平成 25 年度 家庭用品事故情報収集調査 噴霧型家庭用品中の

平成 25 年度 家庭用品事故情報収集調査
噴霧型家庭用品中の化学物質に起因する健康被害事例の収集と解析
国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明
-------------------------------------------------------------------------------概要
噴霧型家庭用品の健康被害事例(防水スプレーを除く)について文献調査を行った。家
庭用スプレー洗浄剤および揮揮発性有機化合物を含む製品による被害が確認された。家庭
用洗浄剤スプレーでは、換気の悪い条件下での製品の使用が多く、主訴は呼吸困難、喘鳴
および血痰であった。また、それらの患者は肺胞出血を伴っていた。揮発性有機化合物を
含む製品では、エアーダスターや室内芳香・消臭剤など身近な製品の意図的な吸入による
死亡例や、誤用等による非意図的な吸入による被害例があった。それらの健康被害では、
揮発性有機化合物の吸入による酸素欠乏や意識混濁だけではなく、心室細動なども生じた
ことが報告されていた。噴霧型家庭用品による健康被害は、製品に含まれる成分そのもの
の毒性、酸素欠乏および噴霧粒子径サイズなど、様々な要因が複雑に関与し引き起こされ
ていた。海外で実施された疫学調査では、妊娠時の洗浄用スプレー製品および室内芳香・
洗浄剤の使用による乳児の呼吸器疾患の可能性や、スプレー製品の使用と成人の喘息や心
疾患リスクとの関連性が指摘された。いくつかの噴霧型家庭用品については動物への経口
投与試験で安全性の評価が行われていたが、噴霧型家庭用品の特徴を考慮した経気道曝露
試験等による健康影響評価が必要と考えられた。
-------------------------------------------------------------------------------学会発表
河上強志・伊佐間和郎・五十嵐良明:家庭用スプレー製品の使用に伴う健康被害例の解析,
フォーラム 2014 衛生薬学・環境トキシコロジー (2014.9, つくば)