大阪医科大学 2015年度(前期)入学試験 解答速報 数学 2015年2月10日 実施 〔1〕 an = n ∑ k2n−k (n = 1, 2, · · · ) とおく。 k=1 (1) 和 an を求めよ。 (2) 数列 {an } を次のように 4 個ずつの群に分ける: | a1 , a2 , a3 , a4 | a5 , a6 , a7 , a8 | · · · · · · このとき,各群の 2 つ目の項以外の 3 数は,5 で割ったときの余りが等しいことを示せ。 解答 (1) 2an an = 1 · 2n + 2 · 2n−1 + 3 · 2n−2 + · · · = 1 · 2n−1 + 2 · 2n−2 + · · · + (n − 1) · 22 + n · 21 + (n − 2) · 22 + (n − 1) · 21 + n · 20 これら 2 式を辺々引くと an = (2n + 2n−1 + 2n−2 + · · · + 22 + 21 ) − n = 2(2n − 1) − n = 2n+1 − n − 2 2−1 (2) 24 ≡ 1 (mod 5) であることに注意する.以下,k を自然数として a4k−3 ≡ 24k−2 − (4k − 3) − 2 ≡ 4 − (4k − 3) − 2 ≡ −4k (mod 5) a4k−2 a4k−1 ≡2 − (4k − 2) − 2 4k ≡ 2 − (4k − 1) − 2 ≡ 3 − (4k − 2) − 2 ≡ 1 − (4k − 1) − 2 ≡ 3 − 4k ≡ −4k (mod 5) (mod 5) a4k ≡ 24k+1 − 4k − 2 ≡ 2 − 4k − 2 ≡ −4k (mod 5) 4k−1 となるから,各群の 2 つ目の項以外の 3 数を,5 で割ったときの余りは等しい. (証明終) 〔2〕 平面上の三角形 ABC は二等辺三角形でないと仮定する。3 つの内角 ̸ A,̸ B,̸ C の対辺の長さをそれ ぞれ a,b,c とする。三角形 ABC の外接円を F ,外心を O とする。点 A における F の接線と直線 BC の 交点を S とする。同様に点 B における F の接線と直線 CA の交点を T,点 C における F の接線と直線 AB の交点を U とする。 (1) △SAB と △SCA は相似であることを示し,2 つの三角形の面積の比を a,b,c を用いて表せ。 −→ −→ −→ c2 OC − b2 OB (2) OS = を示せ。 c2 − b2 −→ −→ −→ − → (3) xOS + y OT + z OU = 0 を満たす 0 でない実数 x,y ,z の 1 組を a,b,c を用いて表せ。 (4) (3) で求めた x,y ,z は x + y + z = 0 を満たすことを示して,S,T,U は一直線上にあることを 示せ。 解答 S b2 c2 B a C c b A T U (1) b > c の場合を示す.△SAB と △SCA において,̸ S は共通.接弦定理より ̸ SAB = ̸ SCA.2 組の 角が互いに等しいので,△SAB と △SCA は相似である. b < c の場合,接弦定理より ̸ SBA = ̸ SAC となる.他については同様である. (証明終) 相似な図形の面積比は,相似比の 2 乗なので,△SAB : △SCA = AB : CA = c2 : b2 . (2) △SAB の底辺を BS,△SCA の底辺を CS と見ると,この 2 つの三角形の高さは共通なので,BS : CS は三角形の面積比 c2 : b2 に等しい.すなわち,S は BC を c2 : b2 に外分するということになるので, −→ −→ −→ c2 OC − b2 OB である. (証明終) OS = c2 − b2 (3) (2) と同様にすると, −→ −→ −→ c2 OC − a2 OA , OT = c2 − a2 −→ −→ −→ a2 OA − b2 OB OU = a2 − b2 である. −→ −→ −→ xOS + y OT + z OU ( ( −→ ( −→ −→ −→ ) −→ ) −→ ) c2 OC − b2 OB c2 OC − a2 OA a2 OA − b2 OB =x +y +z c2 − b2 c2 − a2 a2 − b2 ( ) −→ −1 1 2 =a y+ 2 z OA c2 − a2 a − b2 ( ) −→ −1 −1 2 +b x+ 2 z OB c2 − b2 a − b2 ( ) −→ 1 1 2 +c x+ 2 y OC c2 − b2 c − a2 − → であるので,(x, y, z) = (c2 − b2 , a2 − c2 , b2 − a2 ) ならば,これが 0 となる. 注釈 もちろん,(x, y, z) の組は一意でない.(x, y, z) = (b2 − c2 , c2 − a2 , a2 − b2 ) なども可. (4) x + y + z = (c2 − b2 ) + (a2 − c2 ) + (b2 − a2 ) = 0. よって, (b = \ c より x = \ 0 なので) −→ −→ −→ − → −→ −→ −→ −→ → − xOS + y OT + (−x − y)OU = 0 ⇔ x(OS − OU) + y(OT − OU) = 0 −→ −→ − → −→ y −→ ⇔ xUS + y UT = 0 ⇔ US = − UT x より,S,T,U は一直線上にある. (証明終) ( 〔3〕 円周 x2 + y 2 = 1 の x > 0, y > 0 の部分にある弧を C とする。 C 上の点 (cos θ, sin θ) 0 < θ < における C の接線を Lθ とおく。また,実数 a に対して曲線 y = (x − a)2 − π ) 2 1 を Pa と表す。 4 π である θ に対して, Lθ が Pa に接するような a が定まることを示し, a を θ で表せ。 2 π (2) (1) の a を表す θ の関数のグラフの概形を 0 < θ < で描け。 2 ( π ) (3) Pa と接する Lθ 0 < θ < が存在するような a の範囲を求めよ。 2 (1) 0 < θ < 解答 π なので 0 < sin θ < 1, 0 < cos θ < 1 であることに注意しておく.公式により Lθ 2 の方程式は (cos θ)x + (sin θ)y = 1 である.これと Pa の方程式から y を消去して整理すると ( ) 1 2 2 (sin θ)x + (cos θ − 2a sin θ)x + a − sin θ − 1 = 0.これは x の 2 次方程式であるから,この 4 (1) 0 < θ < 判別式を D とすると D = 0 を満たす a が存在することを示せばよい. {( ) } 1 D = (cos θ − 2a sin θ)2 − 4 sin θ a2 − sin θ − 1 = 0 から 4 a= 4 sin θ + 1 4 sin θ + 1 = となり a は確かに存在する. (証明終) 4 sin θ cos θ 2 sin 2θ 4 sin θ + 1 (2 sin θ − 1)(2 sin2 θ + 2 sin θ + 1) とおくと f ′ (θ) = となる. 2 sin 2θ sin2 2θ 常に 2 sin2 θ + 2 sin θ + 1 > 0 が成り立つことに注意すると f (θ) の増減およびグラフは次の通りと (2) f (θ) = なる. θ (0) f′ f − ∞ ↘ π 6 0 √ 3 ( π ) 2 a + ↗ ∞ √ 3 O (3) (2) の結果から,a > = √ 3. π 6 π 2 θ 〔4〕 a, b を正の定数として,平面上の楕円 (x − 1)2 y2 + 2 = 1 を E とする。 2 a b (1) E が直線 y = x と接するとき b を a で表せ。また接点の x 座標 x0 を求めよ。 (2) E が (1) の条件を満たすとき, x < = x0 を満たす E の部分と 2 直線 y = x, y = 0 とで囲まれる図形 を,x 軸の周りに回転させてできる立体の体積 V を a を用いて表せ。 解答 (1) (x − 1)2 y2 + = 1 と y = x を連立して整理すると a2 b2 (a2 + b2 )x2 − 2b2 x + b2 − a2 b2 = 0.この判別式を D とすると, D/4 = b4 − (a2 + b2 )(b2 − a2 b2 ) = 0.a > 0, b > 0 に注意してこれを整 √ 理すると b2 = 1 − a2 .よって b = 1 − a2 .またこのときの 2 次方程式 b2 の重解は x = 2 = 1 − a2 なので x0 = 1 − a2 . a + b2 (2) 右図のようになる.V は円すいから楕円の回転体を引いて求める. ∫ x0 1 V = πx0 2 · x0 − πy 2 dx 3 1−a } ∫ 1−a2 { 1 − a2 1 2 πx0 3 − π 1 − a2 − (x − 1) dx = 3 a2 1−a ∫ 1−a2 { 2 } 1 π(1 − a2 ) 2 3 = π(1 − a ) − a − (x − 1)2 dx 2 3 a 1−a 1 = π(1 − a)3 (1 + a). 3 y x0 O 1−a x0 x 〔5〕 はじめに袋の中に赤玉と青玉が 2 個ずつ入っている。次の試行を n 回行う。 袋の中をよくかき混ぜてから玉を 1 個取り出す。その色が赤なら手元において,青なら袋に戻す。 n> = 1 として n 回の試行の後に手元に残る赤玉の個数が 2,1,0 個である確率をそれぞれ pn , qn , rn とする。 (1) p2 , q2 , r2 を求めよ。 (2) p3 , q3 , r3 を求めよ。 (3) n > = 2 として, pn , qn , rn のそれぞれを pn−1 , qn−1 , rn−1 を用いて表せ。 (4) rn を n を用いて表せ。 (5) pn , qn を n を用いて表せ。 解答 まず,最初の状態を n = 0 として p0 = 0, q0 = 0, r0 = 1 と思ってもよい.次に n > = 1 のとき, • n 回目の試行の後に手元に残る赤玉の個数が 2 個となるのは, ▷ (n − 1) 回目の試行までで手元に赤玉がすでに 2 個あり,かつ n 回目の試行で青玉 2 個の袋の 中から青玉を取り出すとき ▷ (n − 1) 回目の試行までで手元に赤玉が 1 個であり,かつ n 回目の試行で赤玉 1 個,青玉 2 個 の袋の中から赤玉を取り出すとき の場合がある. • n 回目の試行の後に手元に残る赤玉の個数が 1 個となるのは, ▷ (n − 1) 回目の試行までで手元に赤玉が 1 個であり,かつ n 回目の試行で赤玉 1 個,青玉 2 個 の袋の中から青玉を取り出すとき ▷ (n − 1) 回目の試行までで手元に赤玉が 0 個であり,かつ n 回目の試行で赤玉 2 個,青玉 2 個 の袋の中から赤玉を取り出すとき の場合がある. • n 回目の試行の後に手元に残る赤玉の個数が 0 個となるのは,(n − 1) 回目の試行までで手元に赤玉 が 0 個であり,かつ n 回目の試行で赤玉 2 個,青玉 2 個の袋の中から青玉を取り出す場合である. 袋の中の玉の変化の様子は下図のようになる. n − 1 回目終了後 n 回目終了後 1 × 2 赤 赤 青 青 rn−1 × × 赤 赤 赤 青 青 rn 1 2 2 3 青 青 qn−1 × 赤 青 青 qn 1 3 ×1 青 青 pn−1 青 青 pn したがって,漸化式 pn = pn−1 + 1 3 qn−1 , qn = 2 3 qn−1 + 1 2 rn−1 , rn = 1 2 rn−1 が成り立つ (これは (3) の答である). (1) 得られた漸化式より p1 = 0, q1 = p2 = 1 6 , q2 = 7 12 1 , r2 = 4 1 1 , r1 = であり,この漸化式を再び利用して 2 2 である. (2) ここも上で得られた漸化式より p3 = p2 + 13 37 1 1 1 2 1 q2 = q2 + r2 = r2 = , q3 = , r3 = . 3 3 2 2 36 72 8 (3) 漸化式は最初に書いた通り. ( )n 1 1 (4) 数列 {rn } は,初項 r0 = 1 ,公比 の等比数列であるから rn = . 2 2 ( )n ( )n 2 1 2 1 2 (5) (4) の結果を代入して qn = qn−1 + rn−1 = qn−1 + となる.ここで,両辺を 3 2 3 2 3 で割ると ( ( qn qn−1 )n = ( )n−1 2 2 3 3 ( となる.ここで, sn = ( sn = sn−1 + 3 4 )n 3 2 )n 1 2 + ( )n 2 3 ( ⇐⇒ 3 2 )n ( qn = 3 2 )n−1 )n qn とおくと, {sn } が満たす漸化式は (n > = 1 のとき, = 1), s0 = 0 であることから, n > sn = s0 + )k { ( )n } n ( ∑ 3 3 =3 1− 4 4 k=1 ( qn−1 + 3 4 )n となる.右辺に n = 0 を代入すると 0 となり s0 と一致するので, ( sn = 3 2 )n { ( )n } 3 qn = 3 1 − (n > = 0) 4 である.これより, {( qn = 3 2 )n 3 が得られる.また, ( − ( pn = 1 − qn − rn = 1 − 3 1 )n } 2 2 ( )n 3 +2 1 )n 2 である. 講評 5 問とも標準的な問題.内容的には昨年より若干易化した.ただし,正確な論述力,計算力を必要とす る問題ばかりで,どの問題も完答するのは難しい.ボーダーラインは 6 割強か. 〔1〕(標準)整数問題.場合分けは合同式を利用してスッキリやりたい. 〔2〕(標準)平面ベクトル.基本的な平面幾何の知識が必要. 〔3〕(標準)数Ⅲ微分.正確な計算力が必要. 〔4〕(標準)数Ⅲ積分.下手に計算すると (2) は大変なことになる. 〔5〕(標準)確率.漸化式との融合問題. 医歯学部進学予備校 メビオ 〒540-0033 大阪市中央区石町2-3-12 ベルヴォア天満橋 TEL 06-6946-0109 FAX 06-6941-9416 http://www.mebio.co.jp/
© Copyright 2025 ExpyDoc