メタノール水溶液の混合体積・部分モル体積の計算

「環境・エネルギーの化学」8回「混合量,部分モル量などの混合物の性質」宿題解答
大気圧,25℃でのメタノール水溶液の密度測定の結果,図のように,混合体積と水組成の関係が
わかっている。同じ圧力・温度条件下における純水のモル体積は 18.0 cm3/mol,純メタノールの
モル体積は 40.7 cm3/mol である。
(1) メタノールのモル分率 0.4 のメタノール水溶液 1 mol の体積を求めよ。
水のモル分率 𝑥𝑥1 = 0.6 における混合体積
Δ𝑉𝑉𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 をグラフから読み取ると,
Δ𝑉𝑉𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 = −0.95
純水のモル体積 𝑉𝑉1 = 18 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
純メタノールのモル体積 𝑉𝑉2 = 40.7 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
よって,この濃度におけるメタノール水溶
液 1 mol の体積 𝑉𝑉 は,
𝑉𝑉 = �𝑥𝑥1 𝑉𝑉1 + 𝑥𝑥2 𝑉𝑉2 � + Δ𝑉𝑉𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
= (0.6 × 18 + 0.4 × 40.7) − 0.95
= 27.08 − 0.95 = 26.13 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚(解)
混合前の体積は 27.08 𝑐𝑐𝑐𝑐3であるが,混合によって 0.95 𝑐𝑐𝑐𝑐3だけ体積が減少する。
(2) そのメタノール水溶液中の水成分の部分モル体積を求めよ。
𝑥𝑥1 = 0.6 で接線を引いたとき, 𝑥𝑥1 = 1.0 での切片の値が 𝑉𝑉1 − 𝑉𝑉 1 である。グラフより,
𝑉𝑉1 − 𝑉𝑉1 = −0.57
と読めるので,
𝑉𝑉1 = −0.57 + 𝑉𝑉 1 = −0.57 + 18 = 17.43 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚(解)
なお,𝑥𝑥1 = 0.6 で接線を引いたとき, 𝑥𝑥1 = 0 での切片の値が 𝑉𝑉2 − 𝑉𝑉2 である。グラフより,
𝑉𝑉2 − 𝑉𝑉2 = −1.52
と読めるので,メタノール成分の部分モル体積 𝑉𝑉2 は,
𝑉𝑉2 = −1.52 + 𝑉𝑉2 = −1.52 + 40.7 = 39.18 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
である。
メタノール水溶液中では,水とメタノールは,それぞれ単独で存在する状態に比べて体積が小
さくなっている。混合溶液の体積は,部分モル体積を用いて,
𝑉𝑉 = 𝑥𝑥1 𝑉𝑉1 + 𝑥𝑥2 𝑉𝑉2 = 0.6 × 17.43 + 0.4 × 39.18 = 26.13 𝑐𝑐𝑐𝑐3 /𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
で計算されることに注意する。