鉄道車両用動揺防止制御システムの開発 藤野 謙司 105

The Japan
The
Japan Society
Sooiety
of Meohanioal
Mechanical Engineers
Engineers
of
396
6 Vol.
105 No .
2002 ,
1003
日本 機械 学 会 誌
一
An Active SuspensionSystem for
Railway Vehicles
幹線 車 両 の 新 技 術
一
鉄 道車 両 用 動 揺 防止 制 御 シ ス テ 厶 の 開発
1
の改 善の た め に は
‘
燗
・
サスペ ン シ
(株 ) (
以下
新 幹線 八 戸 開 業 に よ り ,更 な る ネ
ワ ーク 拡 大 を め ざ
ッ
する こ と に よ
て 対 応 して き た が
っ
,高
,車両 側 で の 対 応 が 望 ま れ て い
る ,だ が ,最 適 な サ ス ペ ン シ ョ ン を検
討 して も ,現 時 点 で は 2 次 ば ね 系 ,特
に空 気ば ね 系 の 固有 振動 数 で あ る 1 〜
ト
3Hz の 振動 成 分 を さ ら に大 幅 に 低 減 す
,新
る こ と は 難 し く 、飛 躍 的 な 乗 り 心 地 改
は 高速 化 に よ る 到 達 時 分の 短 縮
,車 内 快 適 性 等 の サ ービ ス 向 上 が 求
め られて いる .
こ れ らの 要 求 ,要 望 に
.
し
対 ,こ れ ま で 採 用 さ れ て い な か た
を適切 に 選定
くため
,新 幹 線 車
トワ ーク 拡 大
に 伴 い 新 車両 の投 入 が行わ れ る が
の台 車 を構 成す
精 度 な 軌 道 管 理 は 大 幅 な コ ス ト増 を 招
して い る
両 に つ い て も ,こ の ネ
車両 に
ッ
,軌 道 の 精 度 向 上 や
ン と して
・ダ ン パ 等 の 特 性
るば ね
,JR 東
ー
日 本) の 新 幹 線 ネ ッ トワ
ク は ,現 在
東 北 ,秋 田 ,山 形 ,上 越 ,長 野 の 5 方
面 に 伸 び て い る が ,2002 年末 の 東 北
東 日 本 旅客 鉄 道
ョ
善の た め に は ア ク テ ィ ブ サ ス ペ
や
ンシ
ョ
ン の 開 発 が 不 可 欠 で あ り ,ア ク テ ィ ブ
制 御の 技術 を 用 い た 空 気 圧 式 の 車 両 動
揺 防止 制 御 シ
ス テ ム を 開 発 し ,導 入 す
新 技 術 を 導 入 す る こ と に よ り解 決 を 図
る こ と と した
.
る も の も あ り ,本 稿 で は 特 に 高 速 走 行
ア クテ ィ ブ制御の 概 要
時 の 乗 り心 地 向 上 に 関 す る 新 技 術 に つ
い て 紹介 する .
に適する
っ
1
鉄 道 車 両 用 動 揺 防 止 制 御
シ ス テ ム の 開 発 と導 入
鉄道 輸 送
にお いて
,今 日 高速 化 の
D ,新 幹 線 車
へ
「H
。 。
車 両の 動揺防止
には
,1 〜3Hz
状 況 の 中 ,高 速 走 行 時 に 良 好 な 乗 り心
地を 提供 す る こ とは
、鉄 道 事 業 者 と し
て 非 常 に 重 要 な 課 題 で あ り ,ま た 務 め
で も あ る .従 来 ,鉄 道 車 両 の 乗 り 心 地
図
1 藤 野 謙 司
Kenji FUJINO
1965 年 11 月 生 ま れ
1989 年 東 京工 業 大 学 工 学部制 御 工 学 科 卒 業
1991 年 東 京 工 業 大 学 大 学院 理 工 学 研 究 科 制 御 工 学
専攻修 了
■ 主 と して 行 っ て い る 業 務
研究
新 幹 線 車 両の 開発 設 計
■所 属 学会 お よ び 主 な 活 動
計 測 自動 制 御学会
日本 鉄 道 車 両 機 械 技 術 協 会
■勤務先
東 日本 旅 客 鉄道 (
株〉
鉄 道 事 業 本 部 運 翰 車 両
部 企 画 課 車 両 開発 PT 主 席
(〒 151 8578 東京 都渋 谷 区代 々 木 2 2 2 /
E mail :k fujino
@jreast
co jp)
・
・
・
,
−
・
−−
..
とに よ り 減衰 力 を変化 さ せ る セ ミ ア ク
テ ィ ブ 制 御 と ,車 体 の 振 動 を 外力 に よ
り積 極的 に 打 ち 消 す フ ル ア ク テ
ィ
さ せ ,そ も そ も 制 御 で き な い 高 い 周 波
御 が あ る が ,本 稿 で は フ ル ア ク テ
数 帯に対 して は 制御 による 悪 影 響を 小
制 御 を取 り上 げ る こ と と す る .
は ,こ の
うした
の 低
い 周波 数帯 の動 揺成 分 を効 果 的 に低 減
両 に お い て も JR 各 社 が 盛 ん に 最 高 速
.こ
/
.
\
ん\
−
制 御」を採 用 して い る .
さ く す る よ う に して い る
て いる
\
ア ク テ ィ ブ 制 御 理 論 は ,振動 の 制 御
取組 み が 種 々 行 わ れ て お
度向 上 の 研 究 を 行 っ
一
,「HQ
。
制 御」
「
周 波 数 整 形 問 題 」 と 呼ば れ
る 問題 を解 く こ と に 適 し た 制 御 と し
,い く つ
した .
かの制 御理 論 の 中 か ら 採用
な お ,ア
ク テ ィ ブ制御 に は
て
フ ル ア ク テ ィ
欄成
フル ア クテ
ィ
ブサス
,従来 の サ ス ペ
は
ブ制 御 シ ス
ペ ン シ ョ ン
ン シ ョ ン
振 動 に 対 し ,ダ ン パ 定 数 を 制御 す る こ
フ ル ア クテ ィ ブ制御 シス テ ム の 構 成
ブ
ィ
テ厶の
と
が レ ール か
らの 外 乱 を ば ね や ダ ン パ を 用 い て
,車 体 の
ブ制
,車
体の 振動 を受 動的 に遮 断 して い るの に
し .フ ィ ー ドバ ッ ク制 御 に よ り
対
,外
部 か らエ ネ ル ギ ー (空 気 圧 ) を 供 給 し
て
振 動 を積 極 的 に打 ち 消 す も
る
,フ ル
の で あ
ア ク テ ィ ブ制 御 シ ス テ ム の 主
,空 気 圧
に よ D 車 体の 動
揺を制御 す るア クチ ュ
エ ータ と 制御 効
な 構 成 要素 は
果 向上 を 目的 と し た 切 替 ダ ン パ
振 動 を測 定す る 加速 度 セ ン サ
,車 体
,加 速 度
デ ータ か ら 制御 信 号 を 演 算 し て 送 り 出
す 制 御 器 と ,制 御 信 号 に 応 じ て ア ク チ
ュ
1L
.一
エ
ータ へ
ア クチ
ノ
一 18 一
ュ
エ
空 気 を 送 る 電 磁 弁 で ある
ータ と 切 替 ダ ン パ
一
.
は台車 と
NNII-Electronic
工 工 Eleotronio
Library Service
Library
The Japan
The
Japan Society
Sooiety
of Meohanioal
Mechanical Engineers
Engineers
of
397
2 フ
図
ル
ブ制 御 の 構 成 図
ア クテ ィ
車体
制御器
元だめ
割 卸弁
→
・
左右
上下
加速度 セ ン サ ア クチ
ータ 切
エ
ュ
ダ ン ノ
発 生 力3KN
最 大8KN
車 体 間 に 配 置 し 、制 御 器 と 加 速 度 セ
ン
る .フ ル ア ク テ
1 ,2
成 図 を図
3 フ ル ア ク テ
図
サ ,電 磁弁 は 車 体 に 取 り付 け ら れ て い
ィ ブ制御 シ ス テ ム配 線
・
加速度 セ ン サ
左右
上下
ブ制 御シ ス テ ムの構
ィ
に 示 す ,ま た ,こ れ ら
,
}海
フ ル ア ク テ ィ ブ制 御 シ ス テ ム の
1 /
ア ク チ
エ ー
タ
ン
魁
パ
.
’.
「
丶
!
r 陪
)
ブ制御 シ ス テ ムを 実際
ィ
替 ダ
回
ュ
クテ
.
_
走行 試験結 果
フ ル ア
一
國
の 機 器 の 車体 配 線 ,配 管 を 含 め た 構 成
図を図3 に 示す
・配 管 構成 図
の 車 両 に 搭 載 し ,東 北新 幹線 区 間 で 乗
り心 地 測 定 試 験を 実 施 し た .そ の 試 験
結 果 を 図 4 に 示 す .こ の デ ータ は
度 275km
/h ,直 線 明 か
,速
D 区 間 (トン
匯
の で あ る ,最 後尾 車両 の デ
て い る の は ,走 行 に よ
っ
ータ と な っ
,そ
の ため
一1
1tSbV
510
0
15 20 25 30 35
時 間 秒
迄 1E
O.
5
鬯
o
蠡 自 動 車で は 普通 の 技 術 とな っ て い る
ア ク テ ィ ブ サ ス ペ ン シ ョ ン だ が ,鉄 道
侭
車 両 で は よ うや く導 入 が 始 ま っ た と こ
渾
を積極 的 に
}O .
5
一10
510
15 20 25 30 35
時 間 秒
ブサ ス ペ ン シ ョ ン
は ,本格 的 に 導 入 し た 車 両 が こ れ ま で
た
区間 最 後 尾車 両
か り
一〇、
5
侭
‘
・
っ
ン に よ る乗 り心 地 改 善 試 験 結 果
贏
こ とがわ かる ,
存在 し て い な か
ショ
ロ
尺
D 心 地 の 改 善 が 図 られ て い る
ィ
ン
鬮
と に よ り 左右振 動加 速度 が抑制 さ れ て
抑 え る フル ア クテ
ブサ ス ペ
.
5o
展
よ う に ,ア ク テ ィ ブ制 御 を 導 入 す る こ
.特 に ,車 体 動 揺
:
速 度 275kmfh 直線 明
10
ω
E
か らで あ る .こ の 結 果 を 見 て も わ か る
ろで ある
ル ア クテ ィ
、
N
に 最後尾 車 両 がも っ と も 振動が大 きい
お り ,乗
空 気 配 管
:
図 4 フ
て 車 体側 面 を
流 れる風 が車両後 方で 乱れ
一
信 号線
ネ ル 以 外 の 区 間 ) で の 最 後尾 車 両 の も
元 だめ
.JR 東
日本で は ,
八 戸 開 業用 に 先行開 発 した
E2
系
1000 番 代車 両 1編 成 に ア ク テ ィ ブ サ
ス ペ ン シ ョ ン を 搭 載 し .す で に 営 業 列
車 と し て 運行 し て い る .ま た ,今後 は
最 高 速 度275km /h で 走 行す る E2 系 ,
E3 系 全 編 成 に ア ク テ ィ ブ サ ス ペ ン シ
・セ
ョ ン を搭 載 す る 計 画 で あ る .フ ル
ミ ア ク テ ィ ブ サ ス ペ ン シ ョ ン は ,具 体
ー
的 に は 両 先 頭車 両 と グ リ ン 車 両 に は
E2 系 車 両 に は ,こ れ も 車 体 振 動 抑 制
l・
t − ” に ぼ■ コ
ゆおニヰ
刧 罘の め 勾 學 怦 囘 ツ ンハ V 掲 軌 り .
こ れ ら 機 器 の 搭 載 に よ り ,275km /h
フ ル ア ク テ ィ ブ サ ス ペ ン シ ョ ン が ,そ
とにな る
の
他の車両 に は セ
ン シ ョ ン
ミ ア クテ ィ ブサス ペ
が 搭 載 さ れ る ,ま た
一 19 一
,一部の
ae
サ
や
フ
で の 乗 り心 地が 飛躍 的 に 向 上 す る こ
乗
.一度 ,ア
D心 地を体験
しよ うか
クテ
ィ
ブ制御の
してみ て は い か がで
.
一
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