられたものではありません。利用者や介護サービス
事業者どちらに対しても中立的な立場であり、あくまでもサービスの向上を目的としています。
(3) 介護相談員になるために
介護相談員は、市の指定する介護相談員養成研修を受講することが必要です。
(4) 介護相談員の活動について
・担当する事業所を1事業所につき年間5~8回程度訪問する
・サービスの現状を把握する
・サービス利用者又はその家族の話を聞き、相談にあたる
・問題点等を把握した上で整理し、解決方法を考え必要に応じ提案する
・事業者の管理者や担当者と意見交換する
・足りないサービス創出に向け必要に応じて提案する
・活動状況を市に報告する
・事務局が開催する月1回の連絡会議に出席する
など
(5) 訪問活動の流れ
訪問月・訪問日・時間帯については、予め介護相談員で年間計画をたて、介護相談員とサービス
事業所とで調整を行って頂いています。また、事前に市に訪問予定を報告して頂いています。
≪訪問時のスケジュールについて≫
訪問日の前月中
①次回訪問日の連絡・調整(最低でも10日前まで)
②市へ決定した日時を報告
訪問日の前日
③明日の訪問の電話確認
訪問日の当日
④施設長・担当職員等へのあいさつ・スケジュールの確認
⑤前回訪問後の事業所における対応の確認(改善・利用者への説明)
⑥担当者との打合せ(相談場所・対象者・注意事項)
⑦相談活動開始
⑧報告内容のまとめ
⑨施設長・担当者への報告
⑩意見交換
サービス利用者から事業所に対する要望・不満が出た場合、まずは利用者本人がサービス事業
者に直接伝えるように促します。しかし、多くの場合、利用者は直接伝えることを拒みますので
その場合、介護相談員からサービス事業者に伝えることとなります。その場合も、下記のとおり、
相談事例ごとに分類整理したうえで報告して頂いています。
また本人の希望により、事業者に伝えることのできない事例が出てくることもあります。
①訪問日のうちに介護相談員がサービス事業者に伝える。
ア、個人を特定出来ないように状況を伝える。
イ、個人を特定できるように伝える。
(本人承諾のもと)
②介護相談員が時期を改めてサービス事業者に伝える。
(状況を整理したり、連絡会議で検討した後に伝える。)
③市に対応を求め、市(あるいは相談員)から伝える。
(6) 介護相談員を受け入れている介護サービス事業所
介護相談員の派遣を受け入れている事業所は、全ての介護サービス事業所ではなく、事務局で
候補を決め、サービス事業所として受け入れを申し出た事業所です。
サービス
介護老人福祉施設(短期含む)
通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
グループホーム
地域密着型老人福祉施設
看護小規模多機能型居宅介護
合計
受け入れ事業所
19
25
15
30
25
9
1
124
(※平成 27年 11月末現在)対象とするサービス・事業所については変更することがあります。
(7) 活動の記録
介護サービス事業所を訪問した際には、利用者又はその家族から相談内容を聴き取り、施設
担当者との意見交換等を通じて相談員としての活動状況を所定の用紙にまとめ、市に報告して
頂いています。
また、年間の活動報告を冊子にして、各受け入れ事業所に配布しています。
(8) 定例会
事務局が開催する月1回の介護相談員定例会により、活動の状況や検討事項等の協議及び事
務局からの連絡事項等介護相談員事業が円滑に進むための会議を開催しています。毎月1回、
市役所内会議室で行います。
(9) 介護相談員の守秘義務等について
介護相談員は、本事業の実施上知り得た利用者等の秘密を他人に漏らしてはならないことに
なっています。本事業の終了後及び介護相談員を退いた場合も同様です。
また、その業務に関して、いかなる宗教、営利又は政治的活動をおこなったり、知りえた情
報をそれに利用してはなりません。
※
介護相談員は、事業所を監査・チェックするものではありません。「介護サービス情報公開調
査委員」とも主旨が異なるものです。市民の目を通して、事業所の職員には日常的になっていて
気づかない部分・できない部分等を補完していっていただきたいと考えています。
≪問い合わせ先≫
福井市役所 介護保険課 給付係
電話:20-5715
FAX:20-5766
《受入事業所へのアンケートより抜粋》
参考資料
介護相談員の活動によって、サービスの質の向上、改善等につながった事例はありますか?
・ 興味深く読ませていただきました。自分の施設のことではないかと思ってしまう事柄が多く。身の
引き締まる思いです。相談員さんとの会話からいつも聞けない利用者からの想いがたくさん書いて
ありもっと寄り添った対応をしていきたいと思いました。今後も積極的な活動をしてもらい施設に
伝えていってもらえるとありがたいです。
・ ささいな会話、気配り、対応ができている事例、また逆に配慮が足らなかったケースなど、自施設
でも気をつけていきたいと思いました。とても貴重なご意見だと思います。
・ 施設内の雰囲気や気づきについて、率直な感想を冊子を通して知り得ることができ、サービス向上
に向けて役立たせてゆきたい。
・ 相談員さんが丁寧に現場を観察しておられ、率直なご意見も記載されているので、とても参考にな
りました。他事業所のよい点から学び、当事業所と共通した改善点はこれからの課題として掲げた
い。入居者やご家族から、普段どれだけお気持ちを聴けているだろうか?と考えさせる機会となり
ました。
・ 外部から目線が入ると緊張感もありいい刺激になり、スタッフにはとても良いと思います。利用者
さんからも日頃聞けない言葉や話を引き出してもらい、利用者さんの思いに気付かされる事もあり
ます。感謝しています。
≪福井市での相談事例≫
<注意喚起>
とろみ食の方へ通常のお茶を給仕されたようで、一口飲んだ途端ゴッホンゴッホンと咳き込む様子
に、同じテーブル席の方が「あなたとろみ食だったよね。職員さんにもいろいろな方がおられ、都度
確認して下さることを怠る方もいる。まぁそれも仕方のないことや、これだけの大所帯やもの、自分
の身は自分で守らなアカンのやでこれから都度自分でとろみだと申し出るようにせなね・・・。」と
助言をされていました。
咳き込む様子に職員さんは気付いておられなかったので、この件を知らせて即、とろみ(お茶)に
変えていただきました。
<フロアでの気配り>
今日は往診日で利用者さんの診察が始まりました。利用者さんの部屋か別の場所で行われると思っ
ていたらフロアで始まったので驚きました。
認知症を患っている人で往診を嫌がる様子はなかったのですが他の利用者さんも寛いでいる場所
なので両方に配慮がほしかったです。
~この件について、職員さんに伺ってみました~
在宅の往診と同じなので、利用者さんの部屋で行うのが本来の往診だが、ついフロアで行ってしまう。
フロアで往診をするのが日常化している。やはり配慮して、部屋かフロアとは別室でやり、今後気を
付けていきたいですと言われました。
利用者さんがフロアでもいいと言われたらパーテーションをしたらどうですかと伝えました。同じ場
所でも仕切りがあると少しは違うかもしれません。