資料5 平成26年度仙台市ひとり親家庭等自立促進計画策定協議会 委員意見(第1回協議会後提出分) 1 相談と情報提供・支援の仕組みづくり関連の意見 <情報提供方法> ● ひとり親になった時点では、手続き等で行政との接点があるため、様々な公的制度の情報をお 伝えすることは重要、また必須である。 ● ひとり親家庭が必要とする支援は、子どもと親の年齢や環境の変化により変わってくる。ひとり 親になった時点で、多々ある制度を説明(資料配布)されても、現時点で必要としない制度につ いては、あまり心に残らず、時間が経つと忘れてしまう。 ● 例えば、子どもの年齢、学校入学等の節目で、必要と思われる支援制度を、年1回の児童扶 養手当の現況届の通知等に同封する等、頻度の高い周知をしていくことが効果的。 ● 「実態調査」を見ると、ひとり親家庭自らが支援制度を探し出し、活用していくことは多くないよう に見受けられる。限られた社会や人間関係の中に居る、孤立に陥りやすいひとり親家庭には、 支援側から率先して周知する方法を考えていくことが大切であると思う。 <相談窓口> ● 各種手続きや相談の窓口受付曜日と時間を広げられないか。母子父子家庭では、仕事を休 んで相談に行くことは敷居が高い。特に、時間給で働いている場合は、給料を減らすことはでき ないと考え、また、正規職員でも、ほかにも子どもの病気等で休んでいる等で、職場に迷惑を掛 けられないし、自身のキャリアや存続にも関わる。 ● 受付窓口の多様化は、手続きだけではなく、母子父子家庭が相談をしてみようという気持ちを 生み出す第一歩になる。 <関係機関の連携> ● ひとり親家庭の子どもへの対応や支援制度のことを学校の先生方の研修時等に伝えてほしい。 ひとり親家庭の子どもは、学校での何気ない話題で一般家庭との差を感じ、傷つくことも多い。 また、学校を通じた給付制度の申し込み等の手続きがあるが、先生方が制度を知らないことが 多い。 ● 様々な支援窓口があり、分かりづらく、支援を知らない人も多い。適切な窓口を紹介することが 必要。あらゆる機関のどこか一つにでもつながれば、そこから連携して情報を提供できるように なると良い。 ● ひとり親家庭の支援機関の情報交換会等の実施。 ● 就業支援方法の共有とリファー体制の充実のため、情報交換会等の実施(各団体で支援対象 が異なるため、それぞれのノウハウや、個人情報に配慮した形での事例の紹介など)。 1 <支援の仕組みづくり> ● 困窮するひとり親家庭の支援については、「虐待の有無」に関わらず積極的に個別支援計画 を作成し、関係機関と担当者会議を開催し包括的支援の実現に注力する必要がある。(障がい 者総合支援法における就労移行支援事業所等への委託も可。) ● 困窮するひとり親世帯に対する支援についてケアマネジメントの視点を持った、支援計画にの っとった仕組みが必要であると考える。しかし現在、ひとり親家庭という括りの総合支援法は存 在していない。そのため、生活困窮者自立支援事業や障害者総合支援法における社会資源を 積極的に活用できるようなアプローチが必要。また、その場合、困窮するひとり親家庭の現状を 把握するためにも、生活困窮者や障害者の枠組みで支援を行なったうち、要支援者のカテゴリ として、「ひとり親家庭」の統計データを取得するように出来ないか。 ● 職業紹介の他に、生活面での相談も乗れるワンストップでの支援が求められる。特に父子家庭 に関しては就労相談という切り口から入ることで生活相談への抵抗感を軽減できるのではない だろうか。 ● 子育て・生活・就業と別々に考えるのではなく、3つをセットにしてバランスを考えた支援の流れ を考えていく必要がある。 <広報について> ● 「実態調査」の「公的制度の利用状況」を見ると、父子家庭に関して「制度を知らなかった(もし 知っていたら利用したかった)」という回答が母子家庭より多く、制度とのマッチングがうまくでき ていない。父子家庭に特化した支援情報冊子があってもいい。 ● 情報提供機能の充実のため、民生委員の活用及び拡充、民間の子育て支援団体との定期的 な勉強会の開催等、メールマガジンまたは定期的な情報誌配布など、活用事例の「見える化」 に努める。 ● 携帯型パンフ(名刺サイズ)の作成や置き場所の工夫。また周知に関してはこれまでになかっ たような実施も検討したい(地下鉄の中刷り広告・バスカードへの広告等)。 2 経済的自立支援関連の意見 <現物給付化> ● ひとり親世帯への経済的支援は、支援が効果的に及ぶように(自立に向けた活動に効果的に 使われるように)、金銭給付(現金を対象者に直接給付する仕組み)だけでなく、現物給付やヴ ァウチャー方式による給付、または金銭給付を代理受領方式によって事業者へ直接支払うとい う方法も採り入れると良い。特に、子どものための経済的支援は、使途を明確にして効果的に使 われるよう、こうした方式が良いと思う。 ● 就学援助や医療費助成は、先に一度費用を支払わなければならず、特に医療費助成は、手 持ちがなければ医療を受けられない可能性もあり、万が一、命に関わる危険性もある。良い制 2 度だが、運用面での変更を検討できないだろうか。 ● 経済的に困窮する世帯では、医療費を窓口でいったん支払うことについて苦慮する等の声が 聞かれる。窓口での支払いが困難であるため、医療機関を受診しない家庭も存在しており、早 急に改善する必要がある。 <学費の援助> ● 政令市のうち、給付型の奨学金制度をもつのは8自治体にのぼっている。仙台市もとりわけ学 費に困っている、ひとり親家庭の子ども達に、この制度を策定していただきたい。具体的には、 大学・短大・専門学校で高等技能の取得を目指す子ども達への奨学金とすること。また奨学金 の給付にあたっては、世帯の収入・向学心・卒業後のしばり(たとえば仙台市内に就職する等) とハードルは高くてもかまわない。 ● 高校進学における入学金や準備金などについて、同じひとり親家庭でも生活保護世帯と児童 扶養手当世帯との支援格差を感じている。生活保護を受給していない児童扶養手当全額受給 者の場合、月収は生活保護世帯より低いが、入学準備(入学金・制服・その他)の助成がなく、 高校進学に不安を抱え精神的にも苦しい。また、母子寡婦福祉資金を借入しても収入が増えな い中での返済は、生活をますます圧迫する。高校進学の助成制度について検討できないか。 <給付金・貸付> ● 資格取得支援に関して授業料の免除などがあればキャリアアップを計りやすくなるのではない だろうか。 ● 他県では、バス・地下鉄、レジャー施設の利用料の割引制度などがある。 ● 児童扶養手当を生活費として使い込んでしまうため、月払いにできないか。 ● 今年度から死別の父子家庭に対し遺族年金が支給されるように法改正されたが、2014 年 4 月 以降に妻を亡くした世帯のみが対象となっている。2014 年 4 月以前に妻を亡くした父子家庭へ 対し、遺族年金に充当する経済支援が必要。 ● 貸付金の保証人範囲の拡大(年金受給者可にするなど)。 ● 進学する場合の経済的支援について、入学後に貸付を受けられるというのでは、意味がない。 資金がなければ結局就職せざるを得なくなるが、派遣やアルバイトなどが多く、貧困の連鎖につ ながっているように思う。 <就業支援> ● 高等職業訓練促進給付金事業の利用後の出口の開拓を行う。 ● 母子世帯では、ひとり親になる前は専業主婦やパート・アルバイトだった方が多い。就職また は転職する上で職歴が少ないことやスキルがないことが容易に就職できない原因にもなってい ると思う。 ● 就業に関しては、子どもの成長に合わせた就労プランを考え、先の見通しをイメージできるよう サポートしていく必要性があるのではないか。そのためにも、社会や企業に、ひとり親家庭の理 解を醸成していくことも同時に必要である。 3 ● 就職にあたり「ひとり親であること」が障壁となっていることが多いようなので、企業への啓発活 動や、ひとり親を雇用した企業への支援(助成金など)の充実という方法は採れないか。 ● 「実態調査」で、母子・父子世帯が、就労準備のための支援で受けたいものとしては、「ひとり親 家庭に理解のある企業等による就職説明会」が一番多かった。このニーズに合う施策として、 H23、24 に合同説明会を行ったが、費用対効果の面から H25 以降は実施していないとのことだ った。このギャップは、恐らく企画運営の問題かと思われる。ひとり親家庭は、平日や土日など多 様な働き方があるので、集客が難しいという側面がある。しかし、データを見るとニーズはあるの で、過去の企画と当事者のニーズのギャップを再検討する価値はある。企画が認知されるように なれば、ひとり親家庭にとっても、企業理解を広げるためにも有効な施策ではないかと思う。 ● 「仙台・仕事探しガイドマップ」配布については、アウトカムを測って検討したい。 <ハローワーク関連> ● ひとり親世帯が必要としている就職支援策として、技能訓練受講などについての経済的支援と いうのがあるが、求職者支援制度の活用である程度解決できないのか。求職者支援制度の周 知・活用促進を仙台市としても進めて行くということは可能ではないか。 ● ハローワークの求職者支援訓練は3~4か月と訓練機関が長く、その間の託児はない。保育所 に入所できない方や学童保育を利用できない方は、現実的に難しいと断念する場合も多い。ま た訓練中は就職ができないため、収入が得られないことも訓練受講を諦める原因になっている と思う。 ● 区役所保護課内(泉区除く)にハローワークのサポートコーナー(生活保護受給者対象)を設 けて職業相談を行っているが、生活保護も受給していない児童扶養手当受給者にも対象を広 げ職業相談や生活相談をワンストップで行えるようになればよいのではないか。 <養育費> ● 明石市の取り組みを導入(離婚届の書式の変更)してはどうか。 養育費の取り決め、面会交流の取り決めを行ったか等の確認を窓口で行う。 可能であれば養育費の額、支払方法、面会の取り決め内容を記載出来るようにし、特筆する理 由(DV 等により保護が必要な場合を除く)が無い限り、取り決めを行ってから受理するように運 用の在り方を変える。 ● 養育費を支払っている親に対しては税の控除をするなどの特例を設け、支払っていない親に 対して課税対象とし、養育費額を市がかわりに支給してはどうか。 ● 養育費等に関する知識がないままに離婚する夫婦がいるため、離婚する際に行政の窓口で 「子どもの養育に関する合意書」の用紙を渡し、監護責任の自覚を促す(ex.明石市の制度)。 ● 諸外国のような、国・行政主体の養育費の履行確保(当事者任せにせず、子どもの貧困問題 などの点からも、国などが個人に代わって養育費を確保する制度の確立。 ex.国による立替払 いや取立ての援助、制裁など) 4 3 子育て支援・生活支援関連の意見 <仕事と子育ての両立> ● 生活費に困っている家庭は、進学や教育について、収入が高い家庭は、しつけや養育に関し ての悩みが増える。これは、ひとり親家庭が単に収入が良い就職先を見つければひとり親家庭 が抱える課題が減るかというとそうでは無く、収入と引換に、子どもとの時間の確保が難しくなり、 養育や家庭と仕事の両立に関する課題が出てきてしまうという、ひとり親家庭ゆえの悩ましさで ある。 ● ひとり親家庭になった時に、子どもを含めたライフプランに沿った就労と子育ての計画を立てて いくことをサポートしてはどうだろうか。例えば、子どもが未就学の時期は、非正規で残業が少な い仕事を持ちながら公的制度(児童扶養手当等)を利用した育児をし、小学校中学年あたりに は、職業訓練、または高等技能訓練で正規職員の準備をする。中学生あたりには正規職員で の就職を目指し、進学への準備を整えていく。子どもの成長に合わせた仕事と子育てのバラン スを考えた人的サポートがあると、大きな精神的安心と将来の不安を軽減していくことになる。 ● ワークライフバランスの実践を世論に示し、育休取得・ワークライフバランスの促進に努める。 ● 父親にとって子育てしながら働きやすい労働環境を整備するべく、男女共同参画事業におい て、イクメン・イキメン・イクボス等の周知徹底を行う。 <企業への働きかけ> ● 時短労働や在宅勤務等の働き方を取り込んだ企業体の取り組みを評価し、可能であれば、税 制面での優遇を得られる等の提案を行い促進していく。 ● 子育てにより働き方が変わってしまうことにより、職場での評価が下がることは違法であることの 周知徹底。 <住宅について> ● 市営住宅は、月を限定せずに、年間を通して母子・父子世帯枠を設定してほしい(離婚のタイ ミングと合わない場合があるため)。 ● 市営住宅の入居要件の緩和(保証人の資格など)。 ● 住居の確保策として、シェアハウス、母子生活支援施設のような場所が必要。 <子どもの預かり事業について> ● 病後児保育の拡充が必要。 ● 保育所の一時預かり(特定保育)の利用料について、3歳未満児が1日2,400円、3歳以上児 が1,200円で給食費はプラス300円となっており、負担に感じている方が多いと思われる。保 育所に入所できず、一時預かりを利用しパートで働きたい、または資格取得のため職業訓練に 通いたいと思っても、なかなか踏み切れない方が多いのではないか。生活保護世帯や市民税 非課税世帯は無料となっているが、それ以外の方のほうが多いので。 5 <子どもへの支援> ● 低所得世帯の子どものための学習サポートの拡大は、ひとり親家庭が抱える問題、「教育・進 学・しつけ」に対応する場、また、親の不在の間の子どもの居場所としても有効である。今後は、 児童扶養手当満額受給者以外の家庭にも対象を広げていくことで、問題解決のための大きな 糸口になると思う。 <地域とのつながり> ● 地域における子育て支援を推進するため、親父の会の活用、ファザーリングの普及を図る。 ● 地域での平日の母親たちのコミュニティーや PTA の集まりなどに参加できないと、重要な情報 や親同士のつながりを持てず、親の交流が子ども同士の交流にも影響がでることもある。地域と のつながりをサポートするような支援が必要である。 6
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