28 27 県立広島女子大学 遠藤 雅子 超音波法を用いたヒト静脈血管

超音波法を用いたヒト静脈血管コンプライ
アンスの定量的評価手法の開発とその応用
研究代表者
県立広島女子大学
遠藤 雅子
下肢の静脈血管の血管伸展性(コンプライアンス)は運動
時や起立時の静脈還流を維持する上で重要な因子です。こ
のコンプライアンスの評価には、従来は静脈閉塞プレチスモ
グラフィ法を用いたコンプライアンス推定法(Cvv)を用いて
いましたが、静脈スペースに加えて細胞間隙への水分ろ過
量が含まれる可能性があり問題となっていました。本研究
では、超音波 B モード法を用いて膝窩静脈を直接描画し、
血管横断面積と静脈内圧の関係から伝導性静脈血管コンプ
ライアンスを定量的に測定する方法(Cvc)を開発し、Cvv と
比較検討しました。健康成人対象者に、仰臥位で両法を用
いて測定を行いましたところ、Cvc による値と Cvv による
値には有意な正の相関関係を認めました。また、伝導性血
管膨満後の下腿容積の増大現象が認められたことから Cvv
での変化は細胞間隙への水分貯留が含まれていることが示
唆されました。以上より、Cvc は血管自体のコンプライア
ンスをより直接的に評価できる優れた測定法であることが
分かりました。
Cvc は、血管自体の伸展性をより直接的に評価できる方法だ
0 mmHg
カフ圧
60 mmHg (4 min)
-1 mmHg/1sec
0 mmHg
Cuff pressure
(mmHg)
(A)
5
下腿容積変化量
Change in volume
(ml/dl of tissue)
0
8
(B)
膝下静脈血管径
Diameter of
popliteal vein
4
(mm)
0
0
120
240
360
480
time (sec)
(A)VCPG法によるHalliwillらの従来の方法 (B)膝窩静脈血管径に基づく本研究で開発した方法
静脈コンプラインアンスの測定の実際の一例
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