大阪医科大学 2015年度(前期)入学試験 解答速報 物理

大阪医科大学 2015年度(前期)入学試験 解答速報 物理
2015年2月10日 実施
I
(1) 求める距離を地球の x 倍とすると,ケプラーの第 3 法則より,
x3
13
2 .
= 2 , ∴ x = 12 3 =
.5
2
12
1
(2) 無限遠を基準として,各点での電荷 q の静電エネルギーは,
UC = −k
よって,
Qq
Qq
Qq
,UD = k
,UE = k
.
20a
20a
6a
W′
UE − UC
13
=
=
.
W
UD − UC
6
(3) 家一軒での消費電量を P ,損失する電力を Q とすると,
Q
4
=
, ∴ P = 24Q.
P +Q
100
また,40 軒のときの消費電力は 40P で,このとき送電線に流れる電流が 40 倍になるので,損失
する電力は 402 Q になる.以上より求める電力損失は,
402 Q
40Q
40
=
=
= 0.625, ∴ 62.5%.
2
40P + 40 Q
24Q + 40Q
64
(4) 題意より深さ 100 m での圧力は大気圧の 11 倍であることがわかる.また,題意より空気の断熱
2
p7
過程では pV = 一定 が成り立つので,ボイル・シャルルの法則を用いると,
= 一定 であるこ
T
とがわかる.従って大気圧を p0 [Pa] として求める温度を T [K] とすると,
7
5
2
2
(11p0 ) 7
p0 7
2
=
, ∴ T = 300 × 11 7 = 600 [K].
T
300
また,Q = 0 だから,熱力学の第一法則より,
W = ∆U =
5
· 1 · R · 300 = 750R [J].
2
II
(1) 回転させながら放出された小球の運動エネルギーは K ′ =
1
1
mv 2 +
m(rω0 )2 .
2
2
1
1
mv 2 なので,K ′ − K =
mr2 ω0 2 [J].
2
2
−
→
(2) 小球を放出してから t 秒後の速度ベクトルは v = (−v1 cos θ1 , rω1 , v1 sin θ1 − gt) となるから,
(
)
1 2
−
→
t 秒後の位置ベクトルは x = r − v1 t cos θ1 , rω1 · t, v1 t sin θ1 −
gt .
2
v1 sin θ1
秒後だから,
最高点に達するのは t1 =
g
回転を止めた状態では K =
h1 = v1 t1 sin θ1 −
1 2
v1 2 sin2 θ1
gt1 =
[m].
2
2g
また,xy 平面に落下するのは 2t1 =
2v1 sin θ1
秒後だから,
g
v1 2 sin 2θ1
2v1 sin θ1
cos θ1 = r −
[m].
g
g
2v1 sin θ1
2rω1 v1 sin θ1
y1 = rω1 ·
=
[m].
g
g
x1 = r − v1 ·
(3) (2) において ω1 = 0 とすればよく,x2 = r −
v1 2 sin 2θ1
= 0 を解いて,v2 =
g
√
gr
[m/s].
sin 2θ2
(4) 衝突の前後で速度の z 成分だけが −e 倍されることになる (回転軸を上方を正の向きとして z 軸
とした).したがって,次に落下するまでの時間は e 倍.速度の z 成分以外は変化しないので距離も
e 倍となる.すなわち求める距離は er [m].
(
)
1 2
−
→
(5) 放出 t 秒後の小球の位置ベクトルは x = r − v2 t cos θ2 , rω2 · t, v2 t sin θ2 −
gt .2回めに
2
落下するのは T = 2t1 + e × 2t1 秒後だから,円板上で2回以上弾むためには,
2
2
2
(r − v2 T cos θ2 ) + (rω2 · T ) <
=r
√
が満たされればよい.これを解いて,ω2 <
=
g
×
2r tan θ2
√
1−e
.
1+e
III
(1) 共鳴状態のとき振動板側,ふたの側ともに定常波の節となっている.振動数 f1 [Hz] のとき基本振
動,f2 [Hz] のとき 2 倍振動なので,
f1 =
v
v
[Hz],f2 =
[Hz].
2l
l
√
P
(t は絶対温度)が一定値となるので,v は t に比例することが
ρt
√
v′
T + 273
′
わかる.変化後の音速を v [m/s] として
=
となる.いずれの振動数の場合も波長
v
273
が一定なので,振動数は音速に比例し,
(2) 気体の種類が同じであれば
√
いずれの振動数も
T + 273
倍
273
となる.
(3) バルブを開ける前の容器内の圧力は
れにともない,
273
倍となる.したがって,容器から抜けた気体の質量は,
T + 273
(
∆m =
T + 273
気圧であり,これが 1 気圧になるので,物質量はこ
273
1−
273
T + 273
)
m=
T
m [g]
T + 273
となる.
v ′′
=
変化後の音速を v [m/s] とすると
v
一定なので,振動数は音速に比例し,
′′
√
いずれの振動数も
√
T + 273
となる.いずれの振動数の場合も波長が
273
T + 273
倍
273
となる.
(4) f1 ′′′ =
て,
1
v0
v
f1 だから,0 ◦ C,1 気圧の空気の音速を v0 とすると,
=
が成立する.よっ
6
4l
12l
v
=3倍
v0
また,f2 ′′′ = 3f1 ′′′ =
f2 ′′′
1
1
f1 なので,(1) より,
=
倍
2
f2
4
IV
(1) B =
µ0 I1
[Wb/m2 ].
2πl
(2) F1 = I2 Ba =
µ 0 I1 I2 a
[N],引力.
2πl
(3) 電流 I1 が回路の RS の部分に作る磁束密度は,B2 =
F2 = I2 Ba − I2 B2 a =
µ0 I1 I2 a
µ0 I1 I2 a
µ0 I1 I2 ab
−
=
[N],引力.
2πl
2π(l + b)
2πl(l + b)
(4) PQ の部分に電流 I1 が作る磁束密度 B ′ は,B ′ =
E1 = vB ′ a = +
µ0 I1
[Wb/m2 ] となるので,
2π(l + b)
µ0 I1
となるので,
2πx
µ0 vaI1
[V].
2πx
(5) E2 = 0 [V].
(6) (4),(5) より,全体の起電力 E [V] は,
E = E1 −
µ0 vaI1
µ0 vabI1
=
[V].
2π(x + b)
2πx(x + b)
また,回路全体の抵抗は 2r(a + b) [Ω] なので,
I=
µ0 vabI1
[A].
4πrx(a + b)(x + b)
講評
I (1) ケプラー第 3 法則 (2) 静電エネルギー (3) 電力輸送 (4) 水圧と断熱変化
(3) は難しいが過去問をやっていれば取れる問題.他は易しい.
II 力学 (放物運動+平面でのバウンド):問題の設定は変わっているが内容は標準的.(5) の計算に工夫が
必要.
III 波動 (気柱の共鳴+熱):問題は易しいが,どの物理量を基準にして答えるのかしっかり読まないとミ
スし易い.
IV 電磁気 (直線電流の作る磁場+電磁誘導):典型的な問題.向きや符号に気をつける.
昨年に比べて易しくなった.例年並み.全体として標準的な問題が並んでいるが,上手く時間配分をし
ないと得点が下がりやすい.ボーダーラインは 7 割 5 分.
医歯学部進学予備校
メビオ
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