平成二十七年 国立大学法人岩手大学大学院 入学式 告辞 工学研究科

平成二十七年 国立大学法人岩手大学大学院 入学式 告辞
工学研究科博士後期課程および連合農学研究科博士課程合わせて三十五名、
並びに四研究
科の博士前期課程および修士課程三百十五名、合計三百五十名の皆さん、大学院入学おめで
とうございます。教職員一同、皆さんを歓迎いたします。また九ヵ国からの三十三名の留学
生の皆さん、さらに十三名の社会人学生の皆さんも歓迎いたします。
さらに、本日ご臨席ただいております、ご両親をはじめ、ご家族の皆様にも、心よりお祝
い申し上げますとともに、大学院進学にご理解を示してくださいましたことに、感謝申し上
げます。
人間の価値観が多様化する今日、大学院進学の動機も様々でしょう。人生設計の中で大学
院での学びが、希望する職業に就くための道と思い進学した方もいるでしょうし、希望する
就職が叶わず、更なる研鑽に向け大学院に進学した人もいるでしょう。しかし、皆さんに共
通することはこれまでの勉学、研究をさらに深めようとする向学心、追求する志であると思
います。
学士課程の教育はあくまでも基礎教育の位置づけであり、自分のコア、ベースを作る時期
でした。専門家の卵、あるいは孵化したばかりの若鳥と言えます。一方大学院では、自分の
専門性を高めることが求められます。二週間前に、この会場で行われた修了式でも述べたこ
とですが、震災復興にはイノベーションが必要であり、皆さん方が獲得するであろう高い専
門性が大きな力になります。その方法には深さ方向と、横に広げる方向の二方向性がありま
す。
私はこれまで機械工学の中で、機械の摩擦や摩耗の現象を把握し、それを制御する分野で
ある、
トライボロジーを研究してきました。この分野での深さは現象をマクロから、
ミクロ、
そしてナノのスケールで見ていくことになります。一方、横方向の展開では機械同士の摩擦
から金属と細胞の摩擦、あるいは細胞同士の摩擦に対象を変化させていく、すなわちバイオ
の世界にまで拡大していくことなどが例として挙げられます。
将来、皆さんが研究者、あるいは技術者やその他の専門家になる場合においても、この二
つの方向を是非意識して研究してください。
当然二つのベクトルを共に大きくしなければい
けません。
さて、大学院生活では研究に取り組むことのみでよいのでしょうか。
私の経験から言えば、
大学院時代まで陸上競技を続けてきた結果、多くの友人ができました。それが現在の大きな
財産となっております。ここで言いたいことは、それぞれの環境の中、大学院生活を通して
様々な経験をしてほしい、ということです。
学問の追及を通して皆さんの人間性も大いに磨いてください。皆様の益々の成長を期待し
て、学長からの告辞といたします。
平成二十七年四月七日
国立大学法人 岩手大学長 岩渕 明