Poisson 方程式

Poisson 方程式
ゆきみ
http://yukimigo.com/
2015 年 2 月 18 日
人類の常識シリーズ. かんたんのため以下 n ⩾ 3 とする.
Theorem 1 (球面平均の定理 (mean value theorem)). Ω ⊂ Rn を domain, u を Ω で
harmonic な関数とする. このとき, a 中心, 半径 R の任意の球 Ba (R) ··= B(a; R) ⊂ Ω
についてつぎがなりたつ.
∫
1
u(a) =
|∂Ba (R)|
u(x)dS,
∂Ba (R)
∫
1
u(a) =
|Ba (R)|
u(x)dx
Ba (R)
proof.
Gy (x) ··=
1
(n −
2)|Sn−1 ||x
− y|n−2
とする. ε > 0 について, By (r, ε) ··= {x ; ε < |x − y| < r} とすると, Gy ∈ C 2 (By (R, ε))
が harmonic はただの計算. よって Green’s formula より
∫
∫
∆u(x)Gy (x)dx −
0=
∫
By (R,ε)
u(x)∆Gy (x)dx
By (R,ε)
∫
∇u · νGy (x)dS(x) −
=
∂By (R,ε)
u∇Gy · νdS(x),
∂By (R,ε)
ここで ν は外向き法線ベクトル:
ν=±
x−y
.
|x − y|
1
∫
∇u · νGy (x)dS(x) = −(R
n−1
|S
n−1
−1
|)
∂By (R,ε)
+ (ε
で,
(ε
n−1
|S
n−1
−1
n−1
|S
|)
∫
|)
u(x)dS = (ε
n−1
|x−y|=ε
n−1
+ (ε
|S
n−1
|S
n−1
|)
|)
u(x)dS
|x−y|=ε
∫
−1
−1
u(x)dS
|x−y|=R
∫
−1
n−1
∫
u(y)dS(x)
∫
|x−y|=ε
|x−y|=ε
u(x) − u(y)dS(x)
とかけば, second term は u の連続性から ε → 0 で 0 に行く. 一方, Gauss’s theorem
から
∫
∇u · νGy (x)dS(x) = ((n − 2)R
n−2
|S
n−1
|)
−1
∂By (R,ε)
+ ((n − 2)ε
n−2
= ((n − 2)R
+ ((n − 2)ε
|S
n−1
n−2
n−2
|S
|)
n−1
|S
n−1
−1
|x−y|=R
∫
|x−y|=ε
|)
|)
∫
−1
−1
∇u · νdS
∇u · νdS
∫
∫
∆u(x)dx
By (R)
∆u(x)dx
By (ε)
=0
よってまとめて,
∫
0=−
u∇Gy · νdS(x)
∂By (R,ε)
→ u(y) − (R
n−1
|S
n−1
|)
−1
∫
u(x)dS
|x−y|=R
(ε → 0)
となる. ここで半径 r について 0 から R まで両辺を積分すれば, 2 つ目の主張が出る. ♡
Theorem 2. Gy を上の証明中のものとする. このとき,
−∆Gy = δy
が超関数の意味で成り立つ. この δy はデルタ関数.
proof. y = 0 としてよい. ϕ ∈ Cc∞ (Rn ) として, 十分大きな R をとって,
∫
∆ϕ(x)G0 (x)dx → −ϕ(0) (r → 0)
r<|x|<R
2
を示せばよい. ϕ が |x| = R で消えることと Green’s theorem から
∫
r<|x|<R
∫
∆ϕ(x)G0 (x)dx = −
∫
+
∇ϕ · G0 dx
r<|x|<R
|x|=r
G0 ∇ϕ · νdS
∫
∫
ϕ∇G0 · νdS +
G0 ∇ϕ · νdS
|x|=r
∫
n−1 n−1 −1
= −(|S
ϕdS
|r
)
|x|=r
∫
+
G0 ∇ϕ · νdS
=−
|x|=r
|x|=r
と計算できる. ここで ν は外向き法線ベクトルで, G0 が harmonic を使った. |rn−1 G0 | ⩽
Cr (on |x| = r, C > 0) により,
∫
∫
G0 ∇ϕ · νdS ⩽ M
G0 dS → 0
|x|=r
|x|=r
(r → 0)
がわかる. 前の定理の証明で出てきたように,
n−1
(|S
|r
n−1 −1
∫
)
|x|=r
ϕdS → ϕ(0)
だから, これを合わせれば O.K. ♡
Theorem 3. f ∈ L1loc (Rn ) とし,
u(x) ··=
∫
Rn
Gy (x)f (y)dy
が a.e. x で可積分とする. このとき, u ∈ L1loc (Rn ) であって, 超関数の意味で
−∆u = f
がなりたつ. さらに,
∫
∂i u(x) =
Rn
(∂i Gy )(x)f (y)dy
が成立.
3
a.e.x
proof. u(x0 ) < ∞ となる x0 をひとつとる. 任意のコンパクト集合をとり, それを含む
ような球 B = Bx0 (R) をとる.
∫
(∫
∫
|u(x)|dx ⩽
|Gy (x)|dx |f (y)|dy
Rn
B
)
B
を調べる. |y − x0 | ⩾ R + 1 とすると, B 上で Gy は harmonic だから, mean value
theorem より,
∫
Gy (x)dx = |B||Gy (x0 )|
B
がわかる. また,
∫
∫
∫
Gy (x)dx =
B
Gy (x)dx +
∫
B∩By (R)
∫
B∩By (R)
⩽
Gy (x)dx
∫
B−By (R)
Gy (x)dx +
=
Gx0 (x)dx
B−By (R)
Gx0 (x)dx = CR
B
だから, これを合わせれば仮定から
∫
Rn
(∫
)
(∫
∫
|Gy (x)|dx |f (y)|dy =
B
∫
|y−x0 |>R+1
+
(∫
⩽M
Rn
B
)
|Gy (x)|dx |f (y)|dy
∫
Gy (x0 )f (y) + CR
f (y)dy < ∞
|y−x0 |<R+1
∫
)
|Gy (x)|dx |f (y)|dy
B
Bx0 (R+1)
となって, u は局所可積分.
任意に ϕ ∈ Cc∞ (Rn ) をとる. Fubini と前の定理を使えば,
∫
−
(∫
∫
)
u(x)∆ϕ(x)dx = − f (y)
Gy (x)∆ϕ(x)dx dy
∫
= f (y)ϕ(y)dy
となる. つまり, −∆u = f が超関数の意味で成立.
まず,
Vi (x) ··=
∫
Rn
(∂i Gy )(x)f (y)dy < ∞
4
a.e.x
をみよう. B = Bx (R), R > 1 とする.
∫
∫
∫
1−n
(∂i Gy )(x)f (y)dy ⩽ M
|x − y|
|f (y)|dy + M
|x − y|1−n |f (y)|dy
n
c
R
∫B
∫B
⩽M
|x − y|1−n |f (y)|dy + M
|x − y|2−n |f (y)|dy
Bc
B
とわけると, second term は仮定から有限. また, 任意の z ∈ Rn について
∫
∫ (∫
∫
)
|x − y|1−n |f (y)|dydx =
Bz (R)
B
|x − y|1−n dx |f (y)|dy < ∞
B
Bz (R)
∫
は上でやったのと同様に
|x − y|1−n dx ⩽ CR
Bz (R)
が計算できるからわかる. よって Fubini の定理から
∫
|x − y|1−n |f (y)|dy < ∞
a.e.x
B
となり, 結局 Vi (x) < ∞ a.e. x.
∫
∫
∂i ϕ(x)u(x)dx = −
ϕ(x)Vi (x)dx (ϕ ∈ Cc∞ (Rn ))
をみる. 前の定理でやったのと同様にすれば, Green’s formula と極限を取ることによって
∫
∫
Gy (x)∂i ϕ(x)dx = −
ϕ(x)∂i Gy (x)dx
がわかるから, Fubini より
∫
)
∂i ϕ(x)u(x)dx = ∂i ϕ(x)
Gy (x)f (y)dy dx = f (y)
Gy (x)∂i ϕ(x)dx dy
(∫
)
(∫
)
∫
∫
= − f (y)
∂i Gy (x)ϕ(x)dx dy = − ϕ(x)
∂i Gy (x)f (y)dy dx
∫
= − ϕ(x)Vi (x)dx
∫
(∫
)
となって, すべて証明できた. ♡
5
∫
(∫
参考文献
[1] Elliott H. Lieb and Michael Loss. Analysis. Graduate Studies in Mathematics Vol.
14. American Mathematical Society, second edition, 2001.
[2] 宮島静雄. 『微分積分学としてのベクトル解析』. 共立出版, 2007.
6