14.正規課程の学生以外に対する教育サービスの状況

14.正規課程の学生以外に対する教育サービスの状況
14.1
公開講座
大学の研究成果を広く社会に還元するために,昭和56年から「府民講座」,昭和63年から「水曜
講座」
,平成9年から「体験参加型講座」を開講している.また,阪神奈大学生涯ネット「公開講座フ
ェスタ」にも平成13年より参加している.
〔府民講座〕
府民講座は,公募した受講者(約500名)を対象に,総合情報センター(現学術情報センター)
・U
ホールで開催している.平成15年度,16年度は9,10月の土曜日に計5回10講義が行われ,
工学研究科教員は下記の講義を担当した.
・ 平成15年度
辻
洋教授
「組織・経営活動における情報マネージメント−人間だけが行なえた知識の伝承は
如何に発展し,どうなっていくか−」
藤村紀文教授「エレクトロニクス最前線−半導体ナノデバイスから知能デバイスまで−」
・ 平成16年
吉田弘之教授
「−文部科学省21世紀COEプログラム平成14年度採択−水で有機性廃棄物
を資源・エネルギーに変える科学と技術」
大松
繁教授
「ニューロ情報処理の最前線」
〔水曜講座〕
水曜講座は,前期(5−7月)は学術交流会館の多目的ホールで,後期(12−1月)はさいかくホ
ールで,水曜日に開講される.受講申込みは往復はがきで,受講料は前期各回 250 円,後期各回 500
円であり,毎回多数の受講者を集めている.平成15年度は19講義,16年度は18講義で,工学
研究科教員の担当は以下の通りであった.
・ 平成15年度
今野豊彦教授
「電子顕微鏡で何がわかるか−ナノテクノロジーとのかかわり−」
岡本謙一教授
「人工衛星を使った地球環境の観測」
・ 16年度
小川昭弥教授
「分子の不思議な世界」
辻川吉春教授
「ガスタービン利用高効率エネルギーシステム」
〔公開フェスタ〕
平成15年度,平成16年度は,工学研究科教員の担当は無かった.
123
14.2
社会人教育
1)大阪府工業技術大学講座
大阪府工業技術大学講座は,企業における技術系人材育成の要請に応え,より高度な技術と開発力,
そして幅広い専門知識を身につけた技術者の養成,さらには,将来,経営の一翼を担う人材の開発を
目指し,現在,大阪府の後援のもとで(社)大阪府工業協会が主催し,昭和 36 年より実施してきた
権威と実績のある技術研修講座であり,平成 16 年度で第 44 期を迎えている.また,既に 2000 名を
超える研修修了生を輩出している.講義内容については,大阪府工業協会,大阪府,大阪府立大学を
中心とした産・官・学それぞれの視点からの検討を加え,時代の要請に即応した研修カリキュラムを
編成している.また,研修カリキュラムは,講義科目(基礎・専門科目,特別講義科目),実習科目,
見学科目により構成されている.
この講座の講師の大半は,大阪府立大学大学院工学研究科の教員が担当している.平成 16 年度は,
基礎・専門科目の講義 21 科目の内,13 科目が大阪府立大学大学院工学研究科の教員もしくは名誉教
授の担当による講義であった.講義は毎年 4 月から始まり翌年 3 月までの 1 年間にわたり,原則とし
て週 3 回,月・水・金の夜に行われている.研修生の多くは,企業から派遣された 20 代の年齢の技
術者であるが,40 代までの年齢層に広がっている.平成 15 年度は,入講者数 37 名中,修了生は 35
名(内訳は,大卒:9 名,高専・短大卒:6 名,高卒:20 名)であり,平成 16 年度については,入
講者数 43 名中,修了生は 38 名(内訳は,大卒:15 名,高専・短大卒:1 名,高卒:22 名)である.
ものづくり企業が更なる発展を遂げてゆくためには,消費者ニーズを的確に捉えた新分野へのチャ
レンジやオンリーワン製品の創出,更なる技術革新に取り組むことが重要であり,それを支える高度
な知識と技術を持った創造性あふれる人材の確保育成が必要となる.本講座は,このような要請に応
える研修体制を整え,大阪の産業の振興・発展に寄与することを目的としたものである.なお本講座
は,平成 15 年度まで,厚生労働省「教育訓練給付制度」対象講座の認定を受け,国の受講給付金制
度を活用できる形態となっていたが,平成 16 年度より,この制度の適用が廃止された.
2)造船技術者社会人教育
造船技術者社会人教育は,企業における若手技術者の再教育の要請に応えて,大学院工学研究科の
海洋システム工学分野,大阪大学大学院船舶海洋工学専攻等の教員の協力のもと,
(社)日本造船工業
会と(社)日本中小型造船工業会が主催して実施するもので,平成13年から毎年実施されている.
この企画は,大阪府立大学工学部海洋システム工学科が平成11年から「社会人セミナー」として
実施してきた社会人教育に端を発しており,海洋システム工学分野の姫野教授を学側の責任者として
発足した.平成15,16年度には海洋システム工学分野の教員3名が講師として教育を担当した.
期間は半年で,4月,6月,9月に1日間(原則として土曜日)のスクーリングを実施し,演習問
題に対して,受講生はメールを利用して解答を提出し,講師がそれに対する採点結果およびアドバイ
スを行うシステムとなっている.また,各企業は,受講する若手技術者に社内指導者(PTA)をつ
け,社内においても本教育の実質的な効果が出るようにサポートをする体制を作っている.
124
14.3
高校・大学連携講座
「21 世紀の工学研究の最先端」という,工学部全学科のオムニバス形式の講義が,高校大
学連携講座のひとつとして,夏期集中講義の形で行われてきた.平成 15 年度に行われたプロ
グラムは以下のとおりである.
(4)
高校への出張講義など
(5)
科目等履修生,研究生
開講期
年
度
前
期
後
期
平成
15
4
2
平成
16
2
1
研究生の人数
平成15年度
9人
16年度
8人
125
平成 16 年度のプログラムは,以下の通りである.
「21世紀の工学研究の最先端」 講義担当者、講義テーマ、講義内容など
講義担当者氏名
講義日
(所属分野)
時限
井前 讓 教授
(機械システム工学分野)
講義テーマ名
講 義 内 容
「システム」や「制御」という言葉をよく耳にしますが,中身については
8月2日
「システム」って何? あまり知られていません.本講義では,「システム制御」とは何かを考
(月) 「制御」って何?
え,その中身について掘り下げていきます.人間の頭脳と深い関わりがあ
I時限
ることを明らかにするとともに,最新の研究成果を紹介します.
角田 敏一 教授
(エネルギー機械工学分野)
8月2日
極限環境下における
(月) 燃焼現象
Ⅱ時限
ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン,ガスタービン,工業炉,暖房機
器,厨房機器など各種熱施設および熱機器における燃料の有効利用ならび
に排気浄化が社会的急務となっています.本講義では,これらの目的を達
成するに必要な極限環境下(高圧雰囲気,無重力場など)における燃焼現
象に関する最新の研究成果を紹介します.
辻川 吉春 教授
(航空宇宙工学分野)
8月2日
エンジンから見た航
(月) 空・宇宙輸送技術
Ⅲ時限
亜音速から極超音速域までの航空・宇宙機用エンジンについて,基本とな
るサイクル論の観点から発展の歴史、高性能化、環境適合性について講義
する。また21世紀における航空宇宙輸送技術の将来像についての展望も
述べる.
馬場 信弘 助教授
(海洋システム工学分野)
8月2日
海洋循環と海洋環境
(月) 創造技術
Ⅳ時限
海洋におけるさまざまなスケールの循環によって、物質やエネルギーが輸
送される過程を取り上げ、海洋と大気との相互作用の重要性について解説
します。この海洋循環を踏まえて研究開発されてきた最新の海洋環境修復
技術やこれからの海洋環境の計画について紹介します。
8月3日
(火) 量子の世界
I時限
目に見えない原子や分子の世界を支配する法則「量子力学」が発見されて
1世紀になります。量子力学は私たちの日常生活を支えているレーザーや
半導体などの動作原理と考えられています。本講義では、とても不思議で
面白い量子の世界の法則について、できるだけ分かりやすく説明します。
萱沼 洋輔 教授
(数理工学分野)
脇田 和樹 助教授
(電子物理工学分野)
新しい物質の素顔を覗く手段としての分光学は極短パルスレーザーの開発
8月3日
などレーザーの発展と共に飛躍的に進歩してきました。本講義ではレー
(火) レーザー光と固体分光 ザー光を用いた化合物半導体などの固体の分光法をその最先端も含めて紹
Ⅱ時限
介します。
大橋 正治 教授
(電気電子システム工学分
野)
8月3日
としてよく用いられており、今では家庭まで入ってきています。本講義で
(火) よくわかる光ファイバ は、この光ファイバ中を光波が伝わる原理、光ファイバの基本的な伝送特
性および光ファイバを用いた光通信システムについて、最近の状況も含め
Ⅲ時限
黄瀬 浩一 助教授
(情報工学分野)
光ファイバは、メタルの電話線にかわっていろんな情報を伝える伝送線路
てわかりやすく紹介します。
8月5日
(木) 情報検索の仕組み
Ⅰ時限
キーワードを打ち込んで欲しい情報を探すという情報検索は、インター
ネットの発展に伴って一般的になりつつあります。本講義では、このよう
な情報検索がどういった仕組みで成り立っているのかを、最新の研究事例
を交えて解説します。
市橋 秀友 教授
(経営工学分野)
ヒューマン・インタフェースの基礎として、脳の情報処理、記憶のメカニ
8月5日
認知記憶のメカニズム ズム,とくに記憶術の仕組みについて紹介します.またMRIによる非侵襲的
(木) を探るデータ解析
脳機能計測とその統計的解析法,脳機能画像の作成法などを,計算機での
Ⅱ時限
デモンストレーションを用いて説明します.
木原 伸浩 助教授
(応用化学分野)
8月5日 分子間相互作用
べきところに納まっていて、非常に秩序立った構造体を作っています。こ
(木) −仲の良い分子と仲の れは分子間に働く相互作用のためなのです。本講義では「なぜ世界は混
ざってしまわないのか」という疑問を中心に、世界を作り上げている分子
Ⅲ時限 悪い分子−
この世界は多種多様な分子からできています。しかし、全ての分子は在る
間相互作用とその最新の応用について解説します。
半導体などの微細加工技術はLSI等の集積回路の製造に必須のもので,今日
関 実 教授
(化学工学分野)
8月6日
のエレクトロニクス産業の隆盛を支えていますが,近年,この技術を化学
マイクロ・ナノ空間に
(金) おける化学とバイオ やバイオの世界へも応用しようとする研究が進んでいます。本講義では,
最近発展の著しい小さな空間での化学・バイオの研究とその応用について
Ⅰ時限
お話します。
間渕 博 教授
(材料工学分野)
8月6日
現代のナノテクノロジーを支えるナノマテリアルの世界。その性質は、原
基礎から学ぶナノマテ
子、イオン、分子のふるまいと電子と光の働きによって生まれます。本講
(金) リアルの世界
義では、ナノマテリアルの世界を基礎から学びます。
Ⅱ時限
河野 健司 教授
(機能物質科学分野)
8月6日
るためのシステムです。体の中のガン細胞にだけ薬を送り届けるDDSが開発
ドラッグデリバリーシ
されれば、ガンの治療技術に革命をもたらすかもしれません。この講義で
(金) ステム
は、DDSとはどのようなものなのかを説明し、現在進められているDDSの研
Ⅲ時限
ドラッグデリバリーシステム(DDS)は、体の中の病変部位に薬を送り届け
究を平易に紹介します。
辻川 吉春 教授
(航空宇宙工学分野)
8月6日
(金) 感想文の提出
Ⅳ時限
色々な分野の講義を受けて感じたことを、感想文として時間内に書いてい
ただき、提出していただきます。
Ⅰ限目:9:30∼11:00, Ⅱ限目:11:10∼12:40, Ⅲ限目:13:40∼15:10, Ⅳ限目:15:20∼16:50
126