- 11月分景気動向指数(速報値)- -先行CI前月差▲0.7で2カ月連続の下降、一致CI前月差▲1.0で3カ月ぶりの下降- -基調判断「下方への局面変化を示している」継続、来月「改善」に戻る可能性も- 客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント 景気動向指数 ・CIの推移 先行CI 年月 20 14 年6 月 7月 8月 9月 10 月 11 月 同・前月差 一致CI 同・ 前月差 一致CI 同・前月差 3 カ月後方 移動平 均 104.9 105.8 105.0 106.2 104.5 103.8 0.6 0.9 ▲ 0.8 1.2 ▲ 1.7 ▲ 0.7 109.3 109.7 108.3 109.3 109.9 108.9 ▲ 1 .7 0 .4 ▲ 1 .4 1 .0 0 .6 ▲ 1 .0 1 .29 一致CI振幅目安 11 0.5 11 0.0 10 9.1 10 9.1 10 9.2 10 9.4 一致CI 同・前月差 ( 20 10 年=10 0) 遅行CI 同・ 前月差 7 カ月 後方移 動平均 ▲ 1.7 6 ▲ 0.4 7 ▲ 0.9 0 0.0 0 0.0 7 0.2 0 0.99 11 2.2 11 1.9 11 1.0 11 0.5 10 9.8 10 9.5 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 0 .2 7 0 .3 0 0 .9 0 0 .5 3 0 .6 7 0 .3 1 118.4 118.4 118.3 118.2 118.6 119.9 0.4 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.1 0.4 1.3 0 .8 3 ( 出所)内閣府 (2010年=100) 景気動向指数:先行CI・一致CI 120.0 110.0 100.0 先行CI 一致CI 90.0 80.0 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 2012年 2010年 2011年 2013年 2014年 月 (出所)内閣府 ●11月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲0.7と2カ月連続の下降になった。1 1月分の先行CIの指数水準は103.8だ。 ●一致CIは前月差▲1.0と3カ月ぶりの下降になった。11月分の一致CIの指数水準は108. 9である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年3月分の96.7よりは12. 2ポイント高い水準だが、直近のピークである14年1月分・3月分の114.6よりは5.7ポイ ント低い水準だ。一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.20と2カ月連続の上昇、7カ月 後方移動平均の前月差は▲0.31と6カ月連続の下降になった。 ●一致CIを使った景気の基調判断をみると、13年7月分で景気の基調判断が、「上方への局面変 化」から景気拡張の可能性が高いことを示す「改善を示している」に上方修正された後、13年8月 分~14年3月分では景気の基調判断は一番良い判断の「改善を示している」で据え置きだった。4 月分で「足踏みを示している」に下方修正になり、5月分・6月分・7月分でも「足踏みを示してい る」に据え置きだった。しかし、8月分で「下方への局面変化」に下方修正され、9月分・10月分 に続き、今回11月分でも同じ「下方への局面変化」の判断だった。 (次頁へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●10月分速報値が発表された段階のレポートで、「過去の数字が不変であることを前提とすると、 1月9日発表の11月分(速報)で一致CI前月差が+0.1でも上昇になるなら、3カ月連続して 3カ月後方移動平均が上昇となり、景気の基調判断が“改善”に戻る」という可能性について触れた。 残念ながら2つの理由でこの見通しは実現しなかった。第一は、10月分・改定値発表段階で9月分 の3カ月後方移動平均が前月差0.00に下方修正されたためだ。11月分では3カ月後方移動平均 の上昇は2カ月連続にとどまることになった。第二は、11月分の一致CIが前月差下降になってし まったことだ。増加が見込まれていた11月分鉱工業生産指数・速報値の前月比が予測に反して減少 したことが要因のひとつだ。ウエイトが大きいはん用・生産用・業務用機械工業が受注元の納期延期依 頼により前月比▲3.5%と減少したことによるところが大きい。なお、生産が変調をきたしたわけ ではない。はん用・生産用・業務用機械工業の生産予測指数は12月分前月比+6.6%・1月分前月 比+13.7%と先行き堅調に推移する見込みである。 ●早ければ12月分・速報値が発表される2月6日に景気の基調判断が「下方への局面変化」から「改 善」に上方修正される可能性がある。11月分で3カ月後方移動平均の前月差は2カ月連続のプラス になった。一致CIを使った景気の基調判断が「局面変化」から「改善」に戻るには、前月差上昇で、 かつ原則として3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇すれば良い。過去の数字が不変である ことを前提とすると、次回12月分の一致CI前月差が+0.5以上の上昇になるなら、3カ月以上 連続して3カ月後方移動平均が上昇となる。なお、12月分の製造工業生産予測指数の前月比は+3. 2%とかなりの上昇が見込まれていることは明るい材料である。 (次頁へ) 景 系 列 名 1.最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 先 行 系 系 列 5月 - 指 6月 - 数 7月 - 8月 - 9月 - 10月 - 11月 + 12月 - - - - + - + - - - - - + - - - - + 4.実質機械受注(船舶・電力を除く民需) + + - - - + + - 5.新設住宅着工床面積 - - - - - - - + + 6.消費者態度指数 - - + + + + - - - 7.日経商品指数(42種総合) - - - - + + - - - <―> 8.長短金利差 - + - - - - - - - <―> 9.東証株価指数 - - - + + + + - + <+> - - - - - + + <+> 拡 張 系 採 用 系 列 - - - + + + + + 2.0 1.0 3.0 5.0 6.0 5.0 2.0 5.0 11 11 11 11 11 11 10 9 18.2 9.1 27.3 45.5 54.5 45.5 20.0P 55.6P 1.生産指数(鉱工業) + - - - - - + + + 2.鉱工業生産財出荷指数 + - - - - - + + + 3.大口電力使用量 + - - - - - - - + 4.耐久消費財出荷指数 + - - - - - + + - 5.所定外労働時間指数(調査産業計) + + + - - - - - + 6.投資財出荷指数(除輸送機械) + - - - + - + + - 7.商業販売額(小売業)(前年同月比) + - - - + + + + - 8.商業販売額(卸売業)(前年同月比) + - - - + - + 0 - 9.営業利益(全産業) + - - - - - - 10.中小企業出荷指数 0 - - - - - + + - 11.有効求人倍率(除学卒) + + + + + + - 0 + 10.5 2.0 2.0 1.0 4.0 2.0 7.0 7.0 6.0 行 拡 張 系 採 用 系 指 列 列 致 数 - 3.0 11 一 列 数 18.2 先 致 4月 - 向 2.鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 11.中小企業売上見通しD.I. 一 動 3.新規求人数(除学卒) 10.投資環境指数(製造業) 列 気 26年 3月 + 数 ( D.I. ) 数 数 指 数 ( D.I. ) 11 11 11 11 10 10 10 10 10 95.5 18.2 18.2 9.1 36.4 18.2 63.6 70.0P 60.0P 9 10 (注)< >内は予測 (出所)内閣府 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●今回11月分速報値では先行DIは55.6%と3カ月ぶりに景気判断の分岐点である50%を上 回った。なお、このところ長短金利差は7カ月連続してマイナスだが、これは日銀の金融政策の影響 が大きいだろう。一致DIは60.0%で3カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回ると いう明るい結果になった。 ●11月分景気動向指数・改定値では、一致系列では生産関連指標などの確報値が速報値と変わらな いとすると、一致CI・改定値の前月差は▲1.0程度と速報値の前月差と同程度になると予測する。 また一致DIも速報値と同じ60.0%程度になると予測する。 ●先行CIでは新たに加わる実質機械受注の前月差寄与度が+0.28程度のプラス寄与になるとみ る。在庫率関連データなどが速報値段階と確報値段階とで数字が変わらないと仮定すると、先行C I・改定値の前月差は▲0.4程度の下降と速報値の前月差▲0.7の下降から上方修正になると予 測する。また、先行DIでは実質機械受注がプラス符号で加わり、60.0%程度と速報値の55. 6%から上方修正になると予測する。 ●12月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、長短金利差、 東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち東証株価指数1系列が前月差プ ラス寄与に、日経商品指数、長短金利差、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス寄与になる ことが判明している。12月分の先行CIの前月差が上昇するか下降するかは、残りの5系列次第で はある。 ●また、12月分の先行DIでは、現時点で数値が判明している4系列のうち、東証株価指数、中小 企業売上げ見通しDIの2系列がプラス符号に、日経商品指数、長短金利差の2系列がマイナス符号 になることが判明している。このため12月分先行DI速報値は、22.2%以上77.8%以下が 確定している。これから発表される残りの5系列中プラス符号が3系列になれば、2カ月連続して景 気判断の分岐点である50%を上回ることになる。 (1月9日現在) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
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