2月雇用統計;pdf

経済分析レポート
2015 年 3 月 27 日
全4頁
Indicators Update
2 月雇用統計
内容は悪くないが、新規求人倍率の悪化が懸念材料
エコノミック・インテリジェンス・チーム
永井 寛之
[要約]

労働力調査によると、2015 年 2 月の完全失業率(季節調整値)は、前月から 0.1%pt 低
下し 3.5%となった。雇用者数は、前月差▲10 万人と 2 ヶ月連続で減少したものの、自
営業主・家族従業者を含めた就業者数を見ると、同+2 万人と 2 ヶ月ぶりに増加した。
非労働力人口は同+4 万人と増加した。非労働力人口は増加したものの、失業者数は減
少し、就業者数が増加したため、ポジティブな結果だった。

一般職業紹介状況によると、2015 年 2 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から 0.01pt
上昇し、1.15 倍となった。また、新規求人倍率は前月差▲0.14pt と大幅に低下し、1.63
倍であった。2 月の求人倍率の内訳を見ると、求職については、新規求職申込件数、有
効求職者数ともに 2 ヶ月ぶりの増加となった。他方、求人側を見ると、有効求人数が同
+1.4%と 5 ヶ月連続の増加となる一方、新規求人数は同▲3.5%と 4 ヶ月ぶりに減少し
た。

2 月の雇用関連統計を総じて見れば、労働需給のひっ迫が継続していることを確認させ
る内容であった。失業率や有効求人倍率はヘッドラインの数値が改善していることに加
え、内容も評価できる。新規求人数の減少には一定の留意が必要であるが、単月の振れ
の可能性もあり過度の悲観は無用である。緩やかに景気拡大が進む中、失業率や有効求
人倍率に見る労働需給がひっ迫している状況は続くと筆者は見込んでいる。
図表 1:雇用関連指標の推移
2014年
9月
労働力調査
完全失業率(季節調整値)
%
一般職業紹介状況
有効求人倍率(季節調整値)
倍
新規求人倍率(季節調整値)
倍
毎月勤労統計
現金給与総額
前年比、%
所定内給与
前年比、%
10月
11月
12月
2015年
1月
2月
3.6
3.5
3.5
3.4
3.6
3.5
1.1
1.68
1.1
1.69
1.12
1.69
1.14
1.77
1.14
1.77
1.15
1.63
0.7
0.4
0.2
0.1
0.1
0.0
1.3
0.2
1.3
0.8
(出所)総務省、厚生労働省統計より大和総研作成
株式会社大和総研 丸の内オフィス
〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー
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2/4
2015 年 2 月完全失業率:3.5%と前月から低下
労働力調査によると、2015 年 2 月の完全失業率(季節調整値)は、前月から 0.1%pt 低下し 3.5%
となった。雇用者数は、前月差▲10 万人と 2 ヶ月連続で減少したものの、自営業主・家族従業
者を含めた就業者数を見ると、同+2 万人と 2 ヶ月ぶりの増加であった。失業者数は同▲5 万人
と 3 ヶ月ぶりに減少した。非労働力人口は同+4 万人と増加した。ヘッドラインの数値の改善に
加え、内容をみても失業者数が減少するなか、就業者数が増加しており、良好な結果であった
と評価している。
失業者数の変化を求職理由別に見ると、「勤め先都合」による失業者は同▲4 万人と 2 ヶ月ぶ
りに減少したことが、失業者数減少の主な要因である。「新たに求職」による失業者も同▲3 万
人と 2 ヶ月ぶりに減少した。「自己都合」による失業者数は前月差▲2 万人と 3 ヶ月ぶりに減少
した。企業側の都合による失業者数が減少する一方で、より良い雇用環境を求めて転職をする
失業者数も減少している。
産業別に就業者(原数値)の動向を見ると、
「製造業」は前年差+17 万人と増加幅が拡大した。
足下で生産は増加基調にあり、こうした動きを反映し、製造業での労働需要が高まっていると
みられる。個人消費関連では、「卸売業、小売業」(同+13 万人)が 3 ヶ月連続で増加し、増加
幅は前月から拡大した。一方で、
「宿泊業、飲食サービス業」
(同▲5 万人)は 2 ヶ月連続の減少、
「生活関連サービス業、娯楽業」(同▲9 万人)では減少幅が拡大した。また、「建設業」では同
▲19 万人と減少幅が拡大した。足下で公共投資の減少が鮮明となるなか、建設業の新規求人数
は緩やかな減少傾向となっており、建設業での労働需給が緩和している可能性がある。
図表2:就業者数・完全失業率、求職理由別完全失業者数
就業者数・完全失業率
6,500
求職理由別完全失業者数
(万人)
(%)
(万人)
6.0
120
5.5
100
6,400
5.0
80
6,350
4.5
60
6,300
4.0
40
6,250
3.5
20
就業者数
6,450
6,200
完全失業率
(右軸)
3.0
2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15(年)
(注)季節調整値。
(出所)総務省統計より大和総研作成
自己都合
新たに求職
勤め先都合
定年・雇用契約満了
0
2010
11
12
13
14
(年)
15
3/4
2015 年 2 月有効求人倍率:2 ヶ月ぶりの上昇
一般職業紹介状況によると、2015 年 2 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から+0.01pt 上
昇し、1.15 倍となった。また、新規求人倍率は前月差▲0.14pt と大幅に低下し、1.63 倍となっ
た。
2 月の求人倍率の内訳を見ると、求職については、新規求職申込件数(前月比+4.8%)、有効
求職者数(同+0.9%)ともに 2 ヶ月連続で増加した。他方、求人側を見ると、有効求人数が同+
1.4%と 5 ヶ月連続の増加となる一方、新規求人数は同▲3.5%と 4 ヶ月ぶりに減少した。新規
求人数の減少には一定の留意が必要であるが、単月の振れの可能性もあり過度の悲観は無用で
ある。国内景気が緩やかな回復を続けるなか、企業の労働需要は依然として旺盛であると考え
る。
雇用環境の改善ペースは鈍化しつつも、労働需給はひっ迫した状況が続く
2 月の雇用関連統計を総じて見れば、労働需給のひっ迫が継続していることを確認させる内容
であった。失業率や有効求人倍率はヘッドラインの数値が改善していることに加え、内容も評
価できる。新規求人数の減少には一定の留意が必要であるが、単月の振れの可能性もあり過度
の悲観は無用である。緩やかに景気拡大が進む中、失業率や有効求人倍率に見る労働需給がひ
っ迫している状況は続くと筆者は見込んでいる。
図表3:有効求人倍率と新規求人倍率、求人倍率の内訳
有効求人倍率と新規求人倍率
2.0
求人倍率の内訳
(万人)
90
(倍)
(万人)
260
1.8
85
250
1.6
80
240
1.4
75
230
70
220
65
210
60
200
55
190
50
180
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
45
0.0
200001 02 03 04 05 06 07 08 09 09 11 12 13 14 15
(年)
有効求人倍率
新規求人倍率
(出所)厚生労働省統計より大和総研作成
170
12345678910
11 212345678910
11 212345678910
11 212
(月)
2012
13
14
15
(年)
新規求人数
新規求職申込件数
有効求人数(右軸)
有効求職者数(右軸)
4/4
雇用・所得概況
有効求人倍率と新規求人倍率
完全失業率と欠員率
6.0
(%)
2.0
(倍)
1.8
5.0
1.6
1.4
4.0
1.2
1.0
3.0
0.8
0.6
2.0
0.4
1.0
0.2
2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 09 11 12 13 14 15
失業率
2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 09 11 12 13 14 15
(年)
(年)
欠員率
有効求人倍率
(注1)欠員率=(有効求人数-就職件数)/(雇用者数+有効求人数-就職件数)
(注2)2011年3月~8月は補完推計値。
(出所)総務省統計、厚生労働省統計より大和総研作成
求職理由別失業者数
世代別完全失業率
(前年差、万人)
(%)
12
新規求人倍率
(出所)厚生労働省統計より大和総研作成
定年・契約満
了
20
10
勤め先事情
10
8
0
6
-10
自己都合
学卒未就職
-20
4
-30
2
収入を得る必
要が生じた
-40
その他
0
(年)-50
15-24
25-34
35-44
45-54
55-64
失業者数
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 2
2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
65-
2012
13
14
(月)
(年)
15
(注1)2011年3月~8月は補完推計値。
(注2)2011年以前は平成17年国勢調査を基準とする推計人口を基準としており、
2012年1月以降の数値とは必ずしも比較可能ではない。
(出所)総務省統計より大和総研作成
(注)2011年3月~8月は補完推計値。
(出所)総務省統計より大和総研作成
所定内給与の要因分解
現金給与総額の要因分解
(前年比、%、%pt)
1.2
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
(前年比、%、%pt)
0.8
0.4
0.0
-0.4
-0.8
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2012
13
所定内給与
所定外給与
(出所)厚生労働省統計より大和総研作成
14
特別給与
-1.2
1
15 (月)
(年)
現金給与総額
3
5
7
9 11 1
3
5
2012
一般
7
9 11 1
3
13
パート
(出所)厚生労働省統計より大和総研作成
5
7
14
パート比率
9 11 1
15
(月)
所定内
(年)