2015/ FXウィークリー 3/16 投資情報部 FX ストラテジスト 五十嵐 聡 米FOMCの結果次第で振れやすい動きか (先週のレビュー) 米利上げへの思惑を 背景にドルが全面高 の展開 先週は米雇用統計を受けた利上げへの思惑にドルがほぼ全面高の展開。一方、 米利上げへの懸念を背景に新興国・資源国通貨は全般に売りが優勢。ドル円は昨 年12月の高値を更新したが、ユーロや新興国・資源国通貨売りからの円買いもあ り、その後は次第に上値の重い推移となった。 週初は前週末の米雇用統計の強い結果を受けたドル買いの動きが継続、フィッ シャー・ダラス連銀総裁の早期利上げ示唆発言もあり、6月利上げへの思惑に3/10 (火)には一時122.04円を付け、昨年12月の高値を更新した。しかし、ファーマン米 大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の「強いドルは米経済にとって向かい風」と の発言や、NYダウの大幅下落等から反落。それでも121円割れでは下支えされ、そ の後も121円台前半でもみ合う動きが継続した。3/12(木)にはドルインデックスの 100台乗せによる目標達成感や、米2月の小売売上高が予想を下回ると売り優勢と なったが、下値では押し目買いが入る展開が継続、結局同水準で取引を終えた。 ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)による国債買入開始を受けたユーロ圏国債利 回りの全般的な低下や、米利上げ観測を背景にした米ドル買いを背景に一段と売 り込まれる展開。3/12(木)には1.05ドルの大台割れによる達成感からいったん買い 戻しも入ったものの、基調的なドル買いの動きに上値も重く推移。3/13(金)には更 に売り込まれる動きとなり、一時2003年1月以来となる1.0463ドルを付けた。 その他通貨では、ブラジルで財政再建法案が上院で否決され、国営石油会社に 絡む汚職疑惑の広がりから政情不安が高まるとともに、全国で抗議デモが発生して いることからレアルが大幅に下落、一時03年4月以来となる3.27レアル台を付けた。 主要通貨の対ドルレート騰落率 ( 2015/3/6→2015/3/13) 主要通貨の対円レート騰落率 ( 2015/3/6→2015/3/13) 0.07 NZドル 0.54 米ドル 0.47 ↑ ↓ ド ル 高 円 ド ル 安 ▲0.47 NZドル トルコリラ ▲0.61 豪ドル 円 安 0.09 トルコリラ ▲1.02 ▲0.14 豪ドル ▲1.24 カナダドル 円 高 ↑ ↓ メキシコペソ ▲0.38 メキシコペソ ▲0.56 ▲0.78 カナダドル 英ポンド ▲1.95 英ポンド ▲1.49 スイスフラン ▲1.95 スイスフラン ▲1.49 ▲3.21 ユーロ ブラジルレアル (%) ▲2.75 ユーロ ▲3.49 南アランド ▲3.03 南アランド ▲5.69 ブラジルレアル ▲7.0 ▲6.0 ▲5.0 ▲4.0 ▲3.0 ▲2.0 ▲1.0 0.0 1.0 2.0 (%) ▲5.24 ▲7.0 ▲6.0 ▲5.0 ▲4.0 ▲3.0 ▲2.0 ▲1.0 0.0 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1.0 2.0 2015/3/16 FXウィークリー (今週の見通し) 米 FOMC の 結 果 次 第で振れやすい動き か 今週のドル円相場は、3/17-18に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を 巡って振れやすい動きとなろう。米2月雇用統計が予想を上回る結果となったことを きっかけに、6月利上げに向けて声明から「忍耐強くなれる」との文言が削除されると の思惑が強まっており、実際にそうなればドル買いの動きが一段と強まることが予想 される。半面、早期利上げへの懸念から株価の調整がさらに強まるようであれば、市 場は全般にリスクオフの動きとなり、円買い圧力を強める可能性も指摘される。 前回1月のFOMCでは、景気認識を上方修正した一方で、期待インフレ率の低下 について言及、「国際情勢を考慮する」との姿勢も示し、議事要旨では「忍耐強くな れるとの文言削除で市場の利上げ期待が過度に狭い領域に絞り込まれる恐れがあ る」との指摘もみられた。また、2月のイエレン連邦準備理事会(FRB)議長の半期議 会証言では、「フォワードガイダンスを変更しても、2回の会合で必ず利上げすると解 釈すべきでない」と述べる等、市場が先走る動きを抑える発言もみられた。しかし、 その後の雇用統計が予想を上回る好調な結果となる中で、年央の利上げを妥当と 述べるFOMCメンバーも増えており、少なくとも今回の会合で「忍耐強くなれる」との 文言が削除される蓋然性は非常に強くなっていると考えられよう。ただ、雇用統計以 外の経済指標はこのところ全般に弱いものが続いていることや、ドル高の米経済へ の悪影響を指摘する声も出てきていること等を踏まえると、6月利上げへの道を開き つつも、実際の利上げ時期やその後の利上げペースについては経済指標次第との 姿勢を改めて強調する可能性もあり、声明内容の変化や会合後に行われるイエレ ンFRB議長の会見に対する注目度が一段と強まることとなろう。 今週は3/16-17の日程で日銀も金融政策決定会合を行う。ただ、こちらについて は政策変更は予想されておらず、材料的にも無風で通り過ぎるとの見方が多い。黒 田総裁は15年度を中心とした期間に2%の物価安定目標が達成できるとの見方を変 えておらず、原油価格下落の影響についても「長期的には経済にプラス」との認識 を維持している。その他の材料としては、3/16(月)に、米3月NY連銀製造業指数、2 月鉱工業生産・設備稼働率、3月NAHB指数。3/17(火)には、独3月ZEW景況感指 数、ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)、米2月住宅着工件数。3/18(水)には 本邦2月の貿易収支、3/19(木)には米第4四半期経常収支、3月フィラデルフィア連 銀製造業景気指数等の発表が予定されている。 2013/12/31=100 主要通貨の対ドルレート推移 ( 日次:2013/12/31~2015/3/13) 110 ドル安 ↑ ↓ ドル高 105 100 95 90 85 80 75 70 13/12/31 円 ユーロ 英ポンド トルコリラ 豪ドル NZドル メキシコペソ 南アランド ブラジルレアル 14/2/18 14/4/8 14/5/27 14/7/15 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/9/2 14/10/21 14/12/9 15/1/27 (年/月/日) この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2015/3/16 FXウィークリー IMM通貨先物ポジション動向(2015年3月10日時点) ≪主なポジション動向≫ ○円のネットショートは2週連続で拡大 ○ユーロのネットショートは5週間ぶりに拡大 ○豪ドルのネットショートは2週間ぶりに拡大し、過去最高水準に ○主要8通貨に対するドルの買い越し額は5週ぶりに拡大 IMM通貨先物 非商業(投機筋)のポジション(週次:2011/1/4~2015/3/10) 円(JPY) (兆円) 1.0 JPY LONG 85 0.0 95 (1973/3=100) 105 600 USD LONG 500 0.5 米ドル(USD) (億ドル) (1ドル=円) 75 100 400 300 95 200 ▲ 0.5 105 ▲ 1.0 115 90 100 0 JPY SHORT ▲ 1.5 ▲ 300 ドル円為替レート(右逆目盛) 12/1 12/7 USD SHORT ▲ 400 13/1 13/7 14/1 14/7 75 ドル合成ポジション(金額、左目盛) ドル指数(右目盛) 135 11/7 80 ▲ 200 125 ネットポジション(金額、左目盛) ▲ 2.0 11/1 85 ▲ 100 ▲ 500 11/1 15/1 (年/月) 70 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 (年/月) ユーロ(EUR) (億ユーロ) 200 EUR LONG 150 豪ドル(AUD) (億豪ドル) (1ユーロ=ドル) 1.60 ネットポジション(金額、左目盛) ユーロドル為替レート(右目盛) (1豪ドル=ドル) 150 1.10 AUD LONG 1.50 100 1.05 100 50 1.00 1.40 0 50 0.95 1.30 ▲ 50 ▲ 100 0.90 0 1.20 ▲ 150 0.85 ▲ 200 EUR SHORT ▲ 50 1.10 AUD SHORT ▲ 250 0.80 ネットポジション(金額、左目盛) ▲ 300 11/1 1.00 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 ▲ 100 11/1 15/1 豪ドル米ドル為替レート(右目盛) 11/7 12/1 12/7 13/1 0.75 13/7 14/1 (年/月) 14/7 15/1 (年/月) (注)枚数を契約金額により、当該通貨に換算。ドル指数は主要通貨に対するドルの価値を示し、米インターコンチネンタル取引所(ICE)にてリアルタイムで算出される。 米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 2015/3/10現在のポジション(ドルベース) 対前週比 (億ドル) (億ドル) 25 500 LONG 400 20 300 15 200 10 100 5 0 0 ▲ 100 ▲5 LONG ▲ 10 ▲ 200 SHORT ▲ 300 SHORT ▲ 15 ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル (注)米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2015/3/16 FXウィークリー ドル円 一目均衡表 (日次:2014/6/5~2015/3/13) (1ドル=円) (1ドル=円) 121 121 116 116 111 111 106 106 転換線 先行スパン1 遅行スパン 基準線 先行スパン2 101 101 14/6 14/7 14/8 14/9 14/10 14/10 14/11 14/12 15/1 15/2 15/3 (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 ユーロドル 一目均衡表 (日次:2014/6/5~2015/3/13) (1ユーロ=ドル) 15/4 (1ユーロ=ドル) 1.40 1.40 1.35 1.35 1.30 1.30 1.25 1.25 1.20 1.20 1.15 1.15 1.10 1.10 転換線 先行スパン1 遅行スパン 1.05 基準線 先行スパン2 1.05 1.00 1.00 14/6 14/7 14/8 14/9 14/10 14/10 14/11 14/12 15/1 15/2 15/3 15/4 (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4 2015/3/16 FXウィークリー 金融商品取引法に係る重要事項 当社取り扱いの商品等(外貨建商品等も含む)にご投資いただく際には、各商品等に所定 の手数料(投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸費 用等)をご負担いただきます。債券を当社との相対取引によりご購入いただく場合は、購入 対価のみをお支払いいただきます。 各商品等には価格の変動や発行者の信用状況等の悪化等により損失を生じるおそれがあ ります。 なお、債券の利金・償還金の支払いについて、発行者の信用状況等によっては、支払いの 遅滞・不履行が生じるおそれがあります。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向を ふまえて当社が決定した為替レートによるものとします。また、売却時等の為替相場の状況 によっては為替差損が生じ、損失を被るおそれがあります。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や 目論見書またはお客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-150316-19 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 5
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