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大起産業コモディティ週報 (金市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【金】 根強い安全資産に対する需要、世界的な低金利誘導圧力
<昨年の61.8%戻しを完成>
COMEX金先物相場は、1オンス=1,300ドルの節目水準
まで続伸する展開になっている。前週に続いて不安定
な投資環境が続く中、リスク回避の流れから安全資産
である金市場に資金を退避させる動きが優勢になって
いる。株安傾向には一定の歯止めが掛かっているが、
原油や銅相場が急落する一方、スイスフランが急騰す
るなど、不確実性の高い相場環境がリスク資産から安
全資産への資金シフトを促す展開が維持されている。
<緩和スタンス強める世界の中央銀行>
原油相場の急落はインフレ耐性の強い金価格に対して、
基本的にはネガティブ材料である。しかし、短期間に
実現した急激な原油安はインフレ見通しの下振れを招
いており、各国中央銀行は改めて政策の軸足を緩和方
向にシフトさせている。1月21日にはカナダ中央銀行
がサプライズ的に利下げに踏み切った他、イングラン
ド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)議事録
では利上げ主張の声が消滅したことが確認されている。
また、1月22日には欧州中央銀行(ECB)も量的緩和の
導入を決定しており、経済が一人勝ちの状況にある米
国を除く主要国が、「低インフレ→金融緩和」のフ
ローから抜け出し切れていない。中央から緩和マネー
の供給が高水準で維持される中、世界的に金利低下圧
力が強くなっていることが、金価格の急落リスクを限
定することになる。
<リスク回避の動きが継続>
特に具体的に差し迫った危機が発生している訳ではな
いが、現在の相場環境で敢えてリスク投資比率を拡大
する必要はないとの慎重ムードが広がっている。ボラ
ティリティ指数(恐怖指数)も欧州債務危機後の高値
水準に近づいており、暫くは金や米国債などの安全資
産に資金をシフトさせ、リスク投資再開が可能なのか
を見極めたいと考えている向きが増えている。従来は
定期市場で短期的な値幅取りを狙った投機買いが中心
だったが、ここにきて金上場投資信託(ETF)にまと
まった買いを入れる動きも観測され始めている。ドル
やCRB商品指数など他資産価格との比較では、金価格
の割高感は著しく強くなっている。金・原油比価に
至っては過去2ヶ月で2倍水準まで急伸しており、金価
格の購買力は必要以上に増強された状態と評価してい
る。このため、安全資産としての退避需要が一服すれ
ば改めて1,200ドル割れを試す可能性が高いと考えて
いるが、現時点での投機資金の流れは金価格を押し上
げる方向にあると評価せざるを得ない。
<退避需要の持続性が焦点に>
マクロな視点では、ドルや他商品市況と比較して、金
価格の値位置は極めて割高な状態になっている。ただ、
投資環境の先行き不透明感や、通貨安戦争に対する警
戒感が、安全資産・通貨である金に対するヘッジニー
ズを高めている。再びリスクオンの地合に回帰すれば
徐々に調整圧力が強まり始めると考えているが、未だ
基調転換は確認できていない。株安・ボラティリティ
指数上昇・金利低下傾向、金ETF残高増が続いている
間は買いスタンスを維持しつつ、これらの指標が逆向
きに転換する動きを見せれば、戻り売り対応に回帰す
る流れになろう。
COMEX金先物 中心限月継足
1,350
5,200
東京金先物 先限継足
5,000
1,300
4,800
1,250
4,600
1,200
4,400
1,150
4,200
1,100
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14/10
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14/12
4,000
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本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。
‐1‐
大起産業コモディティ週報 (白金市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
TEL:052-201-6311(代表)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【白金】 金との強い連動性が維持される、需給に対する関心低い
<じり高傾向が維持される>
NYMEX白金先物相場は、1オンス=1,200ドル台後半ま
で値位置を切り上げる展開に。世界経済の先行き不透
明感が強まる中、工業用素材市況は総じて弱含みの展
開が続いている。パラジウム相場なども昨年10~12月
期の安値水準まで値位置を切り下げており、改めて買
いポジションを構築することに慎重ムードが目立つ。
銅相場のパニック的な急落は続かなかったが、上海で
は鉄筋相場が急落するなど、工業用素材市況では積極
的にリスクを取りづらい地合が続いている。ただ白金
に関しては、白金需給よりも金価格との連動性が重視
される相場環境が維持されており、金価格上昇の流れ
と連動して、逆に戻り高値を更新する展開になってい
る。
電力需給の綱渡り状態が続くとの、より厳しい評価に
変わっている。もっとも、現時点では白金鉱山の操業
に具体的な影響が生じている訳ではなく、リスクプレ
ミアムを織り込むような動きは確認できない。何らか
の発電トラブルが発生すれば、いつ鉱山部門に対する
電力供給が削減されても不思議ではない綱渡り状態に
ある。しかし、現段階では潜在的な需給逼迫要因・買
い材料との評価に留めざるを得ない。
<金価格と同じ方向性を前提に>
金価格と白金価格は100%に近い連動性を見せており、
現状では安全資産としての金に対する投資需要がいつ
まで維持されるのかが、白金相場のトレンドも決定付
ける可能性が高い。リスクオフの動きが続けば、金相
場上昇に引っ張られる形で白金相場も上昇する可能性
が高く、実質的には安全資産としての値動きが続く見
通し。このため、リスク資産から安全資産に対する資
金シフトの動きが続く間は、トレンドフォローの買い
スタンスが基本になる。教科書的な値動きとは違う
が、金価格が最大の価格決定要因になっている以上、
この流れに逆らう必要性は見出せない。一方、改めて
リスク資産に投機マネーが還流するような動きを見せ
れば、他工業用素材市況とは逆に下落する可能性が高
いと考えている。白金需給見通しに突発的な変動が生
じないことが前提になるが、金価格と同じ投資スタン
スで対処したい。なお、「金>白金」の価格バランス
が実現しているが、金・白金価格を再び押し上げるよ
うなリスクオンの地合に回帰すれば、「白金>金」の
価格バランスに回帰する可能性が高まろう。
<スト終結も全く材料視されず>
南アフリカのNortham Platinumでは、1月13日から全
国鉱山労働組合(NUM)がストに踏み切ったが、20日
にスト終結で合意されている。リクルート活動におけ
る白人優遇の動きなどが材料視された模様であり、会
社側の発表では日量1,000オンスの生産喪失が発生し
ている。ただ、白金相場はスト発生にもスト終結にも
全くと言っても良い程に関心を示しておらず、需給に
対する関心の低さを裏付ける結果に終わっている。南
アフリカでは他に電力供給不足に対する警告なども発
せられているが、こちらも特に材料視されていない。
同国国営電力会社Eskomは、昨年12月時点では2~3月
にかけての電力需給逼迫リスクを指摘していた。しか
し、最新報告では1月15日から少なくとも4月にかけて
NYMEX白金先物 中心限月継足
5,200
1,500
東京白金先物 先限継足
5,000
1,400
4,800
4,600
1,300
4,400
1,200
4,200
1,100
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14/10
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4,000
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本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
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大起産業コモディティ週報 (原油市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
TEL:052-201-6311(代表)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【原油】 短期需給緩和状態は維持も、年後半に歪み是正か
<上値が重く、下げ渋る>
NYMEX原油先物相場は、1バレル=40ドル台中盤から後
半にかけて揉み合う展開に。需給緩和状態の早期是正
は難しいとの見方が強く、引き続き上値の重い展開に
なっている。ただ、生産調整の兆候も見られること
で、短期的な下げ過ぎ感からショートカバー(買い戻
し)を進める動きもみられ、明確な方向性を打ち出せ
ていない。上値が重いものの下げ渋る、中途半端な相
場展開が維持されている。
<需要見通しに下方修正リスクあり>
もっとも、あくまでも当面の原油安が生産調整の動き
を促すことが前提になるため、目先の本格反発
が困難な状況に変化はない。1~6月期は、世界全体で
日量200万バレル超の供給超過が発生する可能性もあ
り、世界的に潤沢な在庫が原油相場の上値を圧迫する
展開が続く見通し。瞬間的に40ドル割れを試す可能性
を排除するのは、時期尚早と考えている。中長期スパ
ンでは40ドル前後の価格水準に物色妙味が大きいと考
えているが、国際通貨基金(IMF)が世界経済成長見
通しを引き下げたことで、IEAの需要見通しも2月以降
に再下方修正される可能性が高い。その際に、原油相
場が現行価格水準を維持するのは困難だろう。
<IEAは年後半に反発する可能性を指摘>
国際エネルギー機関(IEA)が1月16日に最新の月報を
公表しているが、そこでは2015年の石油輸出国機構
(OPEC)非加盟国の生産高見通しが前月の前年比で日
量+130万バレルから+95万バレルまで下方修正され
た。主な下方修正はコロンビアだが、他にもカナダや
米国の生産高見通しが引き下げられており、「原油相
場急落→生産鈍化」の流れが一応は確認できる状況に
なっている。足元では、OPECの産油水準がイラク主導
で逆に上振れ傾向を見せる中、需給均衡化には程遠い
状態が続いていると見られる。ただ、IEAは「今後の
原油相場反発に一定の期待を持たせる形」として、年
後半に原油相場が反発する可能性を指摘している。あ
くまでも、昨年後半にみられたような需要見通しの急
激な悪化が実現しないことが前提になるが、このまま
増産ペースが鈍化すれば、季節要因から需要が上振れ
する今年下期に、需給均衡状態が実現する可能性が浮
上することになる。この辺の楽観的な見通しが示され
たことが、原油相場の下値不安を後退させている。
120
<底値には近づき始めるも>
米国で石油リグ稼動数の急激な減少、石油タンカーに
よる海上保管の動き拡大、石油資源大手のシェール開
発プロジェクト見直しなど、原油需給均衡化に向けて
の歩みは始まっている。特にリグ数の急激な減少は、
数ヶ月後に実際の産油量に影響を及ぼす可能性が高
く、「原油安による需給バランスの歪み解消」という
OPECサイドの目標は、一応の達成が見通せる状況にな
り始めている。ただ、買い方針は今年末といったタイ
ムスパンを想定しておく必要があり、短期トレンドは
引き続き下向きで見ておいた方が良いだろう。大きな
下振れを想定できる価格水準ではなくなっているが、
需給ギャップの解消にはなお多くの時間が要求される
ことを考慮すれば、ボトム確認に慎重スタンスが求め
られる状況に変化はない。
NYMEX原油先物 中心限月継足
80,000
100
70,000
80
60,000
60
50,000
40
40,000
20
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14/10
14/11
14/12
30,000
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東京原油先物 先限継足
14/10
14/11
14/12
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大起産業コモディティ週報 (石油製品/天然ガス市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【石油製品】 原油の下振れリスク警戒
【天然ガス】 在庫減少で反発するも
<海外原油安と円高が一服するも>
東京ガソリン先物相場は、1kl=5万円台前半で揉み合
う展開に。海外原油安、円高がともに一服する中、5
万円の節目水準に辛うじてサポートされる展開に。石
油連盟発表の週末在庫(11~17日)は、前週比+4.5%
の175万2,966キロリットル。推定出荷量は+7.8%と上
振れしたが、90万0,812キロリットルでは在庫取り崩
しを促すのは難しい。資源エネルギー庁が発表した19
日時点のレギュラーガソリン平均価格は1リットルで
前週比-3.0円の139.6円と大きく値下がりし、2年5ヶ
月ぶりに130円台に突入した。しかし、需要を大きく
刺激するような動きは見られず、需給要因からは特に
積極的に仕掛ける必要性は見出せない。海外原油相場
主導の展開が続く見通しであり、なお5万円割れのリ
スクに対して注意が必要だろう。中長期的には物色妙
身のある価格水準だが、まだネガティブ材料が出尽く
したのかは慎重な判断が求められる。
<安値保ち合い相場に>
天然ガス先物相場は、1mmBtu=3ドルの節目を挟んで
荒れた相場展開になっている。1月15日には一時3.352
ドルまで切り返すも、そこから本格的な上昇トレンド
を形成するには至らず、再び3ドルの節目を割り込ん
でいる。
<在庫は減少傾向を維持するも>
米エネルギー情報局(EIA)発表の全米ガス在庫(1月
16日時点)は、前週比-2,160億立方フィートの2兆
6,370億立方フィートと大きく落ち込んだ。北東部を
中心に強力な寒波が押し寄せる中、暖房用エネルギー
需要が拡大していることが、天然ガス在庫を押し下げ
ている。例年の季節パターンに沿った動きだが、在庫
減少ペースが加速していることは、需給要因に基づく
天然ガス相場の下振れリスクを限定することになる。
ただ、絶対的な在庫水準としては前年同期を8.2%上
回っており、在庫逼迫に対する警戒感は鈍い。更に
2ヶ月程度は在庫の取り崩しが進む可能性が高いもの
の、今年春から秋にかけて警戒されていたような低在
庫環境は回避できる見通しが強くなっている。特に大
きく値崩れを起こすような必要性も見当たらないが、
原油相場の軟調地合が続く中、天然ガス相場のみが独
歩高となるようなことは難しい地合が続くことにな
る。在庫減少や寒波などを手掛かり3ドルの節目を大
きく上抜くような場面があれば、引き続き戻り売り対
応を検討したい。
<寒波も需要は伸び悩み>
東京灯油先物相場は、1kl=5万円の節目を挟んだ水準
で揉み合う展開になっている。ガソリン相場同様に、
海外原油安と円高が一服していることが、灯油相場の
下げ止まりを促している。石油連盟発表の週末在庫は
前週比-1.2%の245万3,927キロリットル、推定出荷量
は-5.8%の53万2,113キロリットル。厳しい寒波が観測
されているが、需要サイドから本格的に需給引き締め
を促すような動きはみられなかった。引き続き、原油
調達コスト環境と連動する見通しであり、ガソリン同
様の投資スタンスを維持したい。
東京ガソリン/灯油先物 先限継足
90,000
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
5.00
80,000
4.50
70,000
4.00
60,000
NYMEX天然ガス先物 中心限月継足
3.50
ガソリン
灯油
50,000
40,000
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14/10
3.00
14/11
14/12
2.50
14/09
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14/10
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大起産業コモディティ週報 (ゴム市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【ゴム】 中国経済に対する警戒感後退も、需給タイト感は乏しい
<ボラタイルもトレンドは形成できず>
東京ゴム先物相場は、1kg=190円の節目を試した後に
200円水準まで切り返すなど、不安定な値動きを継続
している。中国経済の減速懸念がやや後退する中、ゴ
ム相場を売り込む動きは一服している。ただ、世界的
な景気減速懸念から非鉄金属相場などが調整地合を継
続する中、天然ゴム相場のみを大きく買い進むような
動きも見られない。結果的に、ボラタイルな値動きを
見せているものの、昨年10月後半から続く190~210円
をコアとしたボックス圏内での値動きに留まっている。
<タイ現物相場は独歩高状態が続く>
タイ現物相場は、引き続き強含みに推移している。タ
イ政府が中央ゴム市場で国際相場を無視した高値で買
い付けを行う中、需給動向にかかわりなく高値誘導が
実現している。1月22日時点で未燻製シート(USS)の
オファー相場は1kg=58.30バーツに到達しているが、
タイ当局者からは65バーツを目指すといった強気の声
も聞かれ、タイ現物相場に関しては今後も強含みの展
開が続く見通し。ただ、需給要因に基づく上昇相場で
はないため、オファー相場は特に目立った刺激を受け
ていない。寧ろ、インドネシアやマレーシア産相場の
軟化につられる形で、上値の重い展開を強いられてお
り、東京ゴム相場に対しては押し上げ要因とまでは評
価されていない。実勢を無視した高値が産地からの供
給増を招く中、需給要因からは下値不安が拡大してい
るのが現状である。国際的に生産コスト割れの議論が
活発化する中、昨年10~12月期以降は供給サイドから
需給緩和状状態を是正する力が働いていた。しかし、
<生産継続に必要な価格水準>
もっとも、オファー相場は1kg=150セントの大台割れ
を打診する展開になっており、ここから更に大きく値
崩れを起こすような状況にもない。生産国はこの価格
を防衛ラインとしたものの、実際には有効な市況対策
を打ち出せない状況が続いている。ただ、ここからの
一段安局面では改めて国際的な市況対策を協議する動
きが活発化する可能性が高いことに加えて、採算環境
の悪化から天然ゴム生産放棄の動きも想定され、長期
にわたってここから更に大きく水準を切り下げる必要
性は乏しい。
<ボックス相場を継続か>
中国の10~12月期国内総生産(GDP)が市場予測を上
回ると言ったポジティブ材料も見られる中、リスクオ
フの地合が緩めば更に10円程度の値上がりは十分に想
定できる。ただ、何か供給不足が警戒されるような事
態にある訳でもなく、過去3ヶ月のボックスを完全に
ブレイクするような展開は想定しづらい。現在の値位
置はボックス中心付近とあって評価は中立的だが、
210円突破で戻り売り、190円割れで押し目買いといっ
た、ボックス相場の継続を前提とした対応で十分と考
えている。何か需給見通しに大きな修正を迫るような
動きが見られるまでは、円相場の動向を眺めながらの
展開となろう。
上海ゴム先物 中心限月継足
16,000
タイ政府の介入によって需給調整機能が働かなくなる
中、自立反発の域を越えるような上昇相場を想定する
のは難しい情勢になっている。
220
東京ゴム先物 先限継足
210
14,000
200
190
12,000
180
10,000
14/09
14/10
14/11
14/12
170
14/09
15/01
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大起産業コモディティ週報 (トウモロコシ市場)
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【トウモロコシ】 良好な需要環境を受け、底堅さを示すも
<安値是正の動きが強まる>
CBOTトウモロコシ先物相場は、1Bu=300セント台後半
で揉み合う展開に。米農務省(USDA)の1月需給報告
(WASDE)と四半期在庫(12月1日時点)を受けて調整
圧力が強くなっていたが、1月15日の376.00セントで
押し目形成を確認し、若干ではあるが戻りを試す動き
が優勢になっている。本格的に買い進むような動きま
ではみられないが、着実に押し目形勢ラインを切り上
げており、一定の底堅さが確認できる状況になってい
る。
係で、前年度比での輸出量は下振れすることがほぼ確
実な情勢になっており、今年度は大きなネガティブ・
インパクトを想定しづらい。気象環境が安定している
ことで天候リスクのプレミアムを織り込む必要性も言
い出せないが、南米産の供給動向に対する関心は高い
とは言いがたい。
<ボックス相場を継続か>
明確な相場テーマが設定できない状況にあり、需要動
向を眺めながらの不安定な地合が続く見通し。海外需
要動向次第では400セント台回復から一段高を試す程
度のエネルギーは有しているとみるも、そこから450
セント、500セントと値位置を切り上げるような環境
にはない。従来よりも需給緩和見通しが後退している
とは言え、米国産の期末在庫見通しは前年度の12.32
億Bu(在庫率は9.2%)を大きく上回る18.77億Bu(同
13.8%)であり、08/09年度以来の需給緩和状態が実現
する見通しになっている。一方、300セント台前半か
ら中盤の価格水準では農家売却が渋る見通しであり、
大きな値下がりが想定できない状況にも変化は見られ
ない。現物ベーシスからも400セント割れから更に大
きく下落することには拒否反応が見受けられる。この
ため、引き続き400セントの節目を挟んでボックス気
味の相場展開を想定しておきたい。350セント水準に
トライするような動きがみられれば物色妙味がある一
方、400セント台では利益確定を進める方に妙味を感
じる。現行の価格水準はやや買い優位とみているが、
押し目があれば買い拾う程度のスタンスで十分だろ
う。
<良好な輸出環境が下支え>
USDAの週間輸出検証高(1月15日の週)は74万7,634ト
ンとなり、前週の50万1,625トンから大きく上振れし
た。日本、コロンビア、メキシコなどに高水準の輸出
が報告されており、需要環境に一定の信認を取り戻す
ことに成功している。四半期在庫では、昨年9~11月
期の米国内需要が市場予測に届いていなかったことが
示されたが、海外から比較的高いレベルの成約が続く
中、短期需給バランスが大きく緩和方向に傾くリスク
は限定されることになる。特に大口の輸出成約が確認
されている訳ではないが、安定的な引き合いが確認で
きていることが、トウモロコシ相場の買い安心感に直
結している。
<南米産の生産は良好だが>
南米産の生産環境は総じて良好であり、今後の競合を
警戒する声も聞かれる。ただ、ブラジル、アルゼンチ
ンともに2014/15年度は大豆生産を優先させている関
CBOTトウモロコシ先物 中心限月継足
425
30,000
400
28,000
375
東京トウモロコシ先物 先限継足
26,000
350
24,000
325
300
14/09
14/10
14/11
14/12
22,000
14/09
15/01
14/10
14/11
14/12
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大起産業コモディティ週報 (大豆市場)
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【大豆】 中国の成約キャンセル開始で、下値不安が拡大
<1,000セント割れ定着へ>
CBOT大豆先物相場は、1Bu=1,000セントの節目を下回
る水準で、やや上値の重い展開に。南米産のハーベス
ト・プレッシャーが本格化する時期が近づく一方、中
国から米国産大豆の成約キャンセルを進める動きが見
られる中、昨年10月下旬以来の安値を更新している。
積極的に売り込む動きまでは見られないが、トウモロ
コシ相場が安値からの切り返しを見せるのと対照的に、
大豆相場は逆に1,000~1,050セントをコアとしたボッ
クス下限を下抜く動きを見せている。
<中国からの成約キャンセルが始まった?>
米農務省(USDA)によると、1月20日には中国向けに
17万4,000トンの成約キャンセルが報告されている。
単発的な動きの可能性もあるが、南米産のハーベス
ト・プレッシャーが本格化する時期が近づく中、中国
が米国産から南米産に調達先をシフトし始めた可能性
が警戒されることになる。その翌日の21日には同じく
中国向けに17万6,000トンの大口成約が報告されたた
め、現段階では米国産に対する需要の落ち込みが本格
的に警戒される状況には至っていない。しかし、例年
だとこの時期と前後して米国産の成約キャンセルを進
める動きが活発化するため、大豆の短期需給見通しに
対しては緩和圧力が強まり易くなっている。1月15日
の週の週間輸出成約高は151万7,985トンに達しており、
極めて高いレベルを維持している。ただ、大豆に関し
ては成約と実際の輸出との間の乖離が警戒されている
ことで、何かサプライズ的な動きがあるとすれば需要
見通しの下振れとの見方が強い。今後、更に成約キャ
CBOT大豆先物 中心限月継足
ンセルの動きが広がると、急落リスクが高まろう。
マーケットでは、最終的に200万トン規模の成約キャ
ンセルが発生する可能性も想定されている。
<南米の豊作環境は確定へ>
一方、南米産の生産環境であるが、特に目立ったトラ
ブルは確認できない。今年度は総じて理想的な気象環
境にあるため、天候リスクのプレミアムを織り込む必
要性は見出せない。USDAは1月需給報告でブラジル産
の生産高見通しを前月の9,400万トンから9,550万トン
まで引き上げたが、この楽観的な数値実現の可能性が
高くなっている。米国産の輸出見通しが5,160万トン
に対して、ブラジル産は4,600万トン、アルゼンチン
産は800万トンが想定されており、これから国際大豆
市場は南米から過去最大規模の供給プレッシャーに晒
されることになる。時間的に、これから南米産の輸出
量見通しが下方修正を迫られる可能性は低く、米国産
大豆にとっては厳しい相場環境が続く見通し。
<戻り売り対応を継続>
対ドルでブラジル通貨レアル安の進行が一服している
ことはポジティブだが、米国産の豊作で緩んだ需給が、
南米産の供給で更に緩むことになる。このまま1,000
セントの節目割れ定着を試した後、まずは950セント
の節目を打診する流れになるだろう。南米産の供給
ペースによっては、瞬間的に900セント台前半を試す
可能性も浮上することになる。少なくとも、大豆相場
の反発シナリオを描くことは、米国産に続く南米産の
豊作によって、極めて困難な情勢になっている。
60,000
1,200
1,100
東京一般大豆先物 先限継足
55,000
1,000
50,000
900
800
14/09
14/10
14/11
14/12
45,000
14/09
15/01
14/10
14/11
14/12
15/01
本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。
‐7‐
大起産業コモディティ週報 (小麦/コメ市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【小麦】 余剰在庫が押し下げる相場
【コメ】 8,000円台前半で波乱の展開に
<調整売りが継続中>
CBOT小麦先物相場は、1Bu=550セントの節目を割りこ
む展開に。引き続き潤沢な国際需給環境が嫌気され、
戻り売り優勢の展開が続いている。ウクライナ情勢の
緊迫化に刺激を受けて買いを入れる動きも見られた
が、特に目立った値動きには発展しなかった。米プ
レーンの降水量不足に対する懸念の声も聞かれるが、
ドル高環境にあって小麦相場の買いを再開するような
動きはみられない。
<荒れた相場展開に>
関東産コメ先物相場は、1俵(60kg)=8,100~8,400
円水準で荒れた展開になっている。年初からは、定期
相場の割安感を背景に現物筋と見られる買いが入り、
一気にコアレンジを切り上げた。しかし、1月15日の
8,430円をピークに、その後は押し目買いと戻り売り
が交錯する展開となり、明確な方向性を打ち出せてい
ない。1日の値幅は拡大傾向にあるが、新たなトレン
ドを形成するには至っていない。
<潤沢な国際在庫が上値圧迫>
ウクライナとロシアの緊張が再び高まる中、ウクライ
ナ産の供給懸念が蒸し返されている。ただ、ロシアの
穀物輸出規制の動きが続かなかったように、現在の国
際小麦需給はウクライナ産の供給トラブルも乗り越え
ることが可能との楽観的なムードが支配的。米農務省
(USDA)によると、2014/15年度の世界期末在庫見通
しは1億9,600万トンが想定されているが、これは前年
度の1億8,580万トンを1,000万トン以上上回ってい
る。ロシアやウクライナからの輸出が鈍化しても、米
国や欧州、オーストラリアなどがその穴を埋めるだけ
の能力を有している。当然に輸出リスクが高まれば小
麦相場は一定の刺激を受けることになるが、昨年12月
同様にそうした局面は戻りの好機になる見通し。特に
ドル高(ユーロ安)が進む中、米国産小麦の輸出競争
力は低下しがちであり、今後も戻り売り優勢の地合が
続き易い。特に大きな供給トラブルがなければ、500
セント割れを試すリスクも想定しておく必要がある。
<押し目買い基調は維持されるも>
コメ需給に関しては、特に注目されるような統計デー
タの発表などはない。需給動向指数からはコメ需給の
緩和見通しがピークアウトしていることが確認されて
いるが、潤沢な在庫環境そのものが否定されている訳
ではなく、本格的な上昇トレンド形成が要求されるよ
うな相場環境にもない。コメ需給からは下値を確認し
た相場であり、基調判断としては引き続き押し目買い
になる。ただ、今年に入ってからの急伸はコメ需給の
見直しではなく、単純に現物相場に対する割安感が評
価されただけの可能性が高い状況になっている。引き
続き押し目買い対応で臨むべきだが、直ちに急騰する
ような相場環境にもないだろう。今後も安値があれば
買い拾う程度のスタンスで十分であり、上値を追いか
ける必要性までは見出せない。
700
CBOT小麦先物 中心限月継足
9,000
650
大阪 関東産コメ先物 先限継足
8,500
600
8,000
550
7,500
500
450
14/09
14/10
14/11
14/12
7,000
14/09
15/01
14/10
14/11
14/12
15/01
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大起産業コモディティ週報 (砂糖/コーヒー市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/01/23(金)
【砂糖】 エタノール生産拡大の思惑
【コーヒー】 ブラジル降雨で利食い売り
<自立反発局面が続く>
ICE砂糖先物相場は、1ポンド=16セント水準まで反発
する展開に。国際砂糖需給の緩和状態に変化は見られ
ないが、1)対ドルでブラジル通貨レアル安が一服し
ていること、2)ブラジルで乾燥懸念が根強いこと、
3)ブラジル政府がガソリン・ディーゼル油の税率引
き上げを決定したことを受けて、底固い展開になって
いる。14セント水準では下げ過ぎ感が強いこともあ
り、売りポジション整理の動きが自立反発的な上昇を
促している。
<戻り売り圧力が強まる>
ICEコーヒー先物相場は、1ポンド=160セント台前半
まで急落する展開に。年初からはブラジルの乾燥懸念
を蒸し返す形で底固い値動きとなり、1月12日には一
時184.90セントまで切り返した。しかし、その後はブ
ラジルで再び降雨が観測されていることが嫌気され、
概ね年初の価格水準まで回帰している。引き続き、ブ
ラジルの天候に一喜一憂する不安定な相場環境になっ
ている。
<ブラジルの気象予報に一喜一憂>
ブラジルでは引き続き土壌水分不足を懸念する声が聞
かれ、コーヒー生産へのダメージが警戒される状況に
変化は見られない。しかし、足元では散発的な降雨が
観測されているため、天候リスクを更に織り込むこと
に対しては慎重ムードが強く、買い玉整理の動きが優
勢になっている。ブラジル通貨レアル相場の反発傾向
といったポジティブ材料も見られるが、ブラジルの気
象環境以外の材料は殆ど注目されていない。国際需給
の逼迫懸念が根強いことを考慮すれば、現行価格に対
しては割安感が強い。安定的なコーヒー供給を確保す
るという視点では、下げ過ぎが警戒される価格ゾーン
に突入しており、物色妙味があると考えている。た
だ、実際に安値是正を進めるには、ブラジルのコー
ヒー生産地で乾燥状態が確認されるか予想されること
が必要不可欠である。気象見通しの変化を確認してか
ら買いを入れても、遅くはないだろう。180セント水
準であれば、特に割高感は見出せない。
<ブラジルが石油製品の税率引き上げ>
ブラジル政府は、2月1日からガソリンとディーゼル油
の税率を引き上げることを決定した。石油価格が急落
する中、増税を行っても消費者からの不満の声は高ま
らないと判断した模様。これによって、相対的にエタ
ノールの価格競争力が向上することになり、サトウキ
ビからエタノールを生産比率が上昇するとの見方が、
砂糖相場を押し上げている。もともと、砂糖相場低迷
でエタノールの生産比率は高まっていたため、今回の
増税によってブラジル産砂糖生産が大きな影響を受け
るとは考えづらい。しかし、昨年12月の砂糖相場急落
を主導したレアル相場安が一服していることもあり、
これを手掛かりに売りポジションの利益確定を進める
動きが優勢になった。もっとも、高値では荷動きが活
発化し易く、改めて需給緩和状態が見直される見通
し。17セント水準までは自立反発の範囲内だが、同水
準では戻り売りの方に妙味を感じる。押し目買いライ
ンは15セント割れに留めておきたい。
18
TEL:052-201-6311(代表)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
ICE砂糖先物 中心限月継足
240
ICEコーヒー先物 先限継足
220
16
200
.
180
14
160
12
14/09
14/10
14/11
14/12
140
14/09
15/01
14/10
14/11
14/12
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注意事項
※本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断し
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ません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断で行うようお願い申し上げます。※本レ
ポートは、執筆者の見解に基づき作成されたものであり、弊社の統一された見解ではありません。
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ません。※弊社の都合で、本レポートの全部または一部を予告なしに変更することがありますの
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りますが、最高額は、最低取引単位(1枚)当り最高200,000円です。但し、実際の取引金額は委託
者本証拠金の額の10倍から60倍という著しく大きな額になります。また委託者証拠金等は、その後
の相場の変動によって追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。但しその額
は、商品や相場の変動によって異なり、一様ではありません。※商品先物取引の委託には委託手数
料がかかります。その額は商品によって異なりますが、最高額は、最低取引単位(1枚)当り17,496
円です。※弊社の企業情報につきましては、弊社の本・支店及び日本商品先物取引協会の本・支
部・ホームページで閲覧できます。※本取引についてのご相談窓口 大起産業(株)取引相談室[名
古屋市]:0120-706030、日本商品先物取引協会相談センター[東京都]:03-3664-6243
【注】証拠金、手数料等の額は2014年7月1日現在のデータです。
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