慎重な利上げ姿勢を示唆したFOMCと米国株の注目点

<マーケット・レター>
2015年3月19日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
慎重な利上げ姿勢を示唆したFOMCと米国株の注目点
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FOMCは声明文から利上げ判断に関する「忍耐強く」の文言を削除。市場関係者は6月~9月の利上げ開始を予想。
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FOMC参加者は2015~2017年の米経済見通しを引き下げ。政策金利の予想も従来より緩やかな利上げを想定。
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早期の利上げ懸念の後退から、3月18日の米国金融市場では米国株は上昇し、米10年国債利回りは低下が進む。
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今後は米ドル高による業績への影響が懸念されるも、エネルギー・セクターを除けば米企業は増益維持が予想される。
FRBは声明文から「忍耐強く」の文言を削除
図1:FOMC参加者の経済見通し(中間予想値)
米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月18日(現地時
間)に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文に
(単位:%)
予想時点
2015年
2016年
2017年
おいて、金融政策の正常化に関して「忍耐強くなれる」との
文言を削除し、今後の利上げに向けた地ならしを示唆しま
実質GDP成長率
( 前年比)
した。市場関係者の間では、6月~9月にもFRBによる利
上げが開始されるとの見方が大勢となっています。
失業率
FOMC参加者はより緩やかな利上げを想定
一方、新たに公表されたFOMC参加者の経済見通し(図
コア・ インフレ率
( 前年比)
1)では、前回2014年12月時点と比べて実質GDP成長率
やコア・インフレ率の見通しが引き下げられ、米景気の先
政策金利
行きに対するFRBの慎重姿勢が示されました。
今回
2 .3 ~2 .7
2 .3 ~2 .7
2 .0 ~2 .4
2014年
12月時点
2.6~3.0
2.5~3.0
2.3~2.5
今回
5 .0 ~5 .2
4 .9 ~5 .1
4 .8 ~5 .1
2014年
12月時点
5.2~5.3
5.0~5.2
4.9~5.3
今回
1 .3 ~1 .4
1 .5 ~1 .9
1 .8 ~2 .0
2014年
12月時点
1.5~1.8
1.7~2.0
1.7~2.0
今回
0 .6 2 5
1 .8 7 5
3 .1 2 5
2014年
12月時点
1.125
2.500
3.625
また、FOMC参加者の政策金利予想(中央値)も、2015 (出所)米連邦準備制度理事会(FRB)
年末が1.125%から0.625%へ、2016年末が2.50%から (注)コア・インフレ率は食品・エネルギーを除く個人消費支出(PCE)価格
指数。GDPとインフレ率は各年第4四半期の前年比、失業率は第4四半期
1.875%へ下方修正されるなど、政策当局者が緩やかな の平均、政策金利は年末値。
利上げを想定していることが示唆されました。
図2:S&P500指数の一株当たり利益(EPS)
利上げ懸念が後退し、今後は業績見通しに注目
3月18日の米金融市場では、早期の利上げ懸念の後退
(2005年=100)
275
からS&P500指数は前日比1.2%の上昇となり、米10年国
250
債利回りは2%割れの水準へ低下が進みました。2015年
225
の米国株のリスクとして、①FRBの利上げや、②米ドル高の
200
業績への影響、③原油価格動向などが挙げられますが、
FOMC声明は①の利上げリスクの後退を示唆しています。
一方、ファクトセットによれば、2015年のS&P500社の一
株当たり利益(EPS)の伸び率は2014年の前年比+5.5%
から+2.4%へ鈍化が予想されています(図2)。これは原
油価格下落の影響を受けるエネルギー・セクターの大幅
+9.2%
S&P500指数
(エネルギー産業除く)
+11.2%
前年比+9.2%
+9.7%
+12.9%
175
+2.4%
150
S&P500指数
125
+20.6%
+47.4%
100
75
減益が大きく影響したものであり、エネルギー・セクターを
50
除けば米企業は2015年以降も安定した増益基調を維持
25
するものと予想されています。
予想コンセンサス
S&P500エネルギー産業指数
-55.5%
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17 (年)
(出所)ファクトセット (注)予想は2015年3月18日時点。
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