96 回薬剤師国家試験 問6 フェノール類に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 1 ベンゼンジアゾニウム塩を酸化すると、フェノールが得られる。 2 フェノール類に塩化鉄(Ⅲ)試液を加えると、錯体を形成して呈色する。 3 ヒドロキノンを還元すると、p−キノンが得られる。 4 ビタミン E はフェノール性水酸基をもつため、生体内で抗酸化作用を示す。 解説 1 誤:ベンゼンジアゾニウム塩を加水分解すると、フェノールが得られる。ベンゼンジアゾニウム塩を 加熱すると、窒素が発生し反応性に富むアリールカチオンが生成され、アリールカチオンは水と速 やかに反応し、対応するフェノールを生成する。 2 正:フェノール性水酸基は、塩化鉄(Ⅲ)試液と反応してキレートを形成し赤色を呈する。したがっ て、塩化鉄(Ⅲ)試液は、医薬品など化合物の構造中にフェノール性水酸基の存在を確認するため に用いられる試薬である。 3 誤:ヒドロキノンを酸化すると、p−キノンが生成される。ヒドロキノンは、二クロム酸ナトリウムな どの種々の酸化剤で酸化されて、p−キノンを生成する。また、この反応は可逆的であり、p−キノン は緩和な還元剤によって容易にヒドロキノンに還元される。 4 正:ビタミン E(α−トコフェロール)が抗酸化作用を示すのは、フェノール性水酸基を持つためで ある。ビタミン E はラジカル種と反応し、α−トコフェロキシラジカル中間体を生成する。ビタミ ン E は、細胞膜あるいは細胞内小器官の膜リン脂質に存在する多価不飽和脂肪酸の過酸化の抑制物 質として知られている。ビタミン E が有するフェノール性水酸基の水素を過酸化不飽和脂肪酸のペ ルオキシラジカルへ転移することにより、抗酸化作用を示す。 問6 解答 2、4
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