大起産業コモディティ週報 (金市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 【金】 ポジション調整中心で年内相場は終了、来年に議論先送り <FOMKC後は調整売りが優勢に> COMEX金先物相場は、1オンス=1,070ドル台まで反発 する展開に。特に目新しい材料などは見当たらなかっ たが、クリスマス休暇や年末・年始を前に売りポジ ションの整理を進める動きが強く、地合を引き締めた。 為替市場でドル高傾向が一服したこともあり、短期リ バウンドを試す動きも強まった模様。ただ、積極的に 買い進むような動きまではみられず、大きな値動きに は発展していない。 <ポジション調整中心> 年末に向けてのカウントダウンが始まる中、既にファ ンダメンタルズよりも内部要因が重視される相場環境 になっている。金相場は11~12月にかけて大きく値位 置を切り下げたこともあり、売りポジションの含み益 を確定する動きが下値をサポートし易くなっている。 ただ取組高が増加に転じていることからは、新規でリ バウンド狙いの買いも入っている可能性が高く、目先 は年末・年始に特有の不安定な相場展開が続き易い。 この時期の相場展開に積極的な意味を見出すことは難 しく、このままポジション調整絡みの方向性に乏しい 展開が続くことになるだろう。 <米金融政策の議論は来年に持ち越し> 12月15~16日に開催された米連邦公開市場委員会 (FOMC)で、米国は約10年ぶりの利上げサイクル入り を決定した。ただ、その後の金利上昇軌道については 議論を来年に持ち越した感が強く、決め手を欠いてい る。アトランタ連銀のロックハート総裁が21日、「緩 COMEX金先物 中心限月継足 1,250 やかな」ペースでの利上げは毎回のFOMCで利上げを行 うことを意味しないとして、「1会合おき」に利上げ が実施される可能性が高いとの見方を示した。これは FOMCメンバーの中央値である2016年末までに4回の利 上げ予想と同じ趣旨の発言だが、マーケットの反応は 限定されている。フェデラル・ファンド(FF)金利先 物市場では半数以上が16年中に2度の利上げに踏み切 ることを織り込んでいる状態に過ぎず、FOMCメンバー の見通しとの間に大きな乖離が見受けられる。このた めに、2016年は実際の金利がどちらにより近い軌道を 描くのかが金価格形勢にも大きな影響を及ぼすことが 想定されるが、足元では米金融政策見通しについての 議論は踊り場局面を迎えており、ドルや金相場の短期 トレンドには殆ど影響が確認できない状況になってい る。 <年明け後は改めて米指標の確認へ> 今年の相場は既に終わった感が強く、このまま年末・ 年始にかけて方向感なく漂う展開が続こう。3年連続 の下げ相場が決定的になるも、1,000ドルの節目割れ は2016年に持ち越しとなる。年明け後は、米経済指標 から強力な金利上昇軌道を描けるのかを打診しつつ、 改めて下値を試す展開を想定している。従来のような ドルの急伸リスクが限定される中、金相場は緩やかな ペースで直近安値1,045.40ドル(12月3日)割れを打 診する展開となろう。足元ではCRB商品指数の下げも 一服しているが、年末前のポジション調整とみており、 引き続きドル高・商品安が金価格の上値を圧迫する展 開を想定している。 東京金先物 先限継足 4,800 1,200 4,600 1,150 4,400 1,100 4,200 1,050 1,000 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 4,000 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐1‐ 大起産業コモディティ週報 (白金市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 【白金】 金相場につれ高も、年内の取引は終了ムード <金相場連動で堅調> NYMEX白金先物相場は、1オンス=880ドル台まで切り 返す展開に。クリスマス休暇、年末・年始を控えて価 格連動性の強い金相場が反発する中、白金相場もつれ 高した。特に積極的に買い進むような材料は見当たら なかったが、年末に向けて売りポジションの含み益を 確定する動きが優勢になった。 <年末に向けてのポジション調整のみ> 金相場は取組高の増加を伴った反発になっているが、 白金の取組高は急減傾向を維持しており、専ら売り方 ファンドの買い戻しが相場の主導権を握っていること が窺える状況にある。白金上場投資信託(ETF)市場 経由でも目立った資金流入などは確認できず、相場は 上昇しているものの、特に投機筋の白金市場に対する 関心が高まっている訳ではない。完全なポジション調 整に終始しており、年内の相場を終える準備だけが進 められている。 <ランド相場野反発力は鈍い> 為替市場では急激なドル高傾向に一服感が見受けられ るが、南アフリカ通貨の反発力は限定されており、積 極的に白金相場を買い進むような動きにはなっていな い。こちらも年末を控えてドル買いポジションをク ローズする動きが、相対的にランド相場の下値をサ ポートしている。ただ、ランドの短期基調はなお上向 きよりも下向きというのが現実であり、「ランド反発 →白金相場反発」のフローを確認することはできない。 米国の利上げサイクル入りで、ドル買い材料の出尽く 1,200 しを指摘する声も聞かれるが、2016年に米国が着実な 金利上昇軌道を描くことができれば、ランド安がドル 建て白金相場を押し下げる基本構図は維持されよう。 <非鉄金属の底固さはポジティブ> 白金需給見通しに修正を迫るような動きも確認できな い。非金属相場が総じて底固く推移していることは白 金相場にもポジティブだが、こちらも年末に向けての ポジション調整の意味合いが強く、特に工業用金属市 場全体に追い風が吹き始めている訳ではない。金、白 金ともにポジション調整が行われているだけであり、 目先の値動きに一喜一憂する必要性は乏しい。 <投資銀行は強気見通しだが…> 2016年の相場見通しだが、HSBCは従来の1,235ドルか ら1,000ドルまで予想価格を引き下げた。17年に関し ては、1,500ドルから1,195ドルまで大幅に引き下げて いる。なお現行価格水準は大きく上回るという意味で は強気予想とも言えるが、現実の白金相場低迷を受け て価格見通しの下方修正を迫られる展開が続いている。 スタンダード・チャータードは、16年978ドル、17年 1,139ドルと、今後の価格上昇見通しを示した。ただ、 これらの強気見通しは繰り返し誤りであったことが確 認されていることもあり、白金価格に対する強気評価 を喚起するような動きはみられなかった。2016年に向 けて白金相場のボトム形成は先送りされる見通しだが、 目先はポジション調整をこなしながら次の相場展開を 決定づけるテーマ模索の時間帯が続く見通し。積極的 な売買は見送られよう。 NYMEX白金先物 中心限月継足 4,500 東京白金先物 先限継足 1,100 4,000 1,000 900 3,500 800 700 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 3,000 15/07 15/12 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐2‐ 大起産業コモディティ週報 (原油市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 【原油】 年末を控えてショートカバー先行も、下落リスクを持ち越す <自立反発局面に> NYMEX原油先物相場は、1バレル=35ドル水準でサポー トされ、若干の戻りを試す展開に。需給見通しに改善 の兆候は見られないが、ドル高圧力が一服しているこ とで、クリスマス休暇、年末・年始を前に売りポジ ションの利益確定を進める動きが優勢になっている。 積極的に買い進むような動きまではみられないが、米 原油在庫が予想外の大幅な減少になったこともあり、 リバウンド圧力が観測されている。 <ロシアは協調減産に否定的な立場を維持> 特に石油需給見通しに大きな修正を迫るような動きは 確認できない。12月18日にロシアのノバク・エネル ギー相は、原油価格維持のために石油輸出国機構 (OPEC)との協力は検討していないことを明らかにし ている。サウジアラビア側からはロシアなどOPEC非加 盟国の協力を前提に協調減産に前向きな発言も聞かれ 始めているが、なおサウジアラビアの協力を引き出す には至っていないことが確認できる。この状況下では、 12月4日のOPEC総会後に原油相場の上値の重さが再確 認されたとは言え、緊急総会開催などで供給管理の再 開が議論されることはないだろう。 <ブレントは11年半ぶりの安値更新> ICEブレント原油先物相場は、22日の取引で一時35台 に突入し、約11年半ぶりの安値を更新した。需給緩和 が強く警戒されていることに加えて、米国で原油輸出 解禁が決まったことを受けて、WTI原油との間に裁定 も働いた模様だ。こうした動きはWTI原油に対しては 60 ポジティブ要因になるが、ブレント原油とWTI原油の スプレッドが特別に大きく広がっていた訳ではないこ とを考慮すると、裁定買いのインパクトは限定されよ う。寧ろ、米国内の過剰供給圧力が世界全体に波及す るリスクの方を警戒すべきと考えている。 <OPECは今後の価格上昇に自信> OPECは23日に公表した2040年までの「世界石油展望」 において、2020年にかけてOPECの大規模な増産実現に は否定的な見方を示した。新興国主導で需要拡大は続 くも、非OPECの増産にブレーキが掛かるのは20年以降 が予測されており、当面は米国のシェールオイルを筆 頭としたタイトオイルとの厳しい競合関係が続く見通 し。ただ、需給バランスが均衡化に向かうのと連動し て原油価格については2020年に実質ベースで80ドルが 予想されており、OPECが原油価格の回復に強い自信を 有していることが確認できる。こうした楽観的な価格 見通しがコンセンサスを得ている間は、OPECが市場機 能に需給リバランスを委ねる方針を撤回し、改めて供 給管理に乗り出すリスクは限定されよう。 <戻り売り基調は続く> 引き続き、ドル相場の急落といった動きがみられない のであれば、原油相場は上値の重い展開が続く見通し。 過剰供給解消の目途が立たない中、少なくとも大きく 反発するような展開を想定するのは難しい。既に年内 の相場は終わった感が強いが、年末・年始にポジショ ン調整で反発するような場面があれば、売り場になる 見通し。 NYMEX原油先物 中心限月継足 50,000 東京原油先物 先限継足 45,000 50 40,000 40 35,000 30,000 30 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 25,000 15/07 15/12 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐3‐ 大起産業コモディティ週報 (石油製品/天然ガス市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 【石油製品】 年末前でリバウンドするも 【天然ガス】 年末前の買い戻しのみ <海外原油に連動高> 東京ガソリン先物相場は、1kl=4万円台前半で下げ一 服となった。海外原油相場が下げ止まる中、短期筋の ショートカバー(買い戻し)に下値を支えられている。 ただ、為替相場が円高方向に振れる中、積極的に買い 進むような動きまではみられず、大きな値動きには発 展していない。石油連盟発表の週末在庫(12月13~19 日)は、前週比+0.2%の170万8,986キロリットルと なった。推定出荷量は+7.5%の98万3,496トンと回復を 見せて生産も抑制されたが、なお出荷の絶対水準が低 いことで、2週連続の増加となっている。もっとも、 年末を控えて現物市場の方にも特に大きな動きはみら れず、国内需給動向は特に材料視されていない。足元 では海外原油のリバウンドがガソリン相場もサポート しているが、一時的な戻り圧力との評価で十分とみて いる。 <出荷低調で需給タイト感なし> 東京灯油先物相場は、1kl=3万7,000円水準まで小幅 切り返す展開に。全国的に気温低下傾向が強まるも、 特に材料視されず、海外原油のリバウンドに連動した 値動きに。石油連盟発表の週末在庫は前週比+1.7%の 295万9,012キロリットル、推定出荷量は+8.5%の39万 5,326キロリットル。出荷が一向に伸びない中、在庫 積み増しが促された。ただ、国内需給よりも原油調達 コスト環境が重視された相場展開が続く中、原油主導 で灯油もリバウンドしている。もっとも、海外原油相 場の先高観が強まる状況にはなく、通常のダウントレ ンドにおける一時的な調整高に留まろう。 東京ガソリン/灯油先物 先限継足 65,000 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 ガソリン 灯油 60,000 55,000 <ポジション閉鎖による反発> 天然ガス先物相場は、1mmBtu=2.0ドルの節目水準ま で切り返す展開に。暖冬による需給緩和懸念を背景に 12月18日には1.684ドルまで値位置を切り下げたが、 その後はクリスマス休暇、年末・年始を控えての ショートカバー(買い戻し)に下値を支えられ、リバ ウンド局面を迎えている。10~12月期の売りポジショ ンの含み益を確定する動きが強く、取組高の減少を 伴った反発局面になっている。 <需給タイト感は浮上せず> 全米天然ガス在庫(12月11日時点)は、前週比-340億 立方フィートの3兆8,460億立方フィートとなった。季 節要因から在庫の取り崩しが進んでいるが、引き続き 暖冬の影響で例年と比べて需要の伸びが鈍く、在庫減 少ペースは抑制されている。目先も北米では総じて温 暖な天候が続くことが予測されており、需要期中に在 庫がひっ迫化するリスクは殆ど存在しない状況になっ ている。在庫は前年同期比+16.4%、5年平均比で +9.1%だが、今後は更に緩和リスクが高まる可能性の 方が高い。リグ稼働数は減少傾向を強めているが、暖 冬の影響を払拭できる程のレベルではない。今後も緩 やかなペースで在庫の取し崩しが進む見通しだが、気 象環境の劇的な変化などがなければ、需給緩和状態が 天然ガス相場の上値を圧迫する展開が続く見通し。足 元では年末に特有の調整局面を迎えているが、自立反 発的名動きに留まる可能性が高い。年明け後は、再び 身軽になった投機筋の売りが拡大するリスクを警戒し たい。 3.25 NYMEX天然ガス先物 中心限月継足 3.00 2.75 2.50 50,000 2.25 45,000 2.00 40,000 1.75 35,000 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 1.50 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐4‐ 大起産業コモディティ週報 (ゴム市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 【ゴム】 上海ゴムの上昇続くも、先高感は広がらず <160円でサポート> 東京ゴム先物相場は、1kg=160円台を中心に揉み合う 展開に。上海ゴム相場が底固く推移する中、東京ゴム も160円の節目割れに失敗して、リバウンド局面を迎 えている。需給環境に特に目立った変化などはみられ ないが、上海ゴム相場のリバウンドが続く中、東京ゴ ム相場もつれ高している。 <上海はショート・スクィーズ気味> 上海ゴム相場は、11月6日の1トン=9,400元をボトム に、足元では1万1,000元台後半まで値位置を切り上げ ている。特に積極的に天然ゴム相場を買い進むような 動きはみられないが、年末を前に売りポジションの整 理が進んでおり、これがストップロスを巻き込む ショート・スクィーズ的な動きを引き起こしている模 様だ。上海ゴム相場は今年後半に入ってからほぼ一貫 して値位置を切り下げてきただけに、自立反発的な動 きでも値幅が大きくなる傾向にある。ファンダメンタ ルズというよりも内部要因主導の値動きになっている ため、上海ゴム相場が落ち着きを取り戻すまでは、東 京ゴム相場もリバウンドリスクを残すことになる。 <上海取引所在庫は今年最高を更新> もっとも、上海ゴム相場の上昇は自立反発的な動きに 留まる見通し。中国国内の天然ゴム需給の緩和状態に 変化はみられず、自立反発後の上昇トレンド形成を見 通すことは難しい。上海取引所の認証在庫をみても、 直近の12月189日時点では前週比+1万4,136トンの23万 4,452トンとなっており、今年の最高値を更新してい 上海ゴム先物 中心限月継足 16,000 る。前年同期の15万2,880トンと比較するまでもない 高水準であり、来年の減産期に向けて供給不安が高ま るような状況にはない。寧ろ、ある程度の供給トラブ ルが発生した方が、需給バランスの均衡化を実現する という観点では望ましいとも言える。 <中国は財政出動と金融緩和に意欲> 中国では12月18日に中央経済工作会議が閉幕したが、 財政出動と金融緩和によって、中国経済のソフトラン ディングを目指す方針が再確認された。なお政策対応 の余地が多く残されていることを誇示しており、中国 政府が持続可能な「新常態」への移行を着実に進める 方針を再確認した形になっている。2016~20年にかけ ての5か年計画では、成長率が現在の7.0%前後から 6.5%前後にまで引き下げられる可能性が高いものの、 少なくとも中国発でリスクオフ化が加速するような事 態は許容されていないことは、中国経済と関連の深い 天然ゴム相場に対してはポジティブである。ただ、こ れで中国の天然ゴム需要見通しが大きく上振れする訳 ではなく、心理的な影響に留まろう。 <戻り売り基調は崩れない> 上値が重いものの下値を攻めきれない展開が続いてい るが、基調判断はなお下向きである。価格低下も生産 調整の動きは不十分であり、過剰在庫解消の観点から も値下り対応が求められる。12月入りしてからはポジ ション調整主体の相場展開になっているが、リバウン ド局面では戻り売り対応が基本になるだろう。来年に 下値切り下げリスクを残した相場と評価したい。 東京ゴム先物 先限継足 240 220 14,000 200 12,000 180 10,000 160 8,000 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 140 15/07 15/12 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐5‐ 大起産業コモディティ週報 (トウモロコシ市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 【トウモロコシ】 ポジション調整で軟化、南米産にも要注意 <調整売りが先行> CBOTトウモロコシ先物相場は、1Bu=360セント台まで 小幅値下りする展開に。クリスマス休暇、年末・年始 を控えて買い玉整理の動きが強く、小幅値位置を切り 下げている。為替はドル安気味に推移し、原油相場の 下げも一服したが、アルゼンチン産の供給拡大に対す る警戒感が根強いこともあり、370セント台から一段 高を試すことに失敗している。積極的に売り込むよう な動きが広がっている訳ではないが、11月中旬から12 月上旬にかけて堅調地合が続いていたこともあり、買 いポジションの含み益を確定する動きが優勢になって いる。小麦相場の軟化もネガティブ。 <ブラジルの生産環境は良好> 基本的には、年末が近づく中でのポジション調整とみ て良い。トウモロコシのファンダメンタルズに基づく 売買よりも、薄商いの中でポジション調整が優先的に 消化されており、この時期の値動きについては必ずし もロジカルな説明ができるものではない。単純に、こ れまで上昇していた反動が、相場を下押ししていると の理解で十分だろう。ただ、ドル安や原油高に逆行し て値位置を切り下げているのも事実であり、トウモロ コシのファンダメンタルズに変化が生じていないか否 かを把握しておくことも重要である。その意味では、 引き続き南米産の供給圧力に対する警戒感を指摘せざ るを得ない。ブラジルでは乾燥警報も出されているが、 少なくとも11月以降はエルニーニョ現象発生時に恒例 となる多雨に恵まれており、乾燥による生産トラブル が警戒されるような状況にはない。まだ天候相場の最 終判断を下す状況にはないが、現時点では不作よりも 豊作のリスクの方が高く、それは国際トウモロコシ需 給の緩和リスクが決定的になることを意味する。 <アルゼンチン産に増産リスク> 加えて、アルゼンチン産の動向にも注意が必要である。 通貨切り下げに加えて輸出関税の撤廃もあり、アルゼ ンチン産の供給見通しに大きな上振れ余地が生じてい る。アルゼンチン農牧省の報告によると、2015/16年 度のトウモロコシの作付面積は、従来見通しの530万 ヘクタールから540万ヘクタールまで上方修正されて いる。その理由については言及が行われていないが、 輸出環境の改善で作付け期に面積を積み増したとの一 部観測が反映されている可能性もあり、アルゼンチン 産については輸出高のみならず生産高そのものに上方 修正圧力が働き易い状況になっている。エルニーニョ 現象は、南米産の農産物生産にはポジティブに働く傾 向が強く、引き続き需給要因からトウモロコシ相場を 大きく押し上げていくのは困難だろう。 <ボックス下限でリバウンド狙い> もっとも、350~360セント水準では現物市場で荷動き が鈍化し易く、ここから更に大きく値位置を切り下げ るのは難しい。8月以降のボックス下限に近付いてお り、リバウンド狙いで買い拾っても良い価格水準と評 価している。ここから400セント台回復を試すような 地合にはないが、このままボックス相場が維持されよ う。 CBOTトウモロコシ先物 中心限月継足 500 30,000 450 28,000 400 26,000 350 24,000 300 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 22,000 15/07 15/12 東京トウモロコシ先物 先限継足 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐6‐ 大起産業コモディティ週報 (大豆市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 【大豆】 南米産の供給警戒も、堅調な輸出需要が下支え <ボックス内での調整売り> CBOT大豆先物相場は、1Bu=900セント台回復に失敗し、 870セント台まで軟化する展開になっている。ドル安、 原油高など外部環境は総じて強気に傾いたが、900セ ントの節目を前に戻り圧力は失速し、改めて下値追い の展開になっている。積極的に売り込むような動きま ではみられないが、850セントをサポートとしたリバ ウンド狙いの買いが、クリスマス休暇、年末・年始を 前に手仕舞い売りを迫られている。取組高も減少に転 じており、ポジション調整主体の相場展開になってい ることが窺える。 <根強い南米産への警戒感> 引き続き、アルゼンチン産の供給拡大に対する警戒感 は強い。通貨ペソの切り下げに加えて、輸出関税の引 き下げもあり、アルゼンチン産の供給が従来見通しか らどこまで上振れするのか強い不確実性が発生してい る。材料としては陳腐化し始めているが、実際にどの 程度の供給インパクトが生じるのかは不透明感が強く、 なお大豆相場の上値は圧迫されている。アルゼンチン 農牧省は、2015/16年度の面積見通しを従来の2,060万 ヘクタールから2,070万ヘクタールまで引き上げてい る。作付けシーズンに大統領選挙でいずれにしても輸 出関税の引き下げは決定的との見方が広がったことが、 面積拡大に寄与した模様。加えて、エルニーニョ現象 の影響で今季の南米では降水量が安定しており、アル ゼンチン産のみならずブラジル産についても高水準の 生産高が想定できる状況にある。南米産の豊作環境に ついては既に高いレベルでの織り込みが進んでいるが、 CBOT大豆先物 中心限月継足 1,100 南米産の生産トラブルで国際需給にひっ迫感が浮上す るリスクが限定されることは、大豆相場に対する売り 安心感を強めよう。 <堅調な輸出環境が下支え> 一方、輸出環境は総じて良好である。米農務省 (USDA)によると、12月17日の週の週間輸出成約高は 206万9,700トンに達している。中国のみで151万1,000 トンの成約が報告されており、少なくとも12月中旬に かけては「価格低下→海外需要拡大」のフローが発生 していたことが確認できる状況にある。このため、無 理に値下りしても在庫をさばくことは可能であり、本 格的に値崩れを起こすようなリスクまでは高まってい ない。 <ボックス上限での戻り売りが基本> 8月下旬以降は850~900セント水準でボックス化して おり、決め手を欠いている。需給緩和状態・見通しが 上値を圧迫するも、需要家からの良好な引き合いが下 値を支えており、ボラタイルながらも方向性が定まっ ていない。需給緩和の度合が高まり易い中、引き続き 戻り売り対応が基本になると考えている。900セント 水準を戻り目途に、850セント割れを打診する展開は 維持される可能性が高い。強弱バランスが拮抗して方 向感が定まっていないが、ボックス上限となる900セ ント近辺を売り込み、ストップロスの水準を切り下げ つつ、ボックス下限ブレイクを待ちたい。なおボトム 確認は時期尚早と考えている。 60,000 東京一般大豆先物 先限継足 55,000 1,000 50,000 900 45,000 800 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 40,000 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐7‐ 大起産業コモディティ週報 (小麦/コメ市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 【小麦】 ボックス下限に再挑戦か 【コメ】 年末に向けてじり高傾向を維持 <上値重いが決め手難> CBOT小麦先物相場は、1Bu=470セント水準まで軟化す る展開に。供給過剰に強い警戒感があることに加えて、 ロシアが小麦輸出関税の引き下げ・撤廃を検討中との 報を受けて、改めて下値を模索している。あくまでも ボックス圏内での値動きだが、12月は今年初めて一度 も500セント台を回復せずに終わりそうな状況であり、 上値の重さが再確認されている。 <需給緩和見通しに修正なし> ロシア農務相は、政府に対して穀物輸出関税の引き下 げ、または撤廃を要請していることを明らかにした。 現在は1トン当たりで通関価格から6,500ルーブル(約 91ドル)を差し引いた金額の50%が関税になっている が、この引き下げが検討されている。ロシア国内の小 麦需給が安定化する中、今季は輸出を奨励しても大き な問題はないとみている模様だ。エジプトがアルゼン チン産の大量買い付けを行っていることが報告される など、世界的に小麦販売は安値競争を迫られ易い環境 にあり、米国産小麦に対しても下押し圧力が強まり易 い。為替市場でドル高圧力が一服していることは米国 産小麦にとってポジティブな動きになるが、下値不安 の払しょくは難しい。敢えてボックス下限付近で売り 込む必要性は乏しいが、ストップロスの水準を切り下 げながら、コアレンジ切り下げを打診したい。チャー ト主導の自律反発を消化できれば、450セントの節目 を割り込む程度の地合の弱さは維持されている可能性 が高いとみている。 650 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 CBOT小麦先物 中心限月継足 <1万1,000円台で底固く推移> 関東産コメ先物相場は、1俵(60kg)=1万1,000円台 前半でじり高の展開に。年末・年始が近づいているが、 改めて買いが膨らんでおり、小幅ながら値位置を切り 上げている。積極的に上値を試すような動きまではみ られないが、出来高を伴った上昇になっており、地合 の強さが窺える状況にある。 <根強い現物需給のタイト感> 特に目新しい材料は見当たらないが、引き続き現物需 給のタイト感が下値を強力にサポートしている。15年 度産の生産に大きなトラブルが発生した訳ではないが、 政府の生産調整が有効に機能しており、コメ価格は値 下りから値上がりに転換している。特に作況が良好と は言い難い新潟産コシヒカリなどに値上がり傾向が報 告されているが、関東産も少なくとも大きく値下がり するような必要性は見いだせない状況になっている。 ここからどこまで値位置を切り上げることが可能なの かは末端消費者の対応に依存するが、現時点では価格 上昇を受けての買い控えと言った動きは鈍く、なお上 値が狙える状況とみて良いだろう。1万1,000円台確立 が進む中、1万1,500円、1万2,000円と緩やかなペース で価格上昇の限界ラインを模索する展開となろう。押 し目があれば、買い拾っておきたい。 12,000 600 11,000 550 10,000 500 大阪 関東産コメ先物 先限継足 9,000 450 400 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11 8,000 15/07 15/12 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐8‐ 大起産業コモディティ週報 (砂糖/コーヒー市場) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 【砂糖】 15セントとの攻防が続く 【コーヒー】 戻りを試すも、決め手難 <15セント水準で決め手を欠く> ICE砂糖先物相場は、1ポンド=15せント水準で揉み合 う展開に。引き続きタイトな需給見通しが下値を強力 にサポートするも、15セント台ではクリスマス休暇、 年末・年始を控えての調整売りが上値を抑え、明確な 方向性を打ち出すには至っていない。11月のボックス をほぼ踏襲する展開が続いており、短期間で上昇波動 と下落波動が入れ替わる、不安定な地合になっている。 <120セントの節目での攻防が続く> ICEコーヒー先物相場は、1ポンド=120セント水準ま で小幅上昇する展開に。クリスマス休暇、年末・年始 を控えて売り方ファンドの買い戻しが膨らむ中、やや 地合を引き締めている。ボックス下限でリバウンド狙 いの買いが膨らんだこともあり、改めて120セントの 節目を巡る攻防になっている。ただ売買は低調であり、 年末特有のポジション調整中心の展開である。 <根強い需給ひっ迫への警戒感> ブラジル製糖協会Unicaによると、12月前半の同国中 南部の砂糖生産高は前年同期比+66.1%の63万6,000ト ンとなった。サトウキビ圧砕高が+77.1%と急増したこ とで、砂糖の生産も拡大した。4月以降の累計での砂 糖生産高は前年同期比-5.6%の3,005万7,000トンと なっている。サトウキビ圧砕高は+3.0%となっている が、砂糖価格の低迷でエタノールの生産比率を引き上 げる動きが強いことに加えて、1トン当たりのスク ロース含有率が前年同期の122.1キログラムから111.4 キログラムまで減少していることもあり、国際需給 ひっ迫化を回避するための十分な生産が行われていな いことが確認されている。2016年の供給不足見通しを 打ち崩すような動きはみられず、今後も押し目買い基 調は維持されよう。引き続き15セント台では買い玉整 理の動きが上値を圧迫し易いが、14セント台では物色 妙味が大きいと考えている。ブラジル通貨レアルの急 落といった為替環境の大きな変化がなければ、なお上 値の狙える相場と評価している。 <需給、レアル相場ともに決め手難> 需給面には特段の新規材料が見当たらず、ポジション 調整中心の小動きになっている。ブラジルでは乾燥懸 念が高まっており、引き続き供給面に不安を抱えた状 態にある。11月の降雨で一時期と比較すると樹木への ストレスは緩和しているが、国際コーヒー需給ひっ迫 化の流れを阻止できるレベルにはない。ブラジル通貨 レアルが対ドルで下げ渋っていることもポジティブ材 料だが、年末前のポジション調整との見方が強く、為 替要因からコーヒー相場を買い進むような動きも見ら れない。結果的に、底固いものの上値を攻めきれない 中途半端な相場展開が維持されている。ボックス相場 が長期化する中、目先は110せント台から更に下押し した局面を買い拾う程度のスタンスに留めざるを得な い。120セント台を確立できる程度の需給タイト感が 浮上する見通しだが、なお上値追いには慎重姿勢が求 められる状況が続く可能性が高い。リバウンド狙いで、 安値を拾いつつ、120セント台確立に向かうのを待ち たい。 18 ICE砂糖先物 中心限月継足 150 ICEコーヒー先物 先限継足 16 140 14 130 . 12 10 8 15/07 120 15/08 15/09 15/10 15/11 110 15/07 15/12 15/08 15/09 15/10 15/11 15/12 本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき 作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断 で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。 ‐9‐ 大起産業コモディティ週報 (注意事項/お問い合わせ先) Daiki Commodity Weekly Report 2015/12/25(金) 大起産業株式会社 調査研究室 室長 小菅 努 TEL:052-201-6311(代表) [email protected] 注意事項 ※本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断し た情報源からの情報に基づき作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではあり ません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断で行うようお願い申し上げます。※本レ ポートは、執筆者の見解に基づき作成されたものであり、弊社の統一された見解ではありません。 ※本レポートを使用することに生ずるいかなる種類の損失についても、筆者及び弊社は責任を負い ません。※弊社の都合で、本レポートの全部または一部を予告なしに変更することがありますの で、予めご了承ください。 ※商品先物取引は証拠金取引であり、相場の変動によって利益も損失も生ずる恐れのある取引で す。委託者証拠金の額に比べて何十倍もの金額の取引を行うため、その利益や損失も預託している 委託者証拠金等の額に比べると高いものとなることがありえます。※商品先物取引は委託に際して 委託者証拠金等の預託が必要になります。最初に預託する委託者本証拠金の額は商品によって異な りますが、最高額は、最低取引単位(1枚)当り最高200,000円です。但し、実際の取引金額は委託 者本証拠金の額の10倍から60倍という著しく大きな額になります。また委託者証拠金等は、その後 の相場の変動によって追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。但しその額 は、商品や相場の変動によって異なり、一様ではありません。※商品先物取引の委託には委託手数 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