用語解説・添付資料

8.用語解説:
(注1)降着円盤:ブラックホールや中性子星、原始星などの中心天体の周りを取り囲むガス円盤
の構造。重力と遠心力が釣合って中心天体の周りを回転するガスは、一般に外側のガスは内側より
もゆっくりと回転しており、半径方向(動径方向)に回転速度が異なる微分回転運動が特徴である。
ガスが中心に落下しようとすると、周回運動の速度が上がり遠心力が強くなるので、ガスは落下す
ることができない。
(注2)電磁流体波:プラズマ中を伝播する低周波の電磁波。スウェーデンのハンネス・アルフベ
ン博士(1970 年ノーベル物理学賞受賞)によって理論的に発見された。
(注3)磁気リコネクション:磁場ベクトルの方向が反転するプラズマ領域で、磁力線が繋ぎ変わ
り、その過程でプラズマが混合されるメカニズム。同時に磁場のエネルギーが、ガスの運動エネル
ギーや熱エネルギーに変換されるメカニズムでもある。実験室プラズマから宇宙まで、重要なエネ
ルギー変換過程となっている。
(注4)活動銀河核と宇宙ジェット:活動性を示す銀河の中心(核)を活動銀河核(Active Galactic
Nucleus, AGN)と呼ぶ。中心の狭い領域で極めて明るく輝いたり、ほぼ光速のガスを双方向にジ
ェット状に噴出したりする。またこのジェットを宇宙ジェットという。
(注5)MRI ダイナモ:磁場を増幅するメカニズムをダイナモ作用と呼ぶが、降着円盤では、磁気
回転不安定(Magneto-Rotational Instability, MRI)によって、動径方向に存在する磁力線が作ら
れると、降着円盤の微分回転の性質により、磁力線が引き伸ばされて磁場強度を増していくことが
出来る。これを MRI ダイナモとよぶ。
(注6)プラズマ粒子コード:プラズマの第一原理に基づいた計算コードであり、電磁場を記
述するマックスウェル方程式と荷電粒子運動を記述するローレンツ方程式を連立させて解く。
9.添付資料:
図:(a)降着円盤と宇宙ジェットの模式図、(b)降着円盤の部分系で行った 3 次元粒子コードの結
果。円盤が 12 回転して乱流が十分発達した状態。青の線が磁力線、赤のシートで挟まれた領
域はガス密度が高い領域。密度が高い領域で磁気リコネクションが活発に起きている。(c)エネ
ルギースペクトルの時間発展。横軸が静止質量で規格化したエネルギー、縦軸が粒子数。時間
が経過するにしたがって宇宙線が効率よく生成されている。