平成 26 年度 家庭用品規制基準調査 アゾ染料に由来する繊維

平成 26 年度 家庭用品規制基準調査
アゾ染料に由来する繊維・革製品中の特定芳香族アミン類分析における残存イソシアネー
トの影響に関する検討
国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明
-------------------------------------------------------------------------------概要
特定芳香族第一級アミン類(Primary Aromatic Amines: PAAs)を生成する可能性のあ
るアゾ染料の規制に関して、その公定法の試験操作過程において、ある種のイソシアネー
ト化合物から特定 PAAs が生成する可能性が指摘されている。そこで、3 種類のイソシアネ
ート化合物(toluene-2,4-diisocyanate: 2,4-TDI、toluene-2,6-diisocyanate: 2,6-TDI およ
び 4,4'-methylenebis(phenyl isocyanate): 4,4’-MDI)を特定 PAAs 分析法に従い処理し、そ
れらに対応する PAAs(2,4-toluenediamine: 2,4-TDA、2,6-toluenediamine: 2,6-TDA およ
び 4,4’-methylenediamine: 4,4’-MDA)が生成するかどうか測定した。その結果、2,4-TDI
および 4,4’-MDI が、家庭用品規制法で規制対象とされる家庭用品中に多量に存在しても、
試験操作過程で特定 PAAs である 2,4-TDA および 4,4’-MDA が規制値(30 μg/g)を超え
る濃度で生成する可能性は極めて低いと考えられた。そのため、ポリウレタンを使用した
繊維製品の分析時に特定 PAAs、特に 2,4-TDA および 4,4’-MDA が検出された場合には、
残留イソシアネート化合物が分析操作過程で特定 PAAs に変化したものではなく、それら
はアゾ染料に由来したか、もしくは既に製品中でイソシアネート化合物が特定 PAAs に変
化して存在していた可能性を考える必要がある。