データに基づく性能指向型制御システム調査専門委員会 設置趣意書 制御技術委員会 1.目的 本調査専門委員会の目的は,大学・企業などに所属する研究者・技術者が集まり,データに基づいて性能 向上をスマートに実現する制御システム構築のためのデータ指向型制御,適応機構をもつ制御システム, 性能指向型システムの最新動向と実システムへの応用について調査し,これらを系統的にまとめ,現状と諸課 題を明確にすることにより,より実用性の高いデータ駆動型制御システムの構築,さらには性能指向型制御を 基盤としたスマートシステムの構築に寄与することを主たる目的とする。 2.背景および内外機関における調査活動 産業界においては,国際競争の激化などの煽りを受けて,生産性の向上,省エネルギー・省力化など,製品 の品質の向上と生産コストの削減が,より一層重要視されるようになってきており,これらの問題を解決する上 で,制御システムの高機能化が求められている.環境問題との関連に加え,我が国はエネルギーの自給率が 低いことから,産業界は効率的な産業システムの稼働が求められている。 その一方で,計算機のデータ処理能力の上昇はとどまることを知らず,スーパーコンピュータに代表される 大量のデータを短時間で処理する装置の開発競争は熾烈を極め,ビッグデータと呼ばれる巨大で複雑なデー タ集合を制御系設計またはシステム解析に利用できる環境が整えられつつある。とくに,操業データの蓄積, 処理,プログラムの構築などが比較的容易に行われ,制御性能を一層向上させるための取り組みが活発化し てきている.この潮流は,制御系設計法のこれまでの枠組みを超えた新しい枠組みとなりつつある。特 に,操業データを直接利用する取り組みは,制御系設計にとどまらず,操業データを用いた閉ループ システム同定,ソフトセンサ,制御性能評価,異常・故障診断,アラームマネージメントなどに関す る研究も盛んに行われており,近い将来,これらが効果的に統合されたスマートシステムの構築が大 きく期待されている。 しかしながら,閉ループ同定に基づく制御系設計法,データベースを利用した制御系設計法など,個々の 制御系設計法においては議論されているものの,操業データ(閉ループデータ)を制御系設計に直接利用す るという点で共通しておりながら,これらが体系的に議論,調査研究される活動は,本学会ならびに他学会にお いても,これまでほとんどなかった。このようなことから,2010 年から 2012 年 9 月までの 2 年間,制御技術委 員会の傘下のもと「データ指向型制御システム調査専門委員会」が発足し,データ指向型制御を基盤 とした制御システムの構築に寄与する調査研究が行われ,さらに,2012 年から 2014 年 9 月まで「デー タに基づく適応型スマートシステム調査専門委員会」へ引き継がれ,データに基づく(適応型の)シ ステム構築に寄与する調査研究が行われた.本調査専門委員会では,これまでの活動をより発展させ る形でスマートな性能指向型制御システム構築のための活動を行う。 3.調査検討事項 本調査専門委員会では,以下の調査検討項目を主要な検討課題とする。 (1)性能指向型制御系設計に関する研究の最新動向の調査 操業データの直接利用による制御系設計法(IFT法,VRFT法,FRIT法,非反証制御など),データベ ースを用いた制御法(Just-In-Time法,メモリベース型制御法,Lazy-learning法,データ駆動型制御 法など),閉ループ同定法,ソフトセンサ,制御性能評価法,パフォーマンス駆動型制御法,異常・故障 診断法などに関する研究の最新動向を調査する。 (2)性能指向型制御の産業界における実施例の調査 (1)にあげた各手法の産業応用など,実システムにおける実施例について調査研究を行うとともに,有 用性の検討,ならびに実装に際して生じる諸課題を明確にする。 (3)性能指向型制御システムの体系化 1/2 上述の(1)および(2)の調査研究結果を踏まえて,性能指向型制御システムの体系化を行う。 (4)今後の展望と諸課題の総括 上述の(3)を受けて,性能指向型制御システムに関する今後の展望と諸課題を総括する。 4.予想される効果 データ指向型,適応型,および性能指向型制御システムに関する研究の最新情報,ならびにその実システム への実装の現状を調査し,関連研究者の発表の機会を部門発表会の企画セッションなどで用意する。調査結果や 研究発表の内容を,部門発表会の企画セッションなどで公表することにより,今後の当該研究分野の発展,ならび に産業界に寄与することを目指す。 5.調査期間(予定) 平 成 26 年(2014 年)10 月~平成 28 年(2016 年)9 月 (2 年間) 6.活動予定 委 員 会 4回 程 度 /年 見 学 会 1 回 /年 研 究 会 3 回 /年 部門大会や全国大会での企画セッション 1 回/年 7.報告形態 部門大会や全国大会での企画セッション,もしくは研究会開催をもって報告とする予定である。
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