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スラッシュリーディングのマスター
ここでは、センター試験全般に渡って使える速読速解のテクニックを紹介したいと
思う。それが「スラッシュリーディング」だ。
⒈スラッシュリーディングってなに
スラッシュリーディングとは、意味の切れ目ごとにスラッシュ(/)を引いて区切り
ながら、前から前から(つまり左から右に向かって)、返り読みをすることなくどんど
ん英文を読み進めていく方法のこと。よく「同時通訳式」とか「直読直解」などとも呼
ばれている。
確かに便利な読み方ではあるんだけど、英語が苦手な人間にとっては、どこで区切れ
ばいいのか(どこが意味の切れ目なのか)、パッパと判断がつかなくて悩んでしまい、
ただなんとなく区切っているだけで、結局役に立たないということが多いのも実情なん
だ。みんなの中にも
「よく /
引いて読んだりするんだけど、読めてんだか読めてないんだか…
_
」
という人は多いだろう。そういう人はスラッシュリーディングの正しい使い方を知ら
ないんだね。
⒉文中のどこでスラッシュ /)を引けばいいのか。
まず、スラッシュリーディングをうまく使いこなせていない人の最大の原因は、「ど
こで区切ればいいのか(/を引いたらいいのか)」がわからない、ということだと思う。
大体において以下のような個所を、スラッシュで区切る際の目安とするといいんだ。
⑴前置詞の前で/
「私は立っていました」
「
「バス停に」
「ガソリンスタンドの反対側の バス停に 」
号線沿いの ガソリンスタンドの 」
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⑵
等の接続詞(あるいは疑問詞節・関係詞節)の前で/
節や疑問詞節、更に関係詞節等は、それが出てきたら、以下の例のようにその
手前で訳をいったんまとめてしまうといい。
「ナンシーは
「ボクは
以下のことを思った」
「自分が一人きりになってしまうかもしれないと 思った 」
以下の家は好きじゃない」
「両親が住んでいる 家は好きじゃない 」
よく読解の参考書などに「関係代名詞の前にカンマ
があったら、カンマでいっ
たん区切るといい」等と書いてあるけど、実際関係詞節は、直前にカンマがあろう
がなかろうが、そこで/で区切って、関係詞に先行詞を代入し、訳し下げるのがい
いことが多いんだ。以下は、訳し上げては逆に意味不明になってしまうような例だ。
特に関係詞節を含む主節部分を「彼 マット が出席者に読み上げたいくつかの新聞
記事をマットは持ってきた」と訳し上げてしまってはまさに意味不明。そこで以下
のように/で区切り、
に
を代入し、訳し下げてみるとこれが
難なく訳せてしまう。
「最後の会議で」
「金曜に開かれた」
「マットはいくつかの新聞記事を持ってきた」
「そしてその記事を彼は出席者に読み上げた」
上の訳のように「そして、しかし、なぜなら、つまり」といった接続詞 やつなぎ
語 を/のところで挟んであげると更にスムーズにつながる(どの接続詞にするか
は文脈判断)。
それから「前置詞 関係代名詞」の場合には、「前置詞 関係代名詞」の前後で
を引いて、区切ってしまうのも一つの方法だ。例えば以下のような英文の場合、
《語句》
Aに乗り出す 出発する
手さぐりで進んでいく
最大の注意を払って
Aの間で において
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こんなふうに区切って 返り読みをせずに 読むのもいい。
「彼は出発した」
「危険な冒険に 出発した 」
「彼は手さぐりで進まなねばならなかったのだ」
「というのはその冒険の間 においては 」
「最大限の注意を払って」
関係代名詞に先行詞を代入して訳すという考え方は上の訳し方でも同じだネ。
「前置詞 関係代名詞」を苦手とする受験生は多いので例題をもう一つ挙げてみよう。
《語句》
持続可能な
天然資源
~を代替する
この英文中の
は「
既出の 単数名詞」の代用で、この場合では
を指している。で、こんなふうに区切ってみる。
「持続可能な社会とは
以下のような社会だ」
「つまりその社会 の中 では」
「人々は天然資源を慎重に活用する」
「そして常に考えている 社会である 」
「それをどのように代替すべきかについて 考えている 」
⑶後置修飾語の前で/
後置修飾語とは、修飾する語の後ろに置かれて、後ろからその語 句 を修飾するも
ののこと。以下の例文では
「男の人は」
~ や
「向こうに立っている 男の人は 」
「私は単なるガキに過ぎなかった」
~がそれにあたる。
「ご主人です」
「そのお店の」
「北海道の田舎で育った ガキ 」
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⑷主語が長い場合は、主語と 述語 動詞の間で/
S「彼が奥さんを 年間だましていたということが」
⑸
V「彼女を驚かせた」
不定詞の前で /
「人々は立ち上がった」
「パレードがもっとよく見えるように」
⑹目的語の手前で /
目的語が一語の あるいは短い 場合には「動詞 目的語」はワンセットでとらえれば
いいんだけど、以下の英文みたいに目的語がチョット長いなと思ったら、動詞と目
的語の間を
で区切ってみるといい。
「ジョーンズ氏は記録した」
「彼の子供の誕生パーティを」
「ビデオカメラで」
は
の目的語だけど、このようにその手前で
を引いて区切るとわかりやすい。
⑺副詞 句・節 と主節の間で/
主節とは、従位接続詞 関係詞・疑問詞 のついていない、いわゆる「裸のS V」の
ことで、文の骨組みとなるS+Vのこと。
逆に従位接続詞 関係詞・疑問詞 のついたS Vのことは「従位 属 節」という。
副詞 句・節 と主節の区切れ、つまり「さあ、ここから主節が始まるぞ」という部
分は、とても大事な意味の切れ目なので二重のスラッシュ、つまり
で区切るよ
うにしてみるといい。
「その結果」
S「情報が」
「アメリカの衛星からの 情報が 」
V「使われた」
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⑻カンマ
、コロン
、セミコロン
、ダッシュ - の前で/
特にカンマをみたら、/で区切って訳し下げる習慣をつけることが大切。
「彼は真夜中に、雨の中を自分の車で運転していた」
「とそのとき、 一人のお年寄りの女性が彼の車の前に飛び出してきた」
このように「
」を「と、その時」と訳すといいこともある。
「ポールはどんどん走った」
このように「
「そしてついにとある小さな村にたどりついた」
」を「そしてついに」と訳せることがある。
「それは動物の骨でできていた」
「そしていくつかの鈴がそれには取り付けてあった」
「ジャックはチームのキャプテンに選ばれた」
「なぜなら彼には強い統率力があったからだ」
「彼は多くの国に行ったことがある」
「すなわち韓国、中国、タイなどだ」
これらを区切る際にも、「そして」「というのは」「しかし」「つまり 即ち 」と
いった語をそこで補ってみるといい。特にコロンとダッシュは、「つまり 即ち 」
とこれを訳すといい場合が多い。
※カンマ、コロン、セミコロン等の役割の詳細については「スマートリーディング
」 アルク刊 を参照してみるといいだろう。
⑼文頭の疑問詞 句 の後ろで /
疑問詞付き疑問文をうまく訳せないような人は、疑問詞部分でいったん
てしまい、そこで訳をまとめてしまうといい。たとえば
「何なの」
で区切っ
なら、
「君がほしいのは」
と区切ってみるんだ。
疑問文における 助動詞の
等は形上ついているだけなので訳す
際にはないものと考えればいい。
いくつか例を挙げてみよう。
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→
「誰のペンなのだろう」
「これは」
→
「誰の傘なのだろう」
「ボクが持ってきたのは」
もう少し難しい英文で例を挙げてみよう。手順は同じ。
→
「どんな種類の集団に対してなのだろう」
「
という言葉があてはまるのは」
→
「どんな状況の元においてなのだろう」
「自民族中心主義が強まるのは」
→
「どの程度までなんだろう」
「彼が協力してくれるのは」
⒊スラッシュで区切る場合の注意点。
次に、スラッシュで区切る場合の注意点を覚えておこう。
⑴上記の区切り方は、あくまでも一つの目安であり、 分かりきっているような文構造
まで あまり杓子定規 し
ゃくし
じょうぎに細かく区切り過ぎない方がいい。
たとえば
という英文を、いくら不定詞や前置詞の前だからといって
なんて切り刻んでしまったら、逆に読むのに時間がかかってしまう この程度の英文
なら、スラッシュなんかで区切ることなく一気に読んでしまった方が速いね 。
だから最終的には、どこで区切るかは自分の読解力のレベルによって人それぞれ変
わってくる。
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⑵ただ区切るのではなく、区切りながら次の展開に対する疑問意識 「何がを」「なぜ
」「ど
んなふ
う
に
」「誰がを」「
いつ」
「どこ
で」などをもって読み進める気持ちが大切。
「ボクは
以下のことを思った」
「自分が一人でそれをすべきだと 思った 」
何を?
「彼は
以下のような女性が好きです」
「お年寄りに親切な 女性が 」
どんな?
⒋実際のセンターの英文にチャレンジ。
では実際のセンターの問題を、スラッシュリーディングを用いて読んでみよう。
「私は歩いていました」
「脇道を 歩いていました 」
「そして交差点のところまでやってきました」
「ガソリンスタンドの近くに」
「突然」
「一台のバンが現れました」
「というのも私は見えたのですが」
「バンの中を」
「
「私は気づきました」
号線に向かって」
「信号が設置されているのに 気づきました 」
「これは役立つはずです」
「交差点をより安全にするのに 役立つはずです 」
「私の後ろから 現れました 」
「そのバンは奇妙でした」
「そのバンはサッカーボールで一杯だったのです」
「そのようなものをそれまで見たことはありませんでした」
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「いずれにせよ」
「バンが信号に近づいてきたとき」
「信号が変わりました」
「青から黄色に 変わりました 」
「でも運転手はスピードを増したのです」
「スピードを落とすべきだったのに」
「彼は交差点に入っていきました」
「幸運でした」
「そしてよけることができました」
「幸運にも」
「そしてそこでもう少しでスポーツカーとぶつかりそうになったのです」
「その男性は右に向きを変えることができました」
「私は思います」
「スポーツカーの方も向きを変えたのだと 思います 」
「事故はありませんでした」
「でもサッカーボールがありました」
「あたり一面に 散乱した 」
次に、スラッシュで区切っただけの英文を読んで、同じように訳せるかどうか確認
してみよう。
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最後に、今度は自分でスラッシュを引きながらそのままの英文を読んでみよう。
先程の注意点さえ気をつければ、テキストと全く同じ線の引き方でなくてもかまわない。
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全文訳
私は脇道を
号線に向かって歩いていました。そして交差点にさしかかろうとしてい
ました。 ガソリンスタンドの近くに信号が設置されたのに気づきました。これは交差
点が以前より安全になるのに役立つはずです。突然、私の背後からバンが現れました。
それは変でした一バンの中が見えましたが、サッカーボールで一杯だったのです
その
ようなものはそれまで見たことはありませんでした。いずれにしても、バンが信号に近
づいた時、信号が青から黄色に変わりました。しかしドライバーはスピードを落とすべ
きだったのに加速したのですー彼は交差点に進入して、そこでスポーツカーともう少し
でぶつかりかけたのです。とても幸運でした。ーその男性は右に向きを変え、スポーツ
カーをよけることができたのです。スポーツカーも向きを変えたと思います。幸運にも
事故にはなりませんでしたが、あたり一面サツカーボールが散乱していました。
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スラッシュリーディングのマスター
どうだろうか
こうして実際のセンターの英文が、スラッシュリーディングを使って
難なく読みこなせてしまったね。スラッシュリーディングは、うまく使えば速読のた
めの大きな武器になる。このスラッシュリーディングが特に威力を発揮するのは、セ
ンター試験等のような、それほど文章構造は複雑ではないが、 情報 量が多く、短時
間に素早い理解が要求されるようなタイプの問題だ。ぜひこのスラッシュリーディン
グを使って、センターの長文をドンドン読みこなせる速読力を身に付けていってほし
い。
逆にスラッシュリーディングだけでは歯が立たないのは、国立二次試験、難関
私立大等の下線部和訳問題等、文構造が複雑な英文だ。したがって
①文構造をきちんと把握して読みこなすより精緻な読解力を身につけたい。
②国立二次、難関私大の英文まで読みこなすより高度な読解力を身につけた
い。
という人は「スマートリーディング」 アルク刊 をお薦めする。詳細はホーム
ページに紹介されている。
このファイルはここまでだけど、このホームページには更に
「スラッシュリーディング問題演習」
というファイルがアップされている。このファイルを使って 何度も繰り返し読み込む
ことで 、更に君のスラッシュリーディングの技術に磨きをかけてほしい ^_^
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