平成27年新年の挨拶 - 広島県立御調高等学校

平成27年 年頭あいさつ
明けましておめでとうございます。年末年始の休みはリフレッシュされましたか?私は,
気ままに読書したり近くの山に登ったりと,ゆったりとした時間を過ごしました。そんな
中,卒業生から届いた年賀状を見て,少し考えることがありました。
教師の仕事って何だろう?たぶん,それは自学自習のスイッチが入る生徒を育てること
だと思います。授業は教師と生徒とのコミュニケーションの場です。したがって,「生徒
が教師の言うことを理解できるまで,知的パフォーマンスを向上させるためにはどうすれ
ばいいか?」という問いに常に答える授業づくりが大切となります。生徒に向かって「お前
はものを知らない」というようなことを告げるのは,たとえそれが事実であったとしても,
全く教育的とは言えません。ゆっくりと笑顔をまじえ,生徒をリラックスさせ,しだいに
集中力を高めていくことが大切です。また,生徒の今のレベルに合わせて「生徒に分かる
ように,生徒が分かることだけを話す」ことで,知性的・情緒的な成熟が果たされること
は決してありません。決してハードルを下げることなく,生徒が「学んだ知識を深い学び
に繋げる」ことができるような実践を工夫してください。第二学期終業式でも触れました
が,今カナダで実践されているICEモデルが,この課題に適切に対応するヒントになる
と思います。つまり,
「深い学び」に導くために,基礎知識(Ideas)の間のつながり(Connections)を適切
な発問と指導を通して理解させ,さらに自らの体験に結び付けた知の応用(Extensions)
へ発展させる「主体的な学び」を実現する指導の工夫です。
毎時間の授業の目標を実現するため,「基軸となる問い」を設定し,それについての言語
活動を仕組むわけですが,この「基軸となる問い」は,例えば「既存の資料に基づいて推定
する」「予測する」「診断する」といった思考を促すものでなくてはいけません。本校が学校
経営計画に示す「イノベーションを巻き起こす生徒」を育成するためにも,是非,こうした
授業づくりにチャレンジしていただきたいと思います。フランス現代思想家の 内田 樹
(うちだ たつる)は,学校教育の目的を,「次世代を担うことのできる成熟した市民を
育成することである」と述べています。本校を卒業していく生徒が公民的成熟を果たした
かどうかは卒業後十数年待たないと判断できないのは確かですが,将来,知性的・感性的
に成熟した生徒が御調高等学校を訪れ,「私は御調高等学校で学んでよかった」「私は御調
高等学校の先生に学んでよかった」と語る,そんな高校づくりを目指したいと考えます。
今年は未年,羊は家族の安泰や平和をもたらす縁起物とされています。互いに助け合い,
力を合わせて仕事をしていきましょう。本年もどうぞよろしくお願いいたします。