講義資料

第9章
インフレーションとデフレーション
1月9日(金) 1 限目
第9章: インフレーションとデフレーション
はじめに
物価は上がりすぎても、下がりすぎても困る
インフレ(継続的な物価上昇)、 デフレ(継続的な物価下落)
・ インフレは多くの国が経験
・ デフレはそれほど多くの国では見られない
日本はデフレから脱却可能か? 将来、日本はインフレになるのか?
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9.1. 日本を襲ったデフレ
1990年代後半の金融危機をきっかけに、日本経済はデフレへ
⇒ 物価下落の直接の原因は、「景気の悪化」
⇒ 景気悪化 ⇒ 消費・投資の落ち込み ⇒ 需要減少
ただし、これまでも景気の悪化はあったが、物価下落には至っていなかった。
⇒ 1990年代後半の金融危機が深刻だった証拠
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9.1. 日本を襲ったデフレ
消費者物価指数の推移
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
出所:総務省統計局
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9.1. 日本を襲ったデフレ
デフレ・スパイラル:
物価下落が続くと、今後も物価が下がると予想
⇒ 企業の売上減少 ⇒ 賃金減少・雇用悪化
⇒ 需要減少 ⇒ 物価下落
日本銀行のデフレへの対策:
大胆な金融政策: ゼロ金利政策
⇒ デフレの状態では、ゼロ金利政策は効きにくい
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9.2. 物価下落を引き起こすもの
物価下落の要因は2つ
物価
物価
p
p
p’
p’
y’
y
実質GDP
① 総需要低下のケース
y
y’
実質GDP
② 総供給低下のケース
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9.3. デフレの功罪
債務(借金)を抱える経済主体は、デフレで大きな損害を受ける
借金額(名目額)は、借金をした時点で固定される
⇒ デフレで物価が下落すると、借金の実質額は増加
例: 借金額は変わらないが、収入が落ちることで、
実質的な負担が増加
日本政府の場合、デフレで税収が落ちる
⇒ (巨額な債務を抱えながら)財政運営がますます厳しく
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9.3. デフレの功罪
貯金をしていた経済主体は、デフレで大きな得をする
現役時代に、たくさん貯金をして引退する
⇒ デフレになると、預貯金の実質価値が増加する
(物価が安くなると、貯蓄資金で買える量が増える)
経済全体では、デフレが続くことは好ましくない
⇒ 景気低迷により、人々の間に閉塞感がまん延
⇒ 失業率悪化、自殺者増加?
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9.4. 多くの国を悩ませるインフレ
ハイパーインフレーション: 物価が年率で1000%以上で上昇する現象
ドイツ、ハンガリー、オーストリア、ポーランドなどのヨーロッパ諸国
アルゼンチン、ブラジル、メキシコなどのラテンアメリカ諸国
日本では、ハイパーインフレは起こっていないが、オイルショック時には
20%~25%のインフレとなった。
⇒ インフレによって、最もきびしい影響を受けるのは高齢者
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9.4. 多くの国を悩ませるインフレ
消費者物価指数の推移
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
-5.0
出所:総務省統計局
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9.4. 多くの国を悩ませるインフレ
高齢者は、老後の生活資金の多くを「銀行預金」や「郵便貯金」してきた
⇒ インフレは、預貯金の価値を大幅に目減りさせる
例えば、老後に25%のインフレが起こると?
⇒ (何もしてないのに)老後資金の4分の1がなくなる
⇒ 20歳~60歳まで40年間働いてこつこつためたお金であれば…
⇒ そのうちの10年分の蓄えがもっていかれる計算
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