LabChip における内部標準の役割;pdf

内部標準について
○ 内部標準とは
ラダーを含めた全サンプルに Lower Marker と Upper
Marker が出現します。この二つを内部標準と呼びま
す。左図は高感度 DNA アッセイの例で、キットによっ
ては UM がない場合があります。
○ 各キットにおける内部標準の種類と補足情報
解析タイプ
サンプルの染色方法
LM
DNA 1K
7000 bp dsDNA
DNA 12K
蛍光物質
LabChip 内で染色
直前と直後のラダー
7000 bp dsDNA
RNA
50 nt RNA
RNA高感度
タンパク質
LabChip 内で染色
タンパク質高感度
蛍光物質を事前に付加
タンパク質低分子
LabChip 内で染色
等電点変異体解析
直前のラダー
2000 bp dsDNA
なし
DNA 5K
糖鎖解析
サンプル解析に使
用するラダーデータ
1500 bp dsDNA
DNA高感度
ゲノム DNA
UM
蛍光物質を事前に付加
なし
蛍光物質付きの
1.4kDaペプチド
なし
蛍光物質付きの
マルトース六量体
なし
直前のラダー
直前と直後のラダー
なし
○ 内部標準の役割その1: 移動度の補正
本装置では、各サンプルを一つずつ解析します。各泳動では移
動度が少しずつ異なります。補正前では、右側のサンプルほど
ゆっくり流れています(ピークが全体に上の方に出現しています)。
泳動が完了した後で、全サンプルを LM と UM で整列させ、そ
の移動度に合わせてサンプルのピークを移動させることにより、
正しいサイズが得られるようになります。この処理は自動で行わ
れます。
○ 内部標準の役割その2: 濃度の補正
サンプルピークの濃度は、ラダーのピークの強度と比較して算出し
ます。図の例ではラダーのピークが100、サンプルのピークが220(そ
れぞれ▼で表示)なので、
(220÷100)×2ng/mL = 4.4 ng/mL とまず計算します。
ラダーには不純物が含まれないため、Dye が最大効率で蛍光を
発します。これに対し、サンプルには塩や不純物が含まれていること
があり(例:PCR産物)、Dye が発する蛍光強度を弱めてしまいます。
この効果を補正するために内部標準を使用します。
UM は二本鎖 DNA なので、サンプルのピークと同じ挙動を示しま
す。図の例では、ラダーのUMが400なのに対し、サンプルでは200と
半分になっています。ですので、もしサンプルの純度が高ければその
UM は2倍の400を示し、サンプルピークも2倍になるはずです。これ
を勘案して求まる最終濃度は次のようになります。
(220÷100)×2ng/mL ×(400÷200) = 8.8 ng/mL