あきらめる前に努力

二年
あきらめる前に努力
元郷中学校
堀内
万莉也
「もったいないよね。」
休み明けの朝、母にいきなりそう言われた私は驚いた。
しかし、この母の一言が私の気持ちを大きく変えるも
のとなった。
私は、二年生の一学期までは、自分で言うのもなん
だが、何事にも真剣に、努力をしてきたと思っている。
部活では、日々の練習を頑張ってきたせいか、念願の
Ａチームに入ることができた。中間テストや期末テス
トでは、今の成績をいじできるよう、また、さらに成
績を伸ばせるよう努力した。生徒会にも入り、積極的
に学校のためにつとめた。学校生活以外でも、八年間
続けてきた習い事も一生懸命にやった。そんな毎日は、
私にとって、とても充実した日々であった。
しかし、夏休みに入ってから、そのような日々をお
くることができていなくなっていた。まず、八年間続
けてきた習い事をやめた。中学二年生にもなると部活
などに時間を使う分、自分が休む時間を使って習い事
に行っていた。そんな日々にだんだんと疲労を感じて
きた。また、周りの人との差もひろがってしまいとて
もつらかった。その後、部活ではＢチームにおちてし
まい、成績もいじするどころか、どんどん落ちてしま
った。十月になると生徒会の任期も終わり、私は、な
んのとりえもない、空っぽな自分になってしまった。
そんな自分に気づいた私は「こんな自分はだめだ。変
わらないと。」と思ったが、「もう、あの時のような充
実した日々を過ごすことはできないだろう。
」と、努力
もせずに、あきらめるようになった。
そんな時、私は母にこう言われた。
「もったいないよね。万莉也はさらに上を目指そ
う！って気持ちにならないんだもん。最初からあきら
めちゃうんだもん。」
「その通りだ。」私は、
「努力」よりも先に「あきらめ」
の考えにいってしまう。そして、母はつけ加えた。
「もったいないな。努力すればいいのに。たったそ
れだけのことなのに。
」
その日の夜、私は、今の自分について考えてみた。
今までの自分はさらに上を目指すどころか、あらゆる
ことから逃げてばかりだった。習い事では、周りの人
との差が嫌だというのに、部活が忙しいということを
理由にして逃げてしまったし、テスト勉強では、
「これ
が今の自分の実力だ。
」と勝手に思いこませ、あきらめ
ていた。私は、その時、心の底から「こんな自分でい
るのは嫌だ。変わろう。」そんな強い思いがわいてきた。
その日をさかいに、私はさまざまな努力をした。生
徒会が終わってしまっても学校のためにつとめられる
よう、環境委員会の委員長に立候補した。部活では、
ＢチームからＡチームに上がれるよう、毎日、家で素
振り練習をした。そのせいか、ある日、部活で「振り
がよくなったね。
」と、先生に言われた。とてもうれし
かった。
「努力すればいいのに。たったそれだけのこと
なのに。」母の言っていたその一言の意味がやっと分か
った。
「努力」たったそれだけで、するのとしないのと
では全く違うことに私は気づいた。
あのとき、母がくれたあの一言が、私の心を大きく
動かしてくれた。あの一言がなかったら、きっと、こ
れからの私の人生は、逃げてばかりだっただろう。そ
して、空っぽな自分のままであっただろう。
「あきらめ
る前に、まずは努力をする。」
ということに、改めて教えてくれた母に、本当に感謝
している。また、「これから、嫌なことやつらいこと、
逃げだしたくなるような壁にぶつかったとしても、す
ぐにあきらめずに、まずは、努力をしよう。」そう思わ
せてくれた、母の一言を、私は決っして忘れることは
ないだろう。

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