P11 - 下野市

問2
自治医科大学附属病院
臨床感染症センター 感染症科
法月
正太郎
臨床助教
Shimotsuke
∼手強いバイキンとどう戦うか∼
手洗い用のアルコールジェルを持った感染症科チーム
奨されていますし、 歳以上の方は
肺炎球菌ワクチンが定期接種になり
ました。土いじりをされる方は破傷
風ワクチンをぜひ接種すべきです。
ワクチンで防げる病気を防ぐことは
大 切 な 予 防 の 柱 で あ り、 当 院 の ス
タッフも行っています。
下野市、栃木県の皆さんに
安全、安心のために
当院は第一種感染症指定医療機関
です。行政の指示により栃木県でエ
ボラウイルス感染症などの疑い患者
さんが発生した場合には当院の感染
隔離病棟に入院します。疑い患者さ
んは、三重の扉のある部屋の中で管
理されます。隔離区域は厳重に管理
されており、エボラウイルスなどの
病原体が漏れ出ることはありません。
当院の患者さんやスタッフには影響
のない構造となっています。我々は
マニュアルの見直しや訓練を行いな
がら、万が一の患者さんの発生に備
えています。
感染症科を持つ大学病院はまだま
だ少なく、全国からスタッフが当院
に集まり診療を行っています。地域
の皆様により良い医療を提供できる
よう今後も努力いたします。
広報しもつけ 2015.1
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気の人が集まる場所であり、バイキ
ンに汚染されやすい環境です。アル
コールで消毒したり石鹸と流水で手
を洗ったりする事により、患者さん
から患者さんへのバイキンの伝播を
防ぐことができ、院内感染の防止に
つながります。我々は病院スタッフ
を中心に正しい手洗いや手袋などの
防護具の着用についての指導を行っ
ています。もう一つの大切な予防は
ワクチンです。インフルエンザワク
チンは生後半年以上の全ての人に推
下野市は栃木県内 市の内、一番面積が小さい市である。○か×か。
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感染症科って何?
します。このため、当院では多くの
部門と協力しながら診療に当たって
感染症科という診療科をご存じで
しょうか。かぜもインフルエンザも
います。
ノロウイルスもみんな感染症であり、 正しい抗生物質と治療が患者を救う
皆さんにとって感染症は身近な存在
﹁かぜを引いたので抗生物質を内
です。さらに2014年は感染症で
服 し て 良 く な り ま し た。﹂ こ れ は、
話題になった1年でした。代々木公
正しい抗生物質の使い方ではありま
園を中心に発生したデング熱、西ア
せん。抗生物質は細菌にしか効きま
フリカを中心に猛威をふるうエボラ
せん。ウイルスが原因である風邪に
ウイルス感染症、そして栃木県では
は全く効かないのです。逆に抗生物
ダニから感染する日本紅斑熱を初め
質が効きにくい細菌を増やし、副作
て診断しました。感染症科では、細
用が出現するかもしれません。抗生
菌やウイルスなどのバイキンがヒト
物質は使い方次第で悪者にも、救世
への戦いを挑み、その戦いによって
主にもなりうるのです。全てのバイ
起きる様々な病気〝感染症〟を扱い
キンに効く抗生物質は存在しません。
ます。バイキンとの戦いにより、ヒ
数百種類ある抗生物質には得手不得
トは高熱を出したり、咳を出したり、 手があり、最良の武器を選ばなくて
下痢になったりします。バイキンと
はなりません。さらに抗生物質だけ
の戦いに敗れれば、死んでしまうこ
ではなく、手術をしてバイキンを取
とすらあります。私たち感染症科医
り除くことも重要な治療の一つです。
は、バイキンの侵入を防いだり、バ
高度な医療を提供する当院では、重
イキンと戦う最強・最適な武器を駆
症患者が多く、私たち感染症科が診
使したりして、日々バイキンに立ち
療に加わり患者さんの命を救うべく
向かっています。バイキンの攻撃範
努力しています。
囲は広く、体中どこでも起こりえま
バイキンの侵入を防げ
す。循環器内科、消化器外科などの
バイキンが体に侵入しなければ感
臓器による診療科の区切りにとらわ
染 症 は 起 き ま せ ん。 正 し く 手 を 洗
れず、いろんな部位の病気を相手に
うことは予防の一つです。病院は病
しもつけクイズ
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感染症のスペシャリスト
自治医科大学附属病院 連携協働コラム