平成 25 年度 家庭用品規制基準調査 ポリウレタンを使用した繊維

平成 25 年度 家庭用品規制基準調査
ポリウレタンを使用した繊維製品中の残留イソシアネート化合物の実態調査
国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明
-------------------------------------------------------------------------------概要
現在、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(有害物質含有家庭用品規制
法)」において、繊維製品中のアゾ染料由来の特定芳香族第一アミン類(PAAs)の規制基
準の策定に関して審議が行われている。この特定 PAAs 分析に際して、アゾ染料以外に由
来する特定 PAAs の影響を考慮する必要がある。特に、特定 PAAs を生成する可能性のあ
るポリウレタン原料のイソシアネートモノマーの繊維製品中の残留実態は不明である。そ
こで、ポリウレタンを使用した繊維製品について、特定 PAAs へと変化する可能性のある
イソシアネート化合物の残留実態を明らかにすることを目的として、顔料プリントが施さ
れた 26 製品(28 試料)および防水加工処理が施された 11 製品(11 試料)を対象に実態調
査を行った。その結果、4,4’-MDI の検出率は 59%と高く、2,6-TDI および 2,4-TDI の検出
頻度は 15%および 13%と、4,4’-MDI と比べると低い傾向を示した。検出されたイソシアネ
ート化合物濃度は最大で数百 ng/g 程度であり、分析法の低回収率を考慮してもポリウレタ
ンを使用した繊維製品に残存するイソシアネート化合物が、アゾ染料由来の特定 PAAs の
分析操作過程において特定 PAAs へと変化することで、アゾ染料由来の特定 PAAs の評価
に影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。