英国総選挙、接戦の裏で注目すべきポイント

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欧州
2015年3月31日
英国総選挙、接戦の裏で注目すべきポイント
英国議会は2015年3月30日に解散され、5月7日の総選挙(下院に相当する庶民院、定数650議席)に向けて戦いの
幕が本格的に切って落とされました。最新の世論調査結果を見ると、保守党と労働党が接戦となっています。
英国議会解散:5月総選挙へ向けた選挙戦
が本格化、接戦の様相
英国議会は2015年3月30日に解散され、5月7日の総選挙
(下院に相当する庶民院、定数650議席)に向けて戦いの幕
が本格的に切って落とされました。最新の世論調査結果を
見ると、保守党と労働党が接戦となっています(図表1参照)。
キャメロン首相率いる保守党は、総選挙で同党が勝利すれ
ば、2017年末までに欧州連合(EU)からの離脱の是非を問
う国民投票を実施すると公約しています。
労働党のミリバンド党首は、EU離脱の是非を問う国民投票
は不透明な状況を2年間続かせ、対内投資資金が流出する
懸念などから基本的に反対の立場をとっています。
どこに注目すべきか:
ハングパーラメント、EU離脱、移民政策
英国総選挙まで1ヵ月あまり、様々な争点がある中、移民政
策を切り口に選挙の注目ポイントを探ります。
まず、英国の選挙制度を簡単に振り返ると、5月の選挙は下
院に相当する庶民院で任期5年、定数650議席(過半数326
議席)が争われます(図表2参照)。一方、上院にあたる貴族
院は貴族や聖職者等で構成され、公選制は導入されていま
せん。前回2010年の選挙では第1党の保守党が過半数に届
かず(ハングパーラメント)、自民党との連立与党で政権を樹
立しました。今回も連立政権が模索される可能性が高い展
開となっています。
そこで現在支持率第3位の政党を見るとEU離脱を(唯一の)
旗印とする英国独立党が注目されます。英国独立党は20%
近い支持率を集めた時期から勢いは失っていますが、わか
りやすい指針により自民党を上回る支持を集めています。
次に、EU離脱が選挙の争点となっている理由ですが、労働
党の移民政策に関係しています。1997年からの労働党政権
の下で、英国は移民に寛容な政策をとっていました。しかし、
若者の失業率の高止まりや英国にも緊縮財政政策が求め
られる中、キャメロン政権は社会保障等を削減するため移
ピクテ投信投資顧問株式会社
民を制限する政策を打ち出しましたが、EUからの移民に適用
は難しく、成果は限定的でした。その結果、EU離脱を訴える声
が高まり英国独立党が支持を受けた格好です。一方、労働党
はEUに残留しつつ内部からEUに移民政策の改革を求める方
針です。保守党(並びに自民党)は、EUへ改革を求めつつ国
民投票を支持するスタンスです。このように、移民やEU離脱に
つき3党でスタンスが分かれています。足元の世論動向では
産業界などからEU残留が支持を集めており、英国独立党の
勢いは低下傾向の様子が伺えます。
保守党と労働党のトップ争いは先行き予断を許さず、今後の
(テレビでの)論戦に大きく左右される展開が想定されます。
図表1:2015年英国総選挙政党別支持率の推移
(期間:2014年9月30日~2015年3月28日)
40
%
労働党:36%
30
保守党:32%
20
英国独立党:13%
10
自民党:8%
0
14年9月
その他:5%
14年11月
緑の党:6%
15年1月
15年3月
出所:YouGov、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:英国下院の党派別内訳(左)と与党の推移(右)
(議席配分、時点:2015年1月)
現在の議
席配分
労
働
党,
257
その
他,
34
自
民
党,
56
年月
1979年5月~
保
守
党,
303
与党
保守党
1990年11月~ 保守党
1997年5月~
労働党
2007年6月~
労働党
2010年5月~
保守・自民党
出所:外務省のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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