走行風を利用した冷却システムを導入した新幹線用主

The Japan
The
Japan Society
Sooiety
of Meohanioal
Mechanical Engineers
Engineers
of
450
日 本 機 械 学 会 誌 2011
s
顳
.6Vot 、114 No .
111i
走 行 風 を 利 用 した 冷 却 シ ス テ 厶 を 導
入 した 新 幹線 用 主 変換装 置
妻
翠
笋
Train −Draft−Cooling
Power Converters
for the SHINKANSEN
High :Speed−Train
[体 素 子 に は GTO (Gate Turn −Off
) 素 子 を 適 用 し ,そ の 後 の
.Thyristor
N700
lnsu−
.70D 系 ,
系で は IGBT (
, t。d G 、t 。 Bip 。 la, T ,
ansi 。t。,) 素
接合 部 の 温度 限 度 は 120 ℃ 程 度 で あ
子 を 適 用 した .主 変 換 装 置 は 単 相 交 流
ある 、
り ,こ れ
k
積 極 的 に 取 り除 く 冷却器 が 必要 な の で
12
を 直 流 に変 換 す る
バ ータ 部 と そ の
直 流 を 三 相 交 流 に 変 換す る イ ン バ ータ
コ ン
鑼
部 に 分 け られ る . (
図 1)
こ れ
加藤 宏和
HirOkazu KATO
そ の 高 速 ス イ
鄲
7
994 年
,
4 月東海旅 客鉄道 (
株 ) 入 社 2005 年
月 新幹線 鉄 道 事 業本 部車両 部車両 課 課 長 代理
.走 行 風 冷 却 主
,2008 年 7 月浜
(車 両 の 電 気 機 器 の 設 計 に 従 事
変換装置 の塁廬 設計 に 関 わる)
松 工 場 電 機職場 職 場 長 ,(
走 行風 冷 却主 変 換 装
置 の 検 修 方 法 の 建 立 に 関 わ る ) 2010 年
幹 線鉄道事 業本部 車両部 車両課課長 代理
■ 主 と して行 っ て い る業 務
・車 両 の 電 気 機 器 の 設 計
ら に は 半 導体 素 子 が 使 用 さ れ
7
月新
・研 究
■ 所 属学会 お よび 主 な活勳
電気学 会
圏 勤務先
東 海 旅 客 鉄道 (
橡 ) 新 幹線 鉄 道事 業本部 車 両
部車両 課
(〒 100・GOO5 東 京都 千代 田 区丸 の 内
1 −91 )
御
して い
,
儷
新 幹線の主 変換 装置 は大出力 で ある
た め に 、冷 却器 も 大 容量 で あ る 、冷却
チ ン グに よ り電 圧 を制
ッ
る .半 導 体 は オ ン
を超 え る と 半 導 体 素 子 は 破 壊
す る ,こ の た め 主 変 換 装 置 に は 発 熱 を
器 を 小 型 化 し て い く こ と が ,主 変 換 装
して い る と
き に も 損 失が 発 生 す る し (
導通 損失),
置 の 軽量 化 につ な が り,車 両 全 体 の 軽
イ
隊
チ ン グ 過程 で も 損 失が 発生す る
量 化 に も つ な がる .よ っ て 冷 却 器 に は
チ ン グ 損 失 ),主 変 換 装 置 は 半
冷 却 能 力 の 高 い 強 制 風 冷 方 式 を 採用 し
;
・
スイ
(
ッ
導 体 素 子 の 低 損 失 化 に従 い ,変 換 効 率
て き た ,こ の 方 式 は 冷 媒を 用 い て
が 向 上 し,N700 系 で は コ ン バ ータ
部 が 約 980/o以 上 ,イ ン バ ータ 部が 約
99 % 以 上 と 高 効率 に な っ て い る , し
,そ
の 熱を大 型の 送 風機 で 強制 的に冷却す
る も の で あ る ,送風 機 を 利用 す る こ と
に よ り走 行条 件 に か か わ ら ず ,常 に 安
か し ,新幹線 の 主 変換 装置 は 高速走 行
定 した 冷 却風 量 が 得 られ る 、そ して 素
を 行 う た め 大 き な パ ワ ーを 出 力 す る ,
子 の 低 損 失 化 を 利 用 し,冷 却 器 も 最 適
最 高 速 度
270Km
/h (
東海道)で の
化 を 図 っ て き た ,近 年で は 沸騰 した 冷
ン バ ータ
ー
部,イ ン バ タ 部 の 合 計 で 約 12kW
東 海 道 新 幹 線 の N700 系 は ,「東 と な る 、こ の 発 熱量 は 家庭 用 の 電 気ス
海 道 ・L]陽 新 幹 線 と し て 最 新 ・
最 良 ・ トー ブ が 約 1200W
程度と考える
2007
、
最 速 の 車 両 」 と して 開 発 さ れ
と , O 台 程 度 の 発 熱 量 と な る .一方 ,
ー
年 7 月に デビ
し た .そ の N700
熱 の 発 生 源 で あ る 半 導 体 素 子 の PN
発熱量 ) は コ
走行 中の 損 失 (
ュ
媒 を ヒ ー トパ イ プ で 熱 交 換 器 へ 送 り ,
送 風 機 に よ り冷 却 す る 方 式 が主 流 と
な
っ
て い る.
N700
系 開発 当時
主 変 換装 置 の
冷却 は これまで の 技術 的な流 れの とお
り ,送 風 機 に よ る 強 制 風 冷 で 冷 却 器 の
系 の 動 力源で あ る 主 電 動機 を 制御 す る
主 変換装 置 に は 高 速 車両 と し て は 初 め
主 変 換 装置
て の走 行風 で 冷却 す る方式 を導 入 して
い る ,以 下 に 装 置 の 概 要 と 開 発 経 緯 を
示す.
1
,・主 変黼
匹 」
主変圧器
匡 」
3
とは
「
主 変換装 置 とは 主電動 機を 可変速 制
御 す る た め に 電 圧 ,電 流 、周 波 数 を 変
は 東 海 道 新幹 線 で は
線車 両 か ら採 用 さ れ
300
,そ の 主
系新幹
一
1
喝
主 電動機 ×
、
亀
\ダ イ オ ー
Jに
換 す る 重 要 な 装 置 で あ る ,そ の 主 変 換
装置
」
・一
、
:1 ン
要な半導
バ
図
一 34 一
ータ ィ ン バ ータ
1 主 変 換 装 置 の
lGB丁素 子
内部 回 路概 要図
一
NNII-Electronic
工 工 Eleotronio
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of
6 Vo1.
114 No .
1111
日本 機 械 学会 誌 2011,
451
主 変 換 装置
(
側 面 図)
導風ス
ロ
f
嚇
走 行風
の
半 導 体素 子
ープ
導 風
鱗
ー
ス ロ
織
’.
一
鱒
k
流れ
ア ル
ミ 冷却 フ
ン
ィ
図 3 主変 換装 置 模式 側 面 図
走行 風 冷 却 方 式 )
図 2 N700 系 主 変 換 装置 (
.
[
…
比
率
「
100
100
80
60
40
20
0
図
小 型 化 を 進め て い く こ と が 確実 か つ 常
識 的な 方 向性 だ っ た .
4 主 変 換 装 置 重 量 変 遷
1li
3・
系 量 産 車 へ の 適 用 を 実 現 し た .図
行風冷 却方式 の 開
が実 際の
N700
2
系 の 主 変 換 装置 外 形
行 風 を う ま く活 用 で き れ ば ,十 分 な 冷
におい て 車体近傍 の 走 行風の解 明 に着
,図 3 が 側 面 か ら 見 た 模
式 図 で あ る ,中央 に あ る の が冷却器 で
あ り,
そ の 前後 に 導 風 ス ロ ープ を 設 け 、
却 性能 が 得 ら れ る 可 能 性 が あ る .そ う
手 した .車 両 の 各 部 に 風 速 測 定 用 の ピ
冷 却 器 に走 行 風 を 効 率 よ く導 いて い る .
しか し,少 し見 方 を 変 え る と 新 幹 線
は そ も そ も 高 速 走 行 し て お り ,そ の 走
写 真で あ る
400m
最 初 に 16 編 成 (
トー管 を 取 D 付 け て 測 定
す れば 大 型 の 送風機 を廃 止 で き る .そ
)の 車両
した ,そ の 結
1
こ で 周 辺 技術 を 調 べ た が ,新 幹 線の よ
果 ,編成 後 部 に 行 く ほ
う な 大 容 量 の 主変換 装 置 に 走 行風 冷 却
る が,最 後 尾 で も 冷却 に は十 分 な 風 速
方 式を採 用す る こ と は国内外 で 前 例が
が あ る こ とが 確 認 で き た .そ の 次 に ,
な か っ た .と い う の は 車両 の 側 面 や 床
この
風 を 取 り込 む 構 造 を 検 討 す る た
礎検討か ら着手 し ,試作 ,試験 を 繰 り
下 で は ど の 程 度の 風 速 が あ る の か 不明
め ,小型 の 模型 を 作 り風 洞 試験を 実 施
返 し ,走 行風 冷 却方 式の 主 変換装置 を
で ,さ ら に
400m
(
16
) で あ る た め に 先 頭 か らの 距
離 に よ り風 速 が 変 わ る か に つ い て も 不
明で あ
っ
た ,さ ら に高 速 時 な ら風 量 は
・・ま と め
従 来 と は 異 な る 方 向 性 を 見 出 し,基
くた め に 適 切 な 構 造 を 設
実 用 化 した .そ の 効 果 を 重 量 で 示 す .
け れ ば.十 分 な 冷 却 風 を 取 り込 め る と
700 系 の 強 制 風 冷 方 式 の 主 変 換 装 置
を 100 と す る と 、素 子 の 低 損 失 化 を
両と い う 長大編成
した
,風 を 導
ど風 速 は 低下 す
い う知 見 を 得 た ,
そ して 実 物 大 の 主 変 換 装 置 の モ
ッ
ク
活用 し開 発 し た N700
系強制風冷方
多 い が 、駅 近 傍 の 低 速 走 行 時 に 風 量 が
ア ッ プ を 製 作 し ,700 系 新 幹線 車 両
式 が 77 ,そ
足 りる か ,装 置 内 部 へ 冷 却 風 を 取 り込
に 搭 載 し,
冷 却風 の 取 り込 み 状 況な ど 、
た 走行風 冷 方式 が
むため に は どの よ うな構 造 と する か に
実 機開 発 に向 け た 必 要 デ ータ を 取 得
量 化 を 達 成 し,新 幹 線 車 両 の 走 行 性 能
し
く ,八 一 ドル は 高 い
し ,さ らな る 技 術 的
換 の あ る 走 行 風 冷 却 方 式 の 主 変換 装置
な 飛 躍 を 目指 し走 行 風 冷方 式 へ の 挑 戦
を 製作 し,現 車 試験 を 実施 し ,そ の 結
を 開 始 した .
果 を 反 映 した 試 作
つ い て も知見 はな
もの だ
っ
た .しか
た ,さ ら に
700 系の 主 変換 装置 と 互
2
こ か ら冷 却 方式 を 変 更 し
68
向上 に 寄与 して い る
と い うよ うに 軽
(
図 4 ).
N700 系
先 行 試 作 車 で 現 車 試 験 を 行 い ,十 分 な
性 能 で あ る こ と が 確 認 で き た .そ し て
開 発 開 始 か ら 約 8 年 間 を 経 て N700
号機 を
1
一 35 一
一
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