平成 27 年(2015 年)教育長から職員に向けての年頭あいさつ

平成 27 年(2015 年)教育長から職員に向けての年頭あいさつ
・はじめに
新年明けましておめでとうございます。
9連休という非常に長い休みがございましたが、それぞれにご家
族の方と一緒に健やかな春を迎えていただいたのではないかと思い
ます。また今年一年、よろしくお願いします。
昨年を振り返りますと、まず3月に「第2期滋賀県教育振興基本
計画」を策定するとともに、実行に移していくという、新たな第一
歩を踏み出したわけですが、この歩みは我々にとって大変厳しいも
のになりました。
しかしながら、皆さん方に様々な教育課題に怯むことなく向き合
っていただき、乗り越えることで、滋賀の教育の歩みを進めてこら
れましたことに対しまして、心よりお礼を申し上げますとともに、
今年も、気持ちを新たに、我々の基本目標であります「未来を拓く
心豊かでたくましい人づくり」を目指して全力を尽くしていただき
ますよう、お願いしたいと思います。
・2014年を振り返る
さて、昨年の冬は、冬季オリンピックが開催され、皆さんも、世
界のトップアスリートと戦う日本選手の姿に心を躍らせておられた
ことと思いますが、その中には、滋賀県出身の選手の活躍もあった
ことを大変頼もしく思っていたところです。
9月には、関西ワールドマスターズゲームズ 2021 の組織委員会
への参画が決定しました。前年の2020年には、東京オリンピッ
ク・パラリンピックが開催されることもありますし、その3年後の
2024年には、本県において、第79回国民体育大会・全国障害
者スポーツ大会の開催が控えております。
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このように、本県におけるスポーツ振興や競技力向上に向けた環
境の整備が、これまで以上に求められている中、その最初の一歩と
して、12月には「滋賀県競技力向上基本計画」を策定しました。
この計画のもと、国体開催地としてふさわしい成績が残せるよう目
指すとともに、スポーツを通じて、滋賀を愛し、地域を支えること
のできる人材の育成に取り組んでいきたいと思います。
一方、8月に発表されました全国学力・学習状況調査の結果は、
前年度に引き続き、大変厳しいものとなりました。子どもたちの「生
きる力」の基盤となるのが「学力」ですが、改めて学力を高めるこ
との重要性や、その改善のための方策の難しさを強く感じました。
また、この調査によって、学力だけではなく、子どもたちの学習
状況や生活習慣においても改善していかなければならないという面
も明らかになったと感じています。
その結果をしっかりと分析し、活かしていくためには、学力をど
のように捉えるのか、そして、学力向上のための手立てを構造的に
理解し、明確な理論に基づき実践しなければなりません。
こうしたことから、現在、授業改善を始め、学習習慣や生活習慣
の改善、体力の向上等、学校、家庭、地域が一体となった取り組み
を、短期計画と中長期計画の二つの視点で、これからの学ぶ力向上
のためのプランの策定を進めているところです。
このプランをしっかりと策定し、実践することで、
「生きる力」を
子どもたちが自ら身に付けることができるよう、私たち教育に関わ
る者が力を合わせて一緒に頑張っていきたいと思っています。
また11月には、高校生による、高校生最大の文化の祭典、第3
9回全国高等学校総合文化祭「2015滋賀
びわこ総文」のプレ
大会が開催され、文化にかける高校生の想い、大会の成功に向けた
意気込みを強く感じました。
この滋賀の地に、全国から2万人もの高校生が集い、多くの仲間
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と交流し、創造性に満ちた芸術文化活動を展開するこの大会を、今
年7月に開催します。
開催に向けて一生懸命、精一杯の準備を進めている生徒たちを、
教育委員会全体で支え、大会を成功させなければならないと考えて
います。
昨年は、教育委員会制度の抜本的な改革が行われた年でもありま
した。
教育委員会制度は、教育の政治的中立性と継続性・安定性を確保
し、教育行政に多様な民意を反映する仕組みとして、長年にわたり
大きな役割を果たしてきましたが、その一方で、責任の所在が不明
確であることや、危機管理能力が不足しているのでないか、あるい
は、民意が十分に反映されていないのではないか、といった声があ
ったのも事実です。
こうした声の高まりを受けて改正された新制度は、4月から施行
され、これまで以上に、首長と教育委員会との連携が求められる内
容となっています。
今回の制度改革の趣旨を十分に理解し、滋賀の子どもたちのため
に、県民の皆さんの意思をしっかりと受け止めながら、教育行政の
充実・発展のために取り組んでいかなければならないと思います。
このような中で2015年(平成27年)がはじまりました。お
正月のテレビ番組を見ていると、この2015年は地球にとって、
また人類にとって大きな転換期になるのではないかと予感させられ
ます。高度な情報化社会の到来、医療テクノロジーの進化による長
寿化社会、国境や民族を越えた共生社会、個の尊厳がより一層重視
される少子化社会など、これまでに人類が経験しなかった社会に入
っていくように思います。
一方で、確実に格差社会が広がり、人権の問題が別の形をとって
表れてくるかもしれません。まさに、人と人とが共に社会をつくり、
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学び、生きる意味がより一層強く問われる時代に入ってくると思い
ます。
・滋賀の教育の課題解決に向けて
教育は、百年の大計と言われますように、これからの時代をどの
ように作り上げるのか、そしてそのために子どもたちをどのように
育てるのか、子どもたちの基礎を教育によって、しっかりと作り上
げなければならないと感じます。
子どもの学力をどのように育てるのか。子どもの健やかな心や体
力をいかに育んでいくのか。子どもたちの感性を、どのように醸成
し、子どもたちの成長につなげていくのか、また、特別支援教育の
推進につきましても、今後のあり方をしっかりと検討し、進めてい
かなければなりません。これからの生涯学習社会という、新しい社
会をどう創っていくのかをしっかりと見定めて、教育を進めていか
なければならないと感じております。
未来を生きる子どもたちの「生きる力」を育てるためには、より
高いレベルで課題を分析し、教育環境を整えるための長期的な視野
と、より的確な政策形成が必要であり、我々がしっかりと課題を見
極め、何をすればよいのかを考え続け、実践を通じて伝えることが
極めて重要です。
そのためには、ここにいる教育に関わる皆さんには、未来の社会
の姿を描き、未来を生きる子どもたちが身に付けるべき価値観や資
質を見極め、育てるのだ、という気概をもっていただきたいと思い
ます。
・最後に
今年の干支は、未です。
この干支で用いる「未」の字は木に若い枝が出たさまを象り、わ
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かい意味を表しています。
「未来」の「未」の字にも使われていますが、まさに、長い人生
の木に若い枝が出始めた子どもたちが、若々しく未来に向かって、
未知を究め、未踏の地を拓いていく新鮮さをイメージさせます。
また、同属語に「味」があり、果実に味が生じ始めた状態とも解
釈されています。
未来を生きる子どもたちが枝をはり葉が生い茂り、たくましい大
樹となり、豊かな果実を実らせるようにすることが、我々教育委員
会が担っている使命だと感じています。
これまで皆さんと一緒に取り組んできた教育施策が実を結び、充
実する年になりますよう、心を一つにして滋賀の子どもたちのため
に全力を尽くしていきたいと思います。今年一年、一緒に頑張って
いきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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