第117号「おわせっ子の読書活動を推進」

共創・共育・共感
尾鷲市教育長だより
2015.3.20.(金)
第117号
おわせっ子の読書活動を推進
読書好きの子どもの割合は、少しずつ増加し、小学校で6割以上、中学校で7割いますが、
授業以外の昼休みや放課後の図書室利用、休日の市立図書館の利用者は少なく、家庭での読
書時間も全国平均より少ない状況があります。
新年度から、市立図書館をはじめ、各学校図書室への図書費を大幅に増額し、学校図書館
司書2名を配置し、読書環境の充実を図りながら、子どもたちの心身の健やかな成長を願い、
幼稚園・小中学校・市立図書館・保護者・地域が連携・協働しながら、おわせっ子の読書活
動を推進します。
◆子どもの読書習慣の定着化と読書意欲の向上
◆ファミリー読書で生活リズムの見直しと対話の増加
◆読む力と考えをまとめて書く力の向上【学力の向上】
◆本との出会いによる豊かな感性と心の成長
◆図書館を身近な学び・情報を得る場として活用
読書は、豊かな感性や心を育むだけでなく、学力の向上、家庭での対話も促進します。そ
こで、子どもを本好きにするための、家庭での8つのポイントを紹介したいと思います。
ポイント1.読書の第一歩は聞くことから
まだ字の読めない幼い子どもたちに、想像力をかきたて、感性を豊かにするためには、親
が絵本などを読み聞かせることが何よりも大切です。・・・私を読書好きにしたのは、幼児
期、母に抱かれて聞いた語りかけや民話、童話であり、母の懐のぬくもりであったように思
います。・・・母の懐で毎晩聞いた童話や民話、母のにおいが50数年たった今も鮮やかに
よみがえって懐かしい。・・・これはある新聞に寄せられた投書の一節です。
ポイント2.読み聞かせには“間”が大切
読み聞かせとは、ただ単にさっと読み上げるのではなく、どこまでも“聞かせる”ことが
大切です。そのためには、どきどき立ち止まって説明したり、繰り返したりしながら子ども
の反応をみることも必要です。発音を正確に、一枚一枚ゆっくりめくって、次はどうなるの
か、子どもに期待感を持たせるように読んであげましょう。また、そのためには、親自身が
その作品の感動を子どもに伝えるといった心構えが大切です。
ポイント3.子どもの身近かによい本を
子どもを本好きにするためには、よい本が子どもの手近にあることが第一条件です。子ど
もの本は新刊も多いですが、ベストセラー上位の中には、長く子どもたちに読み継がれてい
る作品が変わらぬ人気を保っているようです。親自身が本好きになり、子どもたちがどんな
本を求めているかを知ることも大切です。
ポイント4.本を借りて読むことも必要
子どもたちが読んでいる本の入手経路は、学校の図書室で読んだ。が最も多く、高校生で
は、自分で買った。が半数近いのですが、全体的にみて、友だちから借りた。市立図書館で
読んだ。も多く、年々増加の傾向にあります。
絵本はともかくとして、本は必ずしも全て買い与えるものではなく、借りて読むことも必
要です。とくに借りて読むことの効用は、借りてでも読むという意欲があること、また期限
に迫られて集中的に読むということにあるようです。
ポイント5.本は幅広く読みましょう
子どもの読書について、親の悩みの多くは、子どもがマンガに没頭していて、いわゆる良
書を読んでくれないということにあるようです。
たしかに、マンガは活字文に比べて印象や理解力が分散され、集中力が薄れるのではない
かといった指摘もありますが、イメージが豊かに膨らむ一つの世界として歓迎されています。
ですから、マンガと同時に文学や芸術、科学に接する機会を与えて、マンガとは違った面白
さや楽しさを発見させるというような意図的な努力も、私たち大人には求められているので
す。マンガも含めて、幅広く読書させるよう心がけてはどうでしょう。
ポイント6.本を選ぶには表示にとらわれない
かつて読書界のブームをさらった黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」に、校長先生
の言葉として、・・・ここにある本は、誰でも、どんな本でも読んでいい。「何年生だから、
どの本」とか、そういうことは考えることはないし、いつでも好きなときに、図書室に入っ
てかまわない。借りたい本があったら、家に持って帰って読んでいい。そのかわり、読んだ
ら、返しとけよ。・・・という言葉があります。○年生向き等といった表示にはあまりとら
われず、親は何よりも、自分の子どもにどの本が向いているのかを考えて、ときにはまわり
の人とも相談しながら判断したいものです。
ポイント7.読書には計画性を
家庭での読書は、えてして手当たり次第といった傾向に陥りやすいので、ある程度の計画
を立てさせることも必要です。とくに10歳頃を境に読書力が急速に伸び始めます。個人差
もあらわれて、自分の意志による本選びや読書でないと納得しない子どももいます。こんな
場合は、親はあまり出しゃばらず、例えば夏休み等に古典的な名作といわれるような長い作
品をじっくりと読ませるような計画を立てさせることも、豊かな感性を養う上で効果的です。
ポイント8.読書のアフター・ケア
本は読みっぱなしというケースもありますし、子どもに「あの本よかった?」と聞いてみ
て、「うん」と答えたときの表情や眼の輝きで十分なこともあります。感動を読書ノート等
に記すといった方法もあります。しかし、何よりも大切なことは、本を通して得た感動です。
子どもの感動をしっかりと受け止め、子どもを本嫌いにさせないことです。