Ⅰ膀胱平滑筋腫 症例 33 歳の女性が年に 1~2 回の無症候性血尿のため入 院した(1970 年). DIPでは上部尿路に異常はなく、膀胱部に球形の 辺縁鮮明な陰影欠損を認めた(図1).空気膀胱造影 と後腹膜気体注入および断層撮影1)では、大きな腫瘤 が描出された(図2).膀胱腫瘍の診断で膀胱部分切 除を行った.病理組織診断は平滑筋腫であった2)(図 3). 考察 原発性膀胱腫瘍は大多数が上皮性腫瘍であり、平滑 筋腫は全膀胱腫瘍の 0.3%程度といわれている3).石田 ら3)は 2003 年に本邦の平滑筋腫 151 例を集計している. それによれば、男女比は 1:1.96 で女性に圧倒的に多く、 好発年齢も女性の方が男性より若年であり、子宮筋腫の 好発年齢と一致する.臨床症状は頻尿、血尿、排尿痛や 排尿困難などが多いが、近年人間ドックでの発見も増加 する傾向にある3).診断は画像診断と膀胱鏡でなされる が、悪性を否定するためには生検も必要とされる.治療 は腫瘍核出術や膀胱部分切除などの開創手術が約 3 分 の 2 であるが、腫瘍が小さければTUR-Btも行わ れ、最近ではその頻度が増加している3). 本症例は第 330 回日本泌尿器科学会東京地方会で報告した (1970年) 文献 1)楠 隆光:小泌尿器科学、第四版、金原出版、東京、1966 2)Koss L.G.:Tumors of the Urinary Bladder .Atlas of the tumor pathology 2nd series Fascicl 11 AFIP Wasington D.C. 1975 3)石田健一郎、柚原一哉、蟹本雄右;膀胱平滑筋腫の 3 例-本邦 151 例の検 討-. 泌尿紀要、49:671-674、2003 Copyright© Noriharu Mikata 2015 All Rights Reserved.
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