1月28日実施定期試験解答 [1] a が Q の平方元でないと仮定する

1月28日実施定期試験解答
[1]
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a が Q の平方元でないと仮定する.このとき,φ( a) = − a によって φ ∈ Gal(Q( a)/Q) が定義され,
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Gal(Q( a)/Q) = {I, φ}. b ∈ Q( a) なら, b = p + q a (p, q ∈ Q) と表わせる.b が Q の平方元でな
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ければ,φ( b) = − b なので,− b = p − q a.したがって, b = q a.逆に,ab−1 が Q の平方元な
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ら,Q( a) = Q( b).これから,Q( a) = Q( b) ⇔ ab−1 が Q の平方元.
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次に,a が Q の立方元でないと仮定する.ω = e2πi/3 = (−1 + 3i)/2 とおけば,φ( 3 a) = ω 3 a によっ
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∼
3
3
3
て体の Q 同型 Q( 3 a) → Q(ω 3 a) が定義される. b ∈ Q( 3 a) なら, b = p + q 3 a + r a2 (p, q, r ∈ Q)
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3
と表わせる.b が Q の立方元でなければ,φ( b) = ω b または ω 2 b.したがって,
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3
ω b = p + qω 3 a + rω 2 a2 , ω 2 b = p + qω 2 3 a + rω a2
または,
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3
ω b = p + qω 2 3 a + rω a2 , ω 2 b = p + qω 3 a + rω 2 a2
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3
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3
したがって, b = q 3 a または b = r a2 .逆に,ab−1 または a2 b−1 が Q の立方元なら,Q( 3 a) = Q( b).
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3
これから,Q( 3 a) = Q( b) ⇔ ab−1 または a2 b−1 が Q の立方元.
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別解.Q( a) = Q( b) と仮定する.a が Q の平方元なら,Q( a) = Q なので,Q( b) = Q.したがって,
b もまた Q の平方元.逆に,b が Q の平方元なら,a もまた Q の平方元.
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以下,a が Q の平方元でないと仮定する. b ∈ Q( a) なので, b = p + q a (p, q ∈ Q) と表わせる.
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このとき,b = (p + q a)2 = (p2 + q 2 a) + 2pq a.ここで, a ̸∈ Q なので,pq = 0.q = 0 と仮定する
と,p2 = b となり,a が Q の平方元でないことに反する.したがって,p = 0,さらに,q 2 a = b.これか
ら,a−1 b は Q の平方元.
[2]
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(1) t4 − 4t2 + 16 = (t2 + 4)2 − 12t2 = (t2 − 2 3t + 4)(t2 + 2 3t + 4) なので,
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t4 − 4t2 + 16 = {t − ( 3 + i)}{t − ( 3 − i)}{t − (− 3 + i)}{t − (− 3 − i)}
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したがって,t4 − 4t2 + 16 の Q の上の最小分解体は Q( 3 + i, 3 − i) で与えられる.
ここで,
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1 √
1 √
3 = {( 3 + i) + ( 3 − i)}, i = {( 3 + i) − ( 3 − i)}
2
2
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なので, 3, i ∈ Q( 3+i, 3−i).したがって,Q( 3, i) ⊂ Q( 3+i, 3−i).逆に, 3+i, 3−i ∈ Q( 3, i)
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なので,Q( 3 + i, 3 − i) ⊂ Q( 3, i).以上のことから,Q( 3, i) = Q( 3 + i, 3 − i).
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(2) 拡大 Q( 3)/Q の基底として {1, 3} が取れるので,|Q( 3) : Q| = 2.また,拡大 Q( 3, i)/Q( 3) の
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基底として {1, i} が取れるので,|Q( 3, i) : Q( 3)| = 2.これから,
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|Q( 3, i) : Q| = |Q( 3, i) : Q( 3)||Q( 3) : Q| = 4
を得る.
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別解.( 3 + i)( 3 − i) = 4 なので,Q( 3 + i, 3 − i) = Q( 3 + i).また,t4 − 4t2 + 16 は Q[t] において
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既約なので, 3 + i の Q の上の最小多項式は t4 − 4t2 + 16 で与えられる.これから,|Q( 3 + i) : Q| = 4.
1
[3]
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(1) 4 2 の Q の上の最小多項式は t4 − 2.したがって,Q( 4 2) を含む,Q の最小の Galois 拡大は t4 − 2 の
Q の上の最小分解体で与えられる.ここで,
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4
4
4
4
t4 − 2 = (t − 2)(t − 2i)(t + 2)(t + 2i)
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なので,t4 − 2 の Q の上の最小分解体は Q( 4 2, i) で与えられる.
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(2) φ( 4 2) = 4 2i, φ(i) = i, ψ( 4 2) = 4 2, ψ(i) = −i によって体 Q( 4 2, i) の Q 自己同型 φ, ψ が定義され
る.このとき,
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4
I : 2 7→ 2, i 7→ i,
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4
φ : 2 7→ 2i, i 7→ i,
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4
4
φ2 : 2 7→ − 2, i 7→ i,
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√
4
4
φ3 : 2 7→ − 2i, i 7→ i,
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√
4
4
ψ : 2 7→ 2, i 7→ −i,
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4
4
ψφ : 2 7→ − 2i, i 7→ −i,
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4
4
ψφ2 : 2 7→ − 2, i 7→ −i,
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√
4
4
ψφ3 : 2 7→ 2i, i 7→ −i
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√
ここで,|Q( 4 2, i) : Q| = 8 なので,Gal(Q( 4 2, i)/Q) = {I, φ, φ2 , φ3 , ψ, ψφ, ψφ2 , ψφ3 }.
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さらに,ψ( 4 2) = 4 2 なので,Gal(Q( 4 2, i)/Q( 4 2)) = {I, ψ}.さらに,{I, ψ} を含む Gal(Q( 4 2, i)/Q)
√
の部分群は {I, ψ}, {I, ψ, φ2 , ψφ2 }, {I, φ, φ2 , φ3 , ψ, ψφ, ψφ2 , ψφ3 } に限る.したがって,Q( 4 2) の部分体
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√
は Q( 4 2), Q( 2), Q に限る.
[4]
(1) σ の定義から
1( 1
1 ) 1(
1)
− −
=
t−
= u,
1
2
t
2
t
−
t
1 )
1(
1)
1 ( 1
− +
=
t+
=v
σ(v) =
1
2(−i)
t
2i
t
−
t
σ(u) =
したがって,u, v ∈ k .
(2) u, v の定義から
1)
1(
1)
1(
t−
+i
t+
=t
2
t
2i
t
なので,t ∈ k(i).また,R ⊂ k なので,C = R(i) ⊂ k(i).したがって,K = k(i).
u + iv =
(3) R ⊂ k, u, v ∈ k なので,R(u, v) ⊂ k .また,C = R(i) ⊂ R(u, v)(i), t = u + iv ∈ R(u, v)(i) なので,
K = C(t) = R(u, v)(i).したがって,|K : R(u, v)| = 2.一方,K = k(i), i ̸∈ k なので,|K : k| = 2.こ
れから,R(u, v) = k .
(4) R(s) = k となるような s ∈ k が存在したと仮定する.このとき,
u=
f (s)
g(s)
, v=
h(s)
h(s)
となるような f (T ), g(T ), h(T ) ∈ R[T ] が存在する.ここで,
1 )2 1 (
1 )2
1(
t−
−
t+
= −1
u2 + v 2 =
4
t
4
t
2
なので,
f (s)2 + g(s)2 = −h(s)2
さらに,
γ = lim s(t)
t→∞
とおけば,代数学の基本定理から,任意の α ∈ C−{γ} に対して s(β) = α となるような β ∈ C が存在する.し
たがって,s(β) ∈ R, h(s(β)) ̸= 0 となるような β ∈ C が存在する.このとき,f (s(β)), g(s(β)), h(s(β)) ∈ R
なので,f (s(β))2 + g(s(β))2 ≥ 0, −h(s(β))2 < 0.これは f (s)2 + g(s)2 = −h(s)2 に反する.
以上のことから,R(s) = k となるような s ∈ k は存在しない.
3