1 【演習 4】 《問 1》次の化合物を IUPAC 命名法で命名せよ。 O H2 C H3C N H O CN CN CH3 N Cl 《解説》 1)アミド類の命名はアルカン名にアミドを付すだけで良い。すなわち、alkanamide。た だし、alkane の次ぎに来る amide は母音で始まるので、alkane の最後の e が落ちるのに 注意せよ。また、位置番号はエステルの命名と同じく、官能基に炭素を含んでいるので、 そのカルボニル炭素から番号を付ける。よって、N-methyl-2-oxobutanamide(N-メチル -2-オキソブタンアミド)となる。カルボニル基の接頭辞は oxo(オキソ)、また、二級ア ミドの窒素には methyl が置換しているので、その位置番号として N(イタリック体)を アルキル基の前に付ける。Methyl と oxo はアルファベット順にブタンアミドの前に並べ る。 H3C 4 H2 O C2 1 3 O N H CH3 N-methyl-2-oxobutanamide 2)ニトリルの命名はアルカンの名称に官能基名のニトリル(nitrile)を付けて、アルカン ニトリル(alkanenitrile)とする。ニトリル官能基には炭素が含まれるので、この官能基 炭素も含めてその基名とする。よって、butanedinitrile(ブタンジニトリル)。慣用名は succinonitrile(コハク酸ニトリル)である。 2 3 1 CN CN 4 3)アミン類の名称は対応するアルカンの名称に官能基名のアミンを付けて、アルカンア ミン(alkanamine)とする。官能基名の amine は母音で始まるので、alkane の語尾の e は落ちる。問題では、炭素数の一番長い基名はヘキサンなので、hexanamine(ヘキサン ア ミ ン ) が 基 名 と な り 、 残 り は 置 換 基 と し て 表 す 。 よ っ て 、 6-chloro-N-cyclopentyl-N,5-dimethylhexanamine(6-クロロ-N-シクロペンチル-N,5ジメチルヘキサンアミン)となる。 1 N 3 2 4 5 Cl 6 2 《問 2》次の反応で得られる生成物 A∼E を構造式で、F に適当な試薬の組み合わせを示 せ。 O SOCl2 OH 1) LiAlH4/Et2O CH3NH2 A D E 2) H+, H2O NH3 F Br2, OH- B C 《解説》 A. ハロゲン化アシルの合成。演習 3 のとい 2 の A に同じ。 Cl OH O O A Cl O O S O O S -SO2 -HCl Cl H Cl -HCl H Cl O O Cl S O O H O Cl S O Cl Cl O Cl O S O H Cl B. 塩化シクロヘキサンカルボニル(A)(cyclohexanecarbonyl chloride)とアンモニア の反応による一級アミドの合成。 Cl O A NH3 H2N H Cl O H2N NH3 Cl NH4 NH2 O O + NH4Cl B cyclohexanecarboxamide C. 一級アミドの Hofmann 転位による一級アミンの生成反応。時間がないので、反応機 構は教科書参照。イソシアナートが中間体としてでき、それが加水分解されてアミンと二 酸化炭素となる。 3 Br2, OHNH2 NH2 O C B D. 演習 3 の問 2 の D、N-エチルアミドの合成に同じ。ただし、エチルアミンの代わりに メチルアミンが使われている。塩化シクロヘキサンカルボニル(A)とメチルアミンの反応 による 2 級アミドの合成。 CH3 Cl CH3-NH2 O HN H Cl O CH3 HN CH3NH2 Cl H N CH3NH3 O O CH3 + CH3NH3Cl D A N-methylcyclohexanecarboxamide E. 第一級アミドの水素化リチウムアルミニウム(LAH)による還元で、一級アミン類が生成 する反応。 O NHCH3 1) LiAlH4/Et2O NHCH3 2) H+, H2O D E F. Cyclohexanecarboxamide を加水分解すれば、原料の cyclohexanecarboxylic acid に戻る。加水分解の方法には 2 通りあり、酸触媒加水分解では強酸と加熱が必要で、可逆 反応。塩基による加水分解では加熱が必要であるは、不可逆反応である。 1)H2SO4, H2O, 加熱 または 1)OH-, H2O, 加熱、反応終了後、酸性にする(H+,、H2O) 4 《問 3》次の反応で得られる生成物 A∼C を構造式で答えよ。 1) CH3MgBr 2) H+, H2O A O 1) aq. NaOH OH B CN 2) H+, H2O O 1) DIBALH H C 2) H+, H2O O 《解説》 A. ニトリルに対する Grignard 反応。後処理によりイミン(>C=NH)が生成し、これは 直ちに加水分解されてケトンとなる。 C δ+ N δ- δ- δ+ H3C MgBr C N H3O+ CH3 C N MgBr CH3 H3O+ C O H CH3 A B. ニトリルの塩基触媒加水分解反応。ニトリルは塩基により加水分解されて、アミド中間 体(-CONH2)を生成する。それがさらに加水分解されてカルボン酸となる。 C δ+ N δ- OH C N OH H OH O H C NH O C NH2 OH OH H OH O OH H2N O O H O NH2 H3O+ OH O + NH3 O B C. Diisobutylalminum hydride (DIBAL-H)によるニトリルの還元反応。DIBAL-H にはヒ ドリドが 1 当量しかないので、還元は 1 回しか起こらない。その後、イミン(>C=NH) が生成するので、上述 B の塩基触媒加水分解反応と同じく、直ちに後処理で加水分解され てアルデヒドとなる。 5 H3O+ H Al C δ+ N δ- C N H Al C N H H H3O+ C O C H
© Copyright 2024 ExpyDoc