超音波法を用いたヒト静脈血管コンプライ アンスの定量的評価手法の開発とその応用 研究代表者 県立広島女子大学 遠藤 雅子 下肢の静脈血管の血管伸展性(コンプライアンス)は運動 時や起立時の静脈還流を維持する上で重要な因子です。こ のコンプライアンスの評価には、従来は静脈閉塞プレチスモ グラフィ法を用いたコンプライアンス推定法(Cvv)を用いて いましたが、静脈スペースに加えて細胞間隙への水分ろ過 量が含まれる可能性があり問題となっていました。本研究 では、超音波 B モード法を用いて膝窩静脈を直接描画し、 血管横断面積と静脈内圧の関係から伝導性静脈血管コンプ ライアンスを定量的に測定する方法(Cvc)を開発し、Cvv と 比較検討しました。健康成人対象者に、仰臥位で両法を用 いて測定を行いましたところ、Cvc による値と Cvv による 値には有意な正の相関関係を認めました。また、伝導性血 管膨満後の下腿容積の増大現象が認められたことから Cvv での変化は細胞間隙への水分貯留が含まれていることが示 唆されました。以上より、Cvc は血管自体のコンプライア ンスをより直接的に評価できる優れた測定法であることが 分かりました。 Cvc は、血管自体の伸展性をより直接的に評価できる方法だ 0 mmHg カフ圧 60 mmHg (4 min) -1 mmHg/1sec 0 mmHg Cuff pressure (mmHg) (A) 5 下腿容積変化量 Change in volume (ml/dl of tissue) 0 8 (B) 膝下静脈血管径 Diameter of popliteal vein 4 (mm) 0 0 120 240 360 480 time (sec) (A)VCPG法によるHalliwillらの従来の方法 (B)膝窩静脈血管径に基づく本研究で開発した方法 静脈コンプラインアンスの測定の実際の一例 27 28
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