Title Author(s) Citation Issue Date Type レビュー・アーティクル 自由貿易思想の歴史 小島, 清 世界経済評論, 41(9): 64-69 1997-09 Journal Article Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/16745 Right Hitotsubashi University Repository ′ノ 由 貿 易 思 レビ ュー ・アーティクル 自 想 の 歴 史 D o u 一 gl a s 自At 由 . r w貿 易 学 説 史 T e i dA .n I n t l e l e in . t A g J i nstthe ら主義 に対応す るためにも'本書 か Fy le eT 7 7a, deP r n i r o f が吸 み取りう る教訓 は尽きると ころ c t u a lms toy n ce n t oN J e r e Pr e s s , Pr i e ct o nUi v e r si t y もな い。本書 を簡単 に紹介す るとと 主要 に' )9 9 6 . 2 6 5 n. ew s y, 問自 題由 に貿 つ易 い対 て保 私護 見主義 に関す る をまじえ て' page s . なる時宜 を 得 た 有 用 検討し てみた い。 な 学院ウイ ン ( シカゴ大学 ビジネ ス大 案 准教授) の本書 は、貿易政策立 とす しる て、 広的 -注 目ド さラ れイ 活用 提供 に書 直結 歴史 ガイ ンの れることになるに違 いな い。 さ る十 コ四章 ( )書 から 請本 は成 二篇 プラ ス序 と結 る。 ンパクーな構成 であ 英国重商主義説 文献 第 五章 初期自由貿源 易流 第 二章 自由貿易思想 の誕生 自由貿易説 の 科米欧 では、広翰な国際経済学 の教 第三章 重農主義 と道徳哲学 アダ ム ・スミ スの自由貿 l 第 一章 「 潮 流 がに世抗にし 問われ た。重商主義 の 一書 て」 ( t i d agai ns tt he 易書 が流行 にな って いるが、国際貿 に の学説史'ま た貿易政策 に直接役 第四章 第序 一篇 誕 e)約 二百年前 に自由貿易主義 が そ生し正論 とし て支配的 にな った。 少立 い。 つJ 思a 想 co に bV つi い nて の著作は意外 に The o7y O f 戦 の後' い- た の保護主義 による挑 でを圧し て、自由貿易主義 は今 日ま r.St Z ne te udi e si nt he Br ot m at iona Ty ade . he r s Pubt ih se r, (一 橋 大 古典学 派 の自由貿易論 潮 諭 -1 レンスと交易条件 自由貿易説をめぐる論争 第 六章 第七章 第 二篇 ミルと幼稚産業論 学 名 誉 教 授) 金格差論 オー スー 支持論 ュー と賃 ラリア の保護 マノイ レスキ 第九章 グ レー ア ムと逓増収獲論 第 八章 第 一〇章 第二 章 1 1 ケ由 イ貿 ン易 ズと 保生経済学 第二 11 一 章 自 の厚 ロ経済 護 の マク へ 易論 第 1四章 戦略的学 貿易政策 結論 NewY r o Ha r per & 成書 は このよう な自由貿易思想 の生 ﹃ k , )93 71日本 で は 、藤井 茂 易説 第二一篇 は 重、商 重商 主 主義 義そ か の他 らの自 保護 由貿貿易 九増 五五 補 年・ 国 際 'る 一。 アー が 念貿 頭易 に論 浮﹄ か国 ぶ元 だ書 け房 であ 護 本'最善 の政策 と信頼 され て いる。 世 ・発展 に ついて の学説史 であ る。 を支 界持 貿易 Wも T' O逆 /に G米 A国 Tの T) す機 る関 ため( に 保 - 6 4- 易 過 貿 由 将 去 来 の 自 と \ ∼ ▲ . _ ー● (1 997 ) 号 9月 世界経 済評論 ■ 理由 から自由貿易を推奨し て いる の - 精 微 化さ れた比較優位 (或 いは比 較生産費) の理論 であ る ( 第 六章) 。 仙企業者 と労働者 の自然的自由 に 国 が優位をも つ産品と交換すればよ い ( 七九 ペー ジ) . これ がリ カ ァド do .P rinc母les of オ ( Davi d Ri car P ol itic alE co n o my,)8)7)な ど に よ 細 に跡づけ て いる。頂点 に達 したと 言われるアダ ム ・スミ スが いかな る か'また既往 の保護主 張 の誤-を い かに批判し克服し て いる のかを検討 し て みよう。自 由 貿 易 説 の生 成 が 任 せればよ い。必ず や最も有利な 投資 ・雇用機会を選 ぶ。 「 見えざる ㈲保護 ( 輸入関税、輸出補助金) は特定 の部門 へ過大 に資源を集中 さ 保護 のため'輸入阻止、輸出拡大そ して有利な貿易差額 が望まし いとす る ( 三三 ペー ジ) 。出 超 は貴金 属 の 流入をも たらす。 これが目 に見える 貿易利益 であ ると重商主義論者 は主 張す る。貴金 属 を 稼 ぐ こと よ -' 年 々の国民所得を増加させて い-坐 産力 こそ重要 であ ると自由貿易説 か らは批判される。また貿易は双方的 いる ( 本書 九 四 ペー ジ) 。食 糧 も 人 移転) 。 こう し て労働 と資本 の生 産 性を改善し、国 民 の厚生を高 める。 貿易 の動態的効果 に ついてはリカ ァド オはより積極的な評価を与え て いて の知識 の交換を促進す る ( 技術 的利益 が生ず る。すなわちより精微 な生産方法 の分業を可能 にす る。新 生産方法や新し いビジネ ス経営 に つ 安-入手させると い-静態利益をも たらす だけ でな い。 い- つか の動態 う。貿易は輸入品を国産す るよ-ち アダ ム ・スミ スは重商主義 と違 っ て ( 本書 八〇 ペー ジ)次 のよう に言 両者をねらう 重商主義 は矛盾をはら んで いる。 であ るから、輸 入削減を はかれば' 手」 によ って社会全体 の生産物 ( 実 それだけ相手国 の自国 品購買力 が減 質所得)を増大 させる。自由貿易は 社会 の資源 の最善 の配分をも たらす。 り、自国 品 の輸出も縮小す ることに なる。 それ故輸入阻止 と輸出拡大 の か 「 穀物法」 の撤廃 (1八四六年) の 推進力 とな った。 スミ スの自由貿易論 ア ダ ム ・ス ミ ス の ﹃ 国 富 論﹄ Smi t h . Wealth of ( Adam 私見を混じえ て要約す ると こう であ る。 川 スミスは有名なピン製造 の例を って-るが、分業は労働 の生産性 も に 大規模生産 の分業 が可能 にな る ( 本 書 八〇 ページ) 。 ㈱自ら生産す るよりも外国 品 の方 十六世紀未 から十八世紀 にかけ て 蛾 烈 であ った英 国 重 商 主 義 ( me r s は ( 第 三 章) '国 内産業 cant i im) を大 いに高 める。 とができる。 ここにも スミ スの楽 観 倒 分業 は市場 の大きさに依存す る。 的予定調和論 が働 いて いる。 故 国内 での分業 だけ でな-外国 貿 易を行う 分業をも 進 めた方 がよ い。 重商主 義批 判 ( 八二ペー ジ) 0 S輸入増加 に伴 い排出 される雇 用 は必ずやよ-有利な部門 に転ず る こ Nat i ons 7 6 に )よ っ て 自 由 貿 易説 せる ので、社会全体 の能率を低 下さ 立 れ と いわれる ( 第 五章) 。 せることになる。 それは 「 貿易政策 の経済学」 であ る。 ㈲自由貿易 は他国 の政策とは独立 に 一方 的 に実 現 さ れ る べき であ る . ) 7 が 樹 さた 一 - 安 が いならば輸入した方 がよ い。自 間 ( 労働力)再生産 のため の投入財 だと見 るならば、当時 の英国 の輸入 品は'食糧 や綿花、鉄鉱石と い った 中間財 が大部分 であ った。 この中間 財が自由貿易促進 によ って低廉豊富 に輸入 できれば'賃金を低位 にとど めておく ことができ、利潤率 は逓減 傾向をまぬがれ、投資、生産、輸出 が拡大し'経済 は繁栄す ると いう の であ る。 重商主義 のもう 一つの中心命題 は' 輸出'輸入 の商 品構成を重視す る点 にあ る。すなわち'加工製品 ( 以下、 工業品とも言う) は高 い付加価値 と 多- の雇用を生 み出す。国内生産 と 輸出 はかかる加工完成 品を志向す べ き であ る。 したが って賛沢な消費財 の輸入は好まし-な い。輸入は'リ カ ァド オ命題を待 つま でもな-、原 るとし'農業 の保護'農産物輸入 の 阻止'農産物輸出 の振興を要望し て 出しな いよう にせよ。 これらが重商 主義 の主 張 であ る。 一 -● ▼ 興味あ る ことに重農主義 は ( 第四 章) 、農 業 こそ国 民経済 の基本 であ め、加 工製 品 の輸入には高関税を課 す べし。原材料 は課税し て外国 へ流 .. 材料、食糧な ど中間財 に限るべき 雪 も1 あ る。中間財輸入 には低関税 にとど -6 5- 自由貿易説 が生成し確立し たかを詳 自由貿易思想の歴史 世界経済評論 9月号 ( 1 9 9 7 ) 一 一 一 -I ● 一 一 一 一 一 一一 一 一一 一 --一 一 一 一一 一 一 -一一一一--一一 一一 一 -一 一 一 -- 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ----一 一 -一 一 一 一 一 一一 一 一一 一 -----∼__. 重要 と いう非 経済的例外考慮 から、 心を示し て いな い。国防 は富裕よ- 輸出 入 の商 品構成 に ついて殆 んど関 後発国 では保護育成 に値す ると い- J . S. Mi t l( Pr i nc t i ) l e so f 農業 に較 べ何らか利点をも ってお-、 ミ ル ( た のであ ろう。し かし、 工業 の方 が 二 七七六年)ま でに十分な競争力 アダ ム ・スミ スの自由貿易説 では、 をも つま でに工業 は既 に成長し て い と ころが、自由貿易 の唱導者 たる 段差 に、幼稚産業保護論 は関連し て いる。 いる のであ る。 国防関連産業 の保静を認 めて いるだ け であ る。十六 ∼十八世紀 の重商主 問題が、次瀞 で検討す るよう に、自 由 貿 易説 への留 保 条 件 q (uaf i i ca・ るよ t i oロ) とし て'永 - 存 続してい う に思 われる。 第九章 は、Fr a nk D. G r a h a m﹀ nF u r ・ ro t e cti o P -ウイ ンは結論し て いる。 " " SomeAse pc t sof t h erConsid Q br , lo y y u a r t e r y l Jour・ 7( F e uar nal o f Econ om c s ,3 e r e , d i i t923)を 取 上 げ て いるO 工業 r e t ur nst oscae) であるのに' 農 業 は逆 に収穫逓減 であ るとしよう。 こう いう コントラ ス-があ るなら ば、 拡 大 に つれ 収 穫 逓 増 ( nc reasi ng は規模 し 外国 が或 る製造 工業 で優位をも って いる のは、外国 はそれを早期 に着手 外 は幼稚産業保護論 であ るとした。 化 当 Pol i t c alEc onomy. )836) )が 、正 う る唯 一の 自 由貿 易 から の例 義 支配 の時代 にはイギリ スの工業 は 遅れ て いた のが、 スミ ス ﹃ 国富 論﹄ ム( 当時プ リ ンス- ン大学) は主 張 ne nt ) 保 護 を し てよ いt とグ レー ア の中 軸 にす るよう 永 続 的 ( pe r ma・ し でや って いけ るよう にな る ( 本書 定投資 の困難 が克服されれば保護な 収穫逓増 の工業を自国 の生産と輸出 育成す る ことは必要 であ る。 それは れな い。規模経済を実現す る初期固 新し い技術 と熟練を獲得 させること したからか'熟練 や経験を他国よ先 に獲得したから にすぎな いかもし 第 二篇 では、自由貿易説を完全 に 工業優 先 保 護 論 は支持 できな い留保条件、すなわち i二八 ペー ジ) . こ のよう にミ ルは 言う。 L 続的 か の違 いはあ るも のの'幼稚産 であ る。保護 が 一時的かそれとも永 論」 の立場 から'規模経済 の得られ る産業を優先 しよう とし て いるわけ l グ レー ア ムに対し多く の批判 があ 業保護論 と同 一の長期的動態的思考 の線上 にあ る。 ば市場競争 と両立 せず'独占 に陥 る の内部経済 に基 づ-も のであ るなら げられた。中心 は、逓減費 用が企業 した。 一時的保護 に限ると いう条件 自 身 この保護論を撤回しよう とさえ L ・ す る のであ る。彼 が 「 供給説貿易理 付 がよ い (ハミ ル- ン、本書 1二二 になる。 そ のためには 「 補助金」給 例外的 に保護を認めても良 いかも知 れな いケー スが いく つか ( ここでは 輸入可能財 がより安ノ 息 膚骨 入手 できるよう にを-消費厚生 が高ま る H t ionalS y s t e m o f Po l i t i c a Eco・ ことが貿易利益 であ るとす る'需要 N a nomy ( ) 84) ) Tra ns t a t ed by 叡 貿易理論 に立脚す る1 ・S ・ミルが Sampson S. d .Lond o n, o ng・ 幼稚産業保護論を支持し た のは'不 m an, 1 8 8 5 ) とかアメリ カのAl e xa n ・ 思 議 であ .: 意 外 であ る.Ba sta・ d er ami t t on( " Re por tont h eS ub b-eそ の他多 数 の批 判 を 受 け、ミル を つけ て、原則的支持を取下げなか う に、 後 発 工 業 j e c tofManufacture, s )7 9) . " ) のよ 化国で幼稚産 業保護 を生産す る力、 つまり資本財 と熟練 重要な のは、富そ のも のよりも、富 知識 のスピ ルオー バー、市場 の規模 ばならな い。技術進歩、規模経済、 . から'支持 できな い。外部経蘭 に基 づ-産業 の長期的費用逓減 でなけれ のよう にこの間題 に関説しな か った。 業保護論を全部放榔す る ことはでき 論 が叫ばれ、逆 に工業 で比較優位 に 立 ったイギリ スではアダ ム ・スミ ス ない ( 本書 一三七 ペー ジ) と著者 ア った ( 本書 二二〇 ペー ジ) 。幼 稚産 であ る。 ( - ス-、本書 二 一 四 ペー たしかに工業化 の歴史的発展段階 の ジ) 。 工業製 品 の輸 入 は阻 止 し、 こ げられ る。長期的発展過程 にお いて 「 工業化優先論」 であ る。 第 八章 の 「 幼稚産業論」 が先 づ挙 に つき、 工業製品を自国生産 ・輸出 の主 軸 におく のが有利 であ ると いう る理論的論争 が検討され て いる。 そ のう ち の四 つは'輸出入 の商 品構成 八 つ)あるが'そう いう主張を めぐ ペー ジ) 0 ド イ ツ の Fr i edr i ch Li s t(T h e 三 9月号 ( 1 9 9 7 ) の幼稚 工業 が輸出 できるよう に保護 -6 6- 世界経済評論 / が農業 に-ら べい-た の利点をも っ な ど の外部経済 にお いて、 工業 の方 た 「 国内 の賃金格差」問題 であ る。 London .P. S. Ki ng .) 9 3 ).で提出し i o n a lTy ]ade, t e c t i on and Z nt e m at 門 に適した労働力を増加す るとか の 促進す るとか、教育 によ って工業部 よ っては是正しえな い。労働移動を て いるかもしれな い。 よる交易条件改善策 の先 限諭 にな っ ルシ ョック のよう な資源 カ ルテ ルに 以上'四種 の保護、 王張'す なわち て いることは否定 できな いよう に思 そ の意味 にお いて貿易面 での保護主 国内政策措置を発動 せねばならな い。 ①幼稚産業諭、②逓増収穫産 業、③ 農業部門 に-ら べ工業部門 では賃金 工業 の高賃金、 およ び④農業特化 の 率 が二倍 であ ると いった賃金格差 が 不利性t は共通 の論旨 を含 ん で いる。 われる。 そ の意味 でグ レーア ムの主 て望まし いと い- こと にな る ( 本書 い- つかの条件 にお いて製造 工業 は 農業 (1次産業) に比 べ利点 をも っ gdenL . て いるので、それを国内生産 と輸出 必要論を取上げ て いる ( Br i B. et . al.TheAus t r al i an Ta n#・A n の中軸 に据えるよう 必要 なら保護し 第 二 章 はオー スーラ=ア の保護 一七 一ページ) 0 張は成立せず、自由貿易 は依然 とし 団」 であるためかであ る。投 入労働 によ る市 場 の失 敗 か' 「 無 競争集 量 で示した実質比較生産費表 にお い 「 あ るとしよう。 これは労働 移動困難 て この国 は農業 で比較優位をも つと 第 一〇章 では、賃金率と貿易 の関 が、高賃金 の先進国 の工業品を売 り 重商主義 の下 では'後発国 の低賃金 す る。自国 では賃金格差 ( 工業 が二 連をめぐ る論争 が検討され て いる。 まかす脅威 であ ると論じられ た。 こ てるよう になる 一時的保護 に限る べ れは今 日 でも' アジア の低賃金、劣 き である。また保護 は関税 よ-も補 Ec onomi cZ n qui 7 T, Met bo r ne・Un i ・ 育成す べき であ るt と主 張す る ので , あ る。保護なし でも対外競争 力 がも 助金 の方 が有効 であ ると い った議論 とす る。賃金格差を入れた価格的比 輸出特化す る国 では'逓 減収穫法則 v e r si t yP r eis )929)_ オース- ラリ アの如き、 一 産品と- に農慮物 へ も展開されて いる。 倍) があ るのに外国 ではそれ が無 い 較生産費差 は い っそう顕著なも のに に支配される ので、地主 だけ が利益 で不 公正 ( unf ai r )貿易 であ ると非 な る。そ こでこの国 は自由貿易を開 を得 るが'雇用増加 は少-、賃金 は 悪労働条件、 人権無硯と い った理由 始し、農業輸出 に特化す ると'高付 の低価格輸出 が エコ ・ダ ンピ ング だ ( さら に劣悪な公害防止措置 の下 で ろう利益 ( 輸入工業品 の入手量 の増 -'自由貿易 によ って得られる であ る ことにな る。 この所得損失 は大き 陥 る。 かかる労働 に不利な所得 分配 伸長しよう とす れば交易条件悪化 に 引下げられる。人 口を増加し輸出を 有利 であり、後発国 は保護 の下'工 の問題 に連なる。自由貿易 は強者 に 先進工業国対後発農業国 の利害相反 次 労働論 加価値 で高賃金 の工業部門を喪失す と非 難 さ れ るよう にな った)。 こ の 加)をはるかに上回るかもしれな い。 を避け るためには、関税 によ って農 ao b r)或 いは ソー ( paupeユ ピング論 とも いわれ る。 難される ことと連な って いる。貧窮 シァ ル ・ダ ン よ-な理由 に基 づ-輸入阻止的保 護 す る。保護主張 は発展段階差 の産物 業化を推進し先進国 に追 いつこう と 立させ、相互 に補完的 に働 ら-よう 私はかかるブリグ デ ン報告 の論旨 工業対農業 (一次産業) の優劣 は' 措置は仝-間違 って いる。 禦 ℃ 先 値 二尚賃金 の工業部門を維持拡大す の静態利益と長期的 経済発展 とを両 であるかもしれな いC だが自由貿易 業を保護す る必要 があ る。 進国 の高賃金 は高 い生産性 に基 づ富裕 と繁栄 の享受 にほかならな い。 告 は所得分配改善 の観点 から保護を る保護措置 が必要とされると いう のり . ー を十分に理解す るも のではな い。報 一次産業特化 の不利性 から脱す るた 支持して いる。そう ではな-し て' それ故自由貿易 ではなく 高付加価 後発国 の低賃金 こそ同情 に値す るも も理解し易 いも のではな い。問題 は もう 一つの論争 は' ルー マニア の 製造 工業 にも多 種 があ る。労働集 であ る。 ので、そ の経済発展 が支援 され て然 るべき であ る。 9 - マノイ レスキ ュー の論旨 は必ず し であろう。或 いは この報告 が' オイ めに工業化を勧 める のが 一つの正道 にす ると いった相促的動態理論 が展 開 できな いも のであ ろう か。 通 産 大 臣 を 経 験 し た Mi ha〓 賃金格差を是正す る ことが優先課題 Manoi t e sc uが The Theo7 yO f Pr o・ であ る。それは 対外貿易政策措置 に - 67- 張 はなお生き残 って いる。 自由貿易思想の歴史 世界経済評論 9月号 ( 1 9 9 7 ) ● 一 一 一 一 ● + I + ■ ー + 一 一 ◆ 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 -一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 -一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 --一 一 -◆ ー --∼ - よ-知識 ・技術集約財 へと い った多 約財からより資本集約財 へ、或 いは 下 でも お互 の貿易を拡大す る方途 が しょう とし'相互 の産業 ・貿易構造 が類似し て- る。 こう い った情況 の もう 一つ' 二国 が同 1工業 に特化 ロビイ活動を通じ て輸入阻止措置 が 生産者 ( 企業者 と労働組合) から' 輸 入増加 によ って被害を こう むる に分散 される ので、力強 い保護反対 論 とはならな い。 ず る。 だが消費者 の声 は不特定多数 経済循環 のファンダ メ ンタ ルズ の是 是正す る ことができな い。それは余 -役 に立たず無効 であ るとされ て い た。 ケイ ンズが創唱者 であ る マク ロ き ミク ロ的貿易政策捨置 によ っては 高度な土 業 が比較優位産業 になるな らば'自由貿易 と両立し つつ順調 か 様化 ・高度化 が志向 される。開放 経 済 の経済発展 に つれ、次 つぎ により あ る で あ ろ う か。 産 業 内 貿 易 正を通じ てのみ解決しう る。低金利 による投資刺激、財政金 融政策 によ ケイ ンズも結局'関税 は' マク ロ る内需拡大、割高為替 レ1- の是 正 な ど の マク ロ調整が不可欠 であ る。 題を解決す るために保護貿易措置 が 第 一三章 は、構造的永続的失業問 ばならな い。同時 に大量失業や永続 いる ( 本書 二〇 五 ペー ジ) 。 ど の程 度関税 が有効であ るかは つき つめね 経済 の不均衡を是 正す るには劣 った 短命 の方策 にすぎな いことを認め て 三〇 一条 のごとき)を要求す る。 そ こう いう保護主義 が米国 で 一九八〇 して入超是正が優先課題 だと いう。 出拡大 のため の支援 ( 米国通産法 の 議会 と政府 に要請される。他方、輸 開 が待望され てならな い。 言 ( i nr ta ・ i ndus t r yt r ade ) 或 いは私 の う「 合意的国際 分業」 の理論的展 つ急速な成長 が続けられう る。そう いった、経済発展 と貿易構造高度化 と の動態理論 が待望される。 四 新重商主義 必要 かと いう新重商主義 のもう 1つ 年以降台頭し てきた。新重商主義と す から、そ の消費者余剰 は減少す る。 名 づけ ておきた い所以 であ る。 ④輸出増加 に つれ輸出部門 の生産者 第 二篇 の残- の四章 はそれぞれ独 自 の保護 リーズ ンを討論し て いる の 余剰 と雇用 とが増加す る。 そ こで利益を得 るグ ループ から損 であるが' 「 新重商主義」 と総括し ておこう。 す る大幅 入超 のごとき構造的不均衡 を的確 に是正できる 「 開放経済 マク 実際上'所得補償 がなされることは 大量失業 の発生を前 にし て、関税 に M ay na rd Keynes (TheG eneyal ロ経済学」 の展開が待望される。 T ho e w o f Empl o ymen, tZ n t y e le S t 第七章 はRobert Torrens, The a ndMone y ,) 9 3 6 ) は強固な 自 由 貿 Bud get JOnComme c r i a land Colo・ > であったが、 一九二〇年代 m' a lP ol i c y ,L ondon:S mi t h .E tde. r 1 844 の「 関税は交易 条件を有 利化さ の 主 張 を 検 討 し て い る。John 稀 であ る。 ただ無差別曲線群とオ フ よ って国内生産と雇用を拡大しえな 失 を 被 る グ ル ー プ へ所 得 補 償 ( compe ns at i on) がなされ ねばなら 臥民経済全体 とし ては貿易利益をも たらす のであ るが、 ベター ・オ フに なるグ ループ ととも にウ ァー ス ・オ ァー曲線を用 いる新古典 派 の 1般均 先ず第 二 一 章は 「 自由貿易 の厚生 フになる ( 損失を被 る)グ ループ が 衡分析 から、合計 とし て の消費者厚 やや軽 い程度 で米国 にお いても、重 大問題 であ る。 賃 金、利 潤 率 を 高 め る。労 働 の傘 ( ゴー ルド) で測 った購買力が高 ま 賛成 ができな い理由 がここにあ る。 生 ( 効用)向上 の故 に支持される。 る。 これが要素交易条件 の有利化 と 未 から 一九三〇年代初期 にかけ ての 逆 に保護貿易 への反対論 は、消費者 かかる構造的失業 は'関税 のごと 経済学」 と題 せられる。自由貿易 は 発生す る。すなわち① 輸入品が国内 いも のかと提案す るに至 った。現在 ( 輸入)関税を課すと貿易出超 が稼 でも大量失業 は ヨー ロッパにお いて、 げ る。貴金属 が流入し'国内物価、 ない。無条件 に全面的 に自由貿易 に 生産よりも安-沢山入手 できるよう が証 明され る。自由貿易 は消費者厚 生 は貿易 によ って必ず向上す ること 易支持者 になるから、輸入可能財 に ついて消 のみか失業 が生ず る。③輸出可能 晶 競争産業 では生産者余剰 が減少す る 厚生を低 下させると いう 理由 から生 せる」 と いう議論をめぐ っての論争 を と- 上 げ る。I I レ ン ス日く。 費者余剰 が生まれるO② しかし輸入 の消費量 は減りか つ価格騰貴を来 た -6 8- 9月号 ( 1 9 9 7 ) 世界経済評論 三 ペー ジ) 。ま た、関 税 引 下げ は他 国 の引 下げ と レシプ ロカ ル ( 互恵 的) になるよう漸次的 に行う べき で あ り、 一方的 に ( una i -t e r a) 行う べ 五ページ)と' き でな い ( 本書 一〇 私見とは反対 の勧告をし て いる。 私は この 「 交易条件有利化論」 が 後の 「 最適関税論」 に連なるも のが 入した事例 が、 ゲー ム論とし てク ル 産化 に成功し'大型航空機市場 に参 ・ うす ると最適関税論 の場合 と同様 に 復行動 に出 ることは当然 であ-、そ 二 一六 ペー ジ) 。ま た相手企業 が報 の背景 にな って いる考え方 であ る。 な った貿易摩擦 に関す る米国側主 張 しろ日米間など二国間交渉 の対象 と そ の多 -は保護主張とし て十分な 正 当性をも って いるとは言 い難 い。 私 自企業 の反応曲線 は拡大しtより多 か- の如-本書 はま ことに興味深 張 が、 とく に米国 で'圧倒的 に支配 し て いる。 これはどうした こと であ 駆け引き の問題となる。それはそれ ぞれ の利潤極大化をねら った駆け引 は保護主張 のリ ス-から取除 いてほ し いと希望す るも のであ る。昔 の重 o ーグ マン ( P a tR.Kr u ugman ."i s Passe?"Journal f jとなり' 「 供給説貿易理論」 の立 場 であ る。 服した事例 になら って新重商主義 を 商主義主張を古典 派自由貿易説 が克 - の販売 と利潤を獲得 できるよう に い。約 二〇〇年前、 アダ ム ・スミ ス ろう か。歴史的情況 の産物 だと放 置 E c 以上、新重商主義 と 一括し た四種 Fr ee Tr ade の保護主張 は'経済発展促進 と言う o on m c i e P rs p亀 v i esap , F alt 1 9 7 8. ) らによって検討されて いる0 日企業 は相手企業 の供給行動を前提 にし て'利潤極大をはかる反応関数 理由 で支持しう る保護 ではな-、 む のオ ッファー曲線 の弾力性 に左右 さ れるが、自国 は輸入関税を課す る こ な る。 この利潤増大 は コス-たる補 す るわけ には いかな い。余- にも多 府 の介 入 ( 補助金供与) があれば' とによ- ( 商 品)交易条件を自国 に 助金を上回る。 こうし て寡占競争 を が重商主義の潮流 に抗し て自由貿易 退散 させてほし い。 ( r eac t i onf unct i on)をきめる。相 手企業も同様 にす る。 この時自国政 有利 に改善しう る。 そうす ると相手 説を確 立し たこと、さら に今 日ま で い保護貿易主 張を撤回させる理論 を も っと展開しなければなるま い。 あ るよ- に思える。 つま-、相手国 国 は報復す るO それを見 て自国 はさ 有利 にす るため の保護 が正当化され る。 遭遇しながら、経済政策 への最も健 多数 の有力な保護主張 による挑戦 に 全な指針 とし て自由貿易説 が生き永 自由貿易対保護主義 と いう 長 い論 び ら に関税を引上げ る。 こう いう 「 駆 このブ ラ ンダー-スペ ンサI ・ モデ nd a 結 け 引 き bar gai ni ng」政 策 に 至 る。 ル ( Jame s A .Br ande r リ。 Rat i ? na e sf o r strategic づrade 五 て交渉 が行われるわけ であ る。 「 需 国民的厚生 ( 効用) の極大化を求 め 要説貿易理論」 に立脚す るバー ゲ ニ c o ング論 であ る。 i ndus t r ial Pol i c y "i nPau tR.Krug・ ら え て いる こと (本 書 二 三 〇 ペー 争史を忠実 か つ詳細 に跡づけ て いる 第 一四章 は過去二十年位 で有名 に man ( e d) ..St r at e gi cTr ad ePol i c y ジ)を'主要な論争 の検討を通じ て' アーウイ ンの本書 ﹃自由貿易思想 の ndt he Ne u JI nt e r n a t i o na lE I 鮮 明ならしめて いる。 な ってきた戦略的貿易政策 ( s t r at e・ a 歴史﹄ の 〓訳を、お勧 めした い。私 1986) が新 し い 保護主義 を基礎づけ るかと注目され大 いに討論され た。 な がら、実際 には、新重商主義 の立 とし ては 「 自由貿易原則」 が詣われ 国間貿易交渉 にお いても、大義名 分 し かしな がら、 WTO/GATT の仝規定 にお いても'日米間など二 され て いる。そ の成功を待望し た い。 から 一年以内 に公刊す ることを計画 教授 が、すぼらし い邦訳書を文英 堂 の畏友'麻 臼四郎小樽商科大学名誉 今 のと ころ'多 - の前提条件を満 た 場 から輸入阻止、輸出拡大 の保護主 P reS さねばならな いので' 一般的妥当性 r n o mic s,Co n bi d g e ,Mt T 大型航空機 の生産 がボーイ ング社 に よ って独占 され て いた時、欧州諸政 をも っとは認められて いな い ( 本書 gict r ade poc l i y)を吟味す るO小数 大企業 の 寡占的競争 の問題 であ る。 により' エアバ スの開発 ・産業的生 府 が エア バス社 に補助金を出す こと - 6 9- 〇 い-望まし い効果 である ( 本書 一 自由貿易思想の歴史 世界経済評論 9月号 ( 1 9 9 7 ) 一 ■ ーI ● 一 一 一 一 一 一 一 ● 一 ● 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 → 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 → 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ■ 一 一 一 一 一 一 一 → 一 一 一一 一 一 一 → 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 → 一 一 一 一 一 ■ 一 一 一 一 一 一 ● 一 一 一
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