平成 25 年度 家庭用品規制基準調査 アゾ色素に由来する繊維

平成 25 年度 家庭用品規制基準調査
アゾ色素に由来する繊維・革製品中の特定芳香族アミン類分析法に関する検討
国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明
-------------------------------------------------------------------------------概要
有害物質含有家庭用品規制法における有害物質として指定対象物質として審議されてい
る 22 種類の芳香族第一アミン類(PAAs)の高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いた
確認試験法を検討した。HPLC 条件として、EN14362-1:2012 に準拠した条件①、移動相
溶媒をメタノールからアセトニトリルに変更した条件②および性質の異なるカラムを使用
した条件③について検討した。条件①で PAAs 標準溶液を分析したところ、対象とした 22
種類の PAAs が全て分離し、個々の定性が可能であった。また、高濃度で PAAs が検出さ
れた試料および綿製繊維試料の抽出液に PAAs を添加した試料溶液では各 PAAs は問題無
く定性できた。一方、ポリエステル製繊維試料の抽出液に PAAs を添加した試料溶液では、
波長 240 nm では PAAs の一部が試料由来のピークと近接したり重なったりしたが、モニタ
ー波長を変えることで各 PAAs の定性が可能であった。革試料の抽出液に PAAs 標準品を
添加した試料溶液では、モニター波長を変更しても試料由来のピークと区別ができない
PAAs があったが、条件③ではその PAAs の定性が可能であった。条件②および③では、標
準溶液を分析した際に一部の PAAs のピークが重なってしまうが、条件①と PAAs の溶出
順に違いが認められた。確認試験では、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)による
本試験で基準値以上であると確認された PAAs のみを対象としており、22 種類の PAAs を
同時に分析する必要はない。したがって、有害物質含有家庭用品規制法での HPLC による
確認試験としては、EN14362-1:2012 に準拠した条件①を示しながら、必要に応じて HPLC
条件を変更可能とすることが望ましいと考えられる。
-------------------------------------------------------------------------------論文発表
河上強志・伊佐間和郎・五十嵐良明:繊維および革製品中のアゾ染料由来の特定芳香族ア
ミン類の高速液体クロマトグラフィーを用いた確認試験に関する検討, 国立医薬品食品衛
生研究所報告, 132, 57-66 (2014)
-------------------------------------------------------------------------------学会発表
河上強志・伊佐間和郎・五十嵐良明 HPLC/PDA による繊維および革製品に使用されたア
ゾ染料に由来する特定芳香族アミン類分析法の検討,第 51 回全国衛生化学技術協議会年会
(2014.11, 別府)