FASTECH360による技術開発 堀川 重成 115 (1120)

The Japan
The
Japan Society
Sooiety
of Meohanioal
Mechanical Engineers
Engineers
of
,
3 Vol.
115 NQ .
1120
日 本 機 械 学 会 誌 2012
130
新幹線 の 高速化
FASTECH360
に よる 技術 開発
Speed up of Shinkansen
−
ellEPtErD
Technical Development by FASTECH360
− 一一一一一一 一
360
を短 縮 した造 語
は技術 開発 上
の 目標 速 度 ,S / Z は そ れ ぞ れ の 新 幹
2 .FASTECH360
に
お ける 技術開発内容 (1)
新 幹 線 が 長 距離輸送 で の 競争力 を 確
キ 装 置 に は ,従 来 品 よ り摩 擦 係 数 ,温
保 して い く た め に は 到 着 時 分 の 短縮 が
度特性 に 優 れ て
効 果 的 で あ り,走 行 速 度 の 向 上 が 必 要
デ ィ ス ク や ,材質
■
,
・
・
,
,
ー
−
−
−
員 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 JR 東 日本 研
究開 発 セ ン タ 先 端鉄 道 シス テ ム 開発 セ ン
タ
〔〒 331 8513 さ い た ま市 北区 日 進町 2 479 /
cO iP
E mail : s horikawa@jreast
)
正
ー
−
..
11
・は じめ に
と して
る 面 に お け る 技術水準の 向 上 が 必 要 と
した ,ま た ,車 軸 軸 受 に 関 し て も 新 方
な る (図
,2002 年 か
ら 新幹 線 高 速 化
の 技 術 開 発 に本 格 的 に 着 手 し た
開発上 の 目標は
2 ).
式 の も の を 開 発 し,耐 久 試 験 に よ り信
1 走 行 速 度 の 向 上
2.
頼 性を 検証 した .
高速走行 に よ り発生す る 沿線騒 音の
地 震 発 生 時 の 安 全 確 保 の た め ,非 常
う ち ,集 電 系 の 寄 与 度 が 高 い .こ の た
ブ レ ーキ 指 令 の 迅 速 化
1 編 成 2 基 の パ ン タ グラ フ
で 集 電 して い た が ,1 基 で 集電 す る 開
発 に 取 り組 ん だ .す り板 を 細 か く分害1」
した 構 造 と し,そ れ ぞ れ を ば ね で 支 え
可 動 質量 を 小 さ くす る こ と で ,振 動 す
時 間 の 短 縮 ),編 成 ブ レーキ 制 御 や 滑
め ,従 来
加え ,従来 の ブ
レーキ シ ス テ ム に 拠 ら
な い 空 気抵抗 増力口装置 を 開 発 し た .こ
れ らの 結 果
360km
プ レ ーキ 停 止 距 離
した ,
275km
・ブ レーキ カ を
伝 え る た め に ,空 転 ・
レ ール へ
,編 成 内 の 軸
トル ク ・ブ レ ーキ 配
滑 走 が 発 生 した 場 合に は
位 に応 じた 最 適 な
分を行っ て
,編 成 全 体 の 加 速
(
架線 停電 検知
走 空 転 時 の ブ レーキ 制 御 方 法 の 改 良 に
る 架 線へ 柔 軟 に 追 従 す る こ と を 可 能 に
有効 に
で は ,お 客 さ ま サ ー ビス の 向 上 を 目 的
い る 中 央 締 結 ブ レーキ
,そ の た め に は ,安 全 性
頼性 ,環 境適 合 性 .快 適 性 等 の あ ら ゆ
ま た ,車 輪 の 駆 動 力
東 日本 旅 客 鉄 道 (
株)(
以 下 ,当 社 )
た
・形状等 の 変 更 に よ
ー
りデ ィ ス ク の ヒ
トス ポ ッ ト発 生 を抑
ー
える 分割型 ブ レ キ ラ イ ニ ン グを 採 用
・信
で あるが
■ 1996 年 埼 玉 大 学 工 学 部 機 械 工 学 科 卒 業
1998
年 埼玉 大 学 大 学 院理 工 学 研 究 科 修 士 課 程 修 了
■主 と し て 行 っ て い る 業務
研究
高 速 新 幹 線 車 両 に関 す る 研 究 開 発
■所 属 学 会 お よ び 主 な 活動
日本 機 機 械 学 会 日 本 非 破 壊 検 査 協 会
■勤 務 先
レ ーキ カ を 確 保 で き る よ う に し た .ま
,冷却 方式の 異 な る 複 数 種 類 の 高 出
力 ・軽 量 の 主 回路 シ ス テ ム を 開 発 した .
2 安 全 性 ・信 頼 性の 確保
2.
走 行 速 度 向 上 に伴 い 台 車 ・台 車 部 品
の 負 荷 は非 常 に 増 大 す る .基 礎 ブ レー
線/ 在来線 の 頭文字を表 す,
堀川 重成
Shigenari
HORIKAWA
一
/h か らの
非常
を ,従 来 の 車 両 の
/h か ら と 同 等 の
4000m
と
す る 技術的 な 見 通 し を得 た ,ま た 万 が
一脱 線 して
も車 両 が 軌道 か ら大 き く 逸
脱 する こ とを防止 す る 車 両 逸 脱 防止
L
型 ガ イ ドを 開 発 した .
力や ブ
,技 術
「360km /h の 営 業
運 転」 と 掲 げ ,将 来 に わ た り 魅 力 的 で
竸 争 優 位 な 高 速 輸 送 機 関 を め ざ した .
これ まで の 研 究 開 発 成 果 を 全 体の シ ス
テ ム と して ま と め ,実環 境
・実負 荷 の
も と で 総 合 的 に検 証 す る た め に ,新 た
に 専
用
の
高
速
試
験 電 車
FASTEOH360S
(新 幹 線 専 用 タ イ
1
プ) (
図 ) お よ び FASTEOH360Z
(
新 在直通 タ イ プ )の 2 編 成 を 製 作 し ,
2005 年 か ら 2009 年 の 間 に 各 種 試
験 を 実 施 し た.な お,愛 称 名 の
FASTECH
は FASt TECHnoPogy
図 1FASTECH360S
一6一
の外観
一
NNII-Electronic
工 工 Eleotronio
Library Service
Library
The Japan
The
Japan Society
Sooiety
of Meohanioal
Mechanical Engineers
Engineers
of
.
3Vol .
115 No .
1120
日 本 機 械 学 会 誌 2012
131
図 2 FASTECH360
2 .
3 環境へ の適含
によ る技術 開 発例
4 快適 性の 向上
2 .
3 .お わ りに一
320km
客 さ まの 乗 り心 地 に 大 き く影 響 す る .
営業運 転 へ
一
パ ン タ グ ラ フ で 最 も 強 い 音 源 とな っ て
台 車の 諸 元 を 基 本 か ら 見 直 す と と も
当初 の
い た 主 枠の 付 け根付 近の 形状を改良 し
に ,走 行 試 験 を 通 じ て 最 適な チ ュ
達 しな い も の の ,当 社 で は
た 新型 の 低騒音パ ン タ グラ フ の 開発 を
ン
ける
高速 走 行 に よ る 左 右 ・上 下 振 動 は お
重 要 な 課 題 で あ る ,こ の た め ,従 来 の
沿 線 騒 音 の 抑 制 は ,高 速 化 に お
行
っ
た .そ の
パ ン タ グ ラ フ 遮音板 ,
他.
.さ らに 左 右 振 動 低 減
グ を実 施 し た
対 策 と し て ,動 揺 防 止 装 置 の ア ク チ ュ
ータ を 空 気 式 か ら電 磁 直 動 式 ・回 転
ーラ ね じ式 に変 更 し ,応 答 性 と 制 御
,車 体 外 面 平 滑 化 ,車
体 下 部 吸 音 構 造 等 を 開 発 し ,走 行試験
に て 検 証 を 行 っ た .こ の 結 果 従 来 の
エ
車 両 と 比 較 し大 幅 な 騒 音 低 減 を 達 成 し
ま た 曲 線 通 過 時に 増大す
車両 間全周ポ
ロ
た,
ル 微気 圧波
ロ
力を高 め た.
度も大き
ま た 高 速 化 に 伴 っ て 増 大 す る トン ネ
(
高速 で 車 両 が 突 入 した と
ーニ
く乗 り 心 地 を 損 ね る .
そ
こで
,
ー
構造 が シ ン プル な 空 気 ば ね ス トロ ク
片 上 げ 方 式 の 車 体 傾 斜 制 御 装 置 を 導入
,乗
り心 地を向上させる と
す るこ とで
伝 播 して 出 口 で 放 出 ,発 破 音 を 出 す )
と も に ,遠心 加速 度 を 抑 制 しな が ら曲
に つ い て は ,車 両 対 策 と 地 上 設 備 改 良
線通過 速 度 を 向 上 さ せ る こ と を 可 能 と
を合 わ ぜ る こ と で 現 状 レ ペ ル 以 下 に 抑
した .
え る こ と と した .車両 対策 と し て は ,
車 内静 粛性 の 向 上 に 向 けた 各 種対
,先 頭 部 分 の 断 面 積 変
化 率を 最適化 した
新 たに 開発 した
ロ ン グ ノ ーズ 形 状 を
,
策
目標で ある
360km /h に は
2010 年
度 か ら段 階 的 な 高 速 化 を 行 い ,2012
年 度 末 か ら 320km /h の 営業 運 転 を
開 始 す る .こ れ は ,FASTECH360
に よ る 技 術 的 課 題 の 達 成 度 ,環 境 対 策
に お け る 費 用 対 効 果 の 面 か ら判 断 した
る 遠心 加 速
き に 発 生 す る 圧 縮 波 が 音 速 で トン ネ ル
先頭 形状の 延伸
■
/h
内装デザ イン や腰掛 に つ い て も複
検証 を
数 種 類 の も の を 搭載 し ,評 価 ・
行 っ た.
一7一
結 果 で あ る .今 後 の 新 型 車 両 に は
FASTECH360
,
で 検 証 した さ ま ざ ま
な 開 発 品 が搭 載 さ れ る こ と と な っ た .
今 回 の 経 験 を も と に ,基 礎 技 術 か ら 固
め 直 す こ と も 含 め て ,次 の 速 度 向 上 に
向けた技術 開発 を継続して い く,
L
文 献
(1 )特 集 : 新幹 線 高 速化 FASTECH360
総 集 編 ,JR EAST Technical Re −
No .
31 (
2010 )
.
view ,
一
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