ヘレ−ショウセルを用いた観察装置につい て - MIUSE;pdf

Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
ヘレ−ショウセルを用いた観察装置につい
て
山本, みどり
技術職員による技術報告集. 2010, 18, p. 9-9.
http://hdl.handle.net/10076/14391
ヘレ-ショウセルを用いた観察装置について
三重大学工学部工学研究科技術部
山本 みどり
1.はじめに
前年度は水平に置いた 2 枚のガラス板の間にシリコンウエハを挟みこみ 0.5mm のセルギャップを持つ
ヘレ-ショウセルを用いた実験について報告を行った。今回は新たに、厚さ 1.5mm の薄い水槽型のヘレ
-ショウセルを製作し、水槽の中に水などの液体を満たしておき気泡を上昇させ、その様子を観察する
ための装置を組み上げた。これらの製作の過程で工夫したこと等について報告する。
2.ヘレ-ショウセルの製作と洗浄
濃度の高い溶液を用いたあとの洗浄も確実にできるように、分解型の新規ヘレーショウセルの設計・
試作を始めた。製作だけでなく、設計段階より工学部実験実習工場の方々の意見・アドバイスを受け、
試作から数回にわたる改良を経て、完成へと進めることができた。完成後は分解型にしたためパーツが
多くなり、その洗浄効果を高めるためには部品間に適当な隙間を設ける必要が生じた。最初はプラスチ
ック製大型ナット(厚さ 1cm)をスペーサに使ってみた
が、ナットとセル部品の接触面積も大きく、その部分が
未洗浄になる。次に思いついたのはバネで、ヘレ-ショ
ウセルはアクリル材を使用しているため、金属よりプラ
スチックのほうが傷つきにくく良いと考えた。身近にあ
る店舗ではプラスチックバネは見つからず、インターネ
ットで検索した結果、目的にぴったりのものをすぐ入手
でき、試すと予想以上の効果が得られた。
(図1、バ
図1. ナットからバネに変更
ネ長さ 2cm)すべて透明の部品を水中で手袋をつけ
て組み立てるため、その作業に 20 分以上要するが、
あとは流水で簡単に洗浄できるようになった。
3.ライトの工夫
実験は空気恒温槽内で行うためカメラ、セル、ラ
イトの3点に距離の制限が入る。撮影範囲をカメラ
に収めるためにレンズを換えたが、セルとライトの
距離が 1cm ほどしかない状態になり、最初選択して
いたトレース用ライト(光が均一であるが熱が多少
出る)から、温度の影響をほとんど考えなくてよい
LED ライトパネルに変更した。図2に温度測定の様子
を示す。しかしこれは光源が上下にあるため光の強さ
図 2. ライトの温度確認
が均一でなく、この点をクリアしなければならなくな
った。光源部に近いところに、光の透過率を下げるように逆陰影をつけた OHP フィルムを 1 枚入れるこ
とでスペースをとらずに、明るさの不均一を低減することができた。
謝辞
今回のヘレ-ショウセル製作において完成まで到達できたのは工学部技術部龍田さんの的確な助言
があってのことでした。ここに感謝の意を表させていただきます。