平成27年の新春を迎えて 日 本 紡 績 協 会 会 長 能條 武夫 平成27年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。 この一年を振り返ってみますと、政府・日銀による経済・金融政策を受け、 景気は穏やかに回復しつつありましたが、昨年4月の消費税増税以降、個人 消費や設備投資に停滞感がみられ、GDP成長率は2四半期連続のマイナス 成長となりました。こうした状況を受け、政府は消費税再増税を延期すると ともに、 「アベノミクス」の信を問うために衆議院を解散し、12月に総選挙 が実施されました。選挙結果は連立与党が圧勝し、経済の好循環を通じ日本 経済を再生するという安倍政権が掲げる政策を国民が支持したものとなりま した。今後、新内閣には速やかに有効な景気対策を実施し、景気回復に向け て強力なリーダーシップを発揮していただきたいと考えます。 さて、我々紡績業界の現状についてみると、高品質な国産品への再評価や 円安を背景として、タオル製品などで国内生産回帰への動きが進むなど、一 部に回復の兆しはみられるものの、全体として国内生産はリーマンショック 前の水準にはほど遠い状況が続いています。さらに、円安が進行しているこ とで、原燃料費のコスト増が大きくなり、また消費税増税の影響もあり、価 格転嫁がなかなか進まず、収益面で厳しい状況にあります。このような状況 下で、会員各社は事業の選択と集中による構造改革を進め、海外市場での拡 販を視野に入れた適地生産・適地販売の事業戦略に取り組むとともに、各社 それぞれの得意分野を活かし、様々な機能加工製品の開発に努力しておられ ることに深く敬意を表したいと思います。 本年は、わが国製造業にとって新たな成長の機会となる、TPP、日中韓 FTA、日本EU-EPA、RCEP等の広域経済連携の流れが本格化するこ とが予想されます。このビジネスチャンスをとらえるために、我々繊維素材 メーカーは国際競争力のある新素材の開発や製品企画に取り組むことが求め られます。日本紡績協会としても、業界の共通課題である「人材育成のため の技術・技能研修事業の充実化」と「綿製品の需要振興事業の推進」に引き 続き取り組むとともに、会員企業の新たなニーズに応えるために、通商問題、 海外での労務や特許・知財問題、海外への情報発信などの新規事業に今後力 を入れていく考えであります。 最後に、本年がわが国にとって、また繊維業界各社にとって大いなる飛躍 の年となることを心から祈念し、年頭のご挨拶といたします。 以上
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