外貨投資の視点 (No.212) - 三菱UFJ証券

外貨投資の視点
(No.212)
リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作
2015年4月2日
台頭する人民元の国際化期待:長期元高の大局観を維持
ポイント
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中国当局が人民元の自由化改革の推進を表明、SDR参入要求に象徴される「元の国際化」にも意欲を示す
中国元の柔軟性が徐々に増す中、足下では対米ドルでの小幅減価とクロス人民元市場での大幅増価が進行
中国の国際収支や米中2国間の貿易収支の動きからみて元は依然割安。超・長期では趨勢的な元高が進む
周小川・人民銀行総裁が
「外国為替関連法令の徹
底整理」を示唆
仲春の季節を迎え、中国人民元の柔軟化期待が強まっている。きっかけは、先週末に
報じられた周小川・中国人民銀行総裁の発言だ。中国海南省の博鰲(ボアオ)で開催さ
れたアジア・フォーラムの最終日となる3月29日(日)、周小川・総裁は「今年は外国為替
の管理に関する法令を徹底的に整理できるかもしれない」、「新しいルールが導入できれ
ば、資本勘定での人民元の自由交換を基本的に実現したと言える」などと発言、資本取
引における人民元取引の自由化に取り組む意欲を示した。
先の全人代で易綱・人民
銀行副総裁は「人民元の
SDR 組み入れ」を求める
意向を表明
3月中旬に開催された全人代で周小川・総裁は既に「年内にも預金金利の自由化に踏
み切る」との方針を示していたほか、同じ席上で易綱・副総裁は国際通貨基金(IMF)が5
年に1度実施する「特別引出権(SDR)」の見直しに際して「人民元が新たに採用されるこ
とについて少しの疑いもない」などと発言、現在は米ドル(41.9%)、ユーロ(37.4%)、英国
ポンド(11.3%)、日本円(9.4%)で構成されているSDRに人民元を加えることを求めてい
る。中国政府が望んでいる「人民元のSDR参入」を米国が無条件に認める可能性は低い
ことから、「人民銀が何らかの為替自由化措置を打ち出す」との観測が強まっている。
最近の人民元相場は対ド
ルで軟化、ドル以外の通
貨に対しては現行制度下
での最高値圏へ高騰
そのような環境変化を踏まえた上で、最近のドル人民元相場の値動きを振り返ってみる
と、2014年1月14日(火)の1ドル=6.0393元をボトムに反発、上下の振れ幅を微妙に拡大
しつつ、今年3月2日(月)には一時6.2779ドルと2012年10月11日以来、約2年5ヶ月ぶりの
ドル高・元安水準を記録する場面があった。その後はドル安・元高方向に切り返し、足下で
は6.20元前後で取引されているが、当該期間中のドル人民元相場は、従来よりもかなり柔
軟に動くようになっている(図1)。ほぼ同じ時期に、ドル以外の通貨に対しては人民元の全
面高が進んでおり、例えばユーロ人民元や人民元円では「現行の管理フロート制下での元
の最高値」を記録するなど、かなり派手な元高の動きも観測されている(図2)。
過去明らかに抑えられて
いた対米ドルの値動き
が、微妙に良くなり始めた
中国政府が2005年7月21日以降に導入して現在に至っている「管理フロート制」は、米ド
ル、ユーロ、日本円、韓国ウォン、シンガポールドル、英ポンド、マレーシアリンギ、露ルー
ブル、豪ドル、タイバーツ、カナダドルのほかに9通貨を加えた20通貨で構成される「通貨
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てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
度先までの時間軸でみた「人民元=右肩上がり」の大局観は、枉(ま)げることなく引き続き
保持しておきたい。
図7:中国管理フロート制導入後の対ドル相場の動き
(05年6月平均=100)
165
155
145
135
人民元
125
スイス
フラン
115
105
豪ドル
加ドル
95
日本円
ユーロ
85
ポンド
75
05年
06年
07年
08年
09年
10年
11年
12年
13年
14年
15年
注:中国政府が管理フロート制を導入したのは2005年7月21日
出所:ブルームバーグ等から三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
(4月2日 10:00)
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