生命科学探究講座

第2章
生命科学探究講座
大 矢 美 香
質問2 今日の授業の内容に興味が持てましたか?
1.目 標
(%)
1
2
3
4
学校特設科目である SLP Ⅱでは、1年生で「自然と科
2013
59.71
34.07
5.49
0.73
学」の授業を行う。生物学、物理学、化学、地学といっ
2012
44.76
44.35
7.66
3.23
た自然科学だけではなく、社会学、人文学など様々な観
点から、論理的・多元的・批判的思考力を育成するこ
質 問 3 何 か 新 し い こ と を 発 見 す る こ と が で き ま し た か?
とで、科学的リテラシーの獲得を目指した。そのため、
(%)
1
2
3
4
SLP Ⅱでは、知的好奇心を喚起し、既存教科の学びに
2013
48.00
43.22
6.59
2.20
対する意欲を向上させることを目指している。そこで、
2012
47.18
43.95
8.06
0.81
ASP では SLP Ⅱよりさらに、専門的、発展的な内容を扱
うことによって、人間・自然・社会に関する深い科学的
質問4 授業後に自分で調べてみたいという気持ちが生まれましたか?
理解力を育成することを目指した。本講義では、さまざ
(%)
1
2
3
4
まな領域の生命科学に関する講義から統合的に考え、生
2013
30.77
49.45
17.95
1.83
命とは何かという探究へとつなげることを目標とする。
2012
23.89
44.53
25.91
5.67
2.学習方法
質問5 授業に意欲的に取り組むことができましたか?
生命科学探究講座では、名古屋大学農学部と名古屋大
(%)
1
2
3
4
学博物館の先生方に、生命に関する専門的な話をしてい
2013
40.89
53.16
3.35
2.60
ただいた。第1回から第6回までを第1部として、博物
2012
20.33
66.37
6.49
2.65
館において骨格標本や顕微鏡標本などを実際に手で触れ
ながら講義を受講し、植物や動物の進化や多様性につい
本年度の結果を見てみると、質問4を除いて、「大変
て学んだ。第7回から第10回までを第2部とし、附属
そう思う」と「だいたいそう思う」と答えた生徒の割合
高校において栄養や生物発光など生命についての様々な
は全体の 90%以上を占めている。また、昨年度と比較
講義を受けた。
をしてみても、「大変そう思う」、「だいたいそう思う」
と答えた生徒の割合は、全ての項目において上まわって
3.実践内容
いる。このことは、授業内容に対する生徒の高い意欲と
興味関心を読みとることができる。受講する生徒は毎年
第一章の付表参照
変わるので、単年度の比較はできないかもしれないが、
4.成果と課題
質問1、5に関しては、昨年度に比べて大幅にポイント
次の表は一回毎の授業後に生徒へ実施したアンケート
が高くなっている。理解ができれば、意欲的に取り組む
の集計である。「大変そう思う」を1、
「だいたいそう思
こともできるというように、この2つの質問は連動して
う」を2、「どちらともいえない」を3、
「あまりそう思
いる。それらの項目のポイントが上がった理由は、教え
わない」を4として集計したところ、以下のような結果
てくださる先生方がいろいろな工夫をして、よりわかり
を得た。
やすく授業を進めてくださっていることが考えられる。
生徒に実施したこれらのアンケートを、先生に送り、生
徒の意見や感想を知っていただいていることも、より分
質問1 今日の授業内容はよく理解できたか?
(%)
1
2
3
4
2013
42.49
52.75
4.03
0.73
また、このアンケートの自由筆記の項目から生徒の声
2012
25.73
61.27
7.69
3.64
を抜粋すると「写真が多くて想像しやすかった。
」
「授業
かりやすい授業の一助になっているのではないか。
中わからないこともあったけれど、資料をたくさん見せ
てくれたので楽しくできた。」
「自分の手で観察すること
が楽しかった。
」「実際に自分の目で見て、さわって、話
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生命科学探究講座
を聞くことで、理解しやすかった」「博物館の展示物を
見ながらの解説は分かりやすく、とても興味が沸いた。
」
など、ASP の特徴である、実物を見たり触ったりでき
ること、貴重な資料や写真を活用することによって、よ
り生徒の理解が深まっていることがわかる。また、「学
校の授業で習ったことも含まれていたので、より理解が
しやすかった。
」
「生物の授業で習ったことや、テレビ
や新聞で見聞きして知っていた情報の上に、新たな考え
方や正しい情報を得ることができた。
」「以前、名大の植
物園の講座に行き、今日のお話を聞き、話の内容をより
深めることができた(中1で自由研究のテーマにしまし
た)
。」などのように、既存教科や SLP Ⅱと関連付けを
しながら、学びをより発展させるという ASP の目標の
1つに近づいていると考えられるような感想もあった。
しかしながら、このアンケートだけでは、生徒がこの
講座を受講後、興味や進路意識が明確化したか、あるい
はどのように変化したかという点は読みとることができ
ず、今後、アンケート項目を工夫するなどして、そのよ
うな点も明らかにしていくことが必要であると考えられ
る。
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