Taro-14 kokugo hotta

実践のまとめ(第1学年
国語科)
村上市立村上東中学校
1
教諭
堀田
和恵
研究テーマ
文章の展開に注意して読み、内容の理解に役立てようとする生徒の育成
~関わりあうことで学ぶ喜びを実感できる学習活動を通して~
2
研究テーマについて
(1) 研究テーマ設定の意図
新学習指導要領においては、「目的や意図に応じ、様々な本や文章を読み、内容や要旨を的確にと
らえる能力を身につけさせるとともに、読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度を育
てる」とある。日々の指導の中では、内容や要旨をとらえやすくするため、ワークシートを工夫して
活用したり、ものの見方や考え方を広げるため、小グループで互いに関わり合いながら課題に取り組
めるような場面を設定するなどの指導を行ってきたが、十分とはいえない。
授業中の発言や反応はよく、活気のある授業になることも多いのだが、反面、全体的に課題に粘り
強く取り組もうとする姿勢が弱い生徒が多い。そのため、長い文章を読むことや内容を理解しながら
じっくり読んで課題に取り組むということが苦手である。瞬発力はあるが持続力がない。
そこで、まずは、教材や課題に興味・関心をもって意欲的に課題に取り組めるような工夫をし、そ
こから、教材文にしっかり向き合い、内容や要旨を的確に捉える力に結びつけさせたい。また、関わ
りを通して生徒同士が気づきや考え、意見を互いに交流し、学び合うことで、より自分の考えを広げ
たり深めたりすることにつなげ学ぶ喜びを感じさせたい。
(2) 研究テーマに迫るために
①興味・関心をもって意欲的に課題に取り組ませるために、視覚的なアプローチを活用するなど課題
設定と提示の仕方を工夫する。
②書き手のものの見方や考えの進め方に気づき、書き手の論理の展開についての意図をとらえさせる
ため、『構成』『展開』『表現』『主張』の 4 つの分析の視点で二つの文章を比較するワークシートを
活用する。
③様々な視点や根拠に気づき、そこから自分の考えを深めたり広げたりするため、4人班でのグルー
プ学習や交流タイムなどを設定し、協働的な学びを取り入れる。
④振り返りの時間を設定し、生徒が自らの変容を実感できるようにする。
(3) 研究テーマにかかわる評価
・文章の展開に注意して読み、ワークシート(学習メモ)に、自分の考える正しい順番と根拠となる
語句や部分を記入できている生徒が全体の 80 %以上になる。
・振り返りシートにより、生徒自身が自らの変容を感じ、自己評価からそれをみとることができる。
3
単元と指導計画
(1) 単元名
読み比べ・構成と表現
教材名
「笑顔という魔法」「自分の頭で考える?」
(2) 単元の目標
◎ 文章の構成や展開、表現の特徴について、自分の考えをもつことができる。〈読むこと
エ
〉
(3) 単元の評価規準
関心・意欲・態度
・二つの文章を読み比べ、構
成や展開、表現の特徴に気
づき、その効果について自
分なりの意見をもって読も
うとしている。
読むこと
・文脈の中における語句の意味
を的確にとらえ、内容を理解
している。
・文章を読み比べるなどして、
構成や展開、表現の特徴につ
いて自分の考えをもってい
る。
(4) 単元の指導計画と評価計画(全9時間
次 時 学習内容(ねらい)
本時6/9時間)
主な学習活動
一 1 ・『笑顔~』を文章 ・接続詞の役割や筆者の使っ
の構成や論理の展
ている表現の工夫に気づ
開の仕方、表現上
き、その効果について考え
の工夫に注意して
る。
読み、内容を理解
2
する。
・文章全体の内容をとらえ
る。
3
言語についての
知識・理解・技能
・事象や行為などを表す多様な語
句について理解を深めるととも
に、話や文章の中の語彙につい
て関心をもっている。
・単語の類別について理解し、指
示語や接続詞及びこれと同じよ
うな働きをもつ語句などに注意
している。
評価規準とその方法
・筆者の意図に応じた表現の仕方や特
徴に気づき、その効果について自分
の考えをもつことができる。
【ノート・振り返りシート】
・本文を読み、筆者の問いに対する答
えとその根拠をとらえている。
【ワークシート】
・自分の体験と本文を関連づ
けて、自分の意見をまとめ
ようとしている。
・自分の体験と本文を関連づけて、自
分の意見をまとめようとしている。
【ワークシート・振り返りシート】
二 4 ・『自分の~』を文 ・書き出しの部分を読み、筆
章の構成や論理の
者が提示している問題と、
展開の仕方、表現
それに対する答えを把握す
上の工夫に注意し
る。
て読み、内容を理
5
解する。
・接続表現に注目し、その働
きについて考える。
・内容理解を深め、要旨をと
らえる。
・本文を読み、筆者の問いに対する答
えをとらえている。
【ワークシー ト】
・接続表現の働きについて、本文の内
容にそくして考え、説明している。
【ワークシート】
6
本
時
・筆者の用いている具体例と
それに対応した主張を、グ
ループで相談しながらまと
める。
・本文の具体例の効果について、意見
交換しながらまとめようとしている。
【観察・ワークシート】
7
・自分の体験と本文を関連づ
けて、自分の意見をまとめ
ようとしている。
・自分の体験と本文を関連づけて、自
分の意見をまとめようとしている。
【観察・振り返りシート】
三 8 ・二つの文章を4つ ・二つの文章を読み比べて、
の視点に基づいて
それぞれの文章のおもしろ
比較、分析し、文
さ、説得力について、自分
章の構成や展開、
の考えをまとめる。
表現の特徴とその
効果について自分 ・互いの考えを交流し合い、
なりの考えをもつ
理解を深める。
ことができる。
9
・学習の内容を振り返り、自
分の読みの変容をまとめ
る。
4
・二つの文章を読み比べ、構成や展開、
表現の仕方の特徴に気づき、その効
果について自分なりに考えようとし
ている。
【観察・振り返りシート】
・二つの文章を読み比べ、構成や展開、
表現の仕方の特徴に気づき、その効
果について自分なりの考えをまとめ
ようとしている。
【観察・ワークシート・振り返りシー
ト】
単元と生徒
(1) 単元について
新学習指導要領においては「C 読むこと」の領域において、「自分の考えの形成」という新しい指
導事項が設定された。ここでは、学習指導要領の「読むこと」の第1学年の目標にあるよう、「内容や
要旨をとらえながら読む能力」を育みつつ、自分の考えの形成につながる学習活動を展開したい。また、
目的や意図に応じて読むことは中学校3年間を通して指導するため、常に何のために読み、読んだこと
をどのように活用するのかという意識をもって、主体的に教材文を読むような工夫をしたい。
また、『自分の~』では、学習指導要領にある「読むこと」の指導事項の一つである「文章の構成や
展開、表現の特徴について、自分の考えをもつ」ため、筆者が用いている文章構成・展開・表現の特徴
をまずはしっかりとおさえ、その上でこれらの特徴について生徒に考えさせたい。
そこで、本単元では、次の二つに重点をおいていく。一つは「4つの分析の視点」を意識しながら文
章を読むことである。そしてもう一つは、二つの文章を「4つの分析の視点」で分析し、比較すること
で新たな発見をすることである。一つの文章を読むだけでは気づかなかった、構成や展開、表現の仕方
等の違いなどに気づき、そのことを通じて、文章の形式についての特徴や効果などについて、自分なり
の考えを根拠をあげてまとめる力を身につけさせたい。
(2) 生徒の実態
課題に前向きに取り組める生徒が多く、周りと協力し合って活動できる生徒たちである。授業場面で
の反応や発言も活発である一方、せっかくのよい発想や意見がその場限りの瞬間的なもので終わってし
まい、それをまとめたり、文章に表現することが苦手で途中であきらめてしまう生徒も少なくない。
そのため、国語の学習においては、説明的な文章を読むことや自分の意見をまとめて書くことを苦手
としている生徒が多い。各種テストでも、説明的な文章の読解問題、字数制限がある問いや自分の考え
を書く問いなどに対する無答率が高かった。最近は、授業でWebテストやサポート問題を活用したり、
「条件」や「型」を使って文章を書く学習をしたりすることを通して徐々に改善されてきている。
これまでの説明的な文章を扱った学習では、文章中の「問い」と「答え」を意識して読むことや、展
開や表現の仕方の特徴に気づくため、接続詞に着目したり表を使って内容を整理したりする学習を行っ
てきた。
様々な形態の文章を構成や展開、表現の特徴を分析的にとらえ、その工夫や効果について考えながら
読む力をこれからの学習で身につけ、評価する力につなげていくために、分析の視点に基づいて文章を
読むこと、評価をする際は、比較することによって見えてきた事実を根拠として、自分なりの考えをも
てるようになることが必要であると考えた。
5
本時の展開
(1) ねらい
ランダムに並べられた文章を正しい順番に並べ直す学習活動を通して、文章をよく読み、根拠を明確
にして話し合うことができる。
(2) 展開の構想
① 課題提示の工夫
根拠に当たる部分の文章をランダムに並べ、それを正しい順番に並べ直すという課題に取り組ませ
ることにより、文章にじっくり向き合わせたい。
② 協働的な学びの場
グループを作り、互いにどんなところが根拠となったのかを説明し合うことにより、新たな視点に
気づいたり、自分の考えをさらに深めたりできるようにする。
③ 振り返り
自分の学びを確認し定着させ、次時のまとめに生かすため振り返りの時間を確保する。
(3) 展開
過
程
学習活動
教師の働きかけ(○)
支援の手立て(◆)
評価の観点
導 ・前時までの学習に ○教材文・ワークシートを準備させる。
・前時に学習したことが教
入
ついて簡単に振り ○この文章の「問い」を確認し、次に必要
材文のプリントに記入し
返る。
な「根拠」の部分を読んでまとめること
てある。
を伝える。
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◆前時までの学習内容を掲示し、ワークシ
分
ートが完成していない生徒も内容がわか
るようにする。
・今日の学習のめあ ○めあてカードを掲示し、学習のめあてを
てと内容を知る。
明確にする。
めあて:文章をよく読み、筆者の根拠を整理しよう。
◆学習の流れを示し、学習の見通しを持て
るようにする。
展
開
30
分 ・文章中から具体例
を抜き出す。
◆教科書にあるマッチ棒パズルを掲示し、
どうやって解くかを考えさせ、興味をも
たせる。
○今日の課題を説明する。
課題1:段落ごとに分けられた文章を
読み、具体例を抜き出そう。
・文章をよく読み、課題に
取り組んでいる。
・ランダムに並べら
れた文章を正しい
順番に並べ替える。
課題2:段落ごとにばらばらに並べら
れた文章を読み、正しい順番
に並べ替えてみよう。
○まずは個人でしっかり文章を読み、考え
るよう指示する。
◆4人班にして、段落ごとに分けられた文
章(前半部分のみ)を回し読みする。じ
っくり読む時間と考える時間を確保す
る。
◆何度も読み返せて考えをメモできる用紙
を準備しておく。
発問:なぜその順番が正しいと思った
のか、その根拠を考えよう。
○その順番に並べ替えた理由を説明できる ・根拠となる接続詞や語句
ようにしてほしいことを伝える。
に線を引いたりメモをし
◆根拠となった接続詞や語句をチェックさ
たりしている。
せる。
指示:他の人はどのように考えている
のか、意見を交流させて前半部
分を完成させよう。
・仲間と意見を交流 ○個人の考えを班の中で発表し合い、正し ・根拠が明確になるように
する。
い順番を確認させる。
意見交換をしている。
◆メモをもとに根拠を明確にして自分の考
えを発表させる。
◆終わったグループがあれば、後半にも取
り組ませる。
○いくつかのグループに発表させ、答えと
根拠を確認し、後半部分にも取り組ませ
る。
ま ・分析シートにまと
と
めを書く。
め
10
分
まとめ:
展開 →具体例とその考察をもとに反論
している。
表現 →具体例が多い。
接続表現や順序を表す表現が効
果的に用いられている。
○振り返りシートを書くよう指示する。
・交流で得た新たな発見や
考えを生かして、自分の考
えをまとめている。
(4) 評価
・文章をよく読み、ランダムに並べられた文章の正しい順番とその手がかりを学習メモに記入してい
る。
・なぜ、その順番に並べ替えたのか、根拠を明確にして話し合いに参加している。
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実践を振り返って
(1) 授業の実際
〔導入:前時の学習内容の振り返り、今日の学習のめあてと内容を知る〕
読み比べの1つめの教材文「笑顔という魔法」の学習を通して、説明文や論説文では構成の柱として
「問い」「根拠」「答え」の3つの要素があること、併せて「根拠」には「事実」と「考察」がセットに
なって必要だということを学んでいる。さらに、前時では、2つめの教材文「自分の頭で考える」の書
き出し部分に注目して学習し、この文章における「問い」の一文とそこに含まれる2つの「問い」をみ
つけている。それらの既習の内容を思い出し、本時の学習内容とめあてを理解するために掲示物を活用
しながら生徒に問いかけ、確認を行った。
生徒たちはよく反応し、大きな声で発言している場面が多かったが、自信のないところや理解があい
まいなところは声が小さくなっていたので、その部分についてはしっかり振り返らせるとよかった。ま
た、確認したい事柄のポイントを絞り、生徒とのやりとりをもう少し簡潔にできるとよかった。
〔展開:課題1と2に取り組む〕
読み比べの学習なので、教材文をしっかり読み内容をとらえることが必要不可欠である。しかし、長
い文章を読むことや内容を理解しながらじっくり読んで課題に取り組むということが苦手な生徒が多い
実態であることから、教材文にじっくり向き合わなければならない課題と場面を設定した。
課題には次の二つを設定した。
課題1:文章の中から具体例を3つ探して抜き出す。
課題2:根拠に当たる部分の文章を段落ごとに分け、ランダムに並べたものを正しい順番に並べ直す。
課題に取り組むにあたり、まずは教材文にしっかり向き合わせたいと考え、個人で文章を読むための
時間を確保した。短冊に分けた段落カードを班内で回し読みをし、その後、自分で何度も読み返せるよ
う学習メモを配布して再度予想をたてながら文章を読ませた。生徒たちは、真剣に取り組む様子が見ら
れた。しかし、回し読みの場面では、指示がうまく伝わっていなかったり、それぞれの文章の長さや読
むスピードに差があったりして集中できない様子が見られた班もあった。
個人での読み取りの後、4 人班にして課題の答えを考えさせ、発表させた。
かかわりながら課題を解決する場面だったが、「並べ替えをする」という課題がパズル的で生徒たち
は楽しみながら取り組めた様子であった。接続詞に注目し、それがどんな働きをする接続詞なのかを根
拠に順番を考えている班が多かった。中には自分なりの根拠をあげ、他の生徒に説明したり時には説得
しようとする姿も見られるなど、互いの考えを交流させながらよく取り組んでいた。根拠を明確にする
ため、学習メモには根拠となる接続詞や語句などをチェックさせながら考えさせたかったが、接続詞に
ばかり注目がいき、うまくメモを活用できない生徒が多かった。そのため、正しい順番に並べ替えられ
なかったり発表の時に根拠をうまく説明できなかったりする班が多かった。
〔まとめ:分析シートと振り返りをする〕
並べ替えの課題に時間がかかってしまい、各班が正しいと思う順番と根拠を発表し終わったところで
時間切れとなった。分析シートにまとめと振り返りを書くつもりができずに終わってしまった。まとめ
で分析シートを使おうと思って、課題を二つにしたが、欲張らずに課題を並べ替えだけに絞って取り組
めばよかった。
〔その後:根拠の後半部分の段落を正しい順番に並び替える〕
後半部分については、学習メモを先に配布し、接続詞だけでなく語句や一文にも注目して手がかり(根
拠)とすること、メモにはたくさん書き込みをして自分の考えた跡を残したほうがよいことをポイント
として伝え、個人読みの時間をとった。前回より書き込みが増え、交流の場面でもメモを活用して意見
交換ができていた。また、発表の時にも前回より根拠が明確になり、説得力のある発表が多かった。後
半部分の方が並べ替えをするのは難しいかと感じられたが、接続詞の働きに加えて語句にも注目したこ
とで正解率もアップした。
(2) 研究テーマに関わって
今回、いつも以上に教材文にしっかり向き合い、課題に意欲的に取り組めた生徒が多かったと感じる。
ワークシート(学習メモ)に、自分の考える正しい順番を書き込めた生徒は全員で、100 %の達成率で
あった。しかし、根拠となる語句や部分まで記入できている生徒はほとんどおらず、班での話し合いの
中で根拠を明確にしていった生徒が多かった。
授業後のアンケートでは次のような結果が得られた。
質
問
内
容
肯定的回答
否定的回答
①授業中に、色画用紙のカードや掲示物を使っていたことは、大事なこと
をしっかり覚えたり内容を整理して考えたりするのに役に立った。
92%
8%
②段落を正しい順番に並べ替えるという課題に意欲的に取り組めた。
89%
11%
③ペアやグループで学習することで、考えや理解が深まったと思う。
85%
15%
④分析シートを使って4つの視点でまとめたことは、読み比べをするのに
役立つと思う。
81%
19%
⑤説明文(論説文)を読むことが、以前より楽しいと感じた。
73%
27%
⑥学習を通して、今までよりも説明文(論説文)が理解できるようになっ
たと思う。
89%
11%
① 視覚的なアプローチを活用するなどの課題設定と提示の仕方の工夫
興味・関心をもって意欲的に課題に取り組ませるのはもちろん、しっかり覚えてほしいことや授業の
中で繰り返し使う用語などは色画用紙でカードを作り、繰り返し掲示するようにしている。授業の中に、
視覚的なアプローチを取り入れることで、生徒の印象に残りやすく学習内容の定着につながっていると
アンケートの結果からも感じられる。また、他学年でも既習事項の確認などに使え、板書の時間短縮に
もなるので今後も効果的に活用していきたい。
そして、読むことが苦手な生徒が多いなか、ある程度のボリュームの
教材文にどうじっくり向き合わせるかという点で課題の設定には毎回苦
労するが、今回の並べ替えの課題には、意欲的に取り組めたと感じてい
る生徒が多かった。短冊状になった段落の紙を動かしながら順番を考え
ることで、自然と何度も文章を読むことにもつながっていたと思う。
② 二つの文章を比較するワークシートの活用
書き手のものの見方や考えの進め方に気づき、書き手の論理の展開についての意図をとらえさせるた
め、『構成』『展開』『表現』『主張』の 4 つの分析の視点でまとめを行った。
まず文章の内容をきちんと理解したうえで4つの視点で文章を捉える必要があるが、アンケートの結
果をみると、分析シートが役立ったと感じる生徒が8割以上いることから、4つの視点に注目して文章
を読んだことは、内容を理解する上で一定の効果があったといえる。特に『展開』をおさえるのが難し
いと感じるところだが、教師側の十分な教材研究とポイント絞った課題、発問、まとめが大切であると
痛感した。また、4つの視点に注目して文章を読むことは内容の理解だけではない読みのおもしろさの
発見にもつながっていて、新たな成果であった。
生徒の振り返りにも次のような感想があった。
・段落の構成をちゃんと考えられるようになった。
・接続詞の重要さが改めてわかった。
・段落を分けて読み、つながりを考えながら読むことで、前より分からなかったところが少なくなっ
た。
・読み比べると、共通点、相違点などが見えてきて読むのがおもしろかった。
③ 協働的な学びの場の設定
様々な視点や根拠に気づき、そこから自分の考えを深めたり広げたりするため、ペア学習や4人グル
ープでの学びの場面を普段から意識して作るようにしている。今回の学習でも、グループで交流したこ
とによって、違う意見に気づき、それがあることでその内容についてより深く考えられた、という声が
生徒からもあがっていた。支援が必要だと思われる生徒にも、グループで交流することで気づくことや
学べることが多くあると思うので、今後も有効に活用していきたい。一方、「グループになると他の話
をしてしまう」「意見がばらばらでまとまらず考えが深まらなかった」という声もあった。有意義な交
流の場にするためにはグループ編成などにも配慮することが必要だと感じる。
④ 振り返りの時間を設定
生徒が自らの変容を実感でき、学ぶ喜びにつなげるためには振り返りの時間は有効であると考える。
今回は、象限マトリックスを使って学びの変容をみとった。生徒自身にも変化が目に見え有効な振り返
り方法であると感じた。活用方法をもっと工夫して他の学習場面にも活かしたい。
最後に、読み比べて気づいた共通点と相違点をワークシートにまとめ、それをもとにどちらの文章が
自分にとって興味深く読めたか、説得力があると感じたかを二百字程度にまとめて書かせた。これをさ
らに交流させることで、「読むこと」への意欲につながったり自分のものの見方や考え方を広げたりす
ることにつながっていくと考えている。
【生徒A】
私には、「笑顔という魔法」の方が興味深く読めた。
理由は、「自分の頭で考える」と違って、実験や解説を入れてわかりやすく説明しているからだ。
「笑顔~」の方が表現や主張を簡潔に明確に示していると感じたし、文末も「~~でしょうか。」
と読者に呼びかけるような文体で、「自分の~」とは違った工夫がされていたからだ。
【生徒B】
僕は、「自分の頭で考える」の方が説得力があると思いました。
「笑顔という魔法」では、科学的な実験が具体例にあがっていてあまり実感がわかなかったけれ
ど、
「自分の頭で考える」の方は、日常的な具体例の積み重ねだったので、こちらの方が身近に感じ、
より興味深く読むことができました。
構成の形も、接続詞で段落のつながりがわかり、主張がよく伝わり説得力があると感じました。
(3) 今後の課題
今回の授業実践を通して、やはり課題の設定の重要さを実感した。課題によって、その教材に興味
や関心をもって意欲的に取り組めるかが大きく変わってくる。そして、その取組が理解や定着にも大き
く関わると思うので、その単元を通して生徒につけたい知識・技能や思考力・判断力・表現力は何か、
学ぶ意欲をどう高めていくかをしっかり構想し、生徒の思考や活動を促す問題解決的な学習課題の設定
を心がけていきたい。また、その際には、視覚的なアプローチを取り入れていくことも有効であると感
じられたので効果的に活用していきたい。
さらに、確かな学力を身につけるためには、他の生徒とかかわりながら学び合うことと振り返りが有
効であるということも改めて感じることができた。しかし、国語の授業での毎時間の実施はなかなか難
しいことが多い。学びを実感でき喜びにつなげていけるような、より有意義な学び合いの場面や振り返
り方法を、今回の実践から学んだことをもとに充実させていきたい。