1月分全国消費者物価指数について ―石油製品等の上昇率縮小でコア前年同月比+2.2%と前月から鈍化― ―2月分東京都区部・コア前年同月比+2.2%で1月分と変わらず― 客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント 物 価 の 推 移 (%) 国 企 業 物 価 指 数 輸 内 出 契約通貨 ベース 輸 入 契約通貨 ベース 日銀国際商品指数 (月末値) 26年 2月 ▲0.2 1.8 ▲1.4 3.1 ▲0.3 ▲2.6 ▲1.8 6.2 ▲0.5 ▲0.8 3月 0.0 1.7 ▲0.1 2.3 ▲0.3 ▲2.7 ▲0.2 4.4 ▲0.4 ▲1.4 4月 2.8 4.1 0.1 1.6 ▲0.1 ▲1.7 ▲0.4 2.5 ▲0.6 ▲1.1 5月 0.3 4.3 ▲0.6 ▲0.5 ▲0.2 ▲1.3 ▲0.8 0.6 ▲0.3 ▲0.1 6月 0.2 4.5 ▲0.2 2.1 ▲0.2 ▲1.1 0.2 4.2 0.1 0.5 7月 0.4 4.4 ▲0.1 0.7 0.1 ▲0.9 ▲0.2 2.6 0.0 0.9 8月 ▲0.2 3.9 0.7 2.7 0.1 ▲0.7 0.6 4.5 ▲0.2 0.5 9月 0.0 3.6 2.0 3.7 ▲0.2 ▲0.9 2.1 4.4 ▲0.7 ▲1.2 10月 ▲0.8 2.9 ▲0.2 4.0 ▲0.6 ▲1.7 ▲1.2 4.1 ▲1.6 ▲2.9 11月 ▲0.3 2.6 4.4 7.3 ▲0.4 ▲2.0 2.8 5.4 ▲2.6 ▲5.4 12月 ▲0.5 1.8 0.6 5.6 ▲1.0 ▲3.0 ▲1.7 0.3 ▲3.4 ▲9.1 27年 1月 ▲1.3 0.3 ▲2.5 2.7 ▲1.1 ▲4.2 ▲6.0 ▲6.6 ▲4.7 ▲14.0 1.7 ▲7.1 ▲0.4 ▲5.9 ▲0.4 ▲2.1 ▲0.4 ▲0.5 1.4 2.6 ▲3.3 ▲2.1 ▲2.9 ▲9.1 ▲6.3 ▲11.8 ▲6.1 ▲19.0 ▲12.2 ▲28.9 ▲10.8 ▲37.0 ▲13.9 ▲43.1 0.5 8.0 1.0 5.2 ▲0.7 6.7 ▲0.3 5.3 ▲0.2 6.4 ▲0.2 5.2 ▲0.6 4.8 ▲0.8 3.4 0.5 6.6 0.9 7.9 0.5 6.3 0.6 7.7 ▲0.1 4.3 ▲0.4 4.3 ▲0.6 3.4 ▲1.5 3.1 ▲0.5 2.3 ▲0.3 1.4 0.6 1.5 1.7 1.8 ▲2.1 ▲2.8 ▲2.3 ▲3.9 ▲3.8 ▲6.4 ▲4.9 ▲6.6 0.0 1.5 0.1 1.3 0.1 0.8 0.1 1.1 0.1 0.9 0.1 0.5 0.1 1.5 0.3 1.6 0.3 1.3 0.3 0.7 0.4 1.3 0.5 1.0 0.5 0.4 0.4 1.6 2.1 3.4 2.2 3.2 2.0 2.3 2.0 2.9 2.0 2.7 1.9 2.0 1.9 3.1 0.4 3.7 0.4 3.4 0.0 2.2 0.3 3.1 0.3 2.8 0.0 1.9 0.4 2.9 ▲0.1 3.6 0.0 3.3 ▲0.1 2.3 ▲0.2 3.0 0.0 2.8 ▲0.1 2.0 ▲0.1 2.8 0.0 3.4 0.1 3.3 0.0 2.3 0.0 2.8 0.0 2.7 0.0 2.1 0.1 2.8 0.2 3.3 0.0 3.1 0.1 2.3 0.3 2.8 0.2 2.7 0.2 2.1 0.0 2.6 0.2 3.2 0.0 3.0 0.0 2.3 0.2 2.8 ▲0.1 2.6 ▲0.2 2.0 0.1 2.6 ▲0.3 2.9 0.1 2.9 0.3 2.2 ▲0.2 2.5 0.2 2.6 0.3 2.1 0.1 2.3 ▲0.4 2.4 ▲0.2 2.7 ▲0.2 2.1 ▲0.4 2.1 ▲0.2 2.4 ▲0.2 1.8 ▲0.1 2.3 0.1 2.4 ▲0.2 2.5 0.0 2.1 0.1 2.2 ▲0.2 2.3 ▲0.1 1.8 ▲0.3 2.2 ▲0.2 2.4 ▲0.6 2.2 ▲0.5 2.1 ▲0.2 2.3 ▲0.6 2.2 ▲0.8 1.7 ▲0.3 2.1 0.3 0.4 0.6 0.5 2.4 3.3 0.2 3.5 0.1 3.5 0.0 3.4 ▲0.2 3.5 0.1 3.5 0.1 3.6 0.4 3.6 ▲0.1 3.5 ▲0.5 3.4 日経商品指数42種 日経商品指数17種 全 国 生鮮食品を 除く総合 食料(酒類を除く)及び エネルギーを除く総合 消 費 者 物 価 指 数 東京都区部 大阪市 生鮮食品を 除く総合 食料(酒類を除く)及び エネルギーを除く総合 生鮮食品を 除く総合 企業向けサービス 価 格 指 数 2月 0.0 2.3 0.1 2.2 0.1 1.7 0.0 2.0 (注) 上段:前月比、下段:前年同月比、% (出所)日本銀行、総務省、大阪府、日本経済新聞社 ●1月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.1となり、 前月比は▲0.2%下落した。1月分は毎年被服及び履物が前月比で下落する。今年は前月比▲5. 0%だった。総合指数の前年同月比は+2.4%の上昇となった。3カ月連続して同じ前年同月比と なった。前年同月比は、96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年 7カ月ぶりの20カ月連続上昇となった。 ●生鮮食品の前年同月比は+5.7%の上昇に転じた。12月分は▲0.6%の下落だったので、総 合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.27%とプラスになった。また、エネルギー全体の前 年同月比は▲0.5%と下落に転じた。12月分は+2.8%の上昇だった。総合指数の前年同月比 に対する寄与度差は▲0.30%の押下げ要因になった。総合指数の前年同月比では生鮮食品の上昇 とエネルギーの下落とが相殺した格好だ。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●1月分の宿泊料は前年同月比+6.2%で、12月分の前年同月比+7.6%から伸び率が鈍化し た。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%の押し下げ要因になった。12月分は前 年同月比+2.6%の上昇だった外国パック旅行は、1月分では同+2.5%へ伸び率がやや鈍化し た。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。 ●原油価格の大幅下落がガソリンや灯油などの石油製品に影響している。ガソリンの前年同月比は1 2月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、今回の1月分で▲11.1%の2ケタ の下落になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.24%だった。灯油の前年同月比 は12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、今回の1月分で▲15.3%の2 ケタの下落になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%だった。但し、過去の LNG価格が上昇していることから、電気代の前年同月比は+6.9%となった。12月分の上昇率 +6.3%より伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%と押し上 げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は+5.9%となった。12月分の上昇率+4.9%より伸 び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と押し上げ要因だった。 ●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は1月分では前年同月比▲0.1%と12 月分の+1.7%の上昇から下落に転じた。値上がりにつながる新製品の出回りが鈍くなっていると みられる。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。そのうちテレビは12月 分の前年同月比+3.7%から1月分は+1.2%と上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対 する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲0.5%で、12月 分の前年同月比+2.8%の上昇から下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0. 03%だった ●1月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は102.6で、前月比▲0. 6%の下落、前年同月比は+2.2%の上昇となった。12月分の+2.5%から0.3ポイントの 鈍化となった。前年同月比の伸びが縮まるのは6カ月連続だ。なお、前年同月比は20カ月連続で上 昇した。20カ月連続でのプラスは96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来 16年9カ月ぶりのことである。増税分を除いたベースの前年同月比は+0.2%で、4カ月連続し て+1.0%を割り込んだ。 ●1月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.2となり、前月比▲0.5% の下落、また前年同月比は+2.1%と12月分と同じになった。前年同月比は16カ月連続上昇し た。16カ月連続前年同月比がプラスなのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以 来で、16年5カ月ぶりである。 ●日銀の3月の金融経済月報の最後に掲載された試算結果を使って、4月分~1月分の全国消費者物 価指数の実績値「除く増税分ベース」を計算してみると、総合が+1.5%から+1.6%に上昇し た後+1.5%、+1.4%、+1.2%、+1.1%、+0.8%、+0.3%、+0.3%、+ 0.3%に鈍化。生鮮食品を除く総合は+1.5%、+1.4%、+1.3%と鈍化した後いったん +1.3%と同じ上昇率になり、再び鈍化し+1.1%、+1.0%、+0.9%、+0.7%、+ 0.5%、+0.2%になった。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合は+0.8%から+ 0.5%に鈍化した後+0.6%となり、7月分・8月分・9月分がともに+0.6%の上昇率だっ たが、10月分で+0.5%、11月分で+0.4%、12月分で+0.4%、1月分で+0.4% となっている。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●総合指数の季節調整済み指数は1月分が103.3で前月比▲0.1%の下落。生鮮食品を除く総 合指数の季節調整済み指数は1月分が103.0で前月比▲0.3%の下落だった。生鮮食品は上昇 要因で、総合指数の下落を緩和したことがわかる。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数 の季節調整済み指数1月分は100.6で前月比▲0.2%の下落となった。11月・12月分と2 カ月連続前月比+0.1%と上昇基調だったコアコアの部分の物価も3カ月ぶりに下落した。 ●ESPフォーキャスト調査・2月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年 同期比の予測平均値は、15年1~3月期は+2.37%で、14年4~6月期の+3.3%をピー クにして上昇率が鈍化する見込み。14年度は+2.89%という予測平均値となっている。消費増 税の影響を除いたベースでは、15年1~3月期+0.36%と1%割れの伸び率が続くという見通 しとなっている。消費増税の影響を除いたベースの14年度の上昇率は+0.92%という予測平均 値となっている。15年4~6月期は+0.30%(消費増税の影響を除いたベースで0.28%) のあと7~9月期は+0.36%で、10~12月期は+0.66%、16年1~3月期は+1.0 5%と上昇する見込み。15年度の上昇率は+0.59%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均 値は15年56.72ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度121円63銭となっている。 ●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で14年10~12月 期は▲2.2%と、7~9月期の▲2.6%からマイナス幅が縮小した。今後はプラスの成長率が見 込まれるので需給ギャップの改善基調は続き、生鮮食品を除く総合指数の前年同月比プラス基調継続 を下支えする要因になると思われる。 (2月分の暫定的予測) ●2月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.4%程度と11月分~1月分と同程度の 伸び率になると予測する。これで21カ月連続の前年同月比上昇となるとみた。21カ月連続は96 年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年8カ月ぶりだ。前月比は0. 0%程度とみる。 ●2月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.2%程度と1月分と同程 度の伸び率になると予測する。なお、96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以 来16年10カ月ぶりに、21カ月連続で前年同月比プラスになろう。前月比は+0.1%程度にな ろう。2月分が予測通りだと消費増税分を除くと前年同月比は+0.2%程度であり、5カ月連続し て+1.0%を下回ることになる。 ●また、2月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.1%程度と11 月分~1月分と同程度の伸び率になると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、1 6年6カ月ぶりの17カ月連続プラスになりそうだ。前月比は+0.1%程度になろう。 ●関連データである2月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は+2.3%と1月 分と同じ伸び率で、20カ月連続の上昇になった。生鮮食品の前年同月比は+4.5%の上昇と1月 分の同+5.4%から鈍化した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04% になり前年同月比の押し下げの主因になった。エネルギー全体の前年同月比は+3.8%となり1月 分の+3.6%からやや伸びを高め、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%になっ た。ガソリンは2月分では前年同月比▲15.4%で1月分の同▲12.6%から下落幅が拡大し、 総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%になった。一方、電気代の前年同月比は+7. 4%で1月分の同+6.9%から上昇し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%に なった。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●また、2月分ではテレビの前年同月比は+1.4%。1月分同▲4.1%の下落から上昇に転じ、 総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%になった。2月分の宿泊料は前年同月比+8. 6%で、1月分の前年同月比+6.2%から伸び率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与 度差は+0.03%の押し上げ要因になった。外国人観光客の増加もあり、宿泊料は上昇基調にあり そうだ。2月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は0.0%だった。一方、大 阪市の総合2月分前年同月比は+2.1%と1月分と同じだった。これで21カ月連続の上昇になっ た。2月分の前月比は▲0.1%だった。 ●2月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.2%で1月分と同じ伸 び率だった。これで、22カ月連続の上昇になった。2月分の前月比は+0.1%で4カ月ぶりの上 昇だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の2月分前年同月比は+2.0%で1月分の+2.1%から 鈍化したが、22カ月連続の上昇になった。2月分の前月比は0.0%だった。 ●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の2月分前年同月比は+1.7% で1月分と同じ伸び率だった。これで、16カ月連続の上昇になった。2月分の前月比は+0.1% 4カ月ぶりの上昇だった。大阪市では2月分の前年同月比は+1.8%と1月分と同じ伸び率だっ た。これで17カ月連続の上昇になった。2月分の前月比は+0.1%だった。 (2月27日現在) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
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