2/9 2015/ FXウィークリー 投資情報部 FX ストラテジスト 由井 謙二 米金融政策やギリシャ動向を見極め (先週のレビュー) 強い雇用統計を受け てドル円は119円台を 回復 先週のドル円は週後半に急上昇し、1/12以来の119円台を回復した。2/1(日)に 発表された中国の1月製造業購買担当者指数(PMI)が予想を下回り、節目の50を2 年4ヵ月ぶりに割り込んだことから、週明けのドル円相場は一時116.64円と1/16以来 の水準に下落した。その後は117円台後半へと持ち直したが、米1月ISM製造業指 数が市場予想を下回ると117円台前半に弱含んだ。2/3(火)は、日経平均株価の下 落等から117円台を割り込むも、ギリシャの債務減免要請撤回にともなうリスク回避 ムードの後退を受けて、2/4(水)にかけて118円ちょうどまで上昇した。しかしNY時 間引け間際に、欧州中央銀行(ECB)が「ギリシャ国債への適格担保規定に関する 特例措置を解除した」と発表すると、リスク回避ムードが強まり、117円台前半に反落 し、その後は米雇用統計を控え狭いレンジでの推移が続いた。2/6(金)に発表され た米1月雇用統計では雇用者数および賃金伸び率ともに市場予想を上回る内容と なり、米金利上昇とともにドル買いが強まり、ドル円は119.23円まで急上昇した。 ユーロドルは一進一退。2/3(火)にギリシャ財務相が債務減免要求を撤回したと の報道を受けて1.13ドル台から1.15ドル台に上昇したが、2/4(水)にECBがギリシャ 国債等を担保として認める特例措置の解除を決定すると1.13ドル台前半まで急落。 2/5(木)は予想を上回る独12月製造業受注を受けて1.14ドル台後半に上昇した が、2/6(金)の強い米雇用統計を受けたドル買いに1.13ドル台前半に下落した。 その他通貨では、豪中銀が2/3に予想に反して利下げを実施し、豪ドル円は1年 ぶりに90円を割り込む場面がみられた。また、1/30にブラジルのレビ財務相がレア ル買い為替政策に否定的な発言を述べたことからブラジルレアルが下落した。 主要通貨の対ドルレート騰落率 ( 2015/1/30→2015/2/6) 主要通貨の対円レート騰落率 (2015/1/30→2015/2/6) カナダドル 1.64 1.40 英ポンド ド ル 安 ↑ ↓ ド ル 高 南アランド メキシコペソ 南アランド 1.22 英ポンド ユーロ ▲ 1.33 スイスフラン 円 ▲ 1.37 トルコリラ (%) ブラジルレアル ▲ 3.56 ▲ 2.00 ▲ 1.00 2.27 1.83 1.61 米ドル トルコリラ ▲ 3.00 2.65 2.62 ユーロ 0.22 ▲ 4.00 円 安 豪ドル ▲ 0.71 ブラジルレアル 円 高 2.81 メキシコペソ 0.44 スイスフラン 3.05 NZドル 1.25 0.87 豪ドル カナダドル ↑ ↓ NZドル 0.00 1.00 2.00 (%) 1.39 0.67 0.04 ▲ 2.22 ▲ 3.00 ▲ 2.00 ▲ 1.00 0.00 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1.00 2.00 3.00 4.00 2015/2/9 FXウィークリー (今週の見通し) 米金融政策やギリ シャ動向を見極め 今週のドル円は、米金融政策やギリシャ動向を見極めつつ、118円台で値固めの 展開を想定する。先週末の米1月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比 +25.7万人と予想(同+22.8万人)を上回った。さらに、12月分は同+25.2万人から同 +32.9万人へ、11月分は同+35.3万人から+42.3万人へ大幅に上方修正され、直近 3ヵ月では+100.9万人増と1997年以来の増加となった。また、平均賃金は前月比 +0.5%と予想(同+0.3%)を上回り、2008年11月以来の高い伸びを記録。米連邦準備 理事会(FRB)による利上げ時期前倒し観測の高まりから、米2年国債利回りは1ヵ月 ぶりの水準に上昇し、為替市場ではドルが全面高となった。 米雇用統計を受けて、タカ派と目されるプロッサー米フィラデルフィア地区連銀総 裁(今年の投票権なし)は「利上げ先送りを正当化させるのは困難」と述べた。一方 で、ハト派と目されるロックハート・アトランタ連銀総裁(投票権あり)は、「2015年半 ば、それ以降の利上げになお違和感はない」としつつも、「最近の弱いインフレ指標 につながっている一時的な要因が無くなりつつあることを示す証拠がある程度必 要」と鈍化傾向のインフレ率に懸念を示し、早期利上げには慎重な姿勢をみせた。 今後は2/24-25で行われるイエレンFRB議長の半期議会証言や、次回3/17-18の 米連邦公開市場委員会(FOMC)で声明文の「忍耐強くなれる」の文言が変わる可 能性があること等により、FRBの金融政策変更に向けた地ならしがどのように進むか を注視する動きが一段と強まろう。また、米経済が好調を持続できるかどうか、今週 も小売売上高(12日)等の米経済指標が注目される。 ユーロについては引き続きギリシャ動向に注目する展開か。緊縮財政見直しを訴 えるギリシャ新政権と、トロイカ(欧州中央銀行(ECB)、欧州連合(EU)、国際通貨基 金(IMF))との駆け引きが続いている。今後のスケジュールとしては、2/11(水)に臨 時のユーロ圏財務相会合、2/12(木)にEU首脳会議、2/16(月)にユーロ圏財務相 会合、2/17(火)にEU財務相理事会、2/28(土)にはトロイカによる金融支援プログ ラムの期限が控えている。ギリシャのツィプラス首相は2/8に、緊縮財政を条件とした 金融支援プログラムには反対を表明、6月まで資金供与を受けるつなぎ措置での合 意を目指しているとした。一方でECBは、格付けの低いギリシャ国債等を担保に同 国の金融機関に資金を供給する特例措置を打ち切ると発表し、ギリシャに支援プロ グラムを延長するようプレッシャーをかけている。当面は双方の駆け引きが続く中 で、ギリシャを巡る報道にユーロが振られやすい地合いは継続しそうだ。 2013/12/31=100 110 主要通貨の対ドルレート推移(2013/12/31=100の指数、日次) 106 102 98 94 90 86 ドル安 ↑ ↓ ドル高 円 トルコリラ メキシコペソ 82 78 13/12/31 14/3/25 ユーロ 豪ドル 南アランド 14/6/17 (注)2013/12/31~2015/2/6まで 英ポンド NZドル ブラジルレアル 14/9/9 14/12/2 (年/月/日) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2015/2/9 FXウィークリー IMM通貨先物ポジション動向(2015年2月3日時点) ≪主なポジション動向≫ ○円のネットショートは3週連続で縮小し、2014/7/22以来の低水準となった ○ユーロのネットショートは7週連続で拡大。2012/6/5以来の高水準に ○豪ドルのネットショートは豪中銀の利下げ等を背景に3週連続で拡大。2014/1/28以来の高水準となった IMM通貨先物 非商業(投機筋)のポジション(週次:2011/1/4~2015/2/3) 円(JPY) (兆円) 1.0 JPY LONG (1973/3=100) 100 600 USD LONG 500 0.5 米ドル(USD) (億ドル) (1ドル=円) 75 85 95 400 300 0.0 95 90 200 100 ▲ 0.5 85 105 0 ▲ 1.0 ▲ 100 115 ▲ 1.5 ▲ 300 125 ネットポジション(金額、左目盛) 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 ドル合成ポジション(金額、左目盛) ドル指数(右目盛) 135 11/7 75 USD SHORT ▲ 400 ドル円為替レート(右逆目盛) ▲ 2.0 11/1 80 ▲ 200 JPY SHORT ▲ 500 11/1 15/1 70 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 (年/月) ユーロ(EUR) (億ユーロ) 200 EUR LONG 150 (年/月) 豪ドル(AUD) (億豪ドル) (1ユーロ=ドル) 1.55 ネットポジション(金額、左目盛) ユーロドル為替レート(右目盛) (1豪ドル=ドル) 150 1.10 1.50 100 AUD LONG 1.45 50 15/1 1.05 100 1.00 1.40 0 50 1.35 0.95 ▲ 50 1.30 ▲ 100 0.90 0 1.25 ▲ 150 0.85 1.20 ▲ 200 EUR SHORT ▲ 50 AUD SHORT 1.15 ▲ 250 0.80 ネットポジション(金額、左目盛) ▲ 300 11/1 1.10 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 ▲ 100 11/1 15/1 豪ドル米ドル為替レート(右目盛) 11/7 12/1 12/7 13/1 0.75 13/7 14/1 (年/月) 14/7 15/1 (年/月) (注)枚数を契約金額により、当該通貨に換算。ドル指数は主要通貨に対するドルの価値を示し、米インターコンチネンタル取引所(ICE)にてリアルタイムで算出される。 米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 2015/2/3現在のポジション(ドルベース) 対前週比 (億ドル) (億ドル) 20 600 LONG 500 LONG 15 400 10 300 5 200 0 100 ▲5 0 ▲ 10 ▲ 100 ▲ 15 ▲ 200 ▲ 300 SHORT ▲ 20 SHORT ▲ 400 ▲ 25 ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル (注)米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2015/2/9 FXウィークリー (1ドル=円) ドル円 一目均衡表 (日次:2014/5/1~2015/2/6) 124 (1ドル=円) 124 120 120 116 116 112 112 108 108 104 104 100 100 2014/06 2014/07 転換線 基準線 2014/09 先行スパン1 2014/11 先行スパン2 2015/01 遅行スパン 2015/03 (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 (1ユーロ=ドル) 1.42 ユーロドル 一目均衡表 (日次:2014/5/1~2015/2/6) (1ユーロ=ドル) 1.42 1.38 1.38 1.34 1.34 1.30 1.30 1.26 1.26 1.22 1.22 1.18 1.18 1.14 1.14 1.10 1.10 2014/06 転換線 2014/07 基準線 2014/09 先行スパン1 2014/11 先行スパン2 2015/01 遅行スパン 2015/03 (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4 2015/2/9 FXウィークリー 金融商品取引法に係る重要事項 当社取り扱いの商品等(外貨建商品等も含む)にご投資いただく際には、各商品等に所定 の手数料(投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸費 用等)をご負担いただきます。債券を当社との相対取引によりご購入いただく場合は、購入 対価のみをお支払いいただきます。 各商品等には価格の変動や発行者の信用状況等の悪化等により損失を生じるおそれがあ ります。 なお、債券の利金・償還金の支払いについて、発行者の信用状況等によっては、支払いの 遅滞・不履行が生じるおそれがあります。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向を ふまえて当社が決定した為替レートによるものとします。また、売却時等の為替相場の状況 によっては為替差損が生じ、損失を被るおそれがあります。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や 目論見書またはお客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-150209-18 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 5
© Copyright 2025 ExpyDoc