にらの株養成期間中の施肥について

にらの株養成期間中の施肥について
1 試験のねらい
にらは水田転作の有利な作物として作付面積が増加している。更に予冷施設の整備により,
冬,夏どりにらの周年生産体制が確立されつつある。しかし,夏にらにっいては冬にら収穫後
の2年株を利用しているため,収量が少なく品質も悪いという問題がある。そこで冬にら収穫
後の株養成期間中におげる施肥量が夏にらの収量に及ぽす影響を検討した。
2 試験万法
供試品種はグリーンベノレトで昭和55年3月25日には種し,7月17日に場内黒ぽく土ほ場に
うね幅40cm,株問20cmの4条に定植した。施肥量はa当たり窒素4.5,りん酸4.一5,加里
4.2kgを施用し冬どり栽培(4回収穫)を行った。これらの株について第1表に示した試験区
を設定し,夏どりの際の施肥量とハウス保温期問の長短の影響を夏どり期問(6月収穫開始と
8月開始)を変えて検討した。
ハウス保温期間は冬どり終了直後の4月1日にパイプハウスのビニルをとり露地条件とした
区(無保温区)と引き続き5月15日まで肩部を換気した状態で保温した区(保温区)とした。
施肥量(追肥量)は窒素2,4,6k9■aの3区とし,4月2日に各区2kg■aを施用し,以
後4一・6kg区については15日ごとに0.5kg■aずつ追肥した。6月収穫開始区は6月2日,
8月3日に地上部を刈り取り収穫を開始した。収量調査は葉幅が平均6㎜未満になるまで行
った。1区4m2(40株)とした。
3 試験結果及び考察
5月2日の草丈は保温区40cm,無保温区25cmム差があつたが,6月下旬以降は両区の差は
認められなかった。収穫時の茎数は表1のとおりで保温区は追肥量が増すほど茎数が多くなる
傾向があった。これは5月15日までのビニル被覆により,肥料の流亡が少なかつたことにもよ
ると考えられた。
収量は6月開始区では追肥2kg区が第4回目の収穫まで6mmの葉幅を維持したのに対し,
4・6kg区は6回までこの葉幅が維持された結界,かなり多収となった。一カ・8月開始区
は追肥量にかかわらず4回収穫まで6㎜の葉幅が維持されたにすぎなかった。しかし8月開
始区においても追肥量の多いほど多収であった。葉幅は6月開始・保温区がやや大きかった。
収穫終了時の葉申硝酸態窒素濃度は図一1のとおり追肥の多い区ほど高く,施肥の影響が認
められた。
以上の結果から夏にらに対する窒素追肥量は少なくとも4kg/aは必要であり,保温期問を
延長して生育促進を図り,6月から10月まで収穫する場合には6kg■aを要するものと考えら
一41一
れた。
4 成果の要約
冬にら収穫後の施肥については4月以降夏にら収穫期間を含め,窒素4kg■a以上を分施す
る必要があり・この際ハウスのビニル被覆(保温)を5月まで継続して冬刈り後の草勢を回復
させ6月より6回くらい収穫を続げる場合は6kg程度の窒素追肥が必要と考えられた。
(担当者 野菜部 木村一栄)
表一1 収量,葉幅及び土壌中の電気伝導度の変化
処 理 株当たり 収 量 4回収穫
茎数 4回概整 総収量 比’一平均葉幅
収穫開始時期 保温 施肥量 本 株当たりg株当たりg a当たりkg mm
6 月
2
30.2 376 376
331 100 7.6
有 4
36.3 426 730
642 194 7.6
6
39.7 451 812
715 216 7.6
233.2319
無430.0345
519 457 138 7.3
6 30.6 347
546 481 145 7.3 ’
234.9419
419 369 112
7.3
551 ’ 485 147
7.4
641 564 170
7.4
有437.8551
6 38.8 641
8 月
319 281 85 6.9
2
35.2 438 438
385 116 7.4
無 4
36.1 517 517
455 137 7.4
6
32.3 557 557
490 148 7.6
NO。二N
,PPm
施肥量佃/a
図一1 施肥量と収穫終了時のユ
葉中の硝酸態窒素
一42一