海外の成功例は日本でもできる-報道機関は意識して後押しを(PDF

『失
研究所 (現 日本総合研究所)出 向。著書に
われる子育ての時間』、編著 に『子 どもの
る
放課後を考ズ 』
『親 が参画する保育をつく
雹圏 ■
池本美香︰
表 し て いるが、 それら が十分 に報道 され
る』 (い ずれも勁草書房 )。
﹁女 性 が輝 く 社 会 ﹂を 阻 むも のは?
には、 たとえば 民間企 業 におけ る管 理職
そう した な か で筆 者 が注 目 し た のは、
﹁
男 女 平 等 日本 1 0 4位 ﹂と いう 見 出
し で、海外 と の比較 で日本 の女性 の状況
4 0 8
年
を伝 えた 1
1月 2日 の朝 日新聞 の記事
。
紙面1︶
であ る ︵
﹁ダ ボ ス会 議 ﹂で知 ら れ る 世 界 経 済
フォー ラムが男女格差 の少 な さを指数化
しかし、 日本 の女性 の活躍 が諸外 国 と
の順位 と そ の順位 とな った主 な理由 に つ
いて図表 を使 って示 し て いる。 104位
した報告書 を発表 した ことを伝 え るも の
で、 ラ ンキ ング の上位 や主要 国 の順位 に
1999年 に男女共 同参画 社会基本 法 が
と いう 順 位 に つ いては、鰹祓員 ・企 業 幹
比 べ て遅 れ て いる と いう こと は、 そ れ
施行 され、政府 とし ては毎年白書 で男女
躍 し にく いのか、ジ ャー ナリズ ム の課題
共 同参画 の進 み具合 をデ ータととも に公
ついて紹 介す るととも に、 日本 の分野別
海外との比較で
現状の把握を
いと いう現 状 があ る。
0
外 ではおおむね 0
3∼ 4 % でぁ る のに対 し
3年 ︶にすぎ な
て、 日本 では 7 ・5 % ︵
︲
てこな か ったよう に思う。
学部卒、千葉大学大学 院社会文化科学研究
科博士課程修了、博 士 (学 術)。 89年 三井
銀行 (現 三井住友銀行)入 行、三井銀総合
課 長 級 以 上 ︶に占 め る女 性 の割 合 が海
︵
海 外 の成功例は日本でもできる
報道機 関は意識して後押しを
成
安 倍 晋 三首 相 は 20 13年 4月 の ﹁
女性 の活 躍﹂
長戦 略 スピ ーチ﹂にお いて、﹁
を成 長戦 略 の中核 と位置 づけ、 4
1年 6月
に発 表 さ れ た新 し い成 長 戦 略 弓日本 再
興戦略 ﹄改訂 20 141未来 への挑戦︱﹂
女
にお いても、鍵 とな る施 策 の 一つに ﹁
性 の更 な る活 躍促進 ﹂を拳げ て いる。
本 稿 では、女性 に関 わ る政策 の研究 に
日本総合研究所主任研究員。
ほど 一般 に知 ら れ て いるわ け で はな い。
携 わ る者 と し て、 なぜ 日本 では女性 が活
1966年 神奈川県生まれ。 日本女子大学文
とあ わ せ て考 え てみた い。
社
政 府 は女 性 の活 躍 促 進 に つい て、﹁
会 のあら ゆ る分野 で2020年 ま でに指
0%とす
導 的地位 に女性 が占 める割 合 を 3
る﹂と いう 目標 を掲げ て いる。 そ の背 景
海外の成功例 │よ 日本でもできる 報道機関は意識 して後押 しを
107 特集 「女性が輝 く社会」を阻むものは?
い け もと 。みか
部 低 い女 性 比率 ﹂と の見出 し が そ の要
出 した、企業 に女性 の採 用 や登用 な ど に
記事 はほか にも、安倍 政権 が国会 に提
今後 を考 え る上 で貴重 な情報 も示 され て
いる。
日本 も 以前 に比 べれば 、あら ゆる分野
関 す る数値 目標 の設定 や行動計画 の策定
朝 日新間 10月 28日 付朝刊
因 を簡潔 に伝 え て いる。
で女性 の参 加 が進 ん で いるが、海外 と の
も ほと んどし て いな いと いう重要 な問題
の比率 を増やす取り組 みを、政府 も政党
が薄 いことを指摘。 さら には、女性議 員
を義務付 け る法案 に ついて、 そ の実効性
比較 で見 れば 、特 に政治 への参加 が遅 れ
て いる。 日本 は議会 におけ る女性 の比率
0ヵ国 ・地域 で最 も低 い。上場企
が主要 2
業 の取締 役 に占 める女性 の割 合 に ついて
も 、 日本 は調査 対象 国 のな か で最低だ と
も提起 し て いる。
::三 :g:三 :ζ :::::三
3三 ::ヨ :目
:言 :::息 :三
い>
つ。
こ の記事 では、女性 の政治 への参加 で
、
順 位 を 大 き く 上げ た フラ ンスに ついて
大学荻育に男女 の格差
政府 の情報提供に不備
!三 ::三 ::::::
、
こ の記事 でもう 一つ注 目 し た い点 は
3位 とされた ﹁
先
教育 ﹂の分野 に ついて、﹁
9
宮
進国 で比 べると、大学 に進 む女性 の割 合
が少 な い﹂と いう コメ ント が掲 載 され て
いる こと であ る。
、
日本 では大学進学率 と い った場合 短
期 大学を合 める こと が多 く、文部 科学 省
﹁
大 学 ・短 大 進 学
学 校 基 本 調査 ﹂では、﹁
大学 ︵
学部︶進学率 ﹂の順 に紹介 さ
率 ﹂、﹁
れ て いる。
男女雇 用機会均等 法 が施行 され て間 も
9年 には、女子 の大学 ・短 大進学率
な い8
が男子を初 め て上回り、 4
9年 には女 子 が
。
男子 を 5 ・0ポ イ ントも上 回 った この
た め 一般 に女 性 は高 学 歴 化 し て いる と
い った認識 が広 がり 、昨今、男女 の学歴
格差 はほとん ど話題 にならな い。
6年度 速 報
平成 2
最 新 の学校 基 本 調査 ︵
値 ︶の報道 発表 資 料 を見 ても、大学 進 学
率 に関 し て、男女別 の数値 は示 され て い
、
な い。 調 査 結 果 の概 要 の資 料 でも 大
学 ・短 大 進 学 率 に つい て は、﹁3
5 ・8 %
︵
男 子 ︲ 5%、女 子 6 ︲%ご と紹 介
,
5
.
5
学 部 ︶進 学 率
され て いる 一方 で、 大 学 ︵
、
8
は﹁
4 ・0 % で 前 年度 より 0 ,7ポ イ
ント上昇﹂と の記述 で、 男女別 の数字 が
文中 で示 され ていな い。
学 部 ︶進 学 率 の
そ こ で男 女別 の大学 ︵
数 字 を探 し た と ころ、響同等 学 校 卒 業 者
108
JOurnttLsm 2014.12
::::::::::::
ζ
息そ
紙面 1
:::::::::::::三 ::::g::三 :
:宮 ::息
それ がど のよう に実現 された のか に つい
世界経営 フォーラム
ても説明 し て いる。国政 および地方議会
の候補者 リ スト の男女 比 を半 々にす る こ
、
とを各 党 に義務 付 けた法律 など 日本 の
男女平等 日本104位
の都道府 県別進 学率 決び卒業者 に占 める
就 職 者 の割 合 ﹂と いう タ イ ト ル の表 の最
全 国 8 ・0、 男 0 3、女 5 ・6﹂
後 に、﹁
4
.
5
4
学部︶
と いう 数 字 が 見 つか った。 大 学 ︵
進学率 は、 いまだ に男子 が女子 を上 回 っ
。
の検討 の場 に参加 す る機会 があ った そ
の際 、教 員 の育 児休業取得 に ついて男女
別 に把握 できな い調査票案 が提 示 された
こと に、大変驚 いた。
、
女性 の活躍 と いう のであ れば 男性 の
。
育 児体業 の取得促進 も課題 だ 男性教 員
の育 児体業取得 に関 す るデ ータを取 る こ
と は政府 と し て当然 のこと であ ると思う
。
のだ が、必ず しも そう な って いな い
報道 の役割 とし て、 日本 の女性 の現 状
を客観的 にわかり やすく伝 え る こと が期
待 され る。 そ の際 、政府 の情報提 供 をう
02
00
04
03
05
0殉6
。0
10
0
98
∽︲
56
と いう記事 では、 どう し て スウ ェーデ ン
、
事 が え て いるよう に思う。例 えば ァ
増
﹁
ェ デ
エラ4
ー年 6月 2日増 大 号 の スウ ー
ン現 地 ルポ ・子 ども を育 てた く な る国 ﹂
はなぜ女性 が活 躍 でき て いる のか探 る記
はな いか。
、
この点、少 しず つではあ るが 海外 で
て いる事例 の報道 を増やす ことも重要 で
、
され る のは当然 と は いえ 女性 が活 躍 し
房
、
て いる のであ る。 と ころが 毎年発表 さ
れ る学校基本 調査 の概要 を示す資料 から
。
は、 そ の事実 に気 が つく こと は難 し い
筆 者自 身 、女 子 の大学 ・短大進学率 が
男子 を上回 ったと いう過去 の事実 にとら
われ、学歴 の男女差 に着 目し て いな か っ
た が、 O EC D の資料 では学部 レベ ルの
、ほ
のみにす る のではなく、政府 の統計 の不
備 を指摘 す るな ど、政府 の情 報提 供 のあ
り方 そ のも のを検証 す る必要 もあ るよう
に思う 。
41
4647
72
6870
68
e C3 2b
Educadon at a(Siance 2013 TaЫ
(資 料)OECD
ヨ女性
重男性
γ
や〆4も ノⅢ
ヾ
〆
尺
/ぎ
進 学 率 で国 際 比 較 が 行 わ れ て おり
と ん ど の国 で は女 子 の進 学 率 が 男 子 を
。
図表1︶
上 回 って いる ことを知り驚 いた ︵
、 いっ
活躍している事例 こそ
積極的に紹介を
、
女性 の現 状 に関 す る報道 とし ては 客
、
観 的 なデ ータ に基 づ く報 道 とあ わ せ て
、
。
現 場 を描 く報 道 も 重 要 であ る し か し
、
具体的 な事 例 を紹介 す る報道 に ついては
女性 が活 躍 できな い現状 や深刻 な事 例 に
ついて の報道 が多 い。 限られた紙面 や時
間 にお いては、問題 を伝 え る こと が優先
?
│よ
そし て、 日本 では短大 を含 め ても
、
た ん は女 子 が男子を上回 った が そ の後
再 び 男子 が女子 を上回 る時期 があ った こ
とも わ か った。
、
女 性 の活 躍 を促 進 し て いく た め に は
、
教 育 の男女格差縮小 が不可欠 であり 大
学 部 ︶進 学 率 の男女 差 は重 要 な指標
学 ︵
とな る。 け れども、政府 はそ の実態 に つ
いて、十 分 に把握 し て情 報提供 し て いる
と は いえな い。
、 学 校 基 本 調査 ﹂の
ま た 、 筆 者 は今 年 ﹁
、
調 査 内 容 の変 更 に関 し て 統 計 委 員会 で
海外の成功例 │よ 日本でもできる 報道機関tよ 意識 して後押 しを
lo9 特集 「女性が輝 く社会」を阻むもの
各国の男女別大学進学率 (短 大 tよ 除 く)
図表 1
では女性 の活 躍と高 い出生率 が両立 し て
いる のか、 人 々 の考 え方 や生活実態 など
が描 かれ ており 、大変 興味 深 い。
4年 H月 2日 の朝 日新 聞 では、
ま たヽ ︲
8 2年 ︶と日本 の1・
︲
︲
4を さら に下 回 っ
3︵
て いるが、 3歳 以下 で保育所 に通う 子ど
0年 でЮ倍 にな ったと いう 。
も の数 が2
変化 がも たらされた理由 とし て、 父親
の意識変化 が起 きた ことや、 1歳 以上 3
る。海外 の取り組 みととも に、国内 の取
り組 み の良 い事例 に ついても、積極 的 に
報道 され る ことが期待 され る。
長時間労働とrつ
最大課題に切り込みを
歳未満 のす べて の子 ども に、保育 を受 け
(%)
ス ロベ ニア
スベ イ ン
イギ リ ス
ニ ュージ ー ラ ンド
韓国
日本
も しれな いと いう希望 を持 たせ てく れ る
の意識も変 われば 、女性 が活躍 でき るか
す る こと で保育制度 の充実 が進 み、男性
日本 でも、女性 の政治 への参加 を促進
る大 変 な 国 と いう マイ ナ スイ メ ー ジ を
小 さ いときから保育 所 に長時 間預 けら れ
な がら長時間仕事 をし て、子 ども たちも
をイ メージ したた め、女性 が家事 も やり
いな いと聞 いたとき には、 日本 の働 き方
ど は、現状 からあ まり にかけ離 れ て いて
しかし、実際 に スウ ェーデ ンに行 って
持 った。
参 考 にな らな いと いう 指 摘 も 受 け るが、
みると、労働時間 が短 く、保育時間 も短
く 、 男性 の家 事 ,育 児 への参 加 も あ り 、
女性 が働 く こと の ハード ルが非常 に低 い
そう した事例 が定着 し て いる背景 や、実
現 に至 った経 緯 な ど を分 析 す る こと は、
割合 が高 く、週 。
5時 間 以上働 く雇 用者 の
︲ 7%と、 O ECD加 盟国 の中
割合 は3
.
。 そ のう
で2番 目 の高 さ であ る ︵
図表2︶
わ が国 は国際 的 に見 て、長時間 労働 の
ことがわ か った。
女性 の活躍促進 に大 きな力 とな る。
と かく 日本 は ﹁
す べ て の女 性 が輝 く社
会 づくり ﹂と い った キ ャ ッチ フ レーズ で、
何 かが変 わ るよう な幻想 を持 た せる 一方
で、具体的 な政策 の詰 めが甘 いこと があ
海外 の実績 や国内 の優 れた取 り組 みな
記事 であ る。
が紹介 され て いる。
る権利 を保障 す る制度 が始 ま った こと が
﹁パ パ が お迎 え 当 た り 前 ﹂と いう 見 出 し
のも と、 ド イ ッ の状 況 が 大 き な 写 真 付
当a3日 曇Jと を螢無_
1垂
スウ ェーデ ンには専業 主婦 が ほとんど
女性が活躍している事例 に ついての報
1臣 憲コE亜 とョコ ._
O
i
IB彊 日E]至 丑丑毒ヨ隆コ│と こ曇コ_
こgロ コ巖翌召碁]百 ξ口選B垂 丑B垂
ベ ルギ ー
挙げ ら れ て いる。 また、 そう した保育制
5
1
道 が増えれば、お のずと日本 の最大 の課
0
2
度 が導 入された背 景 には女性 の政治参加
5
2
男 は仕
き で紹 介 さ れ て いる。 ド イ ツも ﹁
事 、女 は家 庭 ﹂と い った性 別役割 分担意
識 が強 い国 の 一つであり 、出生率 も 1 ・
0
3
題 が、長時間労働 の慣行 にあることが見
“
があり 、多 く の党 が女性議 員 の割 り当 て
0
4
え てくる。
6
Better L fe index
(資 料)OECD
110
2014 12
Joura工 Lsm
制度 ︵
ク オ ー タ制 ︶を導 入 し て いる こと
。
5
)2011年 も しく│よ 最新のデータ。
(注
週 50時 間以上働 く雇用者の割合
図表 2
え、 フレ ック スタイ ム勤務 や在宅勤務 な
労働 の傾 向 にあり、長時 間労働 の批判を
そも報道 に携 わ る人 の働 き方 が、長時間
この点 、報道 の切り 込 みは弱 い。 そも
り 上げ る こと が不可欠 であ る。
実 以前 の問題 と し て、働 き方 の問題 を取
女性 の活躍促進 にあ た っては、保育 の充
低 いこと に加 え て、労働時 間 が長 く 、休
され て いるが、 そ の背景 には給 与水 準 が
ら働 いて いな い潜在保育士 の活用 が期待
が いなくな る。保育 士 の資格 を持 ちな が
が長くなれば、 ますます保育者 のなり 手
余裕 のな い人 員配置 で保育者 の労働時間
ても、 保育 者 の不 足 が深刻 化 し て いる。
保育 所 の待機 児童解 消 を進 めよう とし
。
と いう ︵
注1︶
保育者 の満足度 が高 く、 見学も絶 えな い
け でも、労働 時間 が短 いわけ でも な いが、
を設 けた保育 所 では、給与水準 が高 いわ
病気 や行事等 に必ず体 め ると いう ルー ル
話 や教育 に関 わ る ことが難 し い職業 であ
る。 そ のた め、保育者 が自 分 の子 ども の
た が、保育者 や教 員 は自 分 の子 ども の世
事 を体 む こと の是非 が大 きな話題 とな っ
教 員 が自 分 の子ども の行事 のた め に仕
し にく い立場 な のかもしれな いが、たと
みが取り にく いと い った働 き方 の問題 が
題 であ る。
えば 海外 ではどう し て短 い労働時 間 で仕
あ る。
ど の柔 軟 な働 き方 も、普 及 し て いな い。
事 が回 って いる のか、 そ の実態 などを報
これま で何度 も記者 の取材 を受 け てき
家庭的録育者 が子 ども を連 れ て定期 的 に
人 の子 ども を預 か る家 庭 的 保 育 者 でも、
働 き 方 に関 し て は、 子 連 れ 出 動 に つ
海外 では、 たとえば 一人 の保育者 が数
たな か で、最近 は子 ども のいる女性記者
集 ま って活動 し、保育者 が休 む必要 が生
い ても 改 め て取 り 上 げ て は どう か と 思
道 し ても ら いた い。
が本当 に増 え た ことを感 じ る。仕事 と育
じたとき に、他 の保育 者 が子 ども の面倒
注
う。政府 の委員会 で報告 があ った会社 ︵
ゆるやかさも大切
子連れ出勤 の検討を
児 の両 立 に困難 を感 じ る記者 が増 え る こ
を見やすくな るよう な しく みを取り 入れ
が他 の保育者 と支 え合 いな がら保育 を行
こ では、﹁
勤務 時 間、動 務 日、勤 務 日数
外 出、 早 退、欠 勤自 由 ﹂
は本 人 の自 由 ﹂﹁
﹁
親 子 出 社 O K﹂だ と いう。 仕 事 の途 中
に夕飯 の買 い物 の外 出 を し て、買 い物 袋
と により 、 日本 の働 き方 の問題 をク ロー
う ことを可能 にし、保育者 の孤立 や スト
を机 に のせ て仕事 をし て いたり 、赤 ち ゃ
て いる国もあ る。 これ は単 に保育者 に休
働 き方 の問題 に ついてはまず 、 日本 の
レ スを和らげ る効 果も あ る。 さら には子
んを抱 っこしな がら接客 をし て いたり す
る。子 どもを迎 え に行 ったあ と 一緒 に会
ズ ア ップ した報道 が増 え る ことを期待 し
男性 の働 き方 が海外 と比 べ てどう な のか、
ども にと っても、 より多 く の子 ども と の
暇 を保障 す る こと にとどまらず 、保育者
海外 の男性 はなぜ家事 ・育 児 の時間 を多
出会 いが保障 され る。 このよう に保育者
て いる。
く確 保 でき る のか、 そ の背景 を探 る報道
も でき ると いう。
社 二 戻 って、残り の仕事 を片付 け る こと
育士不 足 の解消 や保育 の質 の向 上 が可能
の労働条件 を整 え る こと で、 日本 でも保
加 え て、女性 の活躍 にあ た って保育 の
にな る のではな いか。
が期待 され る。
量 ・質両 面 の拡 充 が求 められ るな か、保
また、筆者 は学童 保育 に関 す る調査 を
育者 や教 員 の働 き方 の見直 しも重要な課
特集 「女性が輝 く社会」を阻むものは?
海外の成功例は日本でもできる 報道機関は意識 して後押 しを
111
た おや つを職 員 に売 り にく ると いう こと
を知 って いる。学童 保育 の子 どもたち は
、
オ フィ スを自 由 に出 入り し ており 作 っ
多 く伝 え る ことも、報道 の重要 な役割 で
はな いだ ろう か。 あ る べき姿 が広 く知 ら
やす い労働時間制度 のあ る職 場 の事 例 を
るべき テー マではあ るが、女性 が活 躍 し
もち ろん こう した問題 は絶 対 に取り上げ
的 なイ メージ を持 つことも でき る。
労働時間 に関 す る報道 は、過 労死 やブ
。
ラ ック企業 など、深刻 なケ ー スが日立 つ
自 治体 レベ ルで いく つか の例 があ るも の
ど も コミ ツシ ョナ ーな ど と呼 ば れ る︶を
子 ども オ ンブズ マン、子
言等 を行う機関 ︵
な いか、行 政 の施 策 等 を チ ェック し て提
を目的 に、子 ど も の権 利 が侵 害 され て い
渡 って いな いよう に思う 。
注己 。
もあ った ︵
れ る こと によ って、過 労死 が生 じ るよう
確 か に海外 の事例 でも、子 どもを連 れ
の、国 レベ ルでは設置 の議論 さえな い。
2条 で は、﹁
締約
子 ど も の権 利 条 約 第 4
国 は、適当 か つ積極 的な方法 でこ の条約
置 く国 が増 え て いる。と ころが日本 では、
海外 では、子 ども の権 利 の保障 ・促 進
、
てオ フイ スに立 ち寄 って作 業 を し たり
な職場 の異常 さ が浮き彫り にな るよう に
通 じ て、職 場 に学童 保育 を つく って仕事
大学 のゼ ミに先生 が子 どもを連 れ てきた
思う。
と子育 てを両 立 させ る環境 を整 えた事例
り す る こと があ ると聞 き、 そ のよう な ゆ
の原 則 及 び 規 定 を成 人 及 び 児 童 の いず
れ にも広 く知 ら せ る ことを約 束 す る﹂と
な って いるが、 日本 では大半 の子 どもや
らな い。記者 の取材 を受 け る際 に、子 ど
親 は子ども の権 利条 約 の存在 や内 容 を知
者 も重要 な論 点だ と言 って帰 って いく の
子ども の視点から
論 じていく努力を
るや かさも女性 の活 躍 に向 け て大 きな力
にな おと感 じ て いる。
、
イギ リ スでは、仕事 をど こです るか い
つす るかな ど、働 く 側 が会 社 に要 望 を出
最 後 に、 女 性 の活 躍 促 進 にあ た って
だ が、な かな か紙面 では取り 上げ ても ら
し て交渉 でき る ことが制度 的 に認 めら れ
﹁
子 ども に対 す
子 どもを めぐ る報道 ﹂と ﹁
る報道 ﹂に ついても触 れ ておき た い。 日
本 では女性 の活 躍 を促進 す るにあ た って、
>
えな い。
す るた め の市 民 ワーク シ ョップ に、抽 選
そ の後 に設置 された家族 の ニーズ を把握
フラ ンスでは保育 の基準 引 き下げ に対 し
て、 親 が職 員 と とも に抗 議 デ モを行 い、
の理解 が進 ん でおり 、 そ のこと が親 に対
。
す る支 援 を引 き出 す 力 にも な って いる
海外 では、子 ども の権 利 に関 す る社会
も の権 利条約 に ついて話 し、 そ の時 は記
ており 、子 ど も の長 期 休 暇中 に親 が仕事
そ のことが子 ども にど のよう な影響 をも
子ども の視点 を重視 す る国際 的 な動 き
9年 に国連 で採択 された ﹁
子 ども の
は、 8
権 利条 約 ﹂が大 きな き っかけ であり 、 日
4年 に批 准 し て いるが、
本 も こ の条 約 を 9
条約 の考 え方 が日本 では広 く社会 に行 き
がまだまだ少 な い。
たらす のか、子 ども の視点 から の論 じ方
を体 む ケ ー スも多 い。日本 では家 事 や育
不真
児 を職 場 に持 ち 込む こと は、とかく ﹁
海外 の取り組
面 目﹂と みな されがちだ が、
﹂
う した不真面 目さが、
みを見 て いると、ン
。
女性 の活 躍 には必要 ではな いかと思う
さら に、子 ども が職場 を見 ると いう こ
と は、子 ども の教育 にと ってもプ ラ スに
な る。 子 ども が親 と 一緒 に過ごす時 間 が
。
増 え、 親 が働 く 姿 を見 る こと が でき る
。
職 場 の多 様 な大人 と のかかわりも でき る
さら に、若 い社 員 が結婚 や子育 てに具体
112
JOuHl■ Ls14 2014.12
で当 た った 400人 の親 たち が参加 し て
これ に対 し て日本 では、子 どもも大人
。
注4︶
つ︵
いると い>
も、 子 ども にどう いう権 利 があ る のかを
知 らな いので、例 えば保育 所 に予算 が つ
、
かず に面 積 基 準 等 が引 き下げ ら れ ても
。
反対 運動 が今 一つ盛 り上 がらな い
ま た、 児童虐 待 に対 す る専 門家 の世界
4
朝 日新聞 4
会 議 を伝 え た記事 ︵
1年 9月 2
日朝 刊 ︶を読 む と、 スウ ェーデ ンでは学
、9
校 で の体 罰 が 8
5年 に禁 止 され 7年 には
、
親 の体 罰 も 禁 止 さ れ た こと と あ ゎ せ て
﹁
子 ども た ち が自 分 た ち はた た かれ ては
、
いけな い、 たた いても いけな い と いう
こと を自 覚 しな がら育 つこと﹂が重視 さ
れ て いる こと がわか る。
この記事 では日本 が、国連 の子 ども の
権利委 員会 から、体 罰 に ついて3度勧告
を受 けた とあ る。 セク ハラ教 員 の処分 の
記事 、園児 に対 す る強制 わ いせ つの疑 い
、
で保 育 士 逮 捕 の記事 な ども 目 にす るが
それ が子 ども の権 利条約 と照 ら し て いか
に大 きな問題 な のか、 どう すれば そう し
た事件 をなく せ る のかを考察 した報道 は
見た こと がな い。
海外 では、 子 ども オ ンブズ マンが子ど
も の施 設内 におけ る虐待 の問題 を取り上
げ るな ど の動き があ る。 す でに多 く の国
では犯罪歴等 がな いことを公的 な書 類 で
証明しなければ 、学校 や探育所 な ど子 ど
も と関 わ る仕事 には就職 できな い。
そも そも 日本 では、何 か問題 が起 きた
子育 ては母親 の責 任
その視線 が女性を阻む
をき っかけ に障 が いのあ る子 ども を持 つ
8年 に福岡市 の公園 で、小学校 1年生
0
の男 の子 が母親 に殺害 され る事 件 があ っ
、
た。 子ども には発達障害 があり 母親 に
も持病 があ った。筆者 は当時 、 この事 件
とき に、 それを個人 の責 任 で解 決 しよう
。
と す る傾 向 がと ても強 いよう に感 じ る
、
対照的 に海外 では、社会 的 な問題 と し て
。
予防 や問題解決 のた め に社会 が動く 先
牛乳 パ ッ
の記事 では、スウ ェーデ ンでは、
母親 の孤立 や、障 が いのあ る子ども の放
ではな いだ ろう か。
、
子 ども の権 利 に対 す る深 い理解 と そ
﹂
う した
女性 の活躍 の制約 の 一つは、 ア
﹁
母親
子育 ては家庭 の責 任 ﹂、 とり わけ ﹁
の責 任 ﹂と いう視線 であり 、 そう した視
線 を報道 す る側 が持 って いる こと は問題
な記事 が掲載 され る背景 には、子育 ては
どんな状況 であ れ、個人 や家族 で責 任 を
。
持 つべきだと いう考 え方 が透 け て見え る
んだ、私 も 加 害 者 だ 福 岡 小 1殺 害 の父
8 0 9
年
語 るス朝 日新 聞 0
1月 1日朝 刊 ︶と い
。
う 見出 しが つくも のであ った こ のよう
反映 され ると思 った。
妻 を追 い込
けれども、そ の後 の報道 は ﹁
課後 をどう したらよ いのかと い った問題
が、大きくク ローズ ア ップ され、施策 に
子 どもをたた かず にどう育 てるか﹂
ク に﹁
と印刷 したと紹介 され て いる。
フイ ンラ ンド では、学校 で の銃乱射事
件 に対 し て、事件 を起 こした子 ども や親
を責 める のではなく、疎外感 を持 つ子ど
も の増加 が注 目され、子 ども の学校 にお
け る満 足感 や幸福感 を高 め る ことが政府
注
の課題 と し て取 り 上げ ら れ た と いう ︵
。
5︶
小学生 の暴力
日本 はどう か。たとえば ﹁
朝 日新聞 4
最多 と いう見出 し の記事 ︵
1年
﹂
0月 7日朝 刊 東 京 版 ︶が、﹁
感 情 を コント
1 1
ロー ルす る力 を育 成 し て いき た い﹂と い
。
う 都 教 委 の コメ ント で終 わ って いる 暴
力 に訴 えなければ ならな いよう な子 ども
が抱 え て いる スト レスや悩 み の背 景 を分
析 す る こと が、まず 必 要 ではな いだ ろう
海外の成功例 tよ 日本でもできる 報道機関は意識 して後押 しを
113 特集 「女性が輝 く社会」を阻むものは?
か
下 回 って いる。 この背景 には、母親 が専
では女子 の大学進学率 が いまだ に男子 を
言 われ る こと があ る。前述 の通り、 日本
も そも働 く ことを望 ん で いな いからだ と
女性 の活躍 が進 まな いのは、女性 が そ
ており、読売 も中高 生向 け の新間 を創刊
す でに各社 から は子 ども向 け の新聞 が出
道 のあり方 とし ても と ても重要 だと思う。
い った固定観念 を変 え て いく こと は、報
長 時 間 労 働 の父 親 と専 業 主 婦 の母 親 と
れを広 く伝 え る責 任 が報道 にはあ る。 そ
、
し て、子 ども の権利条約第 8
1条 では 子
ども の権 利 の保障 ・促進 のた めには、親
適 当 な援 助 を与 え る﹂こと を
に対 し て ﹁
求 め て いる。 子 どもや親個 人 の責 任を問
したば かり であ る。子 ども に対す る報道
女性 の力 なぜ今注 目 ?
'_■
男女 の格差が大き い日本
二 長 吾 を
,
う
と霞 監 ざ ミ 者
働く時間の短縮も必要
i斑委手0 4e ヽ 重 オ
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f密 三 P妥 登
付
溌剣
嚇器 卵
日
月
鸞靱 鰤
義義 繊
上 でど のよう な選択肢 があ る のかと い っ
ち に対 し ても、 日本 の女性 の現状 や働 く
も への影響 にも十分配慮 す る。 そ のよう
状 を伝 え る。成 功例 に注 目 し、 そ の背 景
海外 と の比較 も合 め、正確 に女性 の現
供 の充実 が求 められ る。
た ことを積極的 に報道 し て いく必要 があ
0。
ワ
な報道 が、女性 の活 躍 を後押 しし て いく
2014年 3月︶
活協 同組合研究﹄<単$ ∞ ︵
による。
5 渡邊あや ﹁フィンラ ンドー社会的包摂 の 一翼
を担う学童保育﹂拙編著 ﹃子ども の放課後を
考える﹄ による。
株︶。
︵
生
4 木 下裕美子 ﹁フランスの子育 て支援事情﹂﹁
第 2期︶ で
2 少 子化危機突破タ スク フォー ス ︵
株︶
2 0 1 4年 3 月 7 日 に報 告 が あ った ︵
フアースト ・コラボ レー シ ョン。
2009
子ども の放課後を考える﹄︵
3 拙編著 ﹃
年 ・勁 草書 房︶ で取 り上 げ た大 里綜 合 管 理
︲
実効性 のあ
シンポジウム ﹁
策
研
究
所
世
紀
政
1 2
8
2014年 2月 1
る少 子化対策 のあり方﹂ ︵
日開催︶における前田正子氏 の発 言による。
注
や経緯 も含 め て紹介 す る。 そし て、子 ど
イギ リ スでは女 の子 に企業 の取締 役会
団
ことを期待 した い。
こう した知識 を若 い世代 が持 つこと で、
日本 の慣習 の問題 を伝 え る意義 は大 き い。
に低 いかや、そ の背 景 にあ る長 時 間 働 く
ち に向 け て、日本 の国会 議 員 や管 理職 に
おけ る女性 の割 合 が諸外 国 と比 べ て いか
ジ ュ ニア向 け ﹂と し て
朝 日 新 聞 で は﹁
﹁
と いう 見出 し
注
目
?
な
ぜ
今
女
性
の
力
﹂
4
で大 きな 記事 が出 て いた ︵
1年 H月 1日
。こ の記事 のよう に子 ども た
紙面2︶
夕刊、
や そう と いう 取り組 みがあ る。
るなど、子 ども たち の将来 の選択肢 を増
めるた めに、大学 を見学 す る機会 を与 え
行 って いな い子 どもたち の進学意 欲 を高
を見学 す る機会 を与え たり、親 が大学 に
この点、報道 の役割 とし て、 子どもた
にお いても、女性 の活 躍 に向 けた情報提
業主婦 であ る場合 は、 それ以外 の選択 肢
ぢ
罰drユ 種継 鳴口しそⅢ」正で乞:
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て
ぜ
い土す
。と岳セ私貰きせらのサイ
,し て
がイ メージ し にく いと いう 問題 があ る。
う報道 ではな く、子 ども の問題行動 の背
景 や、親 を支援 でき て いな い社会 のあり
方 を問う報道 が必要 だ。
縮
114
Jo-1江Lsm 2014 12
子 どもたちに
選択肢を示す工夫を
tも つ
こわ