公共交通を利用して、 誰もが安心して出かけられる、 交通環境

2.持続可能な地域公共交通網の形成に資する地域公共交通の活性化及び
再生の推進に関する基本的な方針
1)日進市の交通将来像
第5次日進市総合計画(計画期間H23~H32)では、『いつでも暮らしやすい みどりの住環境都市』
を将来都市像に掲げ、総合的かつ計画的な土地利用の展開を進めています。また、日進市都市計画マ
スタープラン(目標年次H32)では『「ベッドタウン」から多様な世代が暮らし続けることができる「生
活環境が豊かで充実した都市」への再構築をすすめる』を都市づくりの理念に掲げ、集約的・効率的
な土地利用の実現とにぎわいとふれあいを生み出す新たな都市拠点形成をめざしています。そして、
第5次日進市総合計画の基本計画に定めた「にぎわいのある中心核形成プロジェクト」の実現をめざ
しています。
これを踏まえ、本市の地域公共交通体系については、鉄道及び路線バスを公共交通体系の公共交通
軸とし、くるりんばすやタクシー等の交通機関が相互に連携し、市民の生活行動に応じた利用しやす
い公共交通ネットワークを形成することで、
「公共交通を利用して、誰もが安心して出かけられる、
交通環境が充実したまち」の形成をめざすこととします。
そして、将来的にも公共交通が維持されるため、市民・行政・交通事業者がそれぞれの立場を尊重
しつつ、利用者の視点から公共交通ネットワーク形成に向けた三位一体の取り組みを実施するなかで、
市民生活に必要な公共交通を皆で育んでいく必要があります。
図 2-1 日進市がめざす地域公共交通体系の将来像(再掲)
いつまでも暮らし
やすい みどりの
住環境都市
日進市の
交通将来像
公共交通を利用して、
誰もが安心して出かけられる、
交通環境が充実したまち
67
2)公共交通の役割
本市は、名古屋市のベッドタウンとして住宅地開発が進み、人口は平成 26 年現在約 8.6 万人とな
っており、今後もしばらくの間増加傾向が継続すると予測されます。一方で、開発から年数が経過し
た住宅団地を中心に、既に高齢化が進行している地域もあり、高齢者をはじめとした移動制約者の移
動手段の確保が重要な課題となっています。また、市内をはじめ隣接市には複数の大学や高等学校が
立地しており、通勤・通学を主体に広域的な移動需要が存在します。
このような中、市内の鉄道駅の乗車人員は増加傾向にあるとともに、路線バスやくるりんばすは市
民の日常生活における移動手段として定着しており、くるりんばすの年間利用者数は 50 万人を超え
るに至っています。これからのまちづくりは、高齢社会に的確に対応し、将来にわたって活力ある地
域社会を築いていく必要があり、公共交通の維持・改善は、市民の移動手段を確保し、市民が安全・
安心に暮らすことが出来る生活環境を確保するとともに、交流人口を増やし、地域の活力を高めてい
く上で必要不可欠なものです。
本市では、「いつまでも暮らしやすい
みどりの住環境都市」を将来都市像に掲げ、集約的・効率
的な土地利用の実現と、にぎわいのある中心核形成プロジェクトの実現をめざしています。
さらに、隣接する長久手市や東郷町においても、面整備等による新たな拠点形成が進められるとと
もに、愛知医科大学を拠点とする路線バスの再編計画も予定されています。
これからは、本市がめざす将来都市像の実現に向け、市民、地域、大学等、行政及び交通事業者が
連携することで、市民が日常生活を送る上で必要となる移動手段の確保に加え、活力ある持続可能な
地域社会の構築に向け、広域的な視点からまちづくりと連携した公共交通体系の構築が必要と考えら
れます。
米野木駅
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3)地域公共交通の基本方針
本市がめざす都市像や公共交通が果たすべき役割を踏まえ、以下の5点を日進市地域公共交通計
画の基本的な方針とし、公共交通の活性化及び再生を図ります。
日進市における公共交通維持・活性化の基本方針
「公共交通を利用して、誰もが安心して出かけられる、交通環境が充実したまち」
の実現に向けて…
基本方針 1
高齢社会への対応として、誰もがわかりやすく、安全で利用しやすい
公共交通とします。
基本方針 2
移動ニーズへの対応として、周辺市町への移動がしやすい公共交通ネ
ットワークを形成します。
基本方針 3
公共交通の利用促進として、魅力的な移動環境を創出します。
基本方針 4
まちづくりとの一体化により、
「いつまでも暮らしやすい みどりの住
環境都市」の実現に向けた戦略的な公共交通体系を構築します。
基本方針 5
多様な主体の連携により、持続可能な公共交通維持システムを構築し
ます。
基本方針
1
高齢社会への対応として、誰もがわかりやすく、安全で利用しやすい公
共交通とします。
● わかりやすいルートやダイヤとするとともに、バスで行くことができる目的地やバス運行状況等
の情報提供の充実を図り、高齢者をはじめ、誰もがわかりやすく、安全で公共交通を利用しやす
い環境を創出する必要があります。
基本方針 2
移動ニーズへの対応として、周辺市町への移動がしやすい公共交通ネット
ワークを形成します。
● 商業施設等、集客力の高い施設へのアクセス需要の方向を踏まえつつ、鉄道や周辺市町との連携
を強化した広域ネットワークを形成する必要があります。
基本方針 3
公共交通の利用促進として、魅力的な移動環境を創出します。
● 本市において、個々の交通手段に求められる役割を明確にするとともに、総合的な交通体系の視
点から、コミュニティバス「くるりんばす」のみにとどまらず、鉄道、路線バス、タクシー等の
多様なモードが連携した総合交通体系の構築を図る必要があります。
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基本方針 4
まちづくりとの一体化により、「いつまでも暮らしやすい みどりの
住環境都市」の実現に向けた戦略的な公共交通体系を構築します。
● 環境負荷の低減、財政負担の軽減といった諸課題に対応するべく、集約型都市構造の構築が求
められており、くるりんばすをはじめとする地域公共交通には、移動手段のみならず、地域づ
くり戦略、商業振興、観光振興、福祉政策等、様々な役割を果たすことが求められています。
● 地域公共交通がこれら期待される役割を担っていくためには、交通事業者のみにその役割を委
ねるのではなく、地域の総合行政を担っている地方公共団体が牽引的役割を果たす中で、まち
づくり等、様々な分野と連携した戦略的な交通計画を策定する必要があります。
基本方針 5
多様な主体の連携により、持続可能な公共交通維持システムを
構築します。
● 本市においては、地域公共交通会議やその下部組織である生活交通部会において、市民参加の中
でくるりんばすの見直し・改善が行われてきました。また、大学の研究室と連携し、モニタリン
グ調査を行い、くるりんばすの見直しに向けたデータ収集が行われています。しかし、行政が牽
引的な役割を果たす中で、交通事業者の自主路線を含む形で策定された地域公共交通計画を具現
化するためには、関係者が計画理念を共有し、協議会等において計画の実効性を担保するととも
に、多様な関係者による協議を通じ、相互の信頼関係が構築されていることが重要となります。
● 特に、運転手の不足からせっかく立案した計画が実現にいたらないといったケースが発生してい
ることを鑑みると、計画策定の段階から自治体と交通事業者が意思の疎通を図るとともに、市民
を含む関係者が地域公共交通を支えるために総力をあげて取り組むことが重要です。
● すなわち、委託者・受託者、自治体主導・事業者主導といった考え方や、事業者(自主)路線・
補助路線・委託路線といった従来の枠組みから脱却し、対等の立場で地域公共交通の活性化・再
生に向けて取り組むパートナーシップに基づく持続可能な公共交通維持の仕組みを構築すること
が重要となります。
図 2-3 各主体の役割と連携
市
地域
民
大学等
連携・協力
(関係団体等)
交通事業者
行
(鉄道、バス、タクシー)
政
(国、県、市)
日進市地域公共交通会議
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<各主体の役割>
主体
公共交通会議
生活交通部会
果たすべき役割
各主体の代表者より構成され、計画・事業の推進、計画進捗管
理、実施状況の点検・評価等を実施
地域住民により構成され、行政、交通事業者の支援の下、個別
路線の評価を実施し、改善策及び見直し案を検討
日進市の将来交通像を行政や交通事業者等関係者間で共有し、
市民・コミュニティ
公共交通により享受できるサービスを理解した上で、利用促進
に向けた主体の取り組みを実施
日進市地域公共交通会議が策定する計画への助言を行うとと
大学等
行
もに、必要に応じモニタリングの支援を実施
政
日進市の将来像を支える公共交通のあり方を明確にし、鉄道・
路線バスを含む公共交通体系を総合的にコーディネート
日進市の将来交通像を行政や市民等関係者間で共有するとと
交通事業者
もに、本市が策定・実施する交通施策を踏まえ、交通事業者と
してのノウハウを活用した提案を実施
3.計画の区域と計画期間
本計画の計画区域は、日進市全域を基本としますが、市内バス路線が運行する周辺市町の一部を
含んだ区域を対象とします。
本計画は、本市がめざす将来都市像を見据え、これを支える公共交通計画を策定するため、上位・
関連計画である日進市総合計画及び都市計画マスタープランの計画期間との整合を図り、本計画の計
画期間は平成27年度~32年度までとします。
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4.計画の目標
都市の将来像
いつまでも暮らしやすい
みどりの住環境都市
日進市の
交通将来像
公共交通を利用して、誰もが安心して
出かけられる、交通環境が充実したまち
公共交通の基本方針
公共交通ネットワークのサービス水準
1高齢社会への対応として、誰
もがわかりやすく、安全で利
用しやすい公共交通としま
す。
2移動ニーズへの対応として、
周辺市町への移動がしやす
い公共交通ネットワークを
形成します。
z 公共交通軸として機能する鉄道及び路線バ
スについて、その機能を維持します。
z 各地域と中央エリアのアクセスについて、ネ
ットワークを再構築します。
z くるりんばすは、現在の7コースをベースに、
市民の生活行動、利用実態を踏まえ、路線を
再編します。
3公共交通の利用促進として、
魅力的な移動環境を創出し
ます。
目標とする成果指標
[目標年次:平成 32 年]
4 まちづくりとの一体化によ
り、「いつまでも暮らしやす
い みどりの住環境都市」の
実現に向けた戦略的な公共
交通体系を構築します。
● 日頃バスを利用する人※の割合
幹線バス
33%[H25]
⇒
35%以上
地域交流交通
39%[H25]
⇒
40%以上
● 公共交通利用の不満割合
5多様な主体の連携により、持
続可能な公共交通維持シス
テムを構築します。
幹線バス
39%[H25]
⇒
35%以下
地域交流交通
45%[H25]
⇒
40%以下
※年に数日以上の利用がある人
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